野田第3次改造内閣。
新聞各紙は社説で酷評連発。
朝日新聞社説。
「内閣改造、一体、何がしたいのか」
読売新聞。
「野田内閣改造 日本の再生を託し得る布陣か」
毎日新聞。
「内閣改造 解散の覚悟が伝わらぬ」
日経新聞社説。
「この顔ぶれで危機を打開できるのか」
4分の3が「〇〇か?」と疑問符。
これは、反論の意思表示。
野党各党も当然ながら、
批判非難オンパレード。
「国民の生活が第一」の東祥三幹事長。
「『思い出づくり内閣』だ」
みんなの党の渡辺喜美代表。
「自民党時代によくあった『在庫一掃セール』」
社民党の福島瑞穂党首。
「『君も大臣にしてあげるよ内閣』だ」
共産党の市田忠義書記局長。
「任期中は消費増税をやらないと言ったのにやった。
国民の信を問うべきだ」
たちあがれ日本の平沼赳夫代表。
「年を越すくらいの解散を考えて、
臨時国会でいろいろやりたいということだろう」
いつも言うけれど、
これは不幸だ。
日本国民にとって、
まことに不幸だ。
朝日新聞『オピニオン』で、
哲学者・國分功一郎がインタビューに答える。
「退屈しのぎを超えて」がタイトル。
「日本は特に、政治を
退屈しのぎにしてきた国だと思います」
「消費社会というのは、物ではなくて、
物に付与されたイメージや記号を売るんです」
これは、よくわかる。
「イメージや記号だから、
消費は実感を伴わずに行われ、
満足も得られない」
そんなことはない。
満足を得られる消費も、もちろんある。
「政治もその中に、
巻き込まれていたのでしょう」
政治こそ満足を得られない消費となっていた。
だから國分は「退屈しのぎの消費」と断ずる。
そして昨今の政治と政治家をなで斬り。
「公共事業に頼るかつての自民党型政治も、
構造改革に頼る小泉純一郎型の政治も、
どちらもついえた時点で起こった」
ここで起こったのは民主党への政権交代。
「鳩山由紀夫さんと菅直人さんには一応、
『友愛』『最少不幸社会』という思想の
断片らしきものがありました」
「けれど鳩山さんには現実に対する考察力がなく、
菅さんは仲間を集めて政策を実現するという
政治家の基本がなかった」
言うねえ。
「野田佳彦さんは、官僚とアメリカと電力会社に要求されたことを、
まるで自分の決断であるかのように語るだけの人でした」
そして自民党総裁となったあの人をなで斬る。
「安倍さんがよって立つのは、
思想というよりも具体性を欠いたイメージでしょう。
首相時代に唱えていた『美しい国』の例として、
映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が挙げられたときは
開いた口が塞がりませんでした」
しかしイメージの政治家ということは、
現代消費社会にフィットした人物かもしれない。
あまりに軽すぎるし、無節操だが。
一度、突然、
一国のトップの座を投げ出した人間が、
復帰して再びそれに臨む。
どうしても納得できない。
では、どうすればいいか。
同じく朝日新聞の声の欄。
無職の67歳、辻村一二さんが投稿。
元通産相審議官の天谷直弘さんの「日本町人国家論」を引く。
「今後の日本は勇ましい国を目指すのではなく、
町人国家に徹すればよい」
「我々はいや応なく、
『武士は食わねど高楊枝』への道を
歩かされているように感じる。
本当は町人国家で十分なのに」
無名の辻村さんの投稿に、
感じること多し。
さて昨日の夕方は、
立教大学の17号館マキムホールで、
朝川康誠さんと対談。
朝川さんは㈱USEI代表取締役社長。
立教大学院ビジネスデザイン研究科修了生。
結城ゼミ第3期生。
対談テーマは、
「ナレッジ・マーチャントが未来を拓く」
朝川さんは、昨日、
ハワイから帰国したばかりだったが、
ずいぶん勉強してきて、
ディスカッションは白熱した。
内容は、
1.知識商人とはどんなものか?
2.サービス業における輝く人材とは?
3.何故、アメリカを見るのか?
4.「LCC」は新しいビジネスモデルになり得るか?
5.そしてUSEIという会社のビジョン
私も精一杯、考えて、話した。
4時半から始まって、6時過ぎまで。
USEI財務部長兼総務人事部長の嶋内仁さんが、
同席して、司会をし、議論に参加した。
いい対談だった。
この後、
サービスマーケティングの講義。
全力投球9時45分まで。
今日の講義は第2回目。
目いっぱい商業界の考え方や結城義晴の思想を語る。
第1は、『商売十訓』
一 損得より先きに善悪を考えよう
二 創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三 お客に有利な商いを毎日続けよ
四 愛と真実で適正利潤を確保せよ
五 欠損は社会の為にも不善と悟れ
六 お互いに知恵と力を合せて働け
七 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八 公正で公平な社会的活動を行え
九 文化のために経営を合理化せよ
十 正しく生きる商人に誇りを持て
この謎解きと倉本長治とドラッカーの共通点。
第2は、変化と不変。
①[長期の]戦略
②[時流の]経営戦略
③[週次の]戦術
故渥美俊一先生の教え。
たとえ話は、「駕籠かきの教訓」。
第3はコンシューマーとカスタマー。
不特定のお客さまConsumerと、
特定のお客さまCustomer。
日本語で「一見客と常連客」
そこからマス・カスタマイゼーションの考え方が生まれた。
第4は、ロイヤルカスタマー。
意味は「その店、その企業の商品やサービスに満足し、
繰り返し利用してくれる顧客」
カスタマーロイヤルティの意味や、
ロイヤルカスタマーの7つの効用。
そして第5は、ロイヤルカスタマーへのステップ。
最後に第6として、
「お客様のために いちばん大切なこと」
私の単行本のエッセンス。
これだけで、あっという間に3時間。
ご清聴、心から感謝。
その後、結城ゼミ3期生の佐藤康裕さんと一献。
佐藤さんは朝川さんと同期。
ゼミや講義にOBがやって来て、
手伝ってくれたり、
ピンチヒッターをしてくれたり。
ほんとうにありがたいゼミだ。
物に付与されたイメージや記号を売る消費社会。
退屈しのぎの消費と政治。
國分功一郎の持論。
対して、消費者という不特定多数を相手にする商売でなく、
カスタマイズされたCustomerを対象にすべき現代のビジネス。
消費者発想であっては、
政治も商売もうまくはいかない。
カスタマー発想でなければ。
その意を強くした日だった。
<結城義晴>