結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年09月18日(火曜日)

東アジアの「タテ社会」と「人間の英知」、「店を痛めつけないでほしい」

店を痛めつけないでほしい。
店が苛められるのを見るのは、悲しい。

中国の反日デモは暴徒化。
日系企業、日系店舗は軒並み休業。

日経新聞によると、
イオンは中国内の総合スーパー36店のうち、30店を休業。
ユニクロは休業を39店に拡大。

セブン-イレブンは北京と四川省成都の約200店、
ローソンは上海の16店と重慶の56店、
ミニストップは青島の40店を、
それぞれ休業。

「開いててよかった」のコンビニ業態までが、
毎日営業のはずの店を開けられなかった。

店が痛めつけられるだけではない。
店が開けられないことも、
またひどく悲しい。

大震災のときにも。
店は真っ先に開けられる。

人々の生活があるからだ。

中国の人々の生活に、
支障が来されてはいないのだろうか。

何か、とてつもなく大きなストレスが、
中国社会に内在している。

根本の問題はそこにある。

この自国の問題が解決されねば、
中国を、次の世界を先導する存在とは、
国際社会が認めない。

GDPが世界第二位になろうとも、
国内の産業が急成長しようとも、
優秀な人材が輩出されようとも、
中国人の心の問題が解決されなければ、
残念ながら彼らは、国際人にはなれない。

長い長い歴史のなかで、
日本は仏教を中国から教えてもらった。
孔子や孟子は日本人の精神形成に、
大きな影響を与えた。

それらはどこに行ってしまったのだろう。

私にも中国人の友人は多い。
みな、素晴らしい人たちだ。

しかしこのような暴徒化は、
個人の人格を超えて、エスカレートされてしまう。

店を痛めつけないでほしい。
店を開けさせてほしい。

心から祈るばかりだ。

さてこのところ好きなコラムは、
毎日新聞巻頭の『余禄』。
今朝は、「昇進する」という言葉から考察した。

「日本は出世することを下から上に行くイメージでとらえる。
だがスペイン語だと『遠いところに行く』と言う」

「タテ社会の日本と
ヨコ社会の欧州の違い」

いや、対人関係を、
「ヨコではなくタテで考えるのは
東アジアに共通する特徴」。

李鍾元・早大大学院教授。
「欧州は主権国家を水平的にとらえる。
東アジアは序列でものを考える」

「中国が他を圧する大国だった東アジア史は
近代日本の台頭で秩序が激変し、
今また中国の興隆で力関係が揺らいでいる」
覇権やリーダーシップの抗争?

ヨーロッパにはEUが誕生した。
経済や金融に関しては、問題山積ではあるけれど。
「欧州連合という形で平和が制度化されるまでには
気の遠くなるような努力と時間が必要だった」

「東アジアもいつかは
タテ社会がヨコ社会に変わるだろう。
なぜならそれは争いをなくすため
人間が生み出した英知だからだ」

中国の根本問題もタテ社会のストレスにある。
そして日本にもタテ社会の序列があるといわれると、
中国を批判してばかりもいられない。

11月13日・14日・15日の2泊3日の合宿。
第2回商人舎ミドルマネジメント研修会は、
ピーター・ドラッカーの考え方を基本にしている。
参加者、募集中。
私はリーダーシップやチームマネジメントを語る。
これは、タテ社会の弊害を乗り越えて、
ヨコ社会の利点を追求しようという考え方に基づいている。

しかし欧米のやり方のマネばかりではない。
脱グライダー人間によるマネジメント改革そのもの。
それがミドルマネジメント研修会の趣旨。

さて月刊『食品商業』10月号。
伊藤園の広告ページ、
「2012年春期大陳コンテスト結果発表」。

企業賞の大賞には㈱マルト。
安島浩代表取締役社長がコメント。
「伊藤園さんには震災で野菜が入荷しない折にも、
数多くの野菜飲料を送ってもらったこともありました。
困ったときに助けていただいた取引先でもありますので、
今回は全社で一生懸命、真面目に取り組みました」

そんな中で今回は企業賞大賞を受賞。
「全社員、心からうれしく思っています」

私も審査委員長として、この受賞は良いと思った。
もちろん全社的な陳列技術のレベルが、
何よりも企業賞大賞を物語っていた。

店舗賞の「おーいお茶コース大賞」は、
紅屋商事㈱カブセンター神田店。
代表取締役の秦勝重さんもコメント。
「日本一である弘前の桜と、
年に一度の新茶が出るタイミングを合わせ、
店舗の入り口で大きく陳列しました」

もうひとつの店舗賞「複数展開コース」大賞は、
㈱ハローデイ田川店。
やはり代表取締役社長の加治敬通さん。
「社員やパートさんの意識のおおもとには、
当社の経営理念があると思います。
この経営理念を共有していることが、
良い売り場づくりにつながったと思います」

安島さん、秦さん、加治さん。
いいコメントです。
ありがとう。

私は総評に書き込んだ。
「これからは手づくり感、オリジナリティ、
ユニークさが求められます」
そして「『現場力』に一層期待したいと思います」

ところでこの『食品商業』10月号の特集。
「『ロピア旋風』徹底解剖」
㈱ロピアを主役に㈱エイビイを脇役に、
店頭調査比較をしているが、
企業の位置づけや店舗の概要、
当事者のコメントが全く出てこない。

特集の頭が欠落している。

どうかしたのだろうか。
取材やインタビューは、
していないのだろうか。

全体があって、部分がある。
私はアメリカでも、
「虫の目」も大切で欠かせないが、
「鳥の目」「魚の目」は必須であると強調している。

この特集は、勝手に調べて勝手に評価。
コンサルタントやライターの人たちも苦労しただろうが、
これでは取材される店舗がかわいそう。

店には愛情を持って接してほしい。
店を痛めつけないでほしい。

<結城義晴>

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