日経新聞の経済コラム『大機小機』
今日はコラムニスト無垢氏。
タイトルは「日中はEU60年に学べ」
このコラムの発想の発端は、
欧州連合(EU)のノーベル平和賞受賞。
ノーベル賞委員会もすごいことを考える。
まことに時宜を得た選だ。
授賞理由は、
「その60年の歩みが欧州の平和と和解、
民主主義と人権の促進に貢献した」こと。
ユーロ危機は世界経済を揺るがしている。
しかしだからこそ、
「EUの進展が再評価された意味は大きい」
コラムニストはこのEUの在り様を、
東アジアに求める。
「いま日中に求められるのは、
東アジアの平和と繁栄に貢献する大構想である」
EUは2000年前に、
ローマのユリウス・カエサルが、
その大構想をつくった。
「日中は偏狭なナショナリズム(国家主義)を超えて和解し、
世界経済危機を防ぐ共同責任を担っている」
何でもかんでも欧米をお手本にする必要はない。
だがフランスとドイツは、
ひどく仲が悪いにもかかわらず、
その両国がEUを引っ張る。
共通する世界観と歴史観がそれをさせている。
それがヨーロッパ全体の教養であり、
知性だと、私は思う。
平和の前には、偏狭な国家主義は、
しっぽを巻いて去ってゆくに違いない。
日経新聞編集委員・田中陽さんのコラム。
「 自殺者とモヤシに見るニッポン」
私が尊敬する流通の専門家。
日本の経済現況を三つのデータから読み解く。
第1は、自殺者の数。
「1~9月の累計自殺者は2万1115人、
前年同期比で11.6%減」
不思議な現象。
「このままいけば今年の自殺者数は1997年以来、
15年ぶりに3万人を下回る」
社会全体でみれば、素晴らしいことが起こっている。
この現象は、雇用促進が大きな理由となっている。
それは経済環境が好ましい傾向であることを示している。
第2が、モヤシの消費量。
「景気悪化で節約志向が強まると、
支出額が増加するとされる」
それはモヤシが「安価で栄養価が高いため」
そのモヤシの家計調査支出額。
「8月まで3カ月連続で前年同月を下回った。
8月は75円で同11.8%も減少」
みなさんの店ではどうだろうか。
「この金額は景気拡大期だった2007年8月以来の低い水準」
モヤシだけ取ってみれば、
ここから考察する現象も、
好景気への転換をイメージさせる。
第3に、「海外旅行などによる出国者数」。
「1~8月の累計で1252万人で前年同期比15.1%増。
00年の過去最高(1781万人)突破も視野に入る」
小売業は売れないけれど、
顧客は、金を使っている。
これは決して、今に始まった賢い消費ではない。
顧客一人ひとりの消費は、
リアリティに基づいているからこそ、わがままである。
だから個人的な消費を、
一つひとつ見ると矛盾に満ちている。
しかし、全体でみると、
これまでも、これからも、
絶対的に賢い消費である。
合理性に基づいている。
馬鹿な消費をする者など、
ほんの一握りだ。
自分に照らし合わせてみると、
それは明白だ。
だから全体では極めて賢い消費となる。
英語で「smart」という。
今さらそれを、繰り返すまでもない。
その個別の消費と全体の消費を見定めるのが、
マーケッターの仕事となり、
マーケッターは個別のデータと全体のデータを、
見比べながら分析し、判断する。
優れたマーケッターたちは、だから、
感覚だけで、「私はこうだと思う」とは言わない。
根拠なしに、思いつきや、気づきだけで、
「こうだろう」と断言する文言は、
信用できない。
日経・田中さんのコラムは、
好ましい状況を示しておいて、
9月の景気ウオッチャー調査と持ち出す。
旅行者数の減少、
新車販売の減速、
消費税率引き上げ決定。
すなわち景気の先行き不透明感は、
厳然として存在する。
そして田中さんの結論。
「目先は内憂外患のニッポンだが、
長期で見ると明るい数字はある」
オチはこの一文。
「でもそんな『もやしっ子』はいらない」
座布団三枚。
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
明日への希望は、
自らつくることができる。
田中さんのようなコラム。
自らつくる希望につながる。
私のブログも、
そうありたいと毎日書いている。
今日は朝から、西新宿の㈱伊藤園本社へ。
今夏の伊藤園大陳コンテストの審査会。
会場に着いてみると、
予備審査を通った選りすぐりの写真がズラリと並べられている。
応募状況の説明を受けたあと、さっそく、
各賞ごとに厳正な審査が行われる。
大賞を決める段階では、
ディスカッションが展開される。
その風景をカメラマンが撮影。
今回、私の目をひいたのがこれ。
「野菜飲料無人店舗販売」をコーナー化した作品。
こちらの売場はその進化型。
伊藤園の営業マンが仕掛けたのかもしれないが、
セルフの売場で「無人店舗販売」。
いま、受けている。
1時間半ほどの審査を終えて、
入賞作品、大賞、企業賞が決定。
楽しみにしていてください。
ご連絡が届きます。
最後に、いつものように、
掲載誌『食品商業』の誌面のための記念撮影。
「商品の高さを合わせてください」
カメラマンからの指示。
全員が一番右の斎藤昭一専務の手元にあわせる。
このブログでは、審査会スタッフ全員で記念撮影。
前列の若手は、やや、緊張気味か。
最後に、小川安弘さんと二人。
広域CVS営業本部販売促進部部長。
皆さん、お疲れさまでした。
そしていつものように、
江島祥仁副社長の部屋で懇談。
話題は、全国のスーパーマーケットの動向から、
アメリカ流通の話題まで。
この時間が、とても楽しい。
今回は、斎藤専務も同席いただいた。
左は商人舎エグゼクティブプロデューサー松井康彦。
こうしたメーカーの大陳コンテストを通し、
小売業は売り込みに積極的になる。
陳列スキルの向上も大事だが、
その売りの姿勢が、何よりもよろしい。
環境や状況は厳しい。
しかし、長い目で見ると、
自殺者数、モヤシ消費数、海外渡航者数、
いい数値が出ている。
小売業、サービス業の消費活性化努力は、
現下の厳しい状況を打破する力を持つ。
1社ごとの、1店ごとの、一人ひとりの、
ひたむきな仕事ぶりが、
大きな全体の消費傾向を転換させる。
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
小売りサービス業は、その先端に立って、
日本の国を引っ張っている。
東アジアを先導している。
私は、そう信じている。
1社ごとの、1店ごとの、
一人ひとりの、
ひたむきな仕事ぶり。
何より貴重なことだ。
私は、信じている。
<結城義晴>