ユニクロは勤労感謝の日から、
創業感謝祭を展開している。
11月23日(金)から26日(月)まで。
アメリカのブラック・フライデーから、
サイバー・マンデーに重なる。
それも初日の23日は、
午前6時オープン。
これもウォルマートなど、
アメリカのチェーンストアと重なる。
だからあちらの顧客は、
夜中から店頭に行列する。
ユニクロでは、恒例のことだが、
各店の先着100名の顧客には、
あんパンとお茶をプレゼント。
これ「感謝祭名物」。
創業者・柳井正さんの意思が込められている。
「初心忘るべからず」。
期間中は、200アイテム以上が特売される。
もちろん「オンラインストア」と完全連動。
あんパンとお茶以外は。
私が今年、提唱している米国サンクスギビングデーの応用。
勤労感謝の日に創業感謝祭をひっかけて、
クリスマス・歳末商戦の前哨戦で圧勝する。
するとこれからの1カ月間、
マーケットをリードすることができる。
このユニクロの創業感謝祭、
2010年には、11月20日(土)から23日(月)の4日間。
初日20日は朝6時から開店し、
ユニクロ史上初めて100億円を超え、
約101億5368万円。
1日売上高過去最高。
この時点で、ユニクロの1日平均売上高16億円、
創業感謝祭初日は6倍強の売上げだった。
昨2011年は11月19日(土)から21日(月)の3日間。
今年は23日金曜が「勤労感謝の日」で、
土曜・日曜・月曜と続く絶好の日程。
10月の日本チェーンストア協会の衣料品売上げが、
前年同月比マイナス8%という現在、
ユニクロ創業感謝祭は過去最高を記録するのか。
しかしそんな単日の売上高記録が問題なのではない。
これから1カ月の年末商戦をリードする取り組みを、
勤労感謝の日の朝6時からスタートさせた。
それも恒例の創業感謝祭として。
この視点の鋭さには、
感服するしかないが、
その創業感謝祭の中身は、
スーパーマーケットの「日替わり特売」そのもの。
柳井さんは私の盟友・佐藤勝人の本にも目を通しているというが、
スーパーマーケットの販促を研究していることは確か。
ニトリの似鳥昭雄さんも、
社内アメリカ視察ツアーでは、
主にスーパーマーケットを訪問するという。
他業態からも貪欲に学ぶ姿勢は、
ファーストリテイリング、ニトリに共通している。
さて、吉野家が新フォーマット出店を始めた。
バナーは「築地吉野家 極(きわみ)」
コンセプトは「250円牛丼店」。
日経新聞一面記事。
メニューは限定2SKU。
リミテッド・アソートメントストア。
牛丼並盛り250円と大盛り400円。
通常の店では並盛380円、大盛り480円。
牛肉・ごはんの量、味付けはレギュラー店と同等。
だから極は吉野家よりも、
並盛りで130円、大盛りで80円安い。
ゼンショーの「すき家」、
松屋フーズの「松屋」は280円。
この2社よりも30円安い。
吉野家も一時的な特売で、
250円の売価を出したことがある。
しかしそれを定番にするのは、
1990年の上場後初の試み。
私が提唱するフォーマットの時代がやって来ていて、
吉野家が牛丼においても、
「マルチ・フォーマット戦略」に踏み切ったことを示した。
ローコスト経営のために、
出店費用は4割ダウン。
床はコンクリート打ちっ放し、
従来フォーマットでは出せない狭小物件への出店、
競合激戦地域への出店など、
マルチ・フォーマット戦略の根幹「高占拠率」を志向する。
目標は3年で100店。
ローコスト店舗、ローコスト・オペレーション、
リミテッド・アソートメントの超ディスカウント。
これもドイツのアルディやリドルと同じ考え方。
フードサービスにも、
小売チェーンストアの考え方は、
有効だと見る。
10月開店の東京都板橋区と江戸川区の実験店が、
鍵を握る。
さて今日の私は、
朝から東京・池袋の立教大学。
校門の上には、
「Merry Christmas」のボード。
大学院独立研究科の進学相談会も開催される。
キャンパス・ツアーの受け付けも。
そしてセミナーのお知らせ。
「3・11を超えて」
本館の前庭の木々も色づいてきた。
名物の銀杏の木は、
金色に変わった。
立教キャンパスは美しい。
マキム・ホール5階、
私の研究室に上がる。
そして10時から結城ゼミ。
ゼミ生全員が、
修士論文と調査研究レポートに
打ち込んでいる。
その研究も佳境に入ってきた。
私は、インタビューやヒアリング、
店頭実験やアンケート調査の経過を聞く。
そしてアドバイスする。
専門書を読んだり、
先行研究の論文や雑誌を検索したり、
資料を探索したりといった研究もいいが、
現場での調査や取材、実験ほど面白いものはない。
その面白さを堪能し、満喫して、
おおきな、しっかりとした成果をあげてほしいものだ。
特に今週は、ゼミ生の武藤麻代さんが、
大阪・枚方市の「いいねいいね!ドットコム」を訪れた。
武藤さんは「能動的消費者とコミュニティ」を研究している。
いいねいいねドットコムの皆さんの活動は、
まさにそのケーススタディとしてうってつけ。
衣笠真佐美さん、戸田祐子さんには、
特にお世話になった。
指導教授としてお礼申し上げたい。
衣笠さんも戸田さんも、そして武藤さんも、
良い週末を。
私は明日も立教キャンパス。
立教ビジネスデザインフォーラム2012に参加する。
私も立教で、いい週末を過ごしたい。
<結城義晴>