入道雲。
積乱雲。
ラテン語学術名は、
Cumulonimbus(キュムロニンバス)。
その積乱雲のあと、
雷が発生したり、
大雨になったりする。
だから「雷雲」ともいう。
英語では、“Thunder cloud”。
各地で、そんな積乱雲のあとの大雨。
こうして少しずつ、秋に近づく。
8月8日の立秋から、
いま、8月23日の処暑に向かう日々。
さて「一日一食」がちょっとしたブーム。
私の友人のサービス業経営者が実践していて、
「成果が上がっている」と証言。
「16時間断食」も流行している。
これも同年の友人が実行して、成果を上げた。
お断りしておくが、
メタボリック症候群気味の私は、
どちらもやっていない。
「16時間断食」の方は、
第1に夜8時以降は食べない。
第2にお昼は炭水化物を中心に好きなものを食べる。
第3に朝は果物、または具なし味噌汁を食べる。
「一日一食」に火をつけたのは、
南雲吉則著『「空腹」が人を健康にする』。
サンマーク出版から1月18日に発刊され、
発売後1カ月で20万部のベストセラー。
著者はナグモクリニック総院長。
30代の頃、暴飲暴食で77kgまで太った。
そこで、さまざまなダイエット法に挑戦。
「1日1食」に到達。
いわゆる「腹ペコ生活」。
1日の食事は夕食だけ。
その1食は好きなものを食べる。
結果として、体重62kgを維持、
56歳とは思えない若々しさ、
人間ドックでの血管年齢26歳、
骨年齢は28歳との判定。
南雲さんの根拠の第一は、「サーチュイン遺伝子」。
これは“長寿遺伝子”“若返り遺伝子”とも呼ばれるもの。
この遺伝子は、「人間の生命力を司る」とされる。
そのスイッチをオンにする条件が「空腹」。
南雲さんは、自分自身の体験をもとに、
「一日一食」が人間にとってベストな食事法だと主張。
これはこれで、ひとつの考え方。
採用するか否かは個人の問題。
しかし日本国民全体が「一日一食」や「16時間断食」に取り組んだら、
スーパーマーケットやコンビニ、フードサービス業、
そして食品製造業、食品卸売業は、
どうするんだろう。
そんなことを考えてしまった。
一方、今朝の日経新聞の社説。
「食料のムダ削減に知恵絞れ」。
こちらは日本の食料自給率からの発想。
「政府が発表した2011年度の自給率は、
供給熱量で計算した数値が2010年度と同じ39%だった」
熱量換算だけではなく、
金額換算も考慮に入れよという説もある。
それはさておいて、社説は、、
企業や消費者の努力で「自給率を引き上げる策」を主張する。
「それは食料のムダを減らす努力だ」
農林水産省の推計。
年間9000万トン強の農水産物が日本国内に供給される。
そのうち約1900万トンが、
食品メーカー、外食、小売店、
家庭などで
捨てられる。
しかも「500万~900万トンは食べられる食料」。
廃棄食品を減らせば、
自給率は上がる。
これが第1の主張。
食べられる食料で廃棄されるものの多くは、
家庭や外食での食べ残し、
小売店の売れ残り。
農水省は2009年3月に、
「食品のムダ削減に向けた対応策」をまとめた。
「小売店に賞味期限に近づいた商品は
値引き販売などで『売り切る努力』を求めた」
しかしこの面では、特にコンビニで、
「見切り販売」は進まない。
一方、「売れ残りや食品の製造過程などで出る廃棄物も、
飼料・肥料としての利用は可能」
廃棄食料を飼料に使え。
廃棄食料は貴重な資源に変わる。
これが、社説の第2の主張。
日本の飼料自給率は26%。
国産の飼料を増やせば
食肉や乳製品など畜産物の安定供給につながる。
こちらは特に多店化した外食産業は、
「食品メーカーなどに比べ廃棄物の利用率が低い」と指摘。
「食料の無駄を減らす」
もっともな主張だ。
一方、「一日一食」主義。
これも当人たちにとっては、
真剣なテーマ。
しかしこれらがもし、
一挙に実行され、実現されたら、
日本の食品産業はどうなるのか。
このことに対して企業はどう考え、
どう責任を持つのか。
このときに、
「損得より善悪を先に考えよう」と、
言い切れるために、どう行動するか。
商人舎エグゼクティブ・コーディネーターの川勝利一さん。
トレーメーカーのトップ営業マンだったころ、
「我々の仕事は社会悪だ」と言い切っていた。
もちろん川勝さんの営業成績は、抜群だった。
「食品の製造・流通・小売り・サービス」は、
社会悪では、もちろんない。
しかし、その供給競争のなかで、
それが過剰になるとき、
企業の責任はどうなるのか。
つねに「社会悪」という刃を自らに突き付けつつ、
社会に貢献できる仕事を模索したい。
結論は、
より価値の高い食品提供を追求し続ける。
これしかない。
<結城義晴>