7月に入って1週間。
蒸し暑い日が続く。
今日は朝、横浜の商人舎オフィスに寄って、
それから横浜シティエアーターミナルからリムジンバスで、
成田空港第1ターミナル北ウィングへ向かう。
バスの窓から見える横浜の港と市街。
北ウィングはリニューアルされて、
驚くほどセンスアップした。
13時の大韓航空に乗って2時間半で着くはず。
機中、仕事を始めたが進まず、
本を読み始めたがこれも乗らず、
映画を見た。
「アーティスト」
語るまでもないサイレントムービーの名作。
しかし終わりまで見ることもかなわず、
朝鮮半島が眼下に。
仁川国際空港に到着。
いまや、日本の成田を凌ぐハブ空港。
原稿書きも、読書も映画鑑賞も、
今日は、どうも中途半端なことばかり。
しかしそれも旅の楽しさ。
着いたら空港のワンアジア・デスクで案内してもらって、
ハイアットリージェンシー・インチョンへ。
空港近隣のホテルで、5分もかからない。
今回の行動範囲はこのホテルだけ。
これから始まるワンアジアクラブの大会と、
ワンアジア・アカデミズムのディスカッション。
楽しみです。
部屋の窓から見渡す光景。
仁川の日没は遅い。
パリやロンドンのようだ。
着いた時には雨が降っていたが、
夕方には陽が差してきた。
さて今朝の日経新聞コラム『大機小機』。
分かりやすさが、すごくいい。
タイトルは、
「『冷淡・軽税党』か『親切・重税党』か」
この言葉遣いは、京都大学の故高坂正尭教授のもの。
亡くなられてしまったが、生前から私も尊敬している。
コラムニストのミスト氏は、
結論を高坂先生にもってゆく。
衆議院の消費増税案通過後、
3党協議で社会保障国民会議の設立が決まった。
コラムニストはこの会議体に注目する。
これから1年、
有識者や国会議員がメンバーとなって、
消費税率引き上げと、
一体である年金・医療・介護・少子化対策など、
を総合的・集中的に検討する。
「民自公の消費税率引き上げ賛同者が集う超党派の議論の場は、
今後の政界再編にもつながりうる」
これが一つの政治的な流れ。
もうひとつは、
大阪維新の会に代表される立場。
みんなの党や自民党の一部とも相通じる。
「新自由主義・保守主義・小さな政府」の流れ。
「歳出削減を行えば、消費税率引き上げは必要ない」との主張。
話題の「小沢新党」も、立場はこちら側。
その結果、我が国の政治の考え方は二つに分かれる。
第1が、「小さな政府・新自由主義」、
第2が、「中規模の政府・(あえていえば)日本型資本主義」。
そしてそれが高坂先生のわかりやすい分類につながる。
つまり第1の「冷淡・軽税党」と、
第2の「親切・重税党」。
あなたもこのことは考えてみる必要がある。
そうすればポピュリズムに惑わされる危険性も減る。
「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」。
大阪の橋本徹市長が、
よく、ポピュリズムと批判を受ける。
小さな政府は冷淡・軽税党。
中規模の政府は親切・重税党。
言いえて妙。
ちなみに共産党一党独裁の中国は、
超のつく大きな政府。
高坂先生の分類は、
わが国民にとっても歓迎すべき見識。
「社会思想は、時の経済社会の状況に応じて大きく変化する。
一方の考え方が行き過ぎれば政権交代により是正していく、
これが、基本的に欧米で起きている政権交代の意味である」
コラムニストの結論。
ただし、それ以外の考え方も、
頭から否定すべきではない。
それが正しい、と私は思う。
日本の小売業界にも、ふたつの大きな勢力がある。
イオンとセブン&アイ・ホールディングス。
相次いで、第1四半期決算が発表された。
昨日は、セブン&アイの発表。
2012年3~5月期の連結決算は、
売上高に当たる営業収益は8%増の1兆2070億円、
経常利益が前年同期比2%減の669億円。
つまりは増収減益。
総合スーパーのイトーヨーカ堂は、
既存店売上高が3%減。
衣料品は好調、にもかかわらず食品が落ち込んだ。
ちょっと異変。
コンビニのセブン-イレブンは、
国内外で販売が好調で12%増の504億円。
営業利益は、
セブン-イレブン・ジャパン 454億円、前期比103.9%、
イトーヨーカ堂 23億円、42.7%、
ヨークベニマル 29億円、54.6%。
セブン&アイの利益は、
3分の2がセブン-イレブンのもの。
売上高総利益(粗利益)率は、
0.3ポイント低下して、それでも30.0%。
ここにもセブン-イレブンの影響がある。
一方、イオンの第1四半期決算は一昨日発表。
営業収益は11%増の1兆3264億円で、
経常利益が前年同期比18%増の364億円。
第1四半期の3~5月期としては過去最高。
イオンは「増収増益」。
昨年11月1日付で、
マルナカグループを買収。
それが売上高を急激にアップさせた。
プライベートブランドのトップバリュも、
3カ月で売上高1524億円、前年同期比134.4%。
SC部門の営業利益が12%増の103億円。
金融部門の営業利益はなんと41%増で63億円。
イオンとセブン&アイ。
イオンがどちらかと言えば「中規模政府」派で、
セブン&アイが「小さな政府」派か。
チェーンストア企業経営でも、
大きな本部・中くらいの本部派と、
小さな本部派に分けられる。
私はどちらでなければならないとは考えない。
ただし、どちらの戦略を選択するかは、
企業ごとに明確にしておかねばならない。
組織は戦略に従う。
そしてそれは自社の強みに、
根差していなければならない。
さて、日本の政治は、
いま、どちらが望まれるのだろうか。
考えつつ、週末へ。
私はずっとインチョン。
みなさん、良い週末を。
<結城義晴>