日本の秋は、いいなあ。
心底からそう思う日だ。
横浜の商人舎オフィスへの川沿いの遊歩道。
新田間川の川面も、横浜駅西口のビルも上空も、
いいなあ。
午前中は機関誌の原稿書き。
「応援団長の辛口時評」
今回は、ほんとうに辛口だった。
午後は、来客。
末次賢一(kenichi Suenami)さん。
そして、江藤悦子さん。
末次さんは、イオン㈱アセアン事業最高経営責任者付。
江藤さんは、同じく、
グループ人材育成部人材開発グループマネージャーから、
アセアン事業部へ転任したばかり。
これまた本当に偶然なことに、
私と末次さんは、ピンクのシャツに紺ブレのお揃い。
中年の漫才コンビと、
その辣腕マネージャーのような写真となった。
末次さんとはイオンの広報担当として、
長い長いお付き合い。
その末次さんはいま、
マレーシア事業の中核となって仕事している。
そのご報告といろいろな情報交換。
私はもう、8年になるが、
イオン環境財団の植樹で、
マレーシアを訪れた。
その後、ずいぶん変わったが、
イオンは30カ所の店舗やショッピングセンターを展開していて、
マーケット・シェア第3位をカルフールと争っている。
第1位はデイリーファーム社のジャイアント。
ハイパーマーケット業態。
第2位は、テスコ。
こちらも主にハイパーマーケット。
さらにハイパーマーケットのカルフールと、
イオンは激戦を繰り広げている。
末次さんたちのイオン・マレーシア社は、
そんな中で黒字会社として、
イオンのアセアン事業を牽引している。
私も今年末から来年初、
マレーシアに行きたくなった。
さて今日の日経新聞には、
衝撃的な記事が2本。
第1は一面のイオンの記事。
「イオン、格安PB倍増
食品など600品目、既存品も値下げ」
対象は「トップバリュベストプライス」。
これを「コンペティティブブランド」、
あるいは「ファイターブランド」という。
「競争的ブランド・闘争的ブランド」とでも訳すか。
まあ最安値のプライベートブランド。
同等のナショナルブランド(NB)商品より、
なんと4~6割安い。
記事では「標準的なPB」の『トップバリュ』よりも3割安い」とある。
標準的なブランドは「エコノミックブランド」と呼ぶ。
2014年春までに、このコンペティティブブランドを、
現在の300品目から600品目に拡大。
第1弾は100品目。
例えば、1個58円のカップ麺、
4個パック98円のキッチンペーパーなど。
現在販売中のこのブランドは、
11月にさらに約10品目を1~2割の値下げ。
ウォルマートの「ロールバック」と同じ考え方。
食パンは1割安い78円、
4個パックのヨーグルトは2割安い78円。
13年度には600億円規模の売上げ予定で、
これは2011年度の2倍。
私は昨年末から、
今年のトレンド予測のなかに、
「低価格激化」を挙げた。
消費税増税の影響だ。
大和総研の試算。
「消費増税や子ども手当の削減などにより、
2016年の1世帯平均の実質可処分所得は
11年比で5.1%以上減る」。
まあ、今年の明らかな現象だが、
消費増税関連法案が衆院本会議で可決された6月以降、
イオンや西友、マルエツ、ユニー、バローな各社が、
NBの1000品目からのディスカウントを実行。
対応が遅れたダイエーは上半期営業赤字。
慌てて9月下旬、約1700品目のNBを値下げ。
イオンのコンペティティブブランド増強で、
さらに価格競争は激化する。
プライベートブランドには、4種類ある。
第1が標準的なエコノミックブランド。
第2が高品質を狙うクォリティブランド。
第3が、健康・環境コンセプトのライフスタイルブランド。
そして第4が、コンペティティブブランド。
エコノミックブランドは、
NBと同等の品質ながら、
徹底したトレードオフで、
低価格を実現させる。
コンペティティブブランドは、
NBよりもちょっとだけ、
品質や価値を下げる。
これが意外に、
真空マーケットの場合がある。
すると原材料調達などの面で、
グンと安くなる。
それがコンペティティブブランド。
アメリカのクローガーの「バリュー・ブランド」、
さらにテスコの「バリュー・ブランド」、
HEBの「ヒルカントリーフェア」などなど、
例は多い。
アルディはすべてを、
このコンペティティブブランドだけで、
品揃えしたフォーマット。
今日の日経一面記事は、
「コンペティティブ・ブランド時代」の到来を、
宣言したものだ。
<結城義晴>
[追伸]
日経のもう一つの衝撃的記事は、
明日、紹介・分析の予定。