アメリカも日本も11月3日。
アメリカ・ニューヨーク市一帯は、
巨大ハリケーン「サンディ」の被害に遭った。
日本は文化の日。
しかし土曜日と重なった。
サンディの被害は広範だった。
小売店舗にも被害を及ぼした。
ウォルマートは直撃後は267店舗を閉鎖、
しかし1日で190店近くが回復。
小型店展開のウォルグリーンは、
最大750店舗閉鎖。
しかしこちらも1日で、200店以上を復活させた。
ウォルマートは2005年のカトリーナ来襲時に大活躍し、
その後、対策マニュアルも充実して、
「グローバル・エマージェンシー・マネジメント」セクション中心に、
今回も素早い対応だった。
私たちは今日、
ワシントンDCから鉄道で、
そのニューヨークに向かう。
昨日のワシントンDC滞在2日目は、
忙しかったし、サプライズの出会いもあった。
朝8時に専用バスに乗り込み、
ワシントンDC郊外のフェアファックスへ。
一昨日は東側、昨日は西側のエリアを視察。
ポトマック川には秋の日差し。
フェアファックスまでの道中小一時間は、
もちろん車中講義。
そして見えてきましたウェグマンズ。
私が重要だと考える企業には、3回は訪れる。
ウェグマンズ2店目の訪問。
地下の6400平方フィート(180坪)の酒売り場で話を聞く。
応じてくれたのはアート店長。
ワインは国別、品種別、価格別などの分類ごとに、
工夫のある提案。
ショップ入口にはお勧めの10ドル以下のワインのボリューム陳列。
朝からの対応に感謝。
インタビューへの感謝の意から、
皆、1本2本と次々にワインを購入。
フードサービス部門は昼食需要に合わせ、
料理の仕込みや陳列で忙しく立ち働いている。
インストアベーカリー売り場で作業する二人。
チーズとクリームをのせたパン種を、
一気にロールしていく。
お客の前で調理作業を行って目で楽しませる。
エンターテインメントそのもの。
酒売り場と連動したワイン販促が売り場の随所にある。
店舗入り口では6ドルワインの提案。
奥主通路のデリ売り場のそばでは、
10ドル以下ワイン、20ドル以下ワインの大量陳列。
ウェグマンズでは食べる楽しさ、食べ物の美しさを、
商品で、メニューで、情報で、
そして体験させることでお客に訴えている。
これはチーズのカッティング試食を告知するディスプレイ。
11月3日11時に実施と告知するパネルボード。
美しい書体で書かれている。
さてニューヨーク州に本拠を置くウェグマンズの出店を、
迎え撃つのがハリスティーターとジャイアントフーズ。
先に向かったのは、ハリスティーター。
いわゆるアップスケール型を志向するスーパーマーケット。
年商48億2600万ドル、204店舗。
全米チェーンストアランキング80位。
スーパーマーケットでは、
66位にウェグマンズ、
75位にセイブマート、
78位にウィンコ・フーズ、
そして82位の分解されたアルバートソンが位置する。
ハリスティーターもなかなかの企業。
売り場はショップ形式で構成されている。
各売り場にはデザインの異なる屋根や欄間を設けて、
独立した専門店の集合体に見せている。
入り口すぐに専門店のような花売り場。
「ファーマーズマーケット」と呼ぶ青果売り場。
デリやミート部門は対面式。
アーチ形に凝った天井の下ではビールなどの酒を展開。
視察中にサプライズ。
ハリスティーターの会長兼CEOのフレッド・モーガントール氏が、
部下を数人引き連れて臨店。
すかさず浅野秀二さんがあいさつ代わりのインタビュー。
そして記念写真。私の隣がフレッド氏。
さらにジャイアントフーズ。
オランダ・アホールドグループ傘下のアホールドUSAが運営する。
東海岸中部3州とワシントンDCでドミナントを図る。
ローコスト型のスーパーマーケット。
入り口を入ってすぐの壁面にキャンベルスープのディスプレイ。
店づくりはコンベンショナル型の典型。
そのリニューアルしたばかりの店舗。
価格訴求で固定客を持つ。
改装直後で、設備は真新しいし、
床はピカピカ。
ジャイアントフードはこの地元エリアで
最も高い市場シェア率、32.0%を誇る。
処方箋薬局にはしっかりとお客がついている。
それにしても、店内にスタッフの数が多いし、
売り場が整然としている。
こちらもCEOでも来るのかと思いきや、
ライバルのフレッド・モーガントール氏の臨店情報が伝わっていた。
アメリカでもトップの店回りは大騒ぎとなる。
競合企業までも巻き込んで。
そしてウォルマート・スーパーセンター。
ウォルマートはCEOの店舗訪問でも、
ひっそりと単独行。
大騒ぎはしない。
私、かつて静岡の沼津店で、
第3代目CEOのリー・スコットに出会った。
通訳を一人だけ連れて、
突然の訪問だった。
そのウォルマートの改装したばかりのスーパーセンター。
なぜかロゴの花びらのマークが小さい。
入ってみて驚いた。
売り場のいたるところで、
意欲的な実験がなされていたのだ。
ノンフードの売り場はアクションアレイ・スタイル。
陳列線が通路側を向いている。
コーナー化した売り場。
生地のカッティング販売の売り場は大きなスペースがとられていた。
お客の相談にアドバイスしながら対面で販売する。
食品売り場もさまざまな仕掛けが施されている。
生鮮食品の動線にアクションアレーを増やしたり、
斜めにオープン平ケースをセットしたり。
実験をしておいて、
データをとりつつ、
改善を試みる。
成功したら水平展開をする。
私は何よりもウォルマートの意欲を感じた。
「完全復活」は結果の数値がよくなることではない。
イノベーションの気運が、
社内に盛り上がることなのだ。
この店、しばらくは定点観測が必要だ。
次にウォルマートのそばのウェグマンズへ。
3店目の視察。
私は野菜中心のデリメニューとスープでランチ。
フードサービス部門では、ターキーの試食販売のデモ。
早くも、感謝祭に向けて、
メニュー提案をしている。
さらにカフェへの階段には、
「ファミリー・ムービー・ナイト」のお知らせ。
ウェグマンズカフェで映画を見ながら、
食事をしてもらおうという販促。
地元密着の企画だ。
そんなことに感心しつつ晩秋の空を見上げる。
風が出るとやはり冷える。
ダラスの28度が懐かしい。
郊外エリアの視察を終え、
ダウンタウンに戻る。
まずはトレーダー・ジョー。
入り口にはジョージ・ワシントンの、
ハワイアンスタイルのイラスト。
店内はごらんのように大人気。
レジには長蛇の列。
奥主通路までお客が並ぶ。
まだまだ並ぶ。
一列に並ばせて長蛇の列になっても、
お客は文句ひとつ言わないし、帰らない。
記念に店頭で写真撮影。
そしてワシントン最後の視察店ホールフーズ。
店のそばで消防車が集まって大渋滞。
何やら、不穏な雰囲気。
それでも店は相変わらず大繁盛。
店内ツアーをしてもらう。
多層階店舗に必ず設置されているエスカレーター。
カートは右のレーン、
お客はエスカレーターで上がる。
これ、ダラスのウォルマートでも採用していた。
スーパーセンターとサムズの2層店舗で、
1階と上階をつなぐエスカレーターが同じもの。
多層階店舗のカートショッピングを便利にする設備。
われわれは普通に地上階へ上がる。
そしてキャロリン・ジェシカさんとツーショット。
ついでに参加者を代表し、独身の安島英城くんも。
ワシントンDCの店舗視察も無事終了。
せっかくワシントンDCに来て、
何も見ないのはもったいない。
リンカーン記念館に行ってみようと、
バスに乗車した途端に、エンジントラブル。
全く回復の見込みなし。
代わりのバスが来るのを待っていたら、
時間が間に合わない。
そこで歩いて向かうことにした。
これが疲れた体にはいい刺激になった。
街並みを眺めながらの散策は、意外に好評。
見えてきました、
パルテノン神殿のような、
白亜のリンカーン記念館。
お決まりの階段での全員記念写真。
団長の重田博さんと写真。
㈱ユニバース取締役商品部長。
代車がやってきた。
昨日の派手なバス。
その車窓から見たメモリアルタワー。
晩秋の空、雲、木々。
ワシントンDCは美しい街だ。
そしてホテルに戻ると早速、
第3回セミナー。
コモディティとノンコモディティの商品戦略、
企業のマーチャンダイジング戦略、
PB商品の整理と開発の課題などなど、
商品問題を中心に2時間。
途中、滑舌があやしくなったり、
笑いが抑えられなくなったり、
少々疲労によるハイテンション。
今日は、バストラブルもあったが、
参加者の皆のおかげで、
無事に一日を終了。
今日も充実していた。
11月の商人舎標語。
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
<結城義晴>