今日は、夕方から立教大学へ。
修士論文審査会。
1年間、努力に努力を重ねて、
4万字から6万字、8万字近くの修士論文を書き上げる。
それを提出してから、
教授陣から審査される。
ひとりひとり、
7分ずつほど説明して、
その後、13分質疑応答。
手厳しい指摘や鋭い質問に答えなければならない。
それが終って、最終審査が行われ、
晴れて修士となる。
その論文審査会。
結城ゼミ5人、
必死の思いで審査会を終らせた。
そして打ち上げ。
先輩が何人もオーディエンスとして駆けつけてくれた。
来年度に結城ゼミに入りたいと志望する後輩たちも集まった。
その人たちの前で、
自分の研究成果を発表した。
全員が晴れ晴れとした顔つき。
一応やるだけやった。
私は乾杯の前に言った。
「君たちの論文も今日のプレゼンも、
私の一生の誇りとなった」
ありがとう。
さて、昨日は昨日で、
㈱ゴードン・ブラザーズ・ジャパンの皆さんが来社。
右から、CEOの増田春彦さん、
マネージングディレクターの堀池篤さん、
左が同じく藤川快之さん。
この夏に、
アナンス・ラーマン教授を日本に迎え、
流通トップマネジメント向けのセミナーを企画する。
その打合せ。
ラーマン先生は、
ハーバード・ビジネススクール教授。
アメリカのゴードン・ブラザーズ・グループは、
100年以上の歴史を持つコンサルティング企業。
いくつかのコンサルティングテーマを有しているが、
日本の活動の中心は、
「在庫を中心とする動産を対象に
高度な鑑定評価・換価・ABLを提供」。
ラーマン教授は、
科学的アプローチで小売業の在庫問題を整理し、
多くの企業のケーススタディをもっている。
そのケーススタディのひとつが、
米国ゴードン・ブラザーズのモデル。
ラーマン先生の知見を披露していただき、
結城義晴がアメリカ小売業の最新動向を語る。
今から予告しておこう。
素晴らしいセミナーになる。
詳細が決まり次第、
このブログでもご報告する。
ぜひ、ご参加いただきたい。
さて日経新聞の連載。
「プライスウォーズ」ルポ4回目は、
「三越伊勢丹の孤独」
このところ毎日、私は、
この連載を楽しみにしている。
完全に一読者ファン。
昨年秋のバーゲンセールの百貨店の対応は、
従来とがらりと変わるかとみられた。
「2012年秋、
百貨店業界はバーゲンセールの時期を巡り、
意見が対立」
日本百貨店協会の正・副会長会議の席上、
三越伊勢丹ホールディングス社長の大西洋さんが
「セール時期を遅らせることを
業界指針として提案」
勇気のいる提案だった。
ところが、2人の副会長が反対。
そごう・西武社長の山下国夫さんと高島屋専務の松本靖彦さん。
こちらはこちらで、その言い分もわかる。
結果として、一本化できなかった。
記事は語る。
「12年夏のセールを巡る混乱にまで
さかのぼる必要がある」
昨年6月2日のこのブログでも書いたが、
2012年の夏のバーゲンセールは、
例年より2週間ほど遅かった、
7月中旬の13日からスタートした。
そのきっかけをつくったのは、同じく、大西洋さん。
「百貨店はファッションなど価値を売るビジネス。
盛夏にバーゲンするなんて自己否定だし、
正価で購入した顧客に失礼だ」
この大西さんの考えをもとに三越伊勢丹は、
「例年7月1日から始まるセール時期を
約2週間遅らせることを宣言」
アパレルのオンワード樫山、三陽商会なども同調。
しかし、百貨店の対応は分かれる。
「アパレルの意向をくみ、追随した高島屋、東急百貨店。
一方、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武は従来時期にこだわった」
なぜこだわるのか。
百貨店の古い商慣習、
商取引がその理由。
記事は指摘する。
「実は衣料品が正価で売れるのは約3割。
残りは3~5割引きとなって初めて消費者は買う気になる」
だからどこよりも早く安売りを仕掛け、お客を呼び込み、
7割の需要を消化したい。
しかも、セールの売上げは、
1年の売上高を左右する。
ところが、消費者は
「セールの開始時期がずれたうえ、
オンワードなどが先送りし、
店に足を運んでも肩透かしをくらった」
その結果、どの百貨店も
夏のセールの売上高は、
前年を下回ってしまった。
記事にある。
「消費者本位ではなかったな」
この騒動、高島屋社長の鈴木弘治さんの言葉に尽きる。
さてこの夏のバーゲンセールの反省から、
2013年冬のセールは、
各百貨店ともに、初売りと同時に仕掛けた。
ただし、三越伊勢丹以外。
当然、大手アパレルも開始時期をそろえた。
「業界トップ同士で築いたオンワードとの盟友関係が崩れ、
三越伊勢丹は孤立」
その三越伊勢丹のセールは、
1月18日から開始。
記事は、その好調ぶりを記す。
「セール初日の伊勢丹新宿本店には
平日にもかかわらず4000人の行列ができた」
結果として三越伊勢丹は、
ユニークな戦略を採用したことになった。
これは三越伊勢丹にとって、
まことによろしい。
違いを出したうえで、
それが顧客から拍手喝さいを受ける。
どんな業種業態も、
作戦は、これしかない。
百貨店の2012年度の売上高速報値は、
6兆1453億1796万円。
ピークは、バブル崩壊後の1991年で、
当時は約11兆3500億円。
そのうち衣料品は約4兆円。
現在はその半分の売上げだ。
衣料品構成比は35%だから、
7割を消化するセールの成否は重要。
その仕掛けのタイミング。
これまた、商売にとっては最重要条項。
しかし、果たして、どちらが正しいのか。
消費者本位はどちらなのか。
その答えは、顧客が示してくれる。
最後は「顧客に聞け!」
バーゲン時期の「護送船団方式」は、
つまらない。
今日は、「人間の成果」について考えた。
一人ひとり、成果は違う。
それを標準化、平準化する必要などまったくない。
自分の力と自分の成果。
それがすべて。
一緒にやる必要はまったくない。
自分のすべてをいかに発揮するか。
論文審査も百貨店のバーゲンも。
もうそろそろ優劣を競うやり方は、
止めた方がいい。
レース型競争から、
コンテスト型競争へ。
毎日毎日、
それを実感させられる。
「今日も一日、優しく、強く」
今年の商人舎標語は、いい。
〈結城義晴〉