春分の日。
祝日法の趣旨。
「自然をたたえ、
生物をいつくしむ」
自然は正直。
春を表現する。
横浜・岸根公園の桜は、
五分咲きくらいか。
それでも桜はいい。
七分咲きも八分咲きも、
桜は桜。
今日の祭日は、岸根公園まで、
ジョギング。
その後、鬼島一司さんと一献。
前慶応義塾大学野球部監督。
「慶応魂」を熟知し、
しかも現場感覚を失わない指導者。
鬼島さんは明日から関西に出張して、
明後日から甲子園高校野球選抜大会のNHK解説をする。
鬼島さんのご自宅を訪れて、
野球の話から、スポーツ、経済、経営、政治まで、
議論しつつ、意見交換。
4月から鬼島さんは毎月、
神奈川新聞にエッセイを連載する。
慶応義塾大学と神奈川の論客の一人。
有意義な交流だった。
さて、白川方明日本銀行総裁が退任。
「最善の対応と判断した。
悔いるところはない」
「中銀は市場に振り回されてはいけない。中銀が
言葉で市場を
思い通りに動かすという政策観には
危うさを感じる」
これはきわめて教訓的な言葉。
私も同感。
全ての知識商人が、
肝に銘じておくべきだ。
言葉で、
市場や消費を動かせるものでは、
断じてない。
言葉だけで商品が売れることは、
絶対にない。
それでも現代においては、
「沈黙は金」ではなくて、
「雄弁こそ金」である。
だから言葉は大事。
しかし小売り商売においては、
まず、商品に語らせよ。
次に、言葉で語れ。
これ、時代を越えた大原則。
白川総裁も、
そのことを述懐している。
白から黒へ。
白川さんの退任のあと、今日、
第31代日銀総裁に、
黒田東彦(はるひこ)さんが就任。
前アジア開発銀行総裁の68歳。
慶應義塾大学の小幡績准教授が語る。
「彼は、知的で好奇心が旺盛で幅広い。
主税局の経験が長いが、
主税局は理論派であり、
悪く言うと原理主義」
「黒田氏は、国際金融界でも評判が高く、知的だ。
だが、妥協せず、交渉も黙って手の内を見せず、
しかし、信念を貫く。手強い相手だと思う。
つまり、日銀総裁には、人格的にはぴったりだ」
春分の日の就任、
期待しよう。
毎日新聞の巻頭言『余禄』。
「ワニのジレンマ」を紹介。
「子どもをさらったワニがその母親に
『これから俺がどうするか予言してみろ。
当たったら子どもを無事返してやる。
外れたら食うぞ』と言う。
母親は考えて答えた。
『あなたは子どもを食べるでしょう』
すると子どもを食おうとしたワニが
『あ、予言が当たる、こりゃまずい』と口を閉じ、
今度は『あ、予言が外れる、食わなきゃ』と口をまた開く。
口を開いたり閉じたりが止まらなくなったワニは
とうとう死んでしまった」
皮肉なワニの話。
これに対して、
ロバート・マートンの「予言の自己破壊」。
「予言が人々の行動を促し、
結果それが外れることをいう」
「理不尽なワニと渡り合った賢い母親よろしく、
最悪の予言もここは恐れるより
的中を阻む知恵を絞らねばならない」
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」
それが「予言の自己破壊」をもたらす。
さて日経新聞に記事。
「ローソン、野菜宅配で提携」
「ローソンは野菜宅配大手の大地を守る会と資本・業務提携」
大地を守る会の株式33.4%を取得、
その取得額は10億円前後。
取締役も派遣する予定。
その「大地を守る会」は約2500人の農家と契約。
その農家から、野菜や畜産物、加工食品を、
首都圏の会員宅に宅配サービスする。
2012年3月期の売上高は142億円。
大地を守る会の年商は、
らでぃっしゅぼーやに次ぎ、
オイシックスと並ぶ。
この3社が御三家。
ローソンは、
らでぃっしゅぼーや、
大地を守る会と連携を組む。
ローソンは2011年に、
らでぃっしゅぼーやと共同出資会社を設立、
NTTドコモが昨2012年、
らでぃっしゅぼーやを完全子会社化。
共同出資会社はらでぃっしゅが吸収合併。
昨年末、ローソンはドコモから、
らでぃっしゅの株式10%を取得し、
さらに保有比率を20%まで引き上げている。
何しろローソンの背景には三菱商事がある。
ローソンは現在、
らでぃっしゅから調達した有機野菜などを
スマートキッチン㈱で販売。
従って、らでぃっしゅ、大地を守る会の2社と組んで商品調達し、
スマートキッチンでネット事業を展開。
今後はナチュラルローソンはじめリアル店舗でも、
有機野菜を販売する。
アメリカ合衆国のオーガニック商品は、
2007年に2兆円を超え、いまや3兆円に迫る。
2010年段階の市場規模は、
食品だけで、267億0800万ドル。
1ドル100円換算で2兆6708億円。
これは前年比7.7%のプラス。
非食品オーガニックも19億7400万ドル、
100円換算すると1974億円で、こちらは9.7%の伸び。
トータルで、286億8200万ドル。
全体で7.8%の成長。
ちなみにアメリカの食品非食品の市場規模は、
この段階で1兆0506億2400万ドルだから、
2.73%のシェアにまで拡大してきた。
私は有機商品に関しては10年くらい、
日本が遅れていると断じている。
市場規模だけの問題ではない。
日本は野菜中心の開発、普及だが、
アメリカは精肉から乳製品、冷凍食品、
加工食品・菓子、酒まで、
品揃えが充実している。
もちろん非食品も
パーソナル・ケア、花、ペット
フード、衣類家庭用洗剤、サプリメントなどまで。
オーガニックだけで、
スーパーマーケットが出来上がってしまうほど。
オーガニックに関しての話だが、
その遅れた日本の先頭に、
コンビニのローソンが立っている。
〈結城義晴〉