Everybody! Merry Christmas!
[2012vol52]
2012年もとうとう最後の第52週。
あと一息。
今週水曜日の12月26日には、
特別国会が召集される。
自民党の安倍晋三総裁が首相に指名され、
その後、すぐに組閣。
この特別国会の会期は28日までの3日間。
日本の2012年も大詰めとなる。
今日明日の「クリスマス商戦」も、
その後の「歳末際の商戦」も、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」
今月の商人舎標語。
「際の勝負」は目いっぱい。
命尽きるまで。
今年1年を通して商人舎標語は、
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
ちなみに、故森繁久彌は言った。
「目覚めて今日を燃やし、
幕が下りて今日を終る。
これが役者のなりわいだ」
役者も商人と同じ。
舞台や映画も店舗と同じ。
クリスマス商戦は早仕舞いして、
次を考え、次の早仕掛けに入る。
もう、ここまで来たら、
バタバタせずに、堂々と、
お客様がニコニコする店、
働く仲間がニコニコする店。
それが「おもしろい現場」になる。
さて今日はクリスマスイブ。
クリスマスはイエス・キリストが降臨した日で、
「Christ(キリスト)のmass(ミサ)」の意。
さらにイブはeveningのeve。
つまりはクリスマスの前の晩のこと。
私はキリスト者ではないけれど、
中学・高校と横浜の聖光学院に通った。
そこで「カトリック研究会」というサークルに入って、
『ルカの福音書』から読み始めた。
通称「カト研」。
だからというわけではないけれど、
特にイエス・キリストには興味があった。
一般に出版されていて、
ホテルの机の中などにある『聖書』を紐解いてもいい。
しかし、よくできた書物を味わってみると、
その意味の理解が進む。
まず犬養道子の『新約聖書物語』(新潮社)がいい。
ウォルター・ワンゲリンの『小説聖書』(徳間書店)も読みやすい。
仲村明子の翻訳も的確だ。
三田誠広の『地に火を放つ者』(トレヴィル)は、
ドラマティックなストーリーで実に面白い。
先月読んでいた『小説イエスの復活』(NHK出版)は、
エリック・エマニュエル・シュミット著で、
人間イェシュアの物語を、
ローマ総督のピラトが語るという仕立てがユニーク。
つまりはイエス・キリストを、
小説として読み、考えるのが、
私の趣向。
邪道かもしれないけれど、
クリスマスやイブについて、
ただ単純に楽しんだり、仕事したりするよりも、
いいと思っている。
『聖書をめぐる九の冒険』(ネスコ)のなかで、
編著者の小山宙丸が書いている。
「キリスト教は奇跡の宗教といわれることがある。
それは聖書にはたくさんの奇跡物語が出てくるからである。
多くの日本人が、あるいは現代人が、
これにつまづくといわれている」
「つまり多くの人がこれによって
キリスト教にはついていけない、と考える。
しかし約2000年前の古い文書である聖書において、
わからないことはわからない
としておいてよいと思う」
「ただ、聖書の中の、時代を越えて通用する、
力ある言葉を味わってほしい。
そしてキリスト教の中心の教えであるキリストの復活について、
それが何を言おうとしているかについては
理解してほしいと思う」
小山宙丸は早稲田大学総長を務めた哲学者。
この力ある言葉を、ひとつ引用している。
『マタイの福音書』の「山上の垂訓」と言われるもの。
「あなたがたも聞いているとおり、
『目には目を、歯には歯を』と命じられている。
しかし、わたしは言っておく。
悪人に手向かってはいけない。
誰かがあなたの右の頬を打つなら、
左の頬をも向けなさい。
あなたを訴えて下着を取ろうとするものには、
上着をも取らせなさい」
私も『お客様のためにいちばん大切なこと』のなかで、
『マタイの福音書』を使っている。
中経出版発行。
ジェームズ・キャッシュ・ペニーの物語。
「ジェームズは、牧師であり、農夫であった父から、
大きな影響を受けて、育ちました。
片手に聖書、片手に鍬を持った父は、
17歳のジェームズに、こう教えました」
「神は、お前の数々の過失を許してくださるに違いない。
しかも神がお求めになることは、
お前が最低の条件を満たすことだけである」
「最低の条件とは、『ゴールデンルール』と呼ばれるものだ。
聖書マタイ福音書7章12節に示された神との契約である」
「さらば、すべて、人にせられんと思うことは、
人にもまた、そのごとくせよ」
この『ゴールデンルール』の意味は、
「自分が、そうしてもらいたいと思うことは、
すべて、同じように、お客様にしてあげなさい」
「自分が、そうありたいと思うことは、
すべて、同じように、店員にしてあげなさい」
この言葉を徹底していくと、
顧客満足のカスタマーサティスファクションと、
従業員満足のエンプロイーサティスファクションが、
両立してくる。
「ジェームズ・キャッシュ・ペニーの最初の店には、
店名の看板の代わりに、
『ゴールデンルール』と大きく書かれていました。
2号店、3号店にも、『ゴールデンルール』の一枚看板しか
掲げられていませんでした」
「そしてこの『ゴールデンルール』を貫くペニーの店は、
全米小売業史に残る奇跡的な成長を遂げたのです」
最後に、商業界主幹・故倉本長治の言葉。
「バイブルや論語には、商売のことは書かれていない。
しかしそのバイブルや論語にこそ、
商人にとって最も重要なことが書かれている」
クリスマス商戦は、
もちろん商売第一。
しかし小山宙丸がいう「時代を越える力ある言葉」、
クリスマス商戦にこそ味わってみたい。
キリストの教えや言葉が、
自分の仕事を充実させてくれるはず。
では皆さん、
Merry Christmas!
そしてGood Monday!
〈結城義晴〉