内陸のダラスを後に、
ベイエリアのサンフランシスコへ。
今、ウェスティン・ホテル。
ワールドシリーズのデトロイト・タイガースの大リーガーが同宿。
やたらに混んでいる。
昨日はテキサス州フォートワース地区を中心に、
「とんがった店」ばかり巡った。
まずはHEBの広大な駐車場で、
みんなで写真。
アメリカにも慣れてきて、
知識欲と好奇心は盛り上がって、
みんな元気。
それがうれしい。
さてHEB。
ローカルスーパーマーケットの希望の星。
アメリカだけでなく日本でも、
世界中でも。
インディペンデント・カンパニーにして、
ファミリー企業。
年商180億ドル。
1ドル80円換算でも、1兆4400億円。
全米スーパーマーケット専業企業ランキングでは、
①クローガー
②セーフウェイ
③パブリックス
④アホールドUSA
⑤デレーズ・アメリカ
その次の第6位。
アホールドとデレーズが、
オランダとベルギーの資本だから、
国産スーパーマーケット企業では、
第4位。
しかもテキサス州のサンアントニオとオースチンで、
それぞれ50%以上のシェアを確保し、
ヒューストンで15%にまで上昇し、
いよいよこのダラス・フォートワース地区に登場。
ウォルマート、クローガー、物ともせず。
そのHEBの「一丁目一番地」。
最も重要な売り場。
この時期、リンゴが一番大事。
1ポンド(454グラム)98セント。
一丁目二番地には、
ハロウィンと花。
最も得意の青果部門。
そして価格比較パネル。
なんと牛乳1ガロン98セント。
腰を抜かした。
1ガロンは3.8リットル。
だから80円換算で1リットル20円。
ダラス・フォートワース地区で何かが起こっている。
おそらく「ウォルマート復活」がその理由。
HEBのここまでやるかという意思が、
ひしひしと感じられる。
インディペンデントカンパニーだからこそ、
機敏に展開できる作戦だ。
そのHEBのアップグレード・フォーマット。
セントラルマーケット。
一丁目一番地は、
ヒゲのおじいさんが試食を勧めるリンゴ。
このおじいさん、クリスマス商戦では、
きっとサンタクロースになるんだろう。
そんなことを想像させられる。
一丁目二番地は、ぶどう。
いい導入。
全米最大のスーパーマーケット企業クローガー。
そのシグニチャー・タイプ。
地域のお客様の要望を受け入れて、
地域から「サイン」してもらってつくる店。
それがシグニチャー。
エントランスでハロウィン・プロモーション。
左サイドは、乳癌キャンペーンのピンクリボン運動の提案。
そして入り口を入ると、
一丁目一番地にピンクリボンの花。
クローガーは例外なく、
花でお客を迎えてくれる。
それがこの企業の特徴のひとつ。
それからオーガニックの両雄。
まずトレーダー・ジョー。
テキサス州第1号店。
それがフォートワースにオープン。
壁にそのことが示されている。
そしてトレーダー・ジョーの一丁目一番地は、
いつもいつも花とバナナ。
良く売れているし、
そのホスピタリティは、
アウトスタンディングなポジショニングを築いている。
最後にホールフーズ。
年商101億ドルを超え、
絶好調。
しかしこのホールフーズも、
エブリデー・ロープライスの実験。
HEBといい、ホールフーズといい、
何かがまた、動いている。
今年の10月31日のハロウィンから、
11月第4木曜日からのサンクスギビング商戦、
そして12月24日までのクリスマス商戦で、
大きくマーケットでのポジショニングが変動する。
いや、もう一段、振り落とされる企業が出てくる。
そんな予感がする。
だからHEBもホールフーズも、
必死の形相で、自分らしさを出しつつ、
価格攻勢を強める。
ホールフーズも当然ながら、
ハロウィン・デコレーションで、
私たちを出迎えてくれる。
まず青果部門が一丁目一番地であることは、
間違いない。
すばらしいANDIスコアの売り場。
花の島陳列は一丁目二番地。
そしてこの店は、床のペインティングを、
積極的に活用している。
これなど芸術的な売り場。
今年の秋から冬の商戦で、
何かが起こる。
そこに向けて、
自分らしさを究極まで追求する。
それがダラス・フォートワースの、
激戦地区の姿だ。
〈つづきます〉
<結城義晴>