国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会が、
東京で行われている。
48年ぶりの東京開催。
ここで世界経済の成長率を予測。
今年のそれは、3.3%。
7月時点の予想から0.2ポイントダウン。
昨2011年は3.8%、2010年は5.1%だったから、
どんどん下降傾向となっている。
この中で、ユーロ圏は今年、
0.4%のマイナス成長の見込み。
さらに中国をはじめとする新興国も減速。
ただし、あくまでも予想だが、
来年の2013年は、
見通しは下方修正するものの、
「各国経済が緩やかに回復する」との道筋を、
IMFは描く。
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
世界経済にとっても、
このマインドは欠かせない。
さて私は、今日、帰国。
今、ニューヨークは10月9日午前5時。
いつものことだが、
ニューヨークに着いてからの時間は、
ビデオの早回しのようにスピーディ。
これを「走馬灯のよう」と称する。
まさにそのごとし。
昨日は、朝から講義。
私の持論の「フォーマット戦略」と、
「ポジショニング戦略」について語った。
最後にコモディティ化現象と、
プライベートブランド論。
時間は2時間と10分ほどだが、
まだまだ語り足りない。
その後はバスのなかでも、語りっぱなしで埋める。
そして何とか、テキストのほとんどすべてを制覇した。
最後の残りは、空港までのバスのなか。
ご清聴を心から感謝したい。
講義が終わって、最後の視察へ。
イーストリバー・プラザ。
マンハッタン島に出現したパワーセンター。
パワーセンターとは、
ディスカウント・フォーマットだけを集めたショッピングセンター。
1階にはコストコが入っている。
マンハッタン初出店。
米国内年商64億ドル、前年比8.9プラス、店舗数425。
世界年商はなんと891億ドル。
コストコはニューヨーク州、ニュージャージー州では、
マーケットシェア第3位。
第1位はストップ&ショップ、第2位はA&P。
だからマンハッタンの顧客たちは、
コストコの出現に小躍りする感じで買い物している。
コストコは早くもクリスマス商戦を先取りしている。
2階にデンと構えるのが、
ターゲット。
小売業第3位で、年商685億ドル。
伸び率4.1%で、1763店。
ウォルマートの対抗軸を形成し、
マーケット・チャレンジャーの代表格。
こちらはハロウィン・プロモーションに勤しんでいる。
コストコはビジネス会員が3分の1いる。
このビジネス会員はいわゆる業者で、
今からクリスマス商戦を視野に入れて計画する段階。
だからクリスマス・デコレーションを展開する。
ターゲットは一般顧客だけを対象にする。
だから10月31日に向けてハロウィン販促を展開。
この対比が際立っている。
さて、2010年7月のオープンのこの施設。
早くも撤退企業がある。
「キッズタウン」。
子供服の店。
ディスカウントに耐えられなくなったから。
その後のスペースに勇躍乗り込んできたのは、
ハードディスカウンター「アルディ」。
この店がすごい。
ウォルマートをしのぐアルディの低価格。
それがもう、ニューヨーカーに受け入れられている。
100%に近いプライベートブランド。
生鮮食品もこの店では強化されている。
隣のターゲットがスペースの関係で、
食品はほんの申し訳程度の品ぞろえだけに、
アルディの生鮮強化は顧客にとっても、
助け舟となっている。
話題の牛乳と卵。
テキサスでは牛乳1ガロン1ドル89セントだったが、
さすがにマンハッタンでは2ドル69セント。
卵は1ダース99セントと変わらず。
レジのこの状態は、
他のエリアのアルディには見られない。
すなわち、込んでいる。
一方、3階の家電チェーン米国ナンバー1のベストバイ。
2年ほどで、このイーストリバー・プラザから撤退。
看板のロゴマークに布がかぶせられている。
その3階のオールドネイビーは元気いっぱいで大健闘。
ギャップの低価格フォーマット。
4階のオフプライスストア・マーシャルズも、
しぶとく顧客を引っ張っている。
マーシャルズは、TJXのバナーのひとつ。
ディスカウント・フォーマットでありながら、
なおかつ個性ある商売をする。
ディスカウントできないベストバイやキッズタウンは、
早くも撤退。
普通の店の「安売り」や「特売」では、
まったく歯が立たない。
仕組みによって常時、
低価、廉価を提供し続ける。
それがほんとうのディスカウントである。
これがアメリカの競争である。
帰国します。
<結城義晴>