結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年07月06日(金曜日)

韓国・仁川で『冷淡・軽税党と親切・重税党』、イオンとセブンを考える

7月に入って1週間。
蒸し暑い日が続く。

今日は朝、横浜の商人舎オフィスに寄って、
それから横浜シティエアーターミナルからリムジンバスで、
成田空港第1ターミナル北ウィングへ向かう。
20120706235950.jpg
バスの窓から見える横浜の港と市街。

北ウィングはリニューアルされて、
驚くほどセンスアップした。
20120706235959.jpg
13時の大韓航空に乗って2時間半で着くはず。

機中、仕事を始めたが進まず、
本を読み始めたがこれも乗らず、
映画を見た。

「アーティスト」
語るまでもないサイレントムービーの名作。

しかし終わりまで見ることもかなわず、
朝鮮半島が眼下に。
20120707000009.jpg

仁川国際空港に到着。
20120707000022.jpg
いまや、日本の成田を凌ぐハブ空港。

原稿書きも、読書も映画鑑賞も、
今日は、どうも中途半端なことばかり。
しかしそれも旅の楽しさ。

着いたら空港のワンアジア・デスクで案内してもらって、
ハイアットリージェンシー・インチョンへ。
空港近隣のホテルで、5分もかからない。
20120707000039.jpg

今回の行動範囲はこのホテルだけ。
20120707000055.jpg

これから始まるワンアジアクラブの大会と、
ワンアジア・アカデミズムのディスカッション。
楽しみです。
20120707000111.jpg

部屋の窓から見渡す光景。
20120707000104.jpg
仁川の日没は遅い。
パリやロンドンのようだ。

着いた時には雨が降っていたが、
夕方には陽が差してきた。

さて今朝の日経新聞コラム『大機小機』。
分かりやすさが、すごくいい。

タイトルは、
「『冷淡・軽税党』か『親切・重税党』か」

この言葉遣いは、京都大学の故高坂正尭教授のもの。
亡くなられてしまったが、生前から私も尊敬している。

コラムニストのミスト氏は、
結論を高坂先生にもってゆく。

衆議院の消費増税案通過後、
3党協議で社会保障国民会議の設立が決まった。
コラムニストはこの会議体に注目する。

これから1年、
有識者や国会議員がメンバーとなって、
消費税率引き上げと、
一体である年金・医療・介護・少子化対策など、
を総合的・集中的に検討する。

「民自公の消費税率引き上げ賛同者が集う超党派の議論の場は、
今後の政界再編にもつながりうる」
これが一つの政治的な流れ。

もうひとつは、
大阪維新の会に代表される立場。
みんなの党や自民党の一部とも相通じる。
「新自由主義・保守主義・小さな政府」の流れ。

「歳出削減を行えば、消費税率引き上げは必要ない」との主張。

話題の「小沢新党」も、立場はこちら側。

その結果、我が国の政治の考え方は二つに分かれる。
第1が、「小さな政府・新自由主義」、
第2が、「中規模の政府・
(あえていえば)日本型資本主義」。

そしてそれが高坂先生のわかりやすい分類につながる。
つまり第1の「冷淡・軽税党」と、
第2の「親切・重税党」。

あなたもこのことは考えてみる必要がある。
そうすればポピュリズムに惑わされる危険性も減る。

「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」。

大阪の橋本徹市長が、
よく、ポピュリズムと批判を受ける。

小さな政府は冷淡・軽税党。
中規模の政府は親切・重税党。
言いえて妙。

ちなみに共産党一党独裁の中国は、
超のつく大きな政府。

高坂先生の分類は、
わが国民にとっても歓迎すべき見識。

「社会思想は、時の経済社会の状況に応じて大きく変化する。
一方の考え方が行き過ぎれば政権交代により是正していく、
これが、基本的に欧米で起きている政権交代の意味である」
コラムニストの結論。

ただし、それ以外の考え方も、
頭から否定すべきではない。
それが正しい、と私は思う。

日本の小売業界にも、ふたつの大きな勢力がある。
イオンとセブン&アイ・ホールディングス。
相次いで、第1四半期決算が発表された。

昨日は、セブン&アイの発表。
2012年3~5月期の連結決算は、
売上高に当たる営業収益は8%増の1兆2070億円、
経常利益が前年同期比2%減の669億円。
つまりは増収減益。

総合スーパーのイトーヨーカ堂は、
既存店売上高が3%減。
衣料品は好調、にもかかわらず食品が落ち込んだ。
ちょっと異変。

コンビニのセブン-イレブンは、
国内外で販売が好調で12%増の504億円。
営業利益は、
セブン-イレブン・ジャパン 454億円、前期比103.9%、
イトーヨーカ堂 23億円、42.7%、
ヨークベニマル 29億円、54.6%。

セブン&アイの利益は、
3分の2がセブン-イレブンのもの。

売上高総利益(粗利益)率は、
0.3ポイント低下して、それでも30.0%。
ここにもセブン-イレブンの影響がある。

一方、イオンの第1四半期決算は一昨日発表。
営業収益は11%増の1兆3264億円で、
経常利益が前年同期比18%増の364億円。
第1四半期の3~5月期としては過去最高。

イオンは「増収増益」。
昨年11月1日付で、
マルナカグループを買収。
それが売上高を急激にアップさせた。

プライベートブランドのトップバリュも、
3カ月で売上高1524億円、前年同期比134.4%。

SC部門の営業利益が12%増の103億円。
金融部門の営業利益はなんと41%増で63億円。

イオンとセブン&アイ。

イオンがどちらかと言えば「中規模政府」派で、
セブン&アイが「小さな政府」派か。

チェーンストア企業経営でも、
大きな本部・中くらいの本部派と、
小さな本部派に分けられる。

私はどちらでなければならないとは考えない。

ただし、どちらの戦略を選択するかは、
企業ごとに明確にしておかねばならない。

組織は戦略に従う。
そしてそれは自社の強みに、
根差していなければならない。

さて、日本の政治は、
いま、どちらが望まれるのだろうか。

考えつつ、週末へ。
私はずっとインチョン。

みなさん、良い週末を。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.