昨日、サンフランシスコから帰国して、
今日は、山梨県清里高原へ。
横浜線で八王子へ、
中央線あずさに乗り換えて小淵沢。
さらに小海線で清里へ。
小海線は日本最高度の鉄道。
単線の線路のまわりは林に包まれている。
清里の駅には、鉄道模型が飾ってある。
この清里に、立教大学の寮がある。
名づけて「清泉寮」。
この清泉寮で、
立教大学大学院2012年度
結城ゼミの夏合宿。
この施設は財団法人キープ協会が保有しているが、
その開発者のポール・ラッシュ博士の銅像。
清里駅に着いたら、
結城ゼミ第1期生が待っていてくれて、
昼食。
毎回必ず行く店ROCK。
ウッディな店内内装のカレーハウス。
そのSpecialカレー。
カロリーが高いメニューだが、
おおいに満足。
私が教授に就任するとともにゼミを持ってから4年目。
初年度2009年のゼミ生を結城ゼミ1期生と呼び、
2期生、3期生、そして現在の4期生まで、
合わせて24人。
夏の合宿には、
その21人が参加してくれる。
第2陣くらいまで揃って、
ゼミのスタート。
清里高原の清泉寮での合宿。
私自身は、
安らぎます。
癒されます。
それでも、
ひどく肩が凝っている。
私は肩が凝りやすい。
運動不足になると、すぐに肩凝り。
だから講演や講義のとき、
語り始めて10分くらいしたら上着を脱ぐ。
これが落語家がマクラを語ってリラックスさせてから、
本文に入るのと似ている。
ちなみに落語は、
「マクラ⇒本文⇒オチあるいはサゲ」で構成されている。
講演、講義も、これに似ているが、
「マクラ」を語る者も、
「オチやサゲ」を語って劇的に終わることをする者も、
多くはない。
まあ、落語、「落とし噺」というくらいだから、
「オチ」のために本文を語っている節がある。
講演・講義にも、
「オチ」があったら面白いし、
オチはあるべきだと思う。
さて日経新聞の『企業総合』欄の記事。
「百貨店、都心で集中投資」
これは本質的に正しい経営判断だと思う。
シンプルに言えば、
都心の主力店舗に投資し、
郊外のサテライト店舗は撤退、
または業態転換する。
東武百貨店池袋本店は91億円の本格改装。
20年ぶり。
三越伊勢丹は100億円強を投じて伊勢丹新宿本店を改装。
高島屋も総額140億円の投資で横浜店を改装。
売上高上位5社2012年度の総設備投資額は、
1249億円。
前年度比なんと5割増。
一方、郊外店、地方店は「専門店ビル」化を進める。
素早い意思決定の場合、「専門店ビル化」が進む。
そごう・西武の西武東戸塚店は、2009年から段階的に
「ユニクロ」「アカチャンホンポ」など専門店を導入。
12年2月期まで2期連続増収、
3~6月も6%の伸び。
その代り、近隣のイトーヨーカ堂能見台店に、
その影響が出る。
大都市の主力店をそのまま小型化した旧来型郊外・地方百貨店は、
郊外大型ショッピングセンターの総合スーパーと競合する。
しかしその総合スーパーも全体では衰退業態。
こちらも衰退してくるということは、
専門店で乗り切るしかない。
さらに対応遅れの百貨店は淘汰と閉鎖。
J・フロントリテイリング傘下の博多大丸長崎店は昨年7月に、
そごう・西武もそごう呉店と西武沼津店を来年1月に閉鎖。
百貨店の1店当たり商圏人口は、100万人。
現在はもっと広くなっている。
現在、270店ほど残っている百貨店は、
100万人で単純計算しても、日本の総人口1億2770万人では、
120店ほどが適正ということになる。
百貨店の社会的機能を、
安土敏著『日本スーパーマーケット原論』(パルス出版)は、
「良いもの何でも屋」と短く易しく表す。
しかし成熟化社会では、
「良いもの」の質が格段に高まる。
コモディティ化現象とは、
「品質が向上するのに価格は下がる」こと。
コモディティ化現象は成熟化社会で起こる。
アメリカも、西ヨーロッパも、
そして日本も成熟化社会となっている。
そこでは「品質」に対する要求が高い。
だから「良いもの何でも屋」の百貨店は、
より希少性の高い商品を得る条件を整えた店舗しか成り立たなくなる。
希少性の高い商品やサービスを用意することができる広い面積、
希少性が高いから高額となる商品・サービスで採算が取れる
広い商圏人口の立地。
希少性が高い商品を売るための高頻度の高額投資。
つまりは都心の一番立地の広い面積の百貨店。
しかしこういった条件を満たす店は、
他の百貨店の淘汰によって、
逆に、好成績を収め続ける。
その頂点に各社の本店や主力店がある。
伊勢丹新宿店、日本橋三越、
日本橋高島屋、大阪高島屋、横浜高島屋、
池袋西武、横浜そごう、
そして改装中の梅田阪急&阪神百貨店。
これらはますます繁盛するに違いない。
これらに準じる百貨店もますます繁盛する。
その分、地方・郊外総合スーパーは、
ショッピングセンターでの専門店導入を加速しつつ、
一方は百貨店のニーズの取り込みへ、
一方は米国のハイパーマーケット型ディスカウントへ。
こちらは二極化していくだろう。
アメリカで言えば、
前者はコールズ型、
後者はウォルマート&ターゲット型。
こうやって総合スーパーが追い詰められつつ二極化していくと、
アメリカ同様に、GMSと呼ばれたシアーズ型・JCペニー型は、
中途半端になってしまう。
消費の高度化の頂点に立つ百貨店の変貌は、
その隣の業態といえる総合スーパーに影響を与える。
そして総合スーパーが変貌すると、
食品スーパーマーケットや衣料スーパーに、
影響が出てくる。
日本全体は少子高齢化で、
市場が縮んでいる。
縮みつつ、小売業の勢力図に変化が訪れる。
これが業態間競争の本質である。
業態は社会的機能である。
だから業態間競争はない。
この理論は、
マーケットの縮小のなかで、
適用されにくくなってきている。
まだ時差ボケがある。
ゼミをやりつつも、
頭は混迷。
そんな中で、
日経新聞の記事から考えた。
みなさん、良い週末を。
私は明日まで清里で、
安らぎます。
癒されます。
< 結城義晴>