結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年01月31日(木曜日)

「王に大鵬・ニクラウス」とスーパーマーケットの「コンビニ脅威論」

2013年1月最後の日。
この1カ月は、実にはやかった。

大鵬幸喜、大相撲名横綱。
史上最多の優勝32回。
19日、心室頻拍(ひんぱく)で逝去。
享年72。

昨日の通夜に1000人が参列。

ソフトバンク王貞治球団会長の挨拶。
「私はあなたを目標にして闘ってきた。
『巨人・大鵬・卵焼き』に対して、密かに、
『大鵬・ニクラウス・王貞治』だと
思っていました」

ニクラウスはゴルフのジャック・ニクラウス。
3人ともに1940年生まれ。

私の小学校の3・4年担任は、
樺太出身の押切美那子先生で、
この先生が大鵬と親戚付き合いをする間柄だった。
大相撲の本場所が始まると、
毎日のように大鵬の話をするので、
クラス全員がファンになっていた。

私はこの押切先生に特別に支持をいただいて、
子どもながら自分に自信を持った。

そして大鵬の熱烈なファンになった。

福岡出身の私は、
野球は西鉄ライオンズ・フリークだったので、
「巨人・大鵬・卵焼き」は気に入らなかったが、
「大鵬・ニクラウス・王貞治」は、いい。

もちろん語呂から言えば、
「王に大鵬・ニクラウス」だろうけれど。
王さんは謙遜して、自分を最後に並べた。

大鵬が亡くなって、
そんなことがわかるなんて、
不思議な気がする。

ご冥福を祈りたい。

日経新聞のスポーツコラム、
豊田泰光『チェンジアップ』。
元西鉄ライオンズの野武士。
自分で書く文章もうまい。

「元横綱双葉山の部屋を見学したことがあった。
双葉山がけいこ場に現れただけで、
若いお相撲さんたちの間に
ビリビリとしびれるような空気が漂った」

「双葉山と同じ雰囲気を感じたのが、
巨人の川上哲治さんだった」

「スポーツ界の体罰漬けの実態が暴かれているが、
偉い指導者は手を出す前に、
その存在によって弟子を畏怖させ、
言うことを聞かすのだ」

ここからリーダーシップ論を展開。
「飲んでおごって、
人についてこさせようとするのは
能力のない管理職がやること
で、
それは痛みによって選手を縛るのに通じるところがある」

鋭い。

「暴力による恐怖や酒席をべースとするような
指導者と選手、上司と部下の関係は長続きしない」
しかし、我も我もと内部告発され、
体罰問題が表に出てくる。

暴力や酒を関係作りに使う側に責任はあるが、
「No」と言えない方にも問題はある。

そんな人間の集まり、つまり組織に、
最大の膿が横たわっていることが多い。

体罰問題を報道するマスコミにも、
自身のなかにそれと相似形の膿がある。

豊田泰光や桑田真澄の物言いは、
それを実体験してきた者としての実感をもつ。

彼らの生の声の方が、
マスコミの報道よりも説得力を持つのは、
そのためである。

さて今日、商人舎のすぐそばに、
ファミリーマートがオープン。
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1週間前には、
まだ準備中だった。
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初日は、店頭で青果の安売り。
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バナナ3本50円、ジャガイモ4個50円、
ニンジン4本50円、ナス5本168円、
レタス1個168円などなど。

無調整牛乳1リットル100円。
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おにぎり、弁当、一律50円引き。

そして福袋700円。
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ちょっと縦長のレイアウトだが、
これから愛用しそうな店だ。

故倉本長治商業界主幹
は、
新店がオープンすると必ず、
どんな小さな店でも1品買い物をして、
「頑張れよ」と心の中で声をかけた。

私も新店に対して例外なく、
「頑張れよ」と声援する。

そして「初心忘るべからず」と、
つけ加える。

このファミリーマートも、
そうあってほしい。

コンビニがこれだけ生鮮食品を扱うのだから、
食品スーパーマーケットは、
惣菜を強化する。

日経新聞本紙に、
「スーパー、総菜生産拡大」の記事。
ヨークベニマルといなげや、ヤオコー、
さらに四国のフジ、東北のヤマザワ
の事例が出てくる。

いずれも惣菜工場の新設。

インストア加工やベンダーからの商品供給から、
一歩踏み出して、自社工場での製造となる。

つまりは惣菜のセントラリゼーション。
テクノロジーの進化ははやい。
その最新テクノロジーを駆使して、
完成品をつくり、あるいは半加工品を工夫し、
配送し、売れ行きを予測し、
インストア加工と組み合わせる。

この流れは欧米でも、
当たり前のこととして、
イノベーションが図られてきた。

英語でセントラルキッチンというが、
アメリカのスーパーマーケットではもう、常識。

惣菜は店内加工。
それが一番、競争力がある。

もちろんそんな時期もあったかもしれない。

しかし、どんどん進化している。
そのスピードははやい。

もっとも、ベンダー側も、
イノベーションに精を出して、
こちらも進化している。

それらを組み合わせて、戦略をつくる。
アセンブリー産業。

記事の総括部分は、
「スーパーの既存店売上高は
12年まで16年連続でマイナスが続くが、
総菜部門は比較的堅調だ」とはじまる。

ここでいう「スーパー」とは、
日本チェーンストア協会のこと。

食品スーパーマーケットは、
16年連続マイナスではない。
そしてこの記事は、ほとんど、
スーパーマーケットのことを書いている。

「このためスーパー業界では、
イオンやイトーヨーカ堂といった大手総合スーパーも
総菜を強化している。
ただ食品を専門とするスーパーは大手と比べ、
収益に占める総菜の比率が高い。
総菜部門への重点投資をテコに生き残りをめざす」

十把一絡げの論議は、意味がない。
最低限、業態概念は必要だ。

ベニマルもヤオコーも、いなげやも、
そしてフジやヤマザワも、それぞれの競争力があるし、
そこから導き出されたリアリティある戦略のはずだ。

ここにはブームはない。

スーパーマーケットが、
生鮮を扱い始めたコンビニに、
顧客と売上げを奪われている。

それは今日のファミリーマート新店でもわかる。

しかしコンビニの店外むき出しの青果特売は、
その近代的スーパーマーケットが、
打倒し尽くしてきた八百屋の売り方だ。

その安売りにずっと顧客を奪われ続けるとしたら、
スーパーマーケット側の怠慢というしかない。

惣菜に関しても同様。

30坪の小型店のコンビニの惣菜は、
ほとんど全てがセントラルキッチン。
結果としてコンビニは、便利な店になっている。

ベニマルやヤオコーのセントラル化には、
コンビニの惣菜とは異なる次元の商品を提供する狙いがある。

スーパーマーケットにとって、
「コンビニの脅威」
は現実にある。
1店出ると年商2億円くらいが取られる。
10店で20億円。

しかしコンビニが青果部門を強化したからと言って、
その商品を1品ずつ見れば見るほど、
スーパーマーケットが、
食の専門家であることは、
歴然としてくる。

惣菜もしかり。

一方、コンビニの便利さに、
スーパーマーケットの側は、
いかに対抗措置を繰り出しているのか。

コンビニは100%、サッカーサービスをする。
コンビニはスピードレジを徹底する。
コンビニはさまざまなサービス機能も充実している。

挽き立てコーヒーを100円で提供して、
マクドナルドやスターバックスをターゲットにする。

アメリカのスーパーマーケットは、
ほとんど100%、サッカーサービスをする。
クオリティ&サービス型の店は、
車までカートを押して行って、
トランク詰めのサービスもする。

もちろん例外なく、
レジにはエクスプレスレーンを設けている。
セルフレジも設置する。

これはコンビニ対策でもある。
そしてそれが充実されれば、
ドラッグストア対策にも、
ディスカウンター対策にもなる。

「王に大鵬・ニクラウス」
それぞれの分野でトップになるには、
多業態の姿勢に学び、
それをひとつひとつ、
凌駕する丁寧さが求められる。

〈結城義晴〉

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