Everybody! Good Monday!
[2013vol13]
2013年の第13週。
3月最終週にして、
首都圏の桜は満開。
坂口安吾の『桜の森の満開の下』。
戦後の混乱期、1947年(昭和22年)発表の短編小説。
新潮文庫の『白痴』というタイトルに入っていたと思うが、
この中には『私は海を抱きしめていたい』も収められていて、
ひどく懐かしい。
平安の時代か、
鈴鹿峠の山賊と京の女の話。
桜の森は恐ろしい。
その桜が満開のときに下を通れば、
ゴーゴーと音が鳴り、
気が狂ってしまう。
そんな桜もある。
夢待たず天寿を待たず花待たず
〈日経俳壇 有田・梅本哲夫〉
桜を楽しみつつ、
達観した心境。
しかし、2年前の3月のあのことは、
忘れてはいけない。
陽炎の如き悪夢の世界かな
〈朝日俳壇 船橋市・本田武栄〉
悪夢も陽炎のごとくなる。
春光の揺らぎにも君風にも君
〈句集『龍宮』より 照井翠〉
被災地・釜石の高校教師で俳人。
逝ってしまった君を、
春光の揺らぎにも、
春の風にも、
感じとる。
2年前の春は、
忘れてはならない。
しかし日経新聞『ここに注目』は、面白い。
「桜の開花が早い年は、
景気の拡張局面を迎えている」
なんと前向きで、率直で、
非科学的なんだろう。
今年の東京の開花は16日で、
例年より10日早かった。
1953年以降では最も早い開花日。
同じく「16日に開花した2002年は、
73カ月景気拡大が続いた『いざなみ景気』が始まった年」。
春物衣料などの商戦が早まる。
外出しやすくなることで個人消費が底上げされる。
明るいムードが経済全体に広がる。
これらが景気を下支えする。
しかし開花日から満開日までの日数も、
消費や経済にとっては重要ポイントだという。
「長く桜が咲いている年も、
お花見ムードが続くので、
好景気が持続しやすい」
1966年は17日間だった。
1989年は15日間だった。
これらは「景気拡張が続いた」。
しかし今年の東京の満開日は22日で、
その期間は7日間。
平年は9日間で、
平年よりやや短い。
開花は早いが、
期間は短い。
これは景気とどう関係するのか。
それは書かれていない。
「円高是正や金融緩和期待などで
市場のムードは改善しており、
経済指標にも強い数字が目立ち始めた。
花見のお祭り気分が後押しすれば、
景気回復も力強さを増すだろう」
さて、今週。
ずっと春の甲子園高校野球大会が続く。
そして金曜日の29日から日本プロ野球開幕。
日曜日の31日、米国メジャーリーグ開幕。
野球とベースボールの季節が、
一気にやってくる。
そして来週月曜日から4月。
はやいもので、もう2013年も、
3カ月が過ぎようとしている。
いちがつ、いく。
にがつ、にげる。
さんがつ、さる。
その通り。
私は、明後日の水曜日からアメリカ。
そして渡米中の29日金曜日に、
月刊『商人舎』の最終締切日。
褌を締め直して、
頑張る。
私が忙しいから、
先週末から今日にかけて、
商人舎への来客多数。
まず、今日、宮田昇先生と後藤周太郎税理士。
2013年1月期の㈱商人舎の決算報告。
2008年2月1日に創立して、5年が経過。
「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」
ひたむきに努力してきて、
ほんのわずかではあるが、
最高売上高と最高利益。
その上、無借金経営。
私の信条。
全てのみなさんのお蔭です。
ありがとうございました。
利他と無私を、
これからも貫いていきます。
今日は、㈱商業界の昔の仲間も大参集。
右から、鹿野恵子さん、小林麻里さん、
そして瀬木友和さん。
鹿野さんと小林さんの二人は現在、
取材・執筆・企画・編集をこなすスーパーレディ。
それから瀬木さんは、
㈱ビジネスメディアパートナーズ代表取締役。
昨年10月に東洋経済新報社から独立し、
未来に向かって会社を創業。
私の隣は、松井康彦さん。
アド・パイン代表で、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー。
そして亀谷しづえさん、
商人舎ゼネラルマネジャー。
全員が㈱商業界出身者。
みんな元気で、
私は嬉しい。
そして先週末には、
山口毅さん。
㈱レゾーナを2月22日に設立して、
その代表取締役。
立教大学大学院の結城ゼミ第3期生。
自ら、化粧品メーカーを創業。
全力を挙げて、応援します。
さてさて、各業態別の2月販売統計月報のまとめ。
3月19日、
「全国百貨店売上高概況」発表。
調査対象は、
日本百貨店協会加盟の86社、245店舗。
総売上高は4317億3035万円で
既存店前年同月比はプラス0.3%。
2カ月連続でプラス。
今年は「閏年の翌年」という
大きなマイナス要因があったにもかかわらず、
昨対プラスとなった。
消費マインドが好転していることもあって、
高額商品やバレンタインの贈答品などの売上げがけん引。
身のまわり品の540億9761万円、プラス8.6%と
雑貨の629億6449万円、プラス0.5%。
ともに、4カ月連続でプラス。
ただし、衣料品は1376億2825万円でマイナス1.6%、
3カ月連続マイナス。
2月は低温傾向がつづき、
春物需要が伸び悩んだ。
10カ月マイナスだった家庭用品は
219億3375万円でプラスマイナス0%。
食料品はマイナス1.0%で、
1282億5435万円。
2カ月ぶりにマイナスだった。
百貨店にとって重要指標は外国人客。
去年は春節が1月だったが、
今年は2月だったことで、
外国人客の売上げと客数が大幅増。
売上げはなんと、
プラス115.2%、
客数もプラス84.2%。
先週3月21日にコンビニ、チェーンストア、
スーパーマーケットの結果が続々と発表された。
まずはコンビニ。
日本フランチャイズチェーン協会から発表。
「コンビニエンスストア統計調査月報」
調査対象は正会員のコンビニエンスストア本部。
ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、
セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、
デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、
ミニストップ、そしてローソンの10社。
店舗売上高が既存店ベースで、
6081億0300万円、
前年同月比マイナス4.7%。
9カ月連続マイナス。
全店ベースでもマイナス0.9%。
6695億8800万円。
全店はなんと、
1年5カ月ぶりのマイナスとなった。
既存店来客数は10億0641万人、マイナス4.7%。
既存店客単価は604.2円で、マイナス0.4%。
天候、たばこ購入者の減少、
閏年の翌年などの要因が重なり、
コンビニは息切れ気味。
それでも、コンビニの強みでもある、
カウンター商材は比較的好調だった。
部門別の前年同月比は、
日配食品 プラス1.6%、
加工食品 プラス0.3%、
と食品は好調。
対して、
非食品はマイナス2.4%、
サービスがマイナス13.0%と不調であった。
百貨店が好調でコンビニが不調。
時代が逆転した。
次に、
「チェーンストア販売統計(月報)」。
日本チェーンストア協会から発表。
調査対象は総合スーパーを含む会員企業57社、7880店。
2月の総販売額は、9140億2020万円。
既存店前年同月比がマイナス5.5%。
12カ月連続のマイナス。
コンビニよりも悪い。
部門別の概況は、
食料品が5964億6667万円でマイナス5.3%、
衣料品が824億1745万円でマイナス9.2%、
住関品は1778億0539万円、マイナス4.8%、
サービス29億6136万円のマイナス6.6%、
そしてその他が543億6933万円のマイナス2.8%。
ここでも閏年の影響で、
マイナスの文字が並ぶ。
「スーパーマーケット販売統計調査」。
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会の合同発表。
速報版の調査対象は310社、7347店舗。
2月の実績は以下。
総売上高が7331億8211万円で
前年同月比が既存店でマイナス5.0%。
全店ではマイナス2.8%。
ただし、前年は閏年。
そこで前々年の同月比と比較してみると、
全店ベースでマイナス0.2%だった。
部門別では、
食品合計が6425億4263万円
前年同月比マイナス4.9%、
前々年同月比プラスマイナス0%。
生鮮3部門合計は2430億2039万円(▲5.6%、▲0.6%)
青果 988億8933万円(▲6.2%、▲0.2%)
水産 667億0461万円(▲6.7%、▲3.0%)
畜産 774億2645万円(▲5.9%、1.0%)
惣菜 660億4514万円(▲3.8%、3.0%)
日配 1343億6626万円(▲5.7%、▲0.4%)
一般食品 1991億1083万円(▲3.8%、0.1%)
非食品 584億4971万円(▲4.4%、▲1.2%)
その他 321億8977万円(▲4.1%、0.1%)
江口法生さん。
日本スーパーマーケット協会事務局長。
「前年同月比マイナス5%と大幅減に見えるが、
今月は閏年の翌年で1日営業日が少なかった。
そこで、前年と前々年両方の数値を出して比較。
この1日の影響度としては、
平均マイナス2.5%くらい」
「2月のポイントは、
閏の翌年ということ。
節分、バレンタイン商戦、
受験関連商品、
そして鍋などの季節商材」
「今年は大雪や大寒波など、
天候に左右された部分が大きかった。
寒かった分、鍋物は好調だった」
「節分はダウントレンド。
従来の節分商材のイワシや豆の売上げは減っている。
しかし、恵方巻きは売れている。
価格ラインを増やしたり、アイテム数を増やしたり、
各社恵方巻きには力を入れたものの、
それ以上の広がりはなかった。
また、節分が日曜日だったこともあり、
法人需要が減った店もあった」
ゲストスピーカーは村上篤三郎さん。
㈱たいらや代表取締役社長。
「たいらやは㈱エコス100%出資の子会社。
現在、栃木県に24店舗を展開しており、
昨年度の売上げは282億円。
既存店前年比マイナス1.2%。
第一四半期マイナス3.4%、
第二四半期マイナス0.2%、
第三四半期プラス0.4%、
第四四半期マイナス1.5%」
「ここ8年間、毎年増収しているものの、
1年だけ減益した年があった。
それは2010年。
70%減益してしまった。
理由はレジ袋を有料化した結果」
たいらやは競合店よりレジ袋の有料化を先行導入、
しかしわずか3カ月ほどで中止した。
「年末年始はよかった。
節分は前年より50%増、
バレンタインも15%増。
しかし、催事が終わったら、
極めて厳しい」
「栃木県は地元資本が弱く、
ベニマル、カスミ、ベイシア、とりせんなど
県外の企業が強い。
県内のシェアでいうと、
ベニマルが10.4%、
とりせん8.6%、
イオングループ8.0%、
オータニ7.9%、
そして、たいらやが7.8%。
県外の企業はだいたい毎年2店のペースで出店してくるが、
県内企業は年1店の出店がほとんど。
たいらやは来年以降、2~3店出店しようと考えている」
「今年度のたいらやの課題は
ひとつ目は、客数と売上げを最大限伸ばすこと。
これまで、店舗の見た目は、
ベニマルやヤオコーに似せてつくってきた。
しかしこれからは、
オペレーションやマネジメントの部分を強化し、
売上げにつなげていく」
「ふたつ目の課題は粗利率を上げること。
ロスについては今まで目をつぶっていたが、
今後ロス率の削減に本格的に取り組む」
最後に、今日発表された外食。
日本フードサービス協会、
「データからみる外食産業」。
調査対象は225社、31885店舗。
全店の売上高前年比は閏年の影響でマイナス1.3%。
ただし、日商ベースでは、
前年を上回る結果の店が多かった。
ファーストフードがマイナス3.6%。
洋風ファーストフードがマイナス8.2%と不調。
ファミリーレストランがプラス2.4%。
焼き肉店が特に好調で、
プラス15.7%。
パブ・居酒屋がマイナス3.7%、
ディナーレストランがプラス2.8%、
喫茶がマイナス2.4%。
最後にその他がプラス5.7%。
景気回復への期待感は上昇している。
外食は消費の水先案内人。
その動向は大いに注目しておきたい。
2月の成績を順に並べると、
百貨店は、既存店前年同月比プラス0.3%。
外食の全店売上高前年比はマイナス1.3%。
コンビニの前年同月比マイナス4.7%。
スーパーマーケットは、マイナス5.0%。
そして総合スーパーはマイナス5.5%。
ちなみに1月の既存店前年同月比は、
百貨店、プラス0.2%、
コンビニ、マイナス0.9%、
スーパーマーケットはマイナス1.7%、
外食はマイナス2.2%、
そして総合スーパーはマイナス4.7%。
コンビニとスーパーマーケットが、
大きく落ち込んできた。
世間はアベノミクスで浮かれていて、
株価と為替は上昇気分だったが、
日常生活を担う業態には、
ひどく厳しい2月だった。
それが3月も続いている。
虚業が伸びても、
実業は縮んでいる。
たいらや村上篤三郎さんではないが、
「催事が終ったら、極めて厳しい」。
何か催事を創り出さねばならない。
褌を締め直して、
3月を締めくくりたい。
では、みなさん。
Good Monday!
〈結城義晴〉