毎日新聞の巻頭コラム『余録』。
「ポリアンナ効果」を紹介。
「人が物事の否定的な評価より
肯定的な見通しに影響を受けやすいこと」
フジテレビ系の「ハウス世界名作劇場」で、
1986年1月から12月まで放映されたテレビアニメ。
『愛少女ポリアンナ物語』全51話。
この主人公の名前からとられた「ポリアンナ効果」。
8歳の少女ポリアンナ・フィティアは、
「よかった探し」が得意。
どんなことが起きてもその中から、
よかったと思えることを探し出して
明るく振るまう。
それが「よかった探し」。
「健康な人は自分自身の評価について も、
平均的他人より優れているという
ポジティブな錯覚を抱きながら暮らしているらしい」
私にもこのポリアンナ症候群の傾向がある。
日本の研究チームが、
この脳のメカニズムを解明した。
それはいわば「優越の錯覚」とでもいうもの。
「人は平均で2割ほど自分を過大評価していた。
さらに自己評価の高かった人ほど
脳内で快楽物質を出す部位が活発だった」
しかし、いいことばかりではない。
そんな人は、
「状況を判断する前頭葉の働きが弱くなっていた」。
人は「優越の錯覚」が弱まると、
鬱病状態に陥る、らしい。
毎日新聞コラムはここから、
アベノミクスのポリアンナ効果に話を持っていくが、
私は小売りサービス業の「優越の錯覚」は、
成果をあげる条件の一つになると思う。
「ポリアンナ効果」を意識して、
社内、店内で、
「よかった探し」でもしてみたい。
一方、日経新聞の『大機小機』。
EU諸国で起きた「法人税パラドックス」を紹介する。
冷戦後のEU諸国。
激しい法人税率引き下げ競争が展開された。
にもかかわらず、法人税収は増加した。
不思議な現象だが歴史的事実。
要因は二つ。
第1は「法人税率の引き下げと同時に
減価償却などを見直して課税ベースを拡大したこと」。
第2は、「税率引き下げで起業意欲が高まり、
開業率の上昇で経済が活性化したこと」。
アベノミクスでは法人税率引き下げを企図する。
その代り消費税率を上げる。
ここに批判が巻き起こる。
そこでコラムニストは、
「法人税パラドックス」で対抗し、
教訓を導き出す。
「課税ベースの拡大と
アントレプレナーシップが沸き起こるような規制緩和・成長戦略を、
同時に進めていくこと」
この「法人税パラドックス」のような現象、
実務の世界にも起こる。
消費税率増税のときに、
正々堂々、価格転嫁して、
その上で売上げも上がる方法はないか。
「消費税パラドックス」は生まれないか。
「ポリアンナ効果」を意図的に使って、
問題解決に当たりたい。
最後に小売業ニュースを日経新聞から。
イオンはソフトバンクテレコム、ヤフーと組んで、
O2O展開を始める。
O2O(オー・トゥー・オー)とは、
「Online to Offline」。
「携帯電話にデータを配信」
これがオンライン。
「インターネットを利用する消費者を
小売店舗に誘導する」
これがオフライン。
私たちが4月10日に創刊する『月刊商人舎』は、
『商人舎Magazine』とのO2O。
紙の『月刊商人舎』がオフライン、
網の『商人舎Magazine』がオンライン。
こちらは「Offline to Online」ではあるが。
イオンは3月15日からまず、
全国の総合スーパーイオン460店で開始。
さらに年内、マックスバリュなど食品スーパー1000店に広げる。
消費者は「ヤフー!ジャパン」のキャンペーンサイトから
アンケートなどに回答する。
当選すると携帯電話にメールが送られる。
メールにバーコードが印字されており、
店頭の発券機「ハッピーゲート」に携帯をかざすと、
景品や割引券と交換できる特典クーポンが出る。
この割引の原資は消費財メーカーが負担。
昨年末年始に50店で実験。
ペットフードの試供品を3000人に贈るとしたところ
6000人が応募。
さらに当選者の58%が来店。
チラシなど紙に比べると、
圧倒的に低コストで効率的。
さらにクーポンを入手した顧客が、
どの店をどの時間に訪れたとか、
ついでに何を買ったとか、
購買行動データも蓄積。
これが電子マネーワオンなどの顧客データと合体して、
流行りの「ビッグデータ」となっていく。
Offlineを持つから、
Onlineの活用が可能となる。
かつては「クリック・アンド・モルタル」などといわれた。
Click and mortarは、リアル店舗と、
ネット上のバーチャル店舗の双方を運営し、
相乗効果を狙う。
ここで使われた「クリック」は、
パソコンのマウス操作の「クリック」のこと。
いま、スマホの時代に入って、
「クリック」は少ない。
リアルとバーチャルも使わない。
だからO2O。
商人舎は「紙と網の融合」。
イオンに遅れずO2Oに乗り出したい。
ここでも私は、意図的に、
「ポリアンナ効果」を使うつもりだ。
〈結城義晴〉