ニューヨーク4日目。
今日、帰国の途に着く。
アメリカにやって来て、
ダラスに3日、
そしてニューヨークに4日。
ほんとうにあっという間に、
時は過ぎる。
充実していればいるほど、
あっという間に時は過ぎる。
あの2001年9月11日、
同時多発テロから、
もう11年。
その跡地のグランドゼロには、
新しいビルディングが建造中。
既にエンパイヤステートビルよりも高くなっているし、
東京スカイツリーよりも高層になるとか。
時の過ぎるのは早いが、
それを忘れてはならない。
そんな心持ちを強くする。
さて昨日は、朝から、ニュージャージーへ。
三井物産の100%子会社三井フーズインク。
この会議室を借りて、セミナー。
はじめにジェフ・レイシーさんから、
三井フーズの紹介。
この会社は米国三井物産100%子会社で、
食品事業部門の傘下にある輸入会社。
シスコやUSフーズといった大手業務用卸が主たる顧客。
その後、三井フーズCEOの長田務さんから、
米国流通事情のレクチャー。
外食産業の動向などもレポートしてもらって、
勉強になった。
最後に、私の総括セミナー。
業態からフォーマットへの、
発想の転換が必要なこと。
そのために、
ポジショニング戦略が必須であること。
これまで視察したり、インタビューしたりしてきた事例を引きながら、
最重要点を簡潔にレクチャーした。
私の講義が終わると、
全員で記念写真。
ニュージャージーのさわやかな空気が、
気持ちよかった。
長田さんと立岩太郎さんと写真。
立岩さんは三井物産USAのゼネラルマネジャー。
心から、感謝。
さて、すぐに私たちはマンハッタンに戻った。
目的地はイースト・リバー・プラザ(East River Plaza)。
マンハッタンのハーレムに、
一昨年の2010年7月オープン。
いわゆるパワーセンター。
ディスカウントフォーマットだけを集積させたショッピングセンター。
マンハッタンにパワーセンター。
凄い時代に入ったもんだと思う。
施設面積約4万5000㎡、3万坪。
立体駐車場が1248台。
これだけの商業集積に1000台を超える駐車場。
多層階方式にならざるを得ない。
かつてのセオリーは通用しない。
むしろ日本が先行していたくらいだと思える事例だ。
地下1階から地上4階までの5層構造。
地階にペッツマート(ペット用品店)。
2012年アメリカチェーンストアランキング72位。
売上高54億0200万ドル(100円換算で5402億円)、
店舗数1159店。
1階は巨人コストコ。
売上高890億5400万ドル(8兆9054億円)、425店を展開。
米国内第5位。
この店、大繁盛。
マンハッタンにもコストコの需要は大いにある。
出店できなかっただけのこと。
だから店を出せば大繁盛間違いなし。
2階はターゲット。
ご存知、ウォルマートの対抗馬のスーパーセンター。
米国3位の小売業。
売上高684億6600万ドル(6兆8466億円)、 1763店。
ターゲットも、非常によく売れていた。
Back to School商品もぬかりなく品揃えし、
月曜日の売場には品切れが出るくらい。
このフロアには、キッズタウン(キッズアパレル)が入っていたが、
撤退し、その後にあのアルディが出店間近。
売上高 428億7100万ドル(4兆2871億円)、 1195店。
米国小売業第40位。
このパワーセンターでは、
ディスカウント色の薄い企業は、
もたない。
だから3階のベストバイ(家電ナンバー1チェーン)は、
撤退してしまった。
第9位の小売業。
売上高507億0500万ドル(5兆0705億円)、1443店。
近隣のベストバイの地図が掲示され、
「そちらで買い物してください」と断り書きのポスターが、
むなしく張られていた。
家電はコストコにもターゲットにも品揃えされている。
とりわけコストコの価格は圧倒的に安い。
ベストバイは取り分けてディスカウントしているわけではない。
価格ではいつもウォルマートに負けている。
だからこのパワーセンターからは出てゆくしかない。
その3階には、オールドネイビー(アパレル)。
世界最大のアパレル・チェーン「ギャップ」の、
ディスカウント部隊。
ギャップの売上高は142億8900万ドル(1兆4289億円)、
2436店。
国内31位。
ユニクロにおけるguの位置づけ。
ディスカウント業態ではあっても、
入り口のマネキンはカッコいい。
店舗中央のステージも、
行き届いたプレゼンテーション。
オールドネイビーの隣には、
フェイマス・フットウェア。
この店も「遅れてはならない」とばかりに、
ディスカウントに徹する。
そして5階には、マーシャルズ。
TJXのなかのフォーマット。
オフ・プレイス・ストア(OPS)。
TJXの売上高は232億6700万ドル(2兆3267億円)、
2212店。
ブランド物の衣料や服飾品を、
ディスカウントで売る。
だから壁面の言葉が面白い。
「ハイファッションは高価格を意味するものではない」
座布団一枚!
最上階には、そのほかに、
ボブズファーニチャー(家具)。
ディスカウントを標榜しているが、
セールスマンが多数投入されていて、
しかも家具は購買頻度が低い商材。
今後どうなることか。
そしてゲーム・ストップ。
ショピングセンター全体では、
ひとつの役目を果たしている。
ショッピングセンターの1階の脇には、
広大な搬入口。
コストコの大型トラックが横づけされていた。
マンハッタンのパワーセンター。
マンハッタンに出店することができるだけで、
ショッピングセンターは繁盛し成功する。
しかしそのパワーセンター内の競争も、
実に激しい。
全米ナンバー1の家電量販店ベストバイが撤退、
キッズアパレルのキッズタウンも撤退し、
その後にアルディが入る。
パワーセンター全体の客数は多い。
だからベストバイもキッズタウンも、
客数が少ないわけではない。
しかし、利益が上げられないし、
ディベロッパーからは、
商業集積全体のパワーを削ぐという理由で、
撤収を迫られる。
それがアメリカの競争。
しかし、この競争があるから、
顧客たちは大喜び。
次に出てくる店はどんな喜びを、
私たちに提供してくれるのだろう。
顧客はそう思っているに違いない。
やがてマンハッタンに、
ウォルマートが出店するときが来るかもしれない。
私はそんな感慨を抱いた。
<結城義晴>