消費税増税法案、可決。
日経新聞社説は、
「『決める政治』への一歩として評価したい」
朝日新聞は、
「迷走を重ねてきた『決められない政治』が、
ようやく一歩、前に進む。
率直に歓迎したい」
読売新聞は、
「財政再建と社会保障制度改革を
推進するための大きな一歩だ。
『決められない政治』に決別し、
参院で法案を確実に成立させなければならない」
まったく同じ論調。
まあ、日本の世論が、
決断し、決定し、可決したことを、
後押ししている。
ずいぶん早いが、
年末の「今年の漢字」は、
「決」となるか。
はたまた「紛」となるか。
さて日経MJの第45回小売業調査が発表された。
主要小売業の2011年度の営業実績に関して、
全国の小売業722社から回答が得られた。
前の期と比較可能な480社。
その合計売上高は前期比横ばい、
営業利益は2010年度比プラス10.3%、
2期連続の2ケタ増。
小売業全体の2011年度の傾向が、
「売上高横ばい・営業利益1割増」
これは重要なトレンドだ。
あなたの会社、あなたの店はどうだったか。
比較するとよい。
売上高のランキングは、
①イオン5兆2061億円(2.1%)
②セブン&アイ・ホールディングス4兆7863億円(▲6.5%)
この2社がずば抜けている。
セブン&アイは、
北米のサウスランド社の会計基準を変更して減収。
ベスト5までは、
③ヤマダ電機1兆8355億円(▲14.8%)
④三越伊勢丹HD1兆2399億円(1.6%)
⑤ユニー1兆0792億円(▲3.0%)
ユニーまでの5社が、
日本で年商1兆円を超える企業。
⑥Jフロントリテイリング9414億円(▲0.9%)
⑦ダイエー8695億円(▲4.6%)
⑧髙島屋8581億円(▲1.3%)
⑨ファーストリテイリング8203億円(0.7%)
⑩エディオン7590億円(▲15.8%)
ただしここに来年は、
⑬ビックカメラ6121億円(0.6%)
+㉗コジマ3704億円(▲17.6%)が、
滑り込んで、9825億円で、
第6位となる。
今回のベスト10だけ見ると、
家電チェーンがダウン・トレンド。
だからこの業界で合従連衡が起こる。
百貨店業態も、
三越伊勢丹がプラスで、
髙島屋と大丸がマイナス。
⑯エイチ・ツー・オーリテイリング5031億円(8.7%)は、
好調で、平均すれば「横ばい」。
セブン&アイは、
西武沼津店・そごう呉店を閉鎖する決定をした。
そして都心の主力店に集中する。
百貨店はしばらく、
地方都市の店が閉鎖され、
大都市の店を増床して、
「都市型業態」の特徴をさらに顕著にする。
日経新聞の記事では、
「業種別ではスーパーが、
3.8%と3期ぶりプラス」とある。
この統計では、
「全国スーパー、地域スーパー、地方スーパー」の分類で、
これでは業態が全く分からない。
いつも私はこれを指摘しているが、
総合スーパーなのか、食品スーパーなのか、
衣料スーパーか住関連スーパーか。
「スーパー」を「業種」としているのだから、
これはあきらめるしかないが、
少なくとも経済産業省の分類には準じてもらいたいところだ。
「スーパー」に対して、
「コンビニ」は4.1%増。
そして専門店は0.9%減。
ここには家電チェーンも含まれるが、
「連結ベースでの集計を始めた00年度以降初の減収」。
私は「専門店の時代到来」を明言しているが、
家電チェーンが加わるから、
そのトレンドは日経の大分類からは見えない。
売上高ランキングに対して、
日経MJは営業利益順位を一番目立つとこに掲載している。
①セブン&アイ2920億円(20.0%)
②イオン1956億円(13.5%)
③ファーストリテイリング1163億円(▲12.1%)
利益の3強で1000億円超はこの3社。
ただし単体のセブン-イレブンが1831億円(8.3%)。
④ヤマダ電機889億円(▲27.5%)
⑤ローソン617億円(11.2%)
⑥ニトリホールディングス579億円(10.0%)
⑦ヨドバシカメラ523億円(▲14.2%)
ここまでが営業利益500億円超。
つづいて、
⑧ユニー440億円(25.4%)
⑨しまむら439億円(10.3%)
⑩ファミリーマート425億円(11.4%)
業態で見れば、
コンビニの収益の高さ、伸びは一目瞭然。
日本小売業を象徴するのは、
やはりコンビニということになる。
最後にROAランキング。
総資本経常利益率。
①メガネトップ27.8%
②ABCマート24.6%
③ニトリホールディングス23.0%
④ユニテッドアローズ21.2%
⑤ファーストリテイリング20.6%
⑥セリア20.3%
⑦ポイント20.1%
20%以上が7社もある。
⑧ワークマン19.3%
⑨しまむら16.9%
⑩カインズ16.4%
「専門店の時代」は、
この収益性指標によって明らか。
プライベートブランドをしっかり作っている企業が、
このランキングにしっかり入っている。
そのことも強く認識される。
ベイシアのグループでも、
ワークマンとカインズがROAトップ10に入っている。
ROAは規模に関係しない。
あなたの会社、あなたの店ではどうか。
比較してもらいたい指標だ。
さて昨日は、夕方まで商人舎オフィスに来客多し。
まずUIゼンセン同盟専門店ユニオン連合会のお二人。
副会長の石崎克哉さんと、
組織化部長の浅井孝治さん(右)。
来月5日の労使懇談会で講演する。
その打ち合わせ。
テーマは「商業の現代化を求めて」。
打ち合わせと言いつつ、
近代化から現代化に至るマネジメントのあり方から、
アメリカ流通業の最新トレンドにまで話は及んだ。
講演の前哨戦のようになってしまった。
夕方には、大高愛一郎さんが来社。
コーネル・ジャパン第1期の事務局長であり、
現在は、三井物産㈱所属で、
セブン・プレミアムのマーケティングを担当する。
私は大高さんの活躍が、心からうれしい。
何だが実の弟のような気がする。
もっともっと、フードビジネス産業全体に、
貢献してもらいたいと期待しているし、
それができる人だと思う。
日が暮れそうな時間帯に、
横浜高島屋「人形町 今半」に移動し、
當仲寛哲さんと合流。
當仲さんはUSP研究所代表取締役所長。
その當仲さんはITビジネスに携わっていながら、
実にユニークな、というかアナログな、
スケジュール管理を行っている。
それがこれ。
ちょっと前までは、裏紙に罫線を引いただけの予定表だったが、
スタッフが見かねたのか、カレンダーを手描きしてくれたらしい。
6月は梅雨のイラスト。
楽しそうな、予定表だ。
もちろんスーパーマーケットの情報システムについての、
新企画も話し合った。
大好きなすき焼きをいただきながら、
大高さん、當仲さんとの談笑。
久々に心がほぐれた。
<結城義晴>