結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月31日(日曜日)

ジジとお父さんのダラス[日曜版2013vol13]

ジジです。
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花冷え、です。
ニッポンは。

おとうさんは、
いません。
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サクラをたのしむことができません。
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ジェットプレインにのって、
いってしまいました。
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雨のナリタ。
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晴れわたったダラス。
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14時間もかかります。
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ついたら、
ダラスの草原を走る。
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空はきれいです。
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アメリカは今日、
イースター。
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キリストの復活祭。
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ウサギのかっこうをしています。
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そして、おシゴト。
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みんなをつれて、
勉強する。
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たくさんの人と握手。
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ウォルマートのアデルさん。
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すてきな店長さんチャールズさん。
ネイバーフッド・マーケットの店長さん。
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セントラルマーケットのポールさん。
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すごく頭のいい店長さん。

スプラウツのポールさん。
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みんな、
しあわせな
ナレッジ・マーチャント。
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ホームデポにもいった。
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ボクも、じぶんのうちを、
おもいだした。
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ここがボクのうち。
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気にいってます。
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HEバットのケルシーさん。
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いちごケーキをつくってた。

それから、
トレーダー・ジョーのヘルムスさん。
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みんな、みんな、
ナレッジ・マーチャント。
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それから、毎朝の講義。
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みんなの発表。
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おとうさんは、
それをきいています。
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さいごにひとつひとつ、
ていねいに総括。
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まだまだ、おわりません。
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とにかく、げんきで、
かえってきてください。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2013年03月30日(土曜日)

テスコ米フレッシュ&イージー撤退とダラス3日目「フォーマットの死」

「デイリー・テレグラフ」。
The Daily Telegraph
イギリス第1の新聞。

1855年創刊の伝統メディア。
そのインターネット・サイトが、
「ザ・テレグラフ」。

グラハム・ラディック記者が伝えた。

テスコCEOのフィリップ・クラークが、
復活祭の週末のあと、アメリカにやってくる。

その目的は、
フレッシュ&イージーの売却先と合意するため。

フレッシュ&イージー・ネイバーフッド・マーケットは、
テスコのアメリカ侵攻作戦のフォーマット。

2007年11月にスタートしたフォーマットは、
トレーダー・ジョーとアルディを、
足して二つに割ったようなモデル。

現在、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州に、
199店を展開中。

しかし2010年から10数店単位で、
不採算店を閉鎖。
昨年7月、USA本部スタッフ50人をレイオフ。
8月には現場スタッフをリストラ。

これまでの投資額は10億ドル以上だが、
これ以上継続すると泥沼に入るとの判断。

売却先は、
足して2で割ったそのモデルの、
アルディとトレーダー・ジョーのオーナー、
アルブレヒト・ファミリー

アルディもトレーダー・ジョーも、
店舗面積1万平方フィートで、
フレッシュ&イージーの店舗サイズとほぼ同じ。

アルディなど即、居抜きで活用できる。

私はフレッシュ&イージーに、
ある種の期待を込めていた。

新しいフォーマット開発の意欲と手法には、
特筆すべきものがあった。

しかし米国の小型店は、
アルディとトレーダー・ジョーの両極の優秀モデルによって、
ほぼ勝負の決着をみていたことになる。

ただし実際にテスコが、
このモデルをアメリカで実験したことで、
アメリカには小型店ブームが巻き起こり、
日本にもそれは影響を与えた。

ウォルマートはウォルマート・エクスプレスを、
カルフールもカルフール・エクスプレスを実験して、
世界に「エクスプレスストア」のフォーマットを定着させた。

アメリカでは成功しなかったが、
イギリス国内ではテスコ・エクスプレスが、
確実に機能している。

アメリカの小型店は今後、
アルディとトレーダー・ジョーが、
マークされ続けることになる。

さて昨日のダラス3日目は、
最高気温が27度。
やっとダラスらしくなってきた。

イオンリテールワーカーズユニオン主催、
「流通の未来を自分たちでつくる会」
そのアメリカ版セミナー3日目。

朝8時から、毎日恒例の結城義晴の講義。
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今日のテーマは「店舗戦略」

業種・業態・フォーマットの整理、
ストア・フォーマット論とポジショニング。
最後に大変化を遂げたショッピングセンターの分類を、
再整理して、解説。
この日も2時間びっしりと語った。
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講義を終えて、プラノ地区に移動。
好調企業のポジショニング戦略をしっかり視察。
ウォルマート・スーパーセンタープラノ店。
ウォルマートの主力フォーマット。
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ウォルマートの売上高は4691億6200ドル。
100円換算で46兆9162億円、伸び率5.0%。
総店舗数1万773店のうち、
スーパーセンターは3158店を展開。

ストアマネジャーのアデルさんにインタビュー。
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プラノ店は、2カ月にわたる改装期間中。
それでも、足早に店内をツアーしながら、
丁寧に解説してくれた。
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プラノ店の商圏特性や販売の傾向を、
数字をもとに次々に説明してくれる。
極めて優秀な女性だ。
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「ウォルマート・プラノ店は、
私の子供のようなもの」

だから1日16時間も店にいることがある。

バックヤードも見せてくれた。
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改装中であり、
しかも今週末が復活祭とあって、
在庫があふれかえっていた。

しかしそれでもウォルマートの
アデル店長に感謝。
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さらにスーパー・ターゲット。
ウォルマートと同じビジネスモデルのライバル。
ディスカウントストア第2位。
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売上高733億0100万ドル(7兆3301億円)
伸び率4.9%。
店舗数は1778。
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ウォルマートとは対比的な店づくり、商品戦略。

ウォルマートがマーケット・リーダーなら、
ターゲットはマーケット・チャレンジャー。
ウォルマートがトヨタなら、
ターゲットはホンダ。
ウォルマートが大鵬なら、
ターゲットは柏戸。

互いに高め合いながら、
対比的なマーケティングを展開し、
米国市場を二つに分けている。

次に向かったのはコストコ。
メンバーシップ・ホールセール・クラブ1位。
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売上高970億6200万ドル(9兆7062億円)。
伸び率11.5%と変わらず好調。
店舗数598。
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ウォルマート・スーパーセンターや、
スーパーターゲットとは異なる業態で、
共存共栄。

しかしウォルマートには目の上のたんこぶ。
コストコ対策はたった一つ。
同じ業態のサムズを進化させること。

そのウォルマートのネイバーフッド・マーケット
1100坪のスーパーマーケット。
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米国内で267店舗を展開する。

スーパーセンターの国内飽和が目前となっている中、
今後、2年で500店まで倍増する計画。
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ここではレジ責任者のジョイさんにインタビュー。
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さらに店長のチャールズさんに話を聞くことができた。
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スーパーセンターのアシスタントマネジャーをしていたが、
こちらではストアマネジャー。

「リーダーシップを発揮して、
アソシエーツにいろいろなことを教えるのが好きだ」

知識商人の典型を見た気がした。

対してセーフウェイのトムサム。
セーフウェイはスーパーマーケット全米2位。
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売上高442億0700万ドル(4兆4207億円)
伸び率1.3%。
店舗数は1641店。

この店はセーウェイの新しいフォーマット。
「ニューライフスタイルストア」と称する。
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しかし相変わらずクラブカード戦略が、
ロイヤルティマーケティングの域に達していないため、
単なる価格販促に使われていて、
これはウォルマートのエブリデーロープライスによって、
その弱点が際立たされている。

そしてアルバートソン。
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売上高39億ドル(3900億円)、伸び率マイナス2.5%。
店舗数205。
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かつてのエクセレントカンパニーも、凋落の一途。
しかし、現場は頑張っている。

床はピカピカ、レジの接客もいい。

ただし、イノベーションが全く見えず、
現場の頑張りがむなしく映る。

やって来ているのはラガードと表現する老人顧客ばかり。

最初の戦略が間違って、
イノベーションが起こらなくなると、
いかに現場が頑張っても、
店は衰退していくばかりだ。

この鉄則を思い起こさせられる。

最後は、ホーム・デポ。
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ホームセンター全米1位。
売上高747億5400万ドル(7兆4754億円)。
伸び率6.2%。
店舗数2256。
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サブプライムローン破たんの影響を、
最も大きく受けた企業。

しかしこちらは、
「ひとつずつ・すこしずつ・いっぽずつ」
復活してきた。

企業は永続的な存在。
ゴーイングコンサーンでなければいけない。

しかしフレッシュ&イージーの例を見るまでもなく、
「フォーマットの死」を決断する時がある。

その意志決定は、
早い方がいい。

これが競争というものだ。

〈結城義晴〉

2013年03月29日(金曜日)

「北野祐次さん お別れの会」とダラス2日目「理想の」イノベーション

「北野祐次さん お別れの会」
帝国ホテル大阪で、行われた。
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オール日本スーパーマーケット協会名誉会長、
関西スーパーマーケット創業者・名誉会長。

2月12日午前3時46分。
肺炎のためご逝去。
享年90。

私は2月16日のこのブログで、
訃報を書いた。
「関西スーパー北野祐次、逝く」

私は北野さんを、
「日本スーパーマーケット・システムの父」と、
表現した。

来場者数2100名。
オール日本スーパーマーケット協会会員企業からは、
社長、会長など多数の参加があった。
日本チェーンストア協会・清水信次会長、
日本スーパーマーケット協会・川野幸夫会長をはじめ、
業界関係者多数。
それから伊丹商工会議所・北嶋一郎会頭はじめ、
地元の人々も数多く参集。

遺影に対して、
謹んで献花した。
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会場には「ありし日の北野祐次名誉会長を偲んで」と題して、
写真などが展示された。
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さらに来場者には、
AJSネットワーク追悼特集号が配られた。
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私は今、ダラスのヒルトンダラス・リンカーンセンター。
だからまことに残念ながら参列できなかったが、
この追悼特集号に追悼文を載せた。

心よりご冥福を祈りたい。

ダラスにて、一人、
黙祷して合掌。

『ほぼ日刊イトイ新聞』。
その巻頭言「今日のダーリン」に、
糸井重里が「理想のもの」について書いている。

「『理想の』って、
実はものすごくむつかしいんです。

みんな、わりと簡単に、あれこれと、
うるさいことを言うものですが、
『じゃ、どういうのがいいんだ』と訊かれたら、
あんがい答えられないものなんですよね」

「たとえば、理想のクルマ、どんなのですか?
クルマの好きな人だったら、いくらでも言えそうです。
だけど、たぶん、実際に本気で考えたら、
あんまりたいしたことないものを語りだしそうですよ」

「理想のホテルって、どんなのですか?
理想のレストランって、どんなのですか?
理想の結婚って、理想の学校って、どんなのですか?
理想の会社、理想の家、理想の休日、理想の歯ブラシ、
理想のりんご、理想の机、理想の椅子、理想のパンツ、
理想の寿司、理想の靴、理想の枕、理想の温泉‥‥」

「このひとつひとつについての『理想の』が、
リアルに言えたら、そして周囲に感心されられたら、
そりゃぁもう、勝ったも同然なんじゃないでしょうか」

関西スーパーは1970年代後半に、まさに、
「理想のスーパーマーケット」をつくった。

北野さんはそれはもう、
自信をもって「理想の」と言い切ったし、
それを否定する人は誰もいなかった。

北野さんが「理想の」をリアルに見せつけ、
周囲に感心されたから、
日本のスーパーマーケット、
とりわけオール日本スーパーマーケット加盟企業は、
「勝ったも同然」になった。

「『理想は、こういうものなんだけど、
ただ‥‥まだ無理なんです』と言えたら、
あとは、できさえすればいいんだもの」

糸井の言う通りの現象が起こった。

「どういうものが理想なのかを誤ったままに、
技術やら環境が整って、それが実現したとしても、
あんまり意味ないと思うんです」

「『いままでなかったけれど、こんなのがあったらなぁ』
という理想が見えること、それこそが大事なんです」

これを関西スーパー方式と称した。

「いま、あちこちにいろんな問題があるのですが、
『理想の』が見えないところで
堂々めぐりしてる感じ」

北野イノベーションから30数年、
堂々めぐりが起こっている。

糸井は言う。
「ほんとうの『理想論』って、
現実を動かすと思うんです」

北野さん、ありがとうございました。
安らかにお眠り下さい。

残った私たちは、
必ずや堂々めぐりから、
脱して見せます。

さて私は、ダラス2日目。
宿泊しているヒルトンダラスの会議室を使用し、
朝8時から第1回目の講義。
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50名が一堂に会すると、
会議室も熱気にあふれる。
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初めの講義だから、
米国小売業の最新潮流の解説から入り、
経営数値、産業動向、
そして商業近代化の歴史を紐解いてから、
「経営戦略論」を展開。
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アメリカの小売業は、
新たなポジショニング競争に入っている。
それを見て、感じて、学んで、
自分たちの課題にしてほしい。
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2時間を一気に語ったが、
まだまだ、ぜんぜん話し足りない。
バスに乗り込んでも、
マイクを手放せない。
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ドライバーはシェリル女史。
アメリカでは大型バスでも女性ドライバーが多い。
見た目は男性並みを超えたプロレスラー並みだけど。

ここから昨日の視察店舗を一挙に紹介しよう。
まず、ダラー・ツリー。
バラエティストア全米第3位。
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売上高73億9500万ドル(100円換算で7395億)、
伸び率11.5%、店舗数4671。
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どちらかと言えば販売価格1ドルにこだわるダラーストアだが、
それでも2ドル、3ドル、7ドルの商品もある。。

家電専門店チェーンのレディオ・シャック。
ベストバイに次いで全米2位。
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しかし、全米チェーンストア2011年度版には、
ベスト・バイとこのレディオ・シャックしか、
ランキングされていない。

日本の小売業順位とは大きく、異なる。

なぜか。

ウォルマートやコストコといった総合店が、
家電を便利に、重点的に、
販売しているからだ。

レディオ・シャックは、
ダラス・フォートワースのこの地に本社がある。
売上高39億5900万ドル(3959億円)、
前年比はほぼ横ばいのマイナス0.4%だが、
店舗数はなんと5480。

コンビニ型小物家電チェーンとみることができる。

スプラウツ・ファーマーズ・マーケット
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店舗数154と着実に店数を増やしてきた。

直近で10店舗の出店を計画している。
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青果部門が店の奥ど真ん中にあり、
約3割の売場を占める。

独特な店づくりのスーパーマーケット。
しかし154店舗のチェーンストア。
独特だけれど、理屈があるから、
チェーン展開が可能となっている。

その理屈をバスの中で解説。

店長がインタビューに応えてくれた。
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「ウォルマートのアシスタントマネジャーをやっていたが、
スプラウツに転職した。
私にはハッピーな仕事だ」

感謝の握手。
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そしてダラー・ジェネラル。
バラエティストア全米第1位。
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売上高148億0700万ドル(1兆4807億円)。
伸び率は13.6%と、毎年二ケタ増。
店舗数は昨年1万店を超えた。
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1ドル以外の商品が、どんどん増えて、
それがウォルマートから、
「最大の脅威」とマークされる理由でもある。

ドラッグストア全米2位のCVSファーマシー。
企業名はCVSケアマーク。
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売上高1231億3300万ドル(12兆3133億円)、
伸び率15.0%。
店舗数はこれまた7525。

ドラッグストア業界では、
ウォルグリーンとCVSの二強の争い。
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私はこれを「複占」と呼んでいる。

2日目ともなると、皆元気。
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今日は視察先が多い。
車中、私は、
「昨日より1.5倍速く歩こう」と声をかけた。
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全員が、きびきびして、
歩幅も大きくなってきた。

HEBセントラル・マーケット
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到着してすぐに、
ポール店長からレクチャーを受ける。
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ホールフーズから転職し、
2年目にして店長を任された優秀な男。
彼の話はいつも論理的でよどみない。
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ほんとうにいい話が聞けた。

このインタビューとレポート、
売場の「ほぼ完璧写真再現集」は、
Web版『商人舎magazine』で掲載の予定。

日本に、ぜひ行ってみたいというポール。
私も彼を招いて、セミナーを開催したいほど。
ナイスガイのポール店長とシェイク・ハンズ。
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次にコンテナストア。
収納用品のチェーンストアで、
店内には生活アイデアが満載されている。
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FORTUNE誌『働きがいのある企業』の常連企業。
今年のランキングは16位。
5位のウェグマンズに次いで、
小売業では2番目に選ばれている。
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スタッフのジュディさんが、
商品説明のデモをしながら、
コンテナストアの良さを話してくれた。
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「何よりも信頼され、
責任を持たせてもらって、
仕事をするのが楽しい」

ベッド・バス&ビヨンド。
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売上高94億9900万ドル(9499億円)。
伸び率8.5%。
店舗数1173。

天井まで届く商品のプレゼンテーションが特徴。
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ホーム・ファッションストアは、
リネン&シングスが倒産したので、
ベッド・バス&ビヨンドの孤軍奮闘状態。
これもウォルマート、ターゲットの総合ストアの成長余波。

そのベッド・バス&ビヨンドが買収した
バイバイベイビー。
その名の通り、
ベビーザらスをターゲットにした商売。

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そしてクリスマスツリーショップ。
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総合ストアが強い分、
ニッチを狙うコンセプト・ショップは、
バラエティ豊かにライフスタイルを提案し、
その展開が可能となる。

最後の視察はアルディ。
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売上高92億1800万ドル(9218億円)、
伸び率は10.2%。

店舗数1195店と1000店を超え、
全米チェーンストアランキングでも40位にランクイン。
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売り場のクレンリネスが徹底され、
プレゼンテーション、サインボードなど、
明るく洗練されてきた。
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われわれが買い物したため、
レジに長い列ができた。
いつもは1人で対応するレジも、
素早く2人態勢に。
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アメリカのディスカウンターは、大きく変わってきた。

価格はさらに安くなっている。
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プライベートブランドのコーラは、
2リットル69セント。
昨年は79セントだった。

さらに、
安いから悪い、
安いから汚い、
安いからノーサービス、ではなくなっている。

安くて良い、
安くてきれい、
安くてサービス。

店数が1000店を超え、
商品回転率が高まり、
単品量販が実現されると、
「安くて良い」が可能になる。

そうすると、店舗投資、店舗メンテナンス、
そして人員配置も、
少しだけ改善される。

これが「大きなイノベーション」と、
顧客には映る。

実際にこれこそ、
大きなイノベーションなのだ。

すべての視察を終え、
ホテルに戻ると、
すぐに朝の会議室に直行。
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グループに分かれて、今日の視察のまとめを、
ディスカッションする。
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みな真剣そのもの。
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床に座って議論するグループも。
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それを事務局が見守り、サポートする。
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私の朝の講義、
視察後のグループ・ディスカッション。
これが毎日繰り返されていく。

そしてグループごとに中間発表が行なわれ、
最後に最終発表が行われる。

いまから、私も、楽しみにしている。

「理想の」を追い求めつつ、
私たちは励む。

〈結城義晴〉

2013年03月28日(木曜日)

イオン岡田元也、マクドナルド原田泳幸とダラス視察の三点セット

米国テキサス州ダラス。
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昨日までの3日間は、
なんと最低気温が氷点下だった。

昨日の正午にアメリカン航空で、
成田空港を発った。

日本も冬の天候で、雨模様だった。
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14時間のフライトの後、今朝9時に、
ダラス・フォートワース国際空港に到着した段階では摂氏9度。
しかし昼間の最高気温が22度まで上がって一安心。

日ざしはひどく明るいが、
気温は上がらない。

この時期のテキサスでは、珍しい現象だ。

着いたらすぐに、店舗視察。
時間を無駄にしない。
まずウォルマート・スーパーセンター。
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そしてサムズ・クラブ。
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ウォルマートの二つの業態が、
2層で展開されているショッピングセンター。

自社内競合しないのですか。
成り立つのですか。

よく聞かれる。

成り立たないどころか、
相乗効果が出ている。

ウォルマート・スーパーセンターは、
「コンプリートストア」。
この店だけで生活のほとんどが成り立ってしまう。
サムズは「コンプルメンタリーストア」、
つまり補完店舗。
他の業態と補完し合って生活を支える業態。

だからシナジーが生まれる。

ウォルマートの食品は、
イースター・プロモーション。
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イースターはキリスト教の復活祭。
「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」
だから今年は3月31日。

アメリカではこの復活祭にメジャーリーグが開幕して、
小売業のプロモーションも盛り上がる。

衣料品はクリアランスセール。
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バルーンを使って、
目立つ。

その後、ホールフーズマーケット。
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ダラス地区の旗艦店舗。
ここで昼食。

ホールフーズもイースターには力を入れる。
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強い店、いい店は、例外なく、
催事に力を入れる。
その店らしいプロモーションを展開する。

店も素晴らしいが、
デリのランチも素晴らしい。
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その後、百貨店第2位のコールズへ。
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このジュニアデパートは、
全米百貨店・ディスカウントストア部門で、
5年連続顧客満足度第1位に輝いている。

レディス衣料が強いが、
そのレディスもインナーを最大限強化。
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自分の強みをさらに強調し、
しかも最良のベーシックを志向する。

イオンリテールの精鋭たちに、
まず最強のフォーマットを体験してもらう。
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次にスーパーマーケットのイノベーションを体現している店で、
食事をし、店づくりを見てもらう。

最後に、非食品大型店舗として、
日本の総合スーパーに示唆を与える店舗を視察してもらう。

この三点が今日の狙い。

ホテルに戻って、
早速、グループ・ディスカッション。
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今回の研修会では、
毎日、夕方に討論し、中間総括をする。
それがとてもいい。

ディスカッションが終ったら、
テキサスステーキ。
「トレイル・ダスト」
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お疲れ様。

ながいながい一日だった。
それでも、皆元気に、
ステーキを頬張り、
シャイナーボックを飲み干した。

一方、日本では、
昨日の続きのニュースが駆け巡った。
「イオンがダイエーを子会社化」のつづき。

イオン・岡田元也社長、
丸紅・岡田大介常務執行役員、
そしてダイエー・桑原道夫社長
が、
三人揃って記者会見。

この記事は日経新聞よりも、
東洋経済オンラインのほうがずっと詳しい。

「イオン、産業再生機構への“恨み節”
ダイエーを子会社化へ、会見詳細を全掲載」

詳細はこのブログの昨日の報告で、
言い尽くされている。

しかし岡田元也さんのコメントが面白い。

ダイエーの経営不振の原因。
「誰が責任者なのかハッキリしなかった」
丸紅との二人三脚は、
意思決定の曖昧さを露呈した。

ダイエーを傘下に入れる意味と意義。
「消費者のために何ができるのか。
ダイエーもずっと考えてきたこと。
この2つが一緒になることで、
さらに現実的に実行しやすくなる」

この後の岡田さんのコメントが大事。
「規模が大きくなるからではなく、
双方の考え方や志が
同じだからということだ」

さらにダイエーの失敗に関して。
「再生機構の当時の方針で、
食品スーパーを中心に再建を進める選択を採った。
当時はやむをえなかったかもしれないが、
もったいなかったと思う」

つまり、総合スーパーも含めて、
違うやり方があったという分析。

「食品市場が盤石とみて、それに注力して、
問題を解決するという戦略は外れてしまった」
その通り。

「今は食品自体が厳しくなっている。
首都圏も例外ではない。
ドラッグストアも厳しい。
タバコに依存しているコンビニエンスストアも非常に厳しい。
それに消費増税が重なる。
考え方を根本から変えないといけない」

ずけずけとモノを言う。

そして決め台詞。
「日本の小売業界に
まったく不足しているのが
イノベーション」

私の主張に酷似している。

「これほど古い店で
平気で営業している小売業は
日本しかない」

「日本で消費者の権利が
初めて認められたのが、
小泉純一郎政権のとき。
米国ではジョン・F・ケネディ大統領の時代だ。
30~40年も遅れている」

これは1962年3月の、
ケネディの「コンシューマー・ドクトリン」を示している。
第一に、安全である権利。
第二に、知らされる権利。
第三に、選択できる権利。
第四に、意見を聞き遂げられる権利。

ケネディはこの4つの消費者の権利を守ることで、
小売りサービス業の地位が築かれていると言った。

「今の状態をみると、小泉政権のときの大きな変化は、
また元に戻っている。大事なのは輸出産業だと」

「日本で誰が消費者を守っていくのか疑問。
ダイエーは早くから主張してきた。
私どもも同じような考え。
誰が消費者のことを考えるのかということを
明確に示していきたい」

もうひとつ、日経新聞『真相深層』より、
「マクドナルド、不振の理由は」。

原田泳幸会長兼社長が言いにくいことを言い、
中村直文編集委員が聞きにくいことを聞いた。

「日本マクドナルドホールディングスの業績がさえない」
記事はこう始まる。

2012年12月期は7期ぶりの経常減益。
既存店売上高は9期ぶりに前年割れ。
今年に入っても既存店は2ケタ減。

原田さんは自ら分析。
「内なる要因が大きかった」

夏に売り出した高価格商品『世界のマック』シリーズが駄目、
主力商品『ビッグマック』『チキンマックナゲット』、
これらの値引きセールをやめたが、
これも駄目。

「失敗の最大の要因は我々の創造力が落ち、
顧客に驚きを提供できなかったこと」

そうかなあ。

マクドナルドは、
顧客を驚かす商売かなあ。

「消費者を動かすのが難しい時代」と原田さん。
「60秒で商品を提供できなかったら無料券を渡すキャンペーン」も、
「そのくらいでは動かない」。

「消費者が『いいね』と思うくらいの販促や商品ではダメで、
『グレート!』とか『ワオ!』というインパクトを与えないと」

これも、そうかなあ。

そこでこれからの作戦。
「当初の戦略は撤回し、
季節限定の新商品を
収益バランスを考えながら投入する」

しかし「100円メニュー」はやめない。

「ディスカウントは商品価値が下がり、
持続的な販売増につながらないためにやめたが、
100円メニューのような底値商品は
お得感を出す上で欠かせない」

さらに「来年の消費増税の準備」。
「税率が8%や10%に上がっても
顧客が購入額を落とさないメニュー価格の策定に動いている」

そして「少なくとも一律には値上げしない」。

消費税分還元セールは法律違反になってしまうが、
税額分を「一律には上げない」という。

税率分は外税できちんと上げて、
本体価格にきっちりした企業姿勢を
示したほうがいいと思う。

みなさんは、いかが?

アメリカにいると、
そんな小手先の戦術は、
顧客からとっくに見透かされていることを、
思い知らされる。

〈結城義晴〉

2013年03月27日(水曜日)

ダイエーの「子会社化」と「流通・未来・自分たちでつくる会」米国へ

「イオン、ダイエーを子会社に」
日経新聞一面の記事。

「とうとう、この時が来たか」
私には、そんな感慨が強い。

企業総合面には、
「イオン、スーパー『1強』に
売上高5兆円超」。

現在、イオンはダイエーの第2番手の株主だ。
それでも流通企業グループとしては、
ダイエーはイオンの傘下との認識がある。

しかしダイエーの現在の筆頭株主は、
総合商社の丸紅グループ。

丸紅は2006年に、
産業再生機構からダイエー株式を取得、
翌2007年、再建のパートナーとしてイオンを選択。

保有株式は、
丸紅㈱が18.41%、
丸紅リテールインベストメント㈱が10.87%、
合計29.28%

その丸紅からイオンは、
株式公開買い付け方式で24%を取得する。
日本ではよく「TOB」と表現するが、
Takeover Bidの略。
英語ではTakeoverあるいはBidと短く表現したり、
アメリカでは、Tender Offerといったりする。

今回の目途は4月。

イオンが保有するダイエーの株式は19.85%。
丸紅から取得する24%と合計すると、
全発行済み株式の4割強となる。

これは主導権が、
丸紅からイオンに移ることを意味する。

現在、代表取締役会長の川戸義晴さん、
取締役専務執行役員の山下昭典さん、
そして取締役常務執行役員の川本敏雄さんがイオン。
山下さんはグループ事業管掌兼総務人事管掌、
川本さんは営業グループ長。

一方、代表取締役社長の桑原道夫さん、
取締役専務執行役員の山﨑康司さんが丸紅。
山﨑さんは商品グループ長。

そして取締役常務執行役員の白石英明さん、
取締役執行役員の玉虫俊夫さんが、ダイエー出身。
白石さんは財務経理管掌兼マネジメント・システム改革プロジェクトリーダー、
玉虫さんは総務人事本部長。

ここにイオンから過半数の役員が派遣されることになる。

イオンは純粋持ち株会社だが、
そこにダイエーが子会社として加わると、
その連結売上高は6兆円を大幅に超え、7兆円に近づく。

総合スーパーとスーパーマーケットを合わせた事業は、
イオンが4兆2000億円、ダイエーが8000億円で、
合計5兆円。

日経企業総合面の見出しはそのことを言っている。

ライバルのセブン&アイ・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマートに、
新たに傘下に入れた近商ストアを合計して約2兆円。

もちろんセブン&アイはコンビニのセブン-イレブンが、
単体として圧倒的なトップ企業であるし、
その加盟店売上高は3兆2805億円となるから、
両者拮抗していて、強みが異なってきたと見ることができる。

ダイエーに関して言えば、
2008年度以降、1期も最終黒字化ができていない。
日経の記事では、2013年2月期も赤字のよだうし、
既存店売上高は09年度から、
毎年2~5%ずつ前年割れが続く。

つまり、丸紅主導の現体制では、
再建ができていないという見方ができる。

総合的な判断として、ダイエーは今後、
イオンのもとに集中して、再び再建を目指す。

一方の丸紅は、
「ダイエーの経営から事実上、手を引くことで、
今後は川上分野の食糧事業などに力点をおく」。

日本チェーンストア協会の統計では、
2012年まで16年連続で既存店売上高はマイナス。

イオンと、その傘下に入ったダイエーは、
それを覆すための方策を探る。

日経の記事はこう結論付ける。
「地域密着に徹し、
拡大を望まないスーパーでない限り、
もはや選択の余地はない」

ここでいう「選択の余地」とは、
アークスを含めて、大資本の傘下に、
入っていくかどうかの選択の余地である。

地域密着に徹する。
急速な拡大を望まない。
これはローカル・スーパーマーケットの生き方だ。

この戦略を明確に志向しない企業、
あるいは戦術だけで戦略を持たない企業は、
M&Aの嵐の中に巻き込まれる。

「西友を傘下に置く米ウォルマート・ストアーズも
日本でのM&Aを志向する。
消費増税を控え、どの陣営と組むか、
選択を突きつけられる」

しかしイオンやダイエーにとっても、
ウォルマート西友にとっても、
もちろんセブン&アイにとっても、
規模の論理だけで問題が解決することはない。

働く人間のモチベーションや、
顧客の満足感を抜きにした成長はあり得ない。

エンプロイー・サティスファクションと、
カスタマー・サティスファクション。

規模がこの二つの要素に、
大きく好影響を与える仕組みを生み出さねば、
規模はむしろ足かせとなる。

さて私は、今日から渡米。
4月4日までダラスとサンフランシスコを巡る。
イオンリテールワーカーズユニオン主催の、
「流通の未来を自分たちでつくる会アメリカ版セミナー」。
そのコーディネート役。

全国のイオンリテールおよびグループ各社から、
推薦された優秀な組合員が集まってきた。
総勢48名。

朝7時、前泊した成田のホテルから
バス2台で成田空港へ向かう。
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そして8時から、
成田空港の会議室で結団式。

ツアー団長は阪口浩一さん。
イオンリテールワーカーズユニオン中央執行副委員長。
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私からもメッセージ。
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今朝の日経新聞の記事を引き合いに出しつつ、
イノベーションの決意を迫る。
そして皆に贈った言葉は、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」。
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この言葉をかみしめて9日間、
学び続けてもらいたい。

そして恒例の記念写真。
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並び方をコーディネート。

ユニオンフラッグを掲げて、ガッツポーズ。
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元気に、旅立ち。

野下聖子さんに見送られて出発。
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野下さんは㈱イオンコンパス営業担当で、
今回のツアー企画をまとめてくれた。
心から、感謝。

では、行ってきます。

〈結城義晴〉

2013年03月26日(火曜日)

立教大学院学位授与式と「言葉で仕事・言葉で思索・言葉で成長」

朝と晩、通う道。
そこに咲く満開の桜。
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何気なく楽しませてくれる。
時にはハッと感動させてくれる。

花冷えの今日も。

「ありがとう」
桜の木に、そう言葉をかけた。

いつも通う川沿い。
ここにも桜が満開。

鳩が三羽、止まって、
桜を楽しむ。
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鳩には「ご苦労さん」
声をかけた。

今日は朝から、
東京・大門。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
通称CCLの月例の取締役会。

次々に問題は発生する。
米倉裕之社長以下、
合理的に、的確に、民主的に、
その問題を解決していく。

気持ちがいいほど。

㈱プラネット会長の玉生弘昌さんと、
ランチミーティングして、
横浜・商人舎オフィスに戻る。

そして訪問者、お二人。
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新妻健治さん(右)と福本良介さん。
新妻さんは、UAゼンセン流通部会副部会長、
イオングループ労働組合連合会会長。
福本さんは同流通部門執行委員、
総務・財政部長。

新妻さんは、労働界きっての理論家。
しかも小売流通業にも精通していて、
私は「日本商業の現代化」に欠かせない人物だと考えている。

そのUAゼンセン流通部会で、
4月下旬に、講演する。
その打ち合わせ。

新妻さん、福本さんとは、
もっともっと議論したかった。

月刊『商人舎』と『商人舎Magazine』で、
いずれたっぷりやりましょう。

昨日は、立教大学池袋キャンパス。
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大学院の学位授与式が挙行された。

小雨模様のキャンパスには夜桜。
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タッカーホール壇上には、
聖歌隊と総長をはじめとする首脳陣。
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吉岡知哉総長は法学部政治学科教授でもある。
立教大学の理念「リベラル・アーツ」を語った。
「知性、感性、そして身体の全人格的バランス」を最重視するもので、
これが1874年の創立以来の理念。

リベラル・アーツ教育が目指すのは、
「教養ある専門人の育成」ではなく、
「専門性に立つ教養人の育成」である。

「私の位置は何か、
私は何をするために、
ここにいるのか」

吉岡総長は問いかける。

「そのためには自由がなければならない」

「東日本大震災と福島原発の事故のあと、
私たちは自由を忘却してきたのか、
自由を放棄してきたのか、
そもそも自由でなかったのか」

大学院を修了する者だけでなく、
この学位授与式に参列した者全員に、
問いかける言葉だった。
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式典が終ってから、
ビジネスデザイン研究科結城ゼミ第4期生と、
写真。
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みんな、おめでとう。

私は1年間一緒に研究してきて、
彼らの修了の雄姿をこの目に収めておきたかった。

その後、学位記授与が行われ、
さらに第一食堂で懇親会。

ここで、結城ゼミ全員が揃った。
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右から、大塚英里、
香川耕太郎、
武藤麻代、
松井亮一、
内田憲一郎。

素晴らしい1年だった。
素晴らしい研究だった。

いずれも、
「専門性に立つ教養人」となった。

心から、おめでとう。

さらに二次会。
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結城ゼミに、
亀川ゼミ、高岡ゼミのメンバーも加わって、
最終電車近くまで盛り上がった。

特に堀田直樹さん、
優秀論文賞、
ほんとうにおめでとう。

さて、論文と言えば、言葉。

『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭言は、
「今日のダーリン」。
糸井重里が自ら、
毎日書いている。

「『ことば』を発せずにできることのほうに、
さまざまなサービスは
向ってきたような気がします。

自動販売機もどんどん増えて、
さまざまな無言のままで済むしくみが発達してました。
なにもしゃべらないまま、一日暮らせてしまいます。
他人に対して、どこの誰かわからないようにして
匿名のままで、かなりなんでもできてしまいます」

しかし自動販売機だけでなく、
インターネットやソーシャルネットワークが発達した。

「ネットの世界では、声帯を使わず、
タイピングだけでいくらでもおしゃべりができますから、
頭や、目や指は、『ことば』を使ってますね」

「そうか‥‥
声がいらなくなってきたのかな?

声って、肉声というくらいで、
身体と、分けられないくらいに関わっています」
タイピングした『ことば』は、身体的ではなく記号です。
声と声で『ことば』をやりとりするって、
ちょびっとずつでも、身体を感じあってるんですねー」

ネット販売は別にして、
小売業、サービス業は、
肉声をもとにお客様と接する。

私はネットでブログを書いて、
主張を発信しているが、
肉声の講演をとても大切にしている。

「そういえば、ぼくは、声でじぶんの体調を確かめます。
いい声、確かな声は、受けとめるほうにも快感があるし、
うまく声が出ていないときには、
伝えたい『ことば』も、届きにくくなっています。
声って、出してないと出なくなるものなんだよなぁ」

毎日、店に立つ。
商売をする。

会社で会議をする。
ミーティングをする。

言葉と声は、
知識商人にとって、
とても大切な商売道具だ。

最後に、結城義晴著『メッセージ』より、
「言葉」。

瞬間、言葉を失う。
言語シンドロームか。
会話イップスか。

言いたいことが言えない。
私にもある。
だからこれは許そう。

しかし、商売に言葉は欠かせない。
仕事に専門用語は不可欠だ。
取り引き・取り組みに会話の手はぬけない。

難しいけれど、それでしか表わせない深い意味。
そのまま英語だが、新しい魅力的な概念を込めた用語。
記号だけれど、何度も使うに便利なもの。

商品という単語。
売場という文章。
店という思想。

半面、疲れ果てた古い言葉。
心のこもらない接客七大用語。
口先だけのマニュアル常套句。

独り善がりのひけらかし修飾語。
売り言葉に買い言葉。
体系のない借りもののカタカナ羅列語。

はじめに言葉あり
言葉は神とともにあり
言葉はすなわち神なりき
(ヨハネ福音書)

言葉で仕事し、
言葉で思索し、
言葉で成長する。

新人諸君、先輩諸氏。
社長も部長も店長も。
モノ言わぬ者は、去れ。

評論家も、コンサルタントも。
識者も、学者も、編集者も。
考えぬ者は滅びることを知れ。

桜にも、鳩にも、
言葉をかけてあげよう。
それが春の人間の仁義です。

もちろん、同じようにお客様にも。
それが春の商人の仁義です。

〈結城義晴〉

 

2013年03月25日(月曜日)

2月業態別販売統計/コンビニとSM激減「催事終れば極めて厳しい」

Everybody! Good Monday!
[2013vol13]

2013年の第13週。
3月最終週にして、
首都圏の桜は満開。
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坂口安吾の『桜の森の満開の下』。
戦後の混乱期、1947年(昭和22年)発表の短編小説。

新潮文庫の『白痴』というタイトルに入っていたと思うが、
この中には『私は海を抱きしめていたい』も収められていて、
ひどく懐かしい。

平安の時代か、
鈴鹿峠の山賊と京の女の話。

桜の森は恐ろしい。
その桜が満開のときに下を通れば、
ゴーゴーと音が鳴り、
気が狂ってしまう。

そんな桜もある。
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夢待たず天寿を待たず花待たず

〈日経俳壇 有田・梅本哲夫〉

桜を楽しみつつ、
達観した心境。

しかし、2年前の3月のあのことは、
忘れてはいけない。
陽炎の如き悪夢の世界かな
〈朝日俳壇 船橋市・本田武栄〉

悪夢も陽炎のごとくなる。

春光の揺らぎにも君風にも君
〈句集『龍宮』より 照井翠〉

被災地・釜石の高校教師で俳人。
逝ってしまった君を、
春光の揺らぎにも、
春の風にも、
感じとる。

2年前の春は、
忘れてはならない。

しかし日経新聞『ここに注目』は、面白い。
「桜の開花が早い年は、
景気の拡張局面を迎えている」

なんと前向きで、率直で、
非科学的なんだろう。

今年の東京の開花は16日で、
例年より10日早かった。
1953年以降では最も早い開花日。

同じく「16日に開花した2002年は、
73カ月景気拡大が続いた『いざなみ景気』が始まった年」。

春物衣料などの商戦が早まる。
外出しやすくなることで個人消費が底上げされる。
明るいムードが経済全体に広がる。
これらが景気を下支えする。

しかし開花日から満開日までの日数も、
消費や経済にとっては重要ポイントだという。
「長く桜が咲いている年も、
お花見ムードが続くので、
好景気が持続しやすい」

1966年は17日間だった。
1989年は15日間だった。
これらは「景気拡張が続いた」。

しかし今年の東京の満開日は22日で、
その期間は7日間。
平年は9日間で、
平年よりやや短い。

開花は早いが、
期間は短い。

これは景気とどう関係するのか。
それは書かれていない。
「円高是正や金融緩和期待などで
市場のムードは改善しており、
経済指標にも強い数字が目立ち始めた。
花見のお祭り気分が後押しすれば、
景気回復も力強さを増すだろう」

さて、今週。
ずっと春の甲子園高校野球大会が続く。
そして金曜日の29日から日本プロ野球開幕。
日曜日の31日、米国メジャーリーグ開幕。

野球とベースボールの季節が、
一気にやってくる。

そして来週月曜日から4月。

はやいもので、もう2013年も、
3カ月が過ぎようとしている。

いちがつ、いく。
にがつ、にげる。
さんがつ、さる。

その通り。

私は、明後日の水曜日からアメリカ。
そして渡米中の29日金曜日に、
月刊『商人舎』の最終締切日。

褌を締め直して、
頑張る。

私が忙しいから、
先週末から今日にかけて、
商人舎への来客多数。

まず、今日、宮田昇先生と後藤周太郎税理士。
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2013年1月期の㈱商人舎の決算報告。
2008年2月1日に創立して、5年が経過。
「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

ひたむきに努力してきて、
ほんのわずかではあるが、
最高売上高と最高利益。

その上、無借金経営。
私の信条。

全てのみなさんのお蔭です。
ありがとうございました。

利他と無私を、
これからも貫いていきます。

今日は、㈱商業界の昔の仲間も大参集。
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右から、鹿野恵子さん、小林麻里さん、
そして瀬木友和さん。
鹿野さんと小林さんの二人は現在、
取材・執筆・企画・編集をこなすスーパーレディ。

それから瀬木さんは、
㈱ビジネスメディアパートナーズ代表取締役。
昨年10月に東洋経済新報社から独立し、
未来に向かって会社を創業。

私の隣は、松井康彦さん。
アド・パイン代表で、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー。
そして亀谷しづえさん、
商人舎ゼネラルマネジャー。

全員が㈱商業界出身者。

みんな元気で、
私は嬉しい。

そして先週末には、
山口毅さん。
㈱レゾーナを2月22日に設立して、
その代表取締役。
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立教大学大学院の結城ゼミ第3期生。
自ら、化粧品メーカーを創業。
全力を挙げて、応援します。

さてさて、各業態別の2月販売統計月報のまとめ。

3月19日、
「全国百貨店売上高概況」
発表。
調査対象は、
日本百貨店協会加盟の86社、245店舗。

総売上高は4317億3035万円で
既存店前年同月比はプラス0.3%。
2カ月連続でプラス。

今年は「閏年の翌年」という
大きなマイナス要因があったにもかかわらず、
昨対プラスとなった。
消費マインドが好転していることもあって、
高額商品やバレンタインの贈答品などの売上げがけん引。

身のまわり品の540億9761万円、プラス8.6%と
雑貨の629億6449万円、プラス0.5%。
ともに、4カ月連続でプラス。

ただし、衣料品は1376億2825万円でマイナス1.6%、
3カ月連続マイナス。
2月は低温傾向がつづき、
春物需要が伸び悩んだ。

10カ月マイナスだった家庭用品は
219億3375万円でプラスマイナス0%。

食料品はマイナス1.0%で、
1282億5435万円。
2カ月ぶりにマイナスだった。

百貨店にとって重要指標は外国人客。
去年は春節が1月だったが、
今年は2月だったことで、
外国人客の売上げと客数が大幅増。
売上げはなんと、
プラス115.2%、

客数もプラス84.2%。

先週3月21日にコンビニ、チェーンストア、
スーパーマーケットの結果が続々と発表された。

まずはコンビニ。
日本フランチャイズチェーン協会から発表。
「コンビニエンスストア統計調査月報」
調査対象は正会員のコンビニエンスストア本部。
ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、
セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、
デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、
ミニストップ、そしてローソンの10社。

店舗売上高が既存店ベースで、
6081億0300万円、
前年同月比マイナス4.7%
9カ月連続マイナス。

全店ベースでもマイナス0.9%。
6695億8800万円。
全店はなんと、
1年5カ月ぶりのマイナスとなった。

既存店来客数は10億0641万人、マイナス4.7%。
既存店客単価は604.2円で、マイナス0.4%。

天候、たばこ購入者の減少、
閏年の翌年などの要因が重なり、
コンビニは息切れ気味。

それでも、コンビニの強みでもある、
カウンター商材は比較的好調だった。

部門別の前年同月比は、
日配食品 プラス1.6%、
加工食品 プラス0.3%、
と食品は好調。

対して、
非食品はマイナス2.4%、
サービスがマイナス13.0%と不調であった。

百貨店が好調でコンビニが不調。
時代が逆転した。

次に、
「チェーンストア販売統計(月報)」
日本チェーンストア協会から発表。
調査対象は総合スーパーを含む会員企業57社、7880店。

2月の総販売額は、9140億2020万円。
既存店前年同月比がマイナス5.5%。
12カ月連続のマイナス。

コンビニよりも悪い。
部門別の概況は、
食料品が5964億6667万円でマイナス5.3%、
衣料品が824億1745万円でマイナス9.2%、
住関品は1778億0539万円、マイナス4.8%、
サービス29億6136万円のマイナス6.6%、
そしてその他が543億6933万円のマイナス2.8%。

ここでも閏年の影響で、
マイナスの文字が並ぶ。

「スーパーマーケット販売統計調査」
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会の合同発表。
速報版の調査対象は310社、7347店舗。

2月の実績は以下。
総売上高が7331億8211万円で
前年同月比が既存店でマイナス5.0%。
全店ではマイナス2.8%。

ただし、前年は閏年。
そこで前々年の同月比と比較してみると、
全店ベースでマイナス0.2%だった。

部門別では、
食品合計が6425億4263万円
前年同月比マイナス4.9%、
前々年同月比プラスマイナス0%。

生鮮3部門合計は2430億2039万円(▲5.6%、▲0.6%)
青果 988億8933万円(▲6.2%、▲0.2%)
水産 667億0461万円(▲6.7%、▲3.0%)
畜産 774億2645万円(▲5.9%、1.0%)

惣菜 660億4514万円(▲3.8%、3.0%)
日配 1343億6626万円(▲5.7%、▲0.4%)
一般食品 1991億1083万円(▲3.8%、0.1%)

非食品 584億4971万円(▲4.4%、▲1.2%)
その他 321億8977万円(▲4.1%、0.1%)

江口法生さん。
日本スーパーマーケット協会事務局長。
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「前年同月比マイナス5%と大幅減に見えるが、
今月は閏年の翌年で1日営業日が少なかった。
そこで、前年と前々年両方の数値を出して比較。
この1日の影響度としては、
平均マイナス2.5%
くらい」

「2月のポイントは、
閏の翌年ということ。
節分、バレンタイン商戦、
受験関連商品、
そして鍋などの季節商材」

「今年は大雪や大寒波など、
天候に左右された部分が大きかった。
寒かった分、鍋物は好調だった」

「節分はダウントレンド。
従来の節分商材のイワシや豆の売上げは減っている。
しかし、恵方巻きは売れている。
価格ラインを増やしたり、アイテム数を増やしたり、
各社恵方巻きには力を入れたものの、
それ以上の広がりはなかった。
また、節分が日曜日だったこともあり、
法人需要が減った店もあった」

ゲストスピーカーは村上篤三郎さん。
㈱たいらや代表取締役社長。
20130322114130.jpg
「たいらやは㈱エコス100%出資の子会社。
現在、栃木県に24店舗を展開しており、
昨年度の売上げは282億円。
既存店前年比マイナス1.2%。
第一四半期マイナス3.4%、
第二四半期マイナス0.2%、
第三四半期プラス0.4%、
第四四半期マイナス1.5%」

「ここ8年間、毎年増収しているものの、
1年だけ減益した年があった。
それは2010年。
70%減益してしまった。
理由はレジ袋を有料化した結果」
たいらやは競合店よりレジ袋の有料化を先行導入、
しかしわずか3カ月ほどで中止した。

「年末年始はよかった。
節分は前年より50%増、
バレンタインも15%増。
しかし、催事が終わったら、
極めて厳しい」

20130322114121.jpg
「栃木県は地元資本が弱く、
ベニマル、カスミ、ベイシア、とりせんなど
県外の企業が強い。
県内のシェアでいうと、
ベニマルが10.4%、
とりせん8.6%、
イオングループ8.0%、
オータニ7.9%、
そして、たいらやが7.8%。

県外の企業はだいたい毎年2店のペースで出店してくるが、
県内企業は年1店の出店がほとんど。
たいらやは来年以降、2~3店出店しようと考えている」

「今年度のたいらやの課題は
ひとつ目は、客数と売上げを最大限伸ばすこと。
これまで、店舗の見た目は、
ベニマルやヤオコーに似せてつくってきた。
しかしこれからは、
オペレーションやマネジメントの部分を強化し、
売上げにつなげていく」

「ふたつ目の課題は粗利率を上げること。
ロスについては今まで目をつぶっていたが、
今後ロス率の削減に本格的に取り組む」

最後に、今日発表された外食。
日本フードサービス協会、
「データからみる外食産業」
調査対象は225社、31885店舗。

全店の売上高前年比は閏年の影響でマイナス1.3%。
ただし、日商ベースでは、
前年を上回る結果の店が多かった。

ファーストフードがマイナス3.6%。
洋風ファーストフードがマイナス8.2%と不調。

ファミリーレストランがプラス2.4%。
焼き肉店が特に好調で、
プラス15.7%。

パブ・居酒屋がマイナス3.7%、
ディナーレストランがプラス2.8%、
喫茶がマイナス2.4%。
最後にその他がプラス5.7%。

景気回復への期待感は上昇している。
外食は消費の水先案内人。

その動向は大いに注目しておきたい。

2月の成績を順に並べると、
百貨店は、既存店前年同月比プラス0.3%。
外食の全店売上高前年比はマイナス1.3%。
コンビニの前年同月比マイナス4.7%
スーパーマーケットは、マイナス5.0%。
そして総合スーパーはマイナス5.5%。

ちなみに1月の既存店前年同月比は、
百貨店、プラス0.2%、
コンビニ、マイナス0.9%、
スーパーマーケットはマイナス1.7%、
外食はマイナス2.2%、
そして総合スーパーはマイナス4.7%。

コンビニとスーパーマーケットが、
大きく落ち込んできた。

世間はアベノミクスで浮かれていて、
株価と為替は上昇気分だったが、
日常生活を担う業態には、
ひどく厳しい2月だった。
それが3月も続いている。

虚業が伸びても、
実業は縮んでいる。

たいらや村上篤三郎さんではないが、
「催事が終ったら、極めて厳しい」。

何か催事を創り出さねばならない。

褌を締め直して、
3月を締めくくりたい。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉

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