結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年10月18日(木曜日)

カンブリア宮殿・村上龍「多様化の大波」と全日食躍進チェーン大会

いま、リーガロイヤルホテル大阪の自室。

テレビをつけたら偶然にも、
「カンブリア宮殿」
コープさっぽろ理事長の大見英明さん、
大黒天物産㈱社長の大賀昭司さん、
そして東京・羽村市の㈱福島屋社長・福島由一さん。
それぞれの経営を語る。

最後に、司会の村上龍が、
「多様化という大波」と題して書く。

「スーパーマーケットの歴史は、
中産階級の歴史とシンクロしている」

この認識は、実に正しい。
作家がここまで認識し、把握していることに、
私は敬服してしまう。

「戦後の窮乏期を経て高度成長がはじまり、
やがて日本に、巨大な中流層が誕生した」

中産階級が登場する前に発達する業態は百貨店で、
それにとって代わって主役となるのが、総合スーパー。
食品スーパーマーケットは最後にゆっくりと発達してくる。

だから、「成熟化や多様化」に適しているのが、
この業態である。

食品スーパーマーケットは、
中産階級の登場と、
その成長に従って繁栄し、
中産階級の成熟によって、
企業格差が広がってくる。

「だが、独自の流通を整備し、
大量の商品を安価で提供するという画一的なビジネスモデルは、
格差を伴った多様性の出現によって揺らぎはじめ、
業界は冬の時代を迎えて久しい」

ここはちょっと、違う。

総合スーパー業界が冬の時代を迎えて久しい。
しかし、食品スーパーマーケットは、冬の時代ではない。
商業統計はそれを示している。

村上龍が勘違いをしてのは、なぜか。

彼が日本チェーンストア協会の売上げ推移を、
ベースにしてものを考えているから。

「中流層と、そのライフスタイルが多様化すれば、
当然スーパーマーケットの戦略も多様化を迫られる」

これは妥当だ。

「想像力を巡らせ、顧客に何を届けたいのか、
自ら把握した経営者だけが、
多様化という激しい波が押し寄せる海原で、
進路を決めることができる」
これもよい。

しかし顧客に何を届けるかを、
自ら把握し、進路を決めた後の作業こそ大事だ。

それはポジショニング戦略の最後の詰めとなる。
その詰めが甘いと、利益は出ない。

最後の詰めとは、
ポジショニングを際だたせること。

これを英語で、
「outstanding」という。

さて昨日は、
「全日食躍進チェーン大会」。
厳密な意味でのボランタリーチェーンとして、
日本最高レベルにあり、しかも最大。
その年次大会。
毎年に1回開催される。
20121018143522.jpg
その変わらぬスローガンは、
「和を以って貴しと為す」

今回は、第9次5カ年計画の第5年度目。

会場は、台場のホテルグランパシフィックLE DAIBA。
地下1階のパレロワイヤルには、
1000名を超える参加者が一堂に会する。
左翼に赤い軍団の全日食チェーン加盟店の皆さん。
20121018143456.jpg

右翼から中央に、
メーカーや卸、マスコミなどスーツ姿の参会者。
20121018143503.jpg

そしてこの会の特徴だが、
正面ひな壇の両サイドには、
来賓の方々が数列並ぶ。
20121018143514.jpg
いわば、来賓者と参会者がお見合いの形になる。

来賓の方々にとってはちょっとつらい。
しかし、これが、意外な一体感を醸し出す。

チェーン大会は3部構成。

第1部は、記念講演会。
今回は、川口淳一郎さん。
独立行政法人宇宙航空研究開発機構シニアフェロー、
宇宙科学研究室宇宙飛翔工学研究系教授。
「『はやぶさ』が跳んだ人類初の往復の宇宙旅行、その7年の歩み」
20121018143814.jpg
難しい話かと思ったら、これが意外にも分かりやすい。
小学生の子供たちにも理解できるように、川口さんは話す。
これ、スピーチではとても大事なこと。
ただ、駄洒落がお好きで、
これは座布団を差し上げるほどではない。

第2部がメインの躍進チェーン大会。
大会会長の齋藤充弘さんのあいさつ。
全日本食品㈱代表取締役社長。
20121018143827.jpg
5カ年計画の最終年度を迎え、
「準備は整った。
本部・加盟店が一体となっての実践の徹底こそが
真の価値を生み出す時代に突入する」

このスローガンのもと、
加盟店情報武装化の徹底、
小商圏対応型の小型食品スーパーの展開など、
5つの施策を打ち出した。

来賓祝辞の目玉は、
今年も小泉進次郎衆議院議員。
弁舌さわやか。
20121018143842.jpg

最後は大会宣言。
飯塚晋一さん。
ジュニアボード茨城会議前会長。
20121018143850.jpg
飯塚さんは、東日本大震災で潮来の店を失った。
愛車を売却し、フォークリフトを購入し、
自力で1年後に店を再オープン。
商人としての使命と全日食チェーン同志からの支援。
被災からの復活・再生を誓った力強い宣言だった。

第3部は祝賀会。
設営のための幕間には、
ホワイエで恒例の弦楽四重奏。
20121018143904.jpg

そして新製品の試食会。
20121018143856.jpg

そして祝賀会。
田中彰さんも、急きょごあいさつ。
全日食チェーン商業協同組合連合会会長。
20121018143915.jpg
赤いブレザーが誰よりもよく似合う。

乾杯の前に、功労者の方々のご紹介。
20121018143924.jpg

全日食チェーンを支えてくれたメーカー、卸売業、
行政、団体の会長や相談役、顧問の皆さんが勢ぞろい。
20121018143932.jpg
その大先輩たちを前に、
乾杯の音頭をとったのは加藤和弥さん。
加藤産業㈱社長。

1人壇上で、先輩たちを前に、
本当にやりづらそうだった。

そして後は、懇親につぐ懇親。
写真で紹介しよう。

まずは、乾杯の音頭の加藤さん。
ご苦労さまでした。
20121018144010.jpg

㈱不二家社長の櫻井康文さん。
20121018143946.jpg
私のブログの愛読者だそうで、
心から感謝。

㈱エコス会長の平富郎さんと、
日本卸売協会理事長の宮下正房さん。
20121018144004.jpg

三菱食品㈱の皆さん。
左から中野勘治会長、廣田正特別顧問、中嶋隆夫専務。
20121018144047.jpg

第一屋製パン㈱社長の細貝理栄さん。
20121018144018.jpg

国分㈱会長兼社長の國分勘兵衛さん。
右はコーネル・ジャパン3期生の千木良治さん。
関東支社第一営業部長。
20121018144025.jpg
國分さんには、アメリカのA&Pが始まった当時、
国分が商品を提供していたのではないかという仮説を話した。

㈱明治屋の磯野計一さん。
取締役相談役。
20121018144102.jpg

中締めはキリンビバレッジ㈱社長の首藤由憲さん。
万歳三唱で締めた。
20121018144111.jpg

その首藤さんを囲み、
齋藤さん、中嶋さんと。
20121018144040.jpg

最後の最後は、田中彰さん。
皆さんに囲まれている田中さんだから、
一番最後にごあいさつすることにしている。
20121018144119.jpg
会場照明を落としていると、
赤いブレザーはひときわ朱色に染まる。

その代り皆さんの顔も、私の顔も、
黄色や朱色に染まってしまう。
ご勘弁を。

全日食チェーンは、
食品スーパーマーケットのボランタリーチェーンだ。

「多様化の大波」が押し寄せる今、
中小の地域商業が「和の経営」を目指す。

これだけでポジショニングは明確だ。
そのポジショニングをいかに際だたせるか。

齋藤充弘さんの「準備は整った」は、
詰めのアウトスタンディングをするだけだ、
という意思表明である。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.