まったく突然の話。
メジャーリーグ・シアトル・マリナーズのイチローが、
ニューヨーク・ヤンキースに移籍。
プロの世界にはこんなことがある。
イチローは移籍会見から2時間後、
シアトル・セーフコ・フィールドで行われた試合に、
「8番・ライト」で先発出場。
もちろんヤンキースの選手として。
第1打席でセンター前ヒット、
すかさず二盗、三盗を決めた。
イチローらしい意地が表れた瞬間。
この3回裏の初打席では、
シアトルのファンから、
スタンディングオベーションで迎えられた。
お客様は本当にありがたい。
「ここでは長い時間にいろいろなことがあった。
ああいう反応を目の当たりにすると、真っ白になる。
あの瞬間に感激した」
「一番勝っていないチームから一番勝っているチーム」への移籍。
現在最下位のマリナーズから、
ほんとうの常勝軍団ヤンキースへ。
イチローにはこれで、
ワールドシリーズ出場の新しい道が開けた。
ワールドシリーズ制覇27回、
アメリカン・リーグ優勝40回。
そんなヤンキースにイチローは、
「怖い。不安です」
率直過ぎるが、
「それを断ち切れるように進んでいきたいし、
その覚悟は持っているつもり」
あくまで謙虚。
イチローの哲学。
「小さなことを重ねていくことが、
とんでもないところへ行くただ一つの道だ」
まったく小売りサービス業に通ずる哲学。
ウォルマートの創業者サム・ウォルトンの言葉。
「Retail is detail」
小売りの神は細部に宿る。
そして商人舎標語。
「細かく・厳しく・しつこく」
これは「徹底すること」の意味。
イチローの野球人生はまさに、それだ。
ところで、2011年度コンビニエンスストア調査。
日経新聞が毎年、行っている。
コンビニの市場規模が、
9兆1771億円。
9兆円を突破し、10兆円間近。
前年度比伸長率8.2%。
総店舗数4万8139店、
こちらの前年度比は4.3%プラス。
売上高の伸び率が、
店舗数の伸長率を上回る。
つまりは1店ごとの伸びも大きくなっていることになる。
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの3強、
それにサークルKサンクス、ミニストップを加えた大手5社。
その店舗純増数は、1780店。
これは過去最高。
比較可能な43社の伸び率は、
近年では10%増の97年度に次ぐ。
市場規模は百貨店の6兆1525億円の1.5倍の拡大。
単体企業では、
第1位セブン-イレブンが、
年商3兆2805億円。
日本最大の小売業。
コンビニ業界の35.7%を占める。
第2位のローソンも、
年商1兆8258億円で、
19.9%。
第3位のファミリーマートは、
1兆6612億円。
こちらも18.1%。
断トツのセブン-イレブンはもとより、
3強がいずれもクリティカル・マスの17%を超えている。
日本のコンビニは世界最高の小売業で、
上位三社の寡占状況が続く。
その意味でコンビニはグローバル・ビジネスの水準にある。
その証拠にプライベートブランドの売上げは、
上位3社で年商5000億円規模に成長。
本格的に生鮮食品のうちの野菜を扱う店も、
2013年3月期には上位5社で2万4000店になる。
スーパーマーケットの最大の競争相手は、
コンビニである。
この調査では、性別の客数が出ている。
男性客数の伸び率は5%増、
たいして女性客数は12%増。
つまりはスーパーマーケットの顧客を、
コンビニが奪っていると解釈することができる。
さらにセブンーイレブンでは、
60代以上の比率が17%。
これは1年間で2ポイントの上昇。
2012年度の新店・改装投資は、
セブン-イレブン1100億円、
ローソン、ファミリーマート500億円以上。
上位5社で2541億円、
前年比22%増。
出店数の見込みは約3700店で、
純増数は約2100店の予定。
イチローではないが、
「小さな店の積み重ねが、
とんでもないところへ行くただ一つの道」
それが日本のコンビニである。
最後に昨日の行動日記。
朝から埼玉県川越へ。
3店のスーパーマーケットを視察。
まずヤオコー川越的場店。
今年3月22日オープンの新店。
売場面積2676㎡(809坪)と、
23年連続増収増益のヤオコー最大の意欲店舗。
広報の内藤さんに対応していただいて、
視察・研究。
心から感謝。
その後、歩いて400mのところにあるベルク的場店へ。
こちらは1992年オープンの1573㎡(477坪)。
極めてオーソドックスな伝統型スーパーマーケット。
さらに車でオーケー川越店。
島忠ホームズ川越店の1階左翼に入居している。
2010年オープンの2414㎡(730坪)。
こちらはディスカウントタイプ。
三者三様のポジショニングで、
極めてアメリカ的な競争を繰り広げている。
分析は機会を見て。
その後、昨日は池袋の立教大学に戻って、
フード&ベバレッジ・マーケティングの補講。
18時30分から21時過ぎまで、
前期最後の講義で、力が入った。
講義終了後、有志が集まって、懇親会。
楽しいひと時で、帰宅は午前様だったが、
炎天下、店回りをして、ちょいと疲れ気味。
「健康法は?」と問われたが、
「これといって、ありません」と答えた。
「小さなことの積み重ねです」なんぞと、
カッコよく即答できればいいのだが、
イチローの域にはまだ達していない。
<結城義晴>