昨日、帰国して、
今朝は東京・大門へ。
東京タワーは小雨にけぶる。
けれど芝公園は、
新緑がまぶしいほど。
いい季節です。
『ほぼ日』の巻頭言。
糸井重里のコラム。
「どこかを歩いていても、
クルマで走っていても、
知らず知らずのうちに
大きな樹木を、
目が探している」
「大きな木が、いまそこにある」
それを糸井が考察する。
結論は、
「一本ずつの大きな木は、人びとの望んだものだ。
人びとが、景色のなかに望みを残していく。
それは、文化というものなのかもしれない」
「山やら森やら林やら、木のことを考えるのは、
むつかしくもおもしろいです。
困難そうな問題も、たくさんありそうです」
そのとおり。
CWニコルさんはその達人。
私も「商業の現代化」を考えるとき、
ニコルさんの実行法と思考法が、
ほんとうに役に立った。
「簡単なことなどひとつもありはしません。
知ったかぶりをしないで、
わかることはわかる、わからないことはわからないと、
素人のままで、考え続けていこうと思います」
「テレビとか見てると、ある問題があると、
いかにもすっきりと答えを断定してくれそうな人に、
一気に結論を言ってもらうというスタイルが
とても多いように思うのですが、
ぼくらは、『うろうろする』ことそのものを、
楽しんで行きたいと思っています」
小売流通業界においても、
この傾向は大いにある。
わかりやすく断言する。
それが受ける。
しかし現実と照らし合わせると、
絶対にそんなことはない。
糸井さんはつぶやく。
「『型にはめていく』やり方ではなく、
最近、気に入ってる『こねあげていく方法』です」。
こねあげていくのは、
一人ひとり。
誰かが「これだ」というのは、
「型にはめていく」やり方。
私の言う「脱グライダー」は、
「こねあげていく方法」。
糸井さんの結論。
「だって、わかっている結論に合わせるように
未来がやってくるわけじゃないですもんね」
「予感と現実が、飛び交い踊り合うようにして、
未来のすがたになっていくんだもんね」
未来の姿を「これだ」と断言する者は、
信用できない。
ここには人間としての謙虚さがない。
ピーター・ドラッカー教授の主張、
「Integrity」がない。
ドラッカーは、
「既に起こった未来」を、
自分の目と耳で見て、
読み取れ、考えよ、と説く。
誰かにそれをやってもらうという習性は、
もう捨て去ろう。
誰かが断言したことは、
どこかでは正しかったかもしれないが、
あなたにとって正しいとは限らない。
正しいのは、
あなたの前に横たわっている事実だけである。
そのあなたの前の事実に、
率直に目を向けよう。
自分で、あるいは仲間とともに、
「こねあげていく」ところに、
真実がある。
これだ。
さて芝公園を通りながら考える。
ダラスは寒波に見舞われて、
今回はよろしくなかったけれど、
サンフランシスコもサクラメントも、
本当に素晴らしかった。
小雨模様ではあっても、
やはり、東京も横浜も、
私自身に染みついた懐かしさがある。
よくぞ日本に生まれけり。
こんなに日米間を行ったり来たりしていて、
私の身体がもつのだろうか。
今朝の日経新聞『ライフ&タイム』。
「世界の航空利用者、29億人」
国際民間航空機関(ICAO)のまとめ。
定期便を使って飛行機で移動した人の数、
2012年に全世界で約29億人。
これは1992年の約2.5倍。
20年前は約11億人だった。
前年の2011年比でも5.5%増。
私もわずかながらこの数字に貢献している。
さて、大門では
カスタマー・コミュニケーションズ㈱(CCL)を訪問。
『月刊商人舎』と『商人舎magazine』のインタビュー。
まず米倉裕之さんが対応してくれた。
カスタマー・コミュニケーションズ代表取締役社長。
リテールソリューションユニットマネジャーの島崎尚子さん。
同じくシニアアナリストの本田貴洋さん。
三人、存分に語ってもらった。
商人舎側はライターの小林麻里さん、
チーフエディターの渋木克久、
ゼネラルマネジャーの亀谷しづえ、
そして結城義晴。
7人で大いに語り、
大いに考えた。
CCLはID-POSで、
顧客の動向をデータにして、
それを読み取るマーケティング機能を発揮する。
まさしく事実を科学的に、
「こねあげていく」会社。
5月10日のグランド創刊号『月刊商人舎』、
ご期待いただきたい。
最後は私と米倉さんのツーショット。
帰国したらすぐに、
月刊『商人舎』の取材。
休む間もないが、
これも「こねあげていく方法」の実践。
「既に起こった未来」を、
追い求めながら。
〈結城義晴〉