結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年10月03日(水曜日)

金子哲雄の訃報とユニクロ1兆円突破/デニーズ大久保恒夫との交流

金子哲雄さんが亡くなった。
享年41。

最近は、テレビやラジオの番組で、
コメンテーターとして名を馳せたが、
流通ジャーナリスト、プライスアナリストを、
自ら標榜していた。

私は㈱商業界在籍中に、
各誌のライターとして、
ずいぶんと取材や原稿執筆をしてもらっていた。

商業界社長を退任した後は、
2008年の5月9日に、偶然にも、
アメリカのラスベガスで開催されたFMIの会場で、
金子夫妻に遭遇。
二人のおしどり夫婦ぶりを、
ほほえましく見ていた。

その後、5月30日には、
千葉県のイオンおゆみのSCで遭遇。
これは共同記者会見の場。

それ以降はテレビ画面のなかの
金子哲雄を見るだけだった。
明石家さんまにいじられても、
「流通ジャーナリスト」の矜持を持っていてほしい、
私はいつも願っていた。

そして金子哲雄はそれを、
一度も失ってはいなかった。

これから物書きとして、
その熱意と行動力、文筆力と観察力・分析力が、
活きてくるときだった。
本当に残念だ。

ゆうちょ銀行の「絆ストーリー」2011年8月14日版に、
エッセイを書いている。
これが、いい。

この時にはもう、肺カルチノイドという奇病が、
自分の身体を侵していることを知っていたはず。
「自分を生きれば生きるほど、
いちばん大事なひとが幸せになる」

あのラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテルでの、
夫唱婦随の姿が忘れられない。

告別式は明後日5日午前10時から、
東京・港区東麻布の心光院。
喪主は金子哲雄を支え続けた愛妻の稚子(わかこ)さん。
連絡先はオフィス・トゥー・ワン。

心からご冥福を祈りたい。
合掌。

さて、日経新聞一面の記事。
「ファーストリテイリング売上高1兆円」

2013年8月期に連結売上高1兆円超の見通し。
これは「アパレルメーカーも含め衣料品関連企業では初めて」。

今年8月期の連結売上高は、
約9300億円。
前年比で約1割のプラス。
今年度の出店計画は、
国内で数十店、海外ではアジアを中心に最大300店。
これで売上高1割のプラスが見込める計画。

だから「1兆円」が視野に入った。
「1号店出店から約30年」での1兆円の大台。

現在、アメリカ、ヨーロッパ、中国など、
海外12カ国・地域で約290店を展開している。

アメリカはもとより、
イギリス、フランス、中国など、
私が訪れた店はいずれも売場レベルは高く、
顧客の入りもよかった。

2012年8月期の海外売上高は、
前年比なんと7割増の約1600億円。
これは全売上高の「2割弱」。

この記事では、世界の衣料品専門店の「5番手」とある。

H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ、スウェーデン)は、
2011年11月期決算が1兆6101億円(SEK12.5円換算)。

一方のインディテックス「ZARA」(スペイン)は、
1兆5075億円(€=109円換算)。
ZARAは売上高伸び率約10%でユニクロと同じくらい。
既存店売上高は4%プラス、
荒利率59.3%、営業利益率18.3%。

次がアメリカのギャップ(Gap)で、
世界年商143億8900万ドル
1ドル80円換算で、1兆1511億円。
これはマイナス2.3%。
店舗数は2436店。

そしてアメリカのリミテッド(Limited Brands)が、
世界年商103億6400万ドル(8291億円)、
マイナス0.8%。
米国内店舗数2623店。

米国の二強は、弱含み。
ヨーロッパの二強は1割増。

ファーストリテイリングは、
ヨーロッパ組と同歩調。

この8月決算でも、
リミテッドを抜いて4番手に位置付けられ、
ギャップを急追している。

私は現在、
世界に通用する日本小売業は、
セブン-イレブンとユニクロだ、と言い切っている。

かつて柳井さんに初めて会った時、
目標は2兆円、そして、
「まだまだです」
会社案内にも、デカデカと表示されていた。

現在の目標は、
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
売上高5兆円。

日経一面記事の「売上高1兆円」は、
その過程に過ぎない。

昭和55年(1980年)の2月16日。
ダイエーが1兆円を超えた。

西宮のステーキレストラン・フォルクスの特別会場で、
中内功さんが万歳をしたその場に、
私はいた。

あのダイエーの「1兆吉兆」の1兆円を、
ファーストリテイリングは、
すいすいと通り越していく。

そのスピード感は、
「世界を変える」のスローガンとビジョンが、
創出させているのだと思う。

さて、昨日は、午後、
商業経営問題研究会(RMLC)。
日本橋の日本スーパーマーケット協会会議室に、
10名が集った。
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アメリカ出張などがあり、
座長の私の参加は久しぶり。

初めに、私から、簡単なアメリカ報告。
映像をみせながら、私なりの問題意識を提示。
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その後、議論。
「ネクストステージ・スーパーマーケット」
杉田幸夫さんからの問題提起をうけて、
2時間ほどディスカッション。
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議論が終って、休憩をとり、
最後は山口紀生さんの報告。
英国のザ・ピープルズ・スーパーマーケット
よく調べて、ガイダンスしていただいた。
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顧客参加型の経営。
日本の生協を進化させ、
さらにストイックにした企業。

今年の立教大学院結城ゼミの武藤麻代さんの研究テーマと、
この店は大いに関連していて、
今後、ずいぶんと注目されるに違いない。

㈱たいらやの村上篤三郎さんとは、
ミドルマネジメント研修会の情報交換。
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終了後、日本橋から馬喰町へ移動。
「そば・うどん處 七福 弁天庵」。
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㈱セブン&アイ・フードシステムズが経営・運営。
打ちたての生蕎麦と揚げたてのかき揚げが、
この店の特長。

店内を入ると右手に大きなカウンター席。
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この厨房で、オーダーが入ってから、
打ち立ての生蕎麦を茹で、
かき揚げを揚げる。

左手は、25席ほどのテーブル席。
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そこで待ち合わせしたのは、
大久保恒夫さん。
もちろん、㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長。
久しぶりの会食だった。
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右は、立教大学結城ゼミOB会長の名古屋文彦さん。

東銀座のハンバーグ専門店の「ぐーばーぐ」、
四谷のフォー専門店「PHO24」に続いて、
大久保恒夫&結城義晴三番勝負。
お店を訪れ、食事しながらの情報交換。

「弁天庵」のコンセプトは、
ちゃんとしたサービスをしながら、
リーズナブルな価格で本格蕎麦を提供する町の蕎麦屋さん。

ビールや日本酒を飲みながら、
卵焼きやなめろう、かき揚げをいただき、
最後はせいろ蕎麦といなり寿司で締める。
池波正太郎の世界を割安で楽しめる。
私、大いに満足。

「店主」の大木まゆみさんと一緒に4人で写真。
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考えてみると、大久保さんとの再会は、
昨年12月の「ふたりのビッグショー」以来だった。

セブン&アイ・フードシステムズは順調で、
不採算店を閉鎖しつつも、
それがほぼ終了し、前向きに進んでいる。
大久保恒夫の経営改革は、
フードサービス業でももちろん活きる。

そんな話を聞きながら、
私はとてもうれしかった。

そう言えば、大久保さんは、
コンサルタントの頃、
ユニクロの改革にも手を貸した。

そんな交流をしてから、
どちらからともいうことなく、
自然にカラオケボックスへ。
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「ふたりのビッグショー」の再現。

大いに飲み、食べ、
そして歌い、語らった晩だった。

<結城義晴>

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