「この秋の紅葉は鮮やか」
夏は暑かった。
日照時間が長かった。
だから鮮やかな紅葉。
民間気象情報会社ウェザーニューズ発表。
ありがたい。
今月の商人舎標語。
「今日もお仕事、
おまんまうまいよ」
富士山でも今日、初冠雪。
いよいよ、秋です。
さて、金本知憲、現役引退を表明。
阪神タイガースの44歳。
私も西鉄ライオンズ・フリークのタイガース・ファン。
本籍地・西鉄、現住所・阪神。
真弓・若菜・竹之内が、
西鉄から阪神に移籍して以来、
阪神タイガースを応援している。
だからというわけではないが、
アニキ金本のファンでもある。
超一流選手でありながら、
ひたすらひたむき。
そこがいい。
その金本が記者会見。
「よく頑張ったなという思いはあるが、
この3年間は惨めで、
こんな苦しい人生あるのかなという気持ちだった」
これは、いい発言。
これからの金本の人生にとって、
この3年は代えがたいものとなったに違いない。
男の人生80年。
今、折り返し点。
最も価値のある3年間だった。
私も㈱商業界の代表取締役社長の4年間、
金本と同じ心境だった。
しかしそれが、ほんとうに貴重だった。
「若いとき、もっと練習しておけば、
もっといい結果が出ただろうし…」
これほどの努力の男が、
「もっと練習しておけば」と語る。
「もっと」というのは、
どんな次元なのだろう。
若い人には特に、真摯に聞いてほしい言葉だ。
1492試合連続フルイニング出場は世界記録。
21年間の現役生活、
通算2561試合出場は歴代9位、
2532安打は歴代7位、
474ホームランは10位タイ、
1517打点は8位。
あの長嶋茂雄が試合出場2186で、
2471安打、444本塁打、1522打点だから、
打点でもう少し頑張ればミスターを超えた。
「野球とは人生そのもの」と語ったが、
「最も誇りに思うこと」は、
1002打席連続無併殺打の日本記録。
「内野安打にならない局面でも、
全力で一塁に走ってゲッツーにならなかった。
フルイニングよりも誇りに思う」
フルイ二ング連続出場といい、
連続無併殺の全力疾走といい、
まるで商売をする人の心構えと見ていい。
お疲れ様、ご苦労さん。
これからの人生が待っている。
それはきっと、すごくいいよ。
そんな声をかけたくなる。
一方、ロックンローラー矢沢永吉が、
「デビュー40周年記念ライブ」。
音楽評論家の渋谷陽一が、
日経新聞夕刊で評論。
矢沢永吉は作詞をしない。
「少し倒錯した表現になるが、
僕は矢沢永吉が作詞をしないのは、
その必要がないからだと思っている」
これが面白い。
「たくさんの作詞家がこれまで
矢沢メロディーに言葉を付けてきたが、
どの詞からも伝わるのは
作詞家の言葉ではなくて、
矢沢の言葉である」
少し倒錯した表現になるが、
小売業のプライベートブランドへの態度に似ている。
「どんな作詞家も矢沢の歌詞を書くときは矢沢になってしまうし、
矢沢が歌えばその歌詞は矢沢の言葉になってしまうのだ」
どんなメーカーの製品も、
この企業の売り場に並べられると、
その商品はその店の
品ぞろえになってしまうのだ。
こう、言い換えることができる。
渋谷は、「矢沢永吉の言葉の一貫性」と「世界観のブレなさ」を指摘する。
矢沢永吉は音楽スタイルに関して、
どんどん新しいものを取り入れた。
「誰よりも早くコンピューターによる打ち込みをアレンジに導入」
「海外レコーディングにも挑戦」
62歳の矢沢永吉。
6万5000人のファンの前で、
圧倒的な存在感と歌唱力を披露。
全く揺らぐことのない世界観、矢沢ワールドを展開。
世界観を支える肉体がしっかりと存在していた。
このあたり金本と同じ。
「世界観を支えるのは言葉と思想だ。
その強さこそが矢沢永吉なのである」
さて小売流通のニュース、その①。
西友が明日の13日から、
食品と日用品700品目を値下げする。
6月には、500品目。
長期値下げの第2弾。
年末にも500 品目程度を追加。
アメリカでは「ロール・バック」という。
従来価格から2%~26%の値下げ。
西友ではなくウォルマートなのだから、
矢沢永吉ではないが、
「ブレない世界観」。
驚くことはない。
アメリカではウォルマートがいつもやっているし、
コストコやアルディ、ウィンコは、
それを上回る価格政策を採っている。
小売流通のニュースその②。
「ビックロ」が登場する。
ビックカメラとファーストリテイリングのユニクロが、
「新宿三越アルコット」跡に共同出店。
その名も「ビックロ」。
7月にビックカメラがまず、オープン。
ユニクロは9月27日、国内第二の面積で出店。
地上1~3階にユニクロ、4階~8階にビック。
売上高予算は、
ビックカメラ年間500億円、
ユニクロ100億円。
「東京の新名所」
ビックカメラの宮嶋宏幸社長は、
ちょっとはしゃぎ気味。
ビックのポイントをクーポン券として、
ユニクロで使えるようにする。
ビックは暖房器具のコーナーで、
「ヒートテック」などを取り扱う。
ユニクロも衣料品の売り場に、
掃除機を手にしたマネキンを配置する。
「ビック+ユニクロ」で「ビックロ」のネーミングだけでなく、
家電と衣料品のコーディネート提案に力を入れる。
しかし、個々の商品の相互乗り入れよりも、
強いフォーマットのユニクロと組むビックに、
おおきなメリットがある。
その証拠に、
顧客が入りやすい1階から3階にユニクロが入り、
その上階の4階から8階にビックが居座る。
コンバイン(結合)で総合力を高める。
これは総合力のシナジー効果。
この点はずっと、ぶれてはいけない。
<結城義晴>