昨日のブログで書いた。
イオンも必ず、
このセブン&アイへの対抗策を、
打ち出してくるに違いない。
そうしたら今朝の日経新聞の一面記事。
「イオン、100円の第三のビール
製造はサッポロ」
350ミリリットル税込み100円の第三のビール。
サッポロビールの製造、
イオンの専売商品。
新商品名は「サッポロ みがき麦」
従来のメーカー品より約1割安い。
年間4000万本の販売計画。
「セブンプレミアム 100%MALT」は、
サッポロビールが製造する通常の缶ビールで、
350ミリリットル198円、
500ミリリットル258円。
国内メーカーの通常ビールに関して、
PB受諾は初めてのこと。
こちらの方がインパクトは強いが、
セブン&アイが仕掛けたら、
イオンも応じる。
イオンが取り組めば、
セブンが追随する。
この関係はしばらく続きそうだ。
さて、毎日新聞の巻頭コラム『余禄』。
このところ私が引用する頻度が高い。
「インフレは歯磨きペーストのようなものだ」
元ドイツ連邦銀行総裁カール・オットー・ペールの言葉。
そのココロは、
「チューブを絞ればすぐ出てくるが
元に戻すのはとても難しい」
ペール総裁と対峙していたヘルムート・コール首相。
「政治家として連銀の金融政策を好ましく思ったことはあまりない。
だが、一市民としての自分は連銀の存在を喜ばしく思う」
コラムニストは言う。
「政治家と中央銀行の関係を示す至言だ」
ポール・クルーグマンらが説く「インフレ・ターゲット論」。
ペーストをしっかりコントロールして、
すこしずつチューブから出すのが、
最大のポイント。
さらに中央銀行は政府に対して、
インディペンデントな存在でなければいけない。
さて昨日は、名古屋。
㈱折兼主催のフードくるむセミナー。
「白熱教室」での講演。
場所は、名古屋駅前のミッドランドスクエア。
トヨタが所有する高層ビル。
その5階のミッドランドホールが会場。
開始時刻10時前には、
続々と参加者がやってきた。
折兼は中部エリアを地盤にする包装資材の総合商社。
この日は、取引先のスーパーマーケット、フードサービスなど、
取引先関係者250名が参集し、会場は満席。
はじめに折兼社長の伊藤崇雄さんが、近況報告。
折兼は、近年、支援体制を強化。
PB商品開発をはじめ、
ipadを使ったオーダーシステムの構築、
物流の効率化などが、
伊藤社長の下で、進められている。
そうした報告の後で、私の講演がスタート。
テーマは「お客様のためにいちばん大切なこと」
はじめに、秋のアメリカ視察で気づいたことの報告。
ウォルマートの「早仕掛け、早仕舞い」を紹介しつつ、
年末年始の取り組みは、
今週末の3連休が大事であることを強調した。
そして本題。
まず、皆さんに問いかけた。
お客様のためにいちばん大切なこととは何か?
一人ひとりが頭のなかでイメージしてほしい。
ハーバード大学マイケル・サンデル教授の白熱教室。
ちょっとそれを意識してみた。
そして、顧客とは何か、
ロイヤルカスタマーの効能と維持、
CS(顧客満足)とES(従業員満足)の合致などを語った。
もちろん最近、欠かさず紹介していることにも触れた。
スチュー・レオナードとイータリーの、
「アワー・ポリシー」の差異。
この差異こそが、「お客様のために大切なこと」。
これでなければいけないということはない。
最後は、中越地震後の往復メールを紹介。
十日町市在住の松村ひろみさんと私の交換書簡。
そして、感謝、元気、人間力経営。
最後の最後は、
「お客様のために一番大切なこと」は何か。
冒頭で約束した私なりの「意外な回答」を提示した。
理解し、納得していただけただろうか。
90分間のご清聴に、心から感謝。
講演が終わると、
すぐにやってきて質問してくれたのが、
杉浦大西洋さん。
豊橋の一期家一笑の名物バイヤー。
毎月欠かさず、
ユニークで温かい手作りの販促カレンダーを、
商人舎宛に送ってきてくれる。
勉強熱心な優秀な青年。
商人舎ファミリーの一人だ。
杉浦さんもほぼ毎日、ブログを書いている。
商人舎ホームページの、
「なんでもリンク集・知識商人の輪」にも、
一番新しいボタンでリンクさせてもらっている。
タイトルは「一期家一笑 ヒロシのブログ」。
私の講演の「アワー・ポリシー」について、
考え方を披露してくれた。
㈱デライト社長の白井正樹さんとも久しぶりに懇親。
商人舎第5回USA研修会の団長を務めてもらった。
この日午前中に、京都の㈱マツモトの松本隆文社長一行が、
デライトの新店視察に訪れたらしい。
松本さんも白井さんも、本当に勉強熱心。
しかも、両社ともに業績がいい。
講演後に伊藤社長と記念撮影。
控室に戻って、モニターを見ていると、
最後まで会場に残って、
熱心にアンケートに記入している女性がいた。
どんなことを感じて、
何を書いてくれたのだろう。
講演会を終えるといつも、
充実感とともにそんな気分が湧き上がる。
講演の感想と言えば、
ウォルナットこと森川祐紀生さんから、
すぐにメールをいただいた。
森川さんは、
「胡桃の三流句」というブログを書いていて、
昨日の欄には早速、
「結城さんから元気を!」と題して紹介してくれた。
こちらも商人舎「知識商人の輪」に、
リンクさせてもらっている。
森川さんからのメール。
「結城さま
ボクは、スチュー・レオナードのほうですね」
あなたは、
スチュー・レオナード派か、
イータリー派か。
私が講義の際、
参加者に投げかけた言葉に対する森川さんの答え。
スチュー・レオナードの「Our Policy」。
Rule1 The Customer is Always Right!
原則1 顧客はいつも正しい。
Rule2 If the Customer is Ever Wrong, Reread Rule1.
原則2 たとえ、顧客が間違っていると思っても、原則1を読み返せ。
一方、イータリーの「Our Policy」。
1 The customer is not always right
顧客はいつも正しいわけではない。
2 Eataly is not always right
イータリーもいつも正しいわけではない。
3 Through our differences, we create harmony
顧客とイータリーの差異が調和を創り出す。
森川さんはスチュー派。
「久しぶりに結城さんの講演を聞かせて頂き、
元気をもらいましたよぉ~!
お声を掛けることができなくて、
申し訳ありませんでした。
『売る』店作り・商品でなく、
『売れる』店作り・商品を目指していかなければと思っておりますが、
やっぱ結城さんの言う、人間力経営が、
日に日に重要度を上げてきていますね。
ちょっと気になったことを言ってもいいですか?
人間力経営のところなんですが、
『心の力』を3番目に持って行ってはどうでしょうか?
能力があって、努力があって、
頭の力と技の力が高得点であっても、
キチンとした姿勢をお客様からお墨付きをもらえなければ、、、
と書きながら、まずは心がなければ、と思い悩んでますけど、、、
それと、『武装』という表現もちょっとだけ気になるかなぁ~
結城さんのご活躍とご健康を祈ってます」
私はすぐに答えた。
「森川さん
会いたかったです。
声かけてほしかった。
スチュー派。
いいですね。
王道です。
心の力。
やはり一番だと思います。
東日本大震災で、店も家も、
全部流されてしまった気仙沼の、
熊谷電気㈱の熊谷光良さん。
『建物も商品もみんな流されてしまいました。
しかしお陰様で、家族も社員も全員無事でした。
多くのものをなくしたけれど、
商売で大切なものはひとつも失っていない』
やはり心の力は、一番初めに必要だと思います。
頭の力、技の力は、
テクノクラートやスペシャリストを雇用したり、
パートナーになってもらったり、
場合によっては他力を活用できます。
理念武装、理論武装、技術武装。
『武装』は森川さんの言う通りかもしれません。
これはびっくりドンキー社長だった故庄司昭夫さんの概念です。
それが偶然にも私の心の力、頭の力、技の力と一緒だったので、
ずっと使っています。
庄司さんは、
商業界で理念武装し、
ペガサスクラブで理論武装し、
ペリカンクラブで技術武装した、
そう語っていました。
成長志向の経営者ならば、
『武装』と言ってもいいかもしれません。
御助言ありがとうござます」
私は「人間力経営」は、
三つの力によって成り立っていると考える。
1.心の力<理念武装>
2.頭の力<理論武装>
3.技の力<技術武装>
そして「人間力経営」とは、
三つの力の「掛け算の積」である。
森川さんの指摘は、
心の力を3番目にもって来てはどうか、とういうもの。
それと「武装」という言葉のニュアンスについて。
私の解は、メールの通り。
しかしこういった対話や対論が、
とても必要なこと。
森川さんに感謝したい。
さて講演の後は、
折兼の伊藤進康会長と伊藤社長、
そして午後の講演を担当する岩田松雄さんと、
昼食をご一緒した。
岩田松雄さんはスターバックスジャパンの元CEO。
現在は、リーダーシップ コンサルティング代表で、
執筆、講演で大活躍中。
岩田さんもほぼ毎日更新のブロガー。
「岩田松雄’s Official Message Blog」
来年1月9日に東北シジシーの新春講演会でもご一緒する。
今から、楽しみだ。
そして今回の「白熱教室」を担当してくれたのが、
秋田豊晴さん。
㈱折兼営業企画グループマネジャー。
秋田さんは、今秋の商人舎USA視察研修会specialコースに、
参加してくれた。
お世話になりました。
ミッドランドスクエア正面に飾られたクリスマスツリー。
最近、クリスマスツリーとのツーショットが多いような気がするが、
それでも力いっぱい講演して、
自分で講演しながら、元気と勇気が湧いてきた。
心から感謝。
<結城義晴>