ラスベガス3日目。
連日熱帯地方のような日差しと暑さ。
それでも乾燥しているので、
いくらか凌ぎやすさはあるが、
吹き付ける熱風に、
体力は消耗される。
この日も朝8時半から11時半まで、
熱の入った講義。
商人舎USAベーシック研修会は、
毎日、午前中は講義、
そして午後は目いっぱい視察する。
講義では、大事なことを伝えたい。
だから、講義が進むと次第に熱が入ってきて、
ジャケットを脱いで、手振り身振り。
米国小売業の業態の歴史を整理し、
業態からフォーマットへの変化と、
ポジショニングの重要性を訴えた。
なぜポジショニング戦略が大事なのかを、
実際に自分の目で見て、わかってもらう。
それが視察の大きな目的。
かつて全米第2位のスーパーマーケットとして
その名を馳せたアルバートソン。
店内に入るとご覧のとおり。
お客がいない。
青果売場も形は整っているが、
ひどく在庫が少なくて、
貧弱な陳列。
それでいて、床だけはピカピカ。
これはつらい。
参加者も、
かつてのエクセレントカンパニーの現状に、
言葉も出ない様子。
対照的に個性の際立ったスーパーマーケット。
トレーダー・ジョー。
何よりも活気がある。
その上で、店づくり、サインなど、
トレーダー・ジョーにしかないポジショニングがある。
売場もスタッフも元気いっぱい。
とにかく楽しいお店。
買い物がしたくなる空間。
そしてもう一つ。
スプラウツ ファーマーズ マーケット。
中央部に青果部門がデンと構えるスーパーマーケット。
ウェットルックの床。
濡れたように見える床。
地元農家の産品をできる限り多く品揃えする。
つまり「地産地消」。
清潔で開放的な売場空間。
参加メンバーもショッピングを楽しんだ。
ウィンコ・フーズもスーパーマーケットのひとつ。
入り口の「ザ・ウォール」。
スーパーウェアハウスストア。
ウォルマートよりも安さを強調し、
それでいてウェットルックの床。
スーパーマーケットの業態は、
分化して、フォーマットの差異を表現する時代となった。
業態はどんどん変化を遂げている。
イノベーションが起こっている。
だから、自分の立ち位置を際立たせたものが輝いている。
お客の支持がそれを証明している。
もちろん王者ウォルマート。
その主力部隊のスーパーセンター。
ウォルマートのポジショニングが、
アメリカ消費社会で群を抜いている。
だから他はそのウォルマートにできないポジションを築く。
コストコはその典型だ。
メンバーシップ・ホールセールクラブ。
ウォルマート・スーパーセンターよりも、
決定的なくらい安い。
しかし大容量。
その安さによって、
大容量の弱点を免除してもらう。
その論理性の明確さが、
コストコのポジショニング。
ダイヤモンドは、
最高額2万8399ドル99セント。
約284万円也。
ドン・ぺリニヨンは139ドル89セント。
トイレットペーパーと、
ダイヤモンドを、
一つ屋根の下で売るフォーマット。
コストコはどこの店も、
大繁盛している。
レジのうしろには天井から大きな垂れ幕。
コストコ・ドット・コムの宣伝。
O2Oの時代がやって来ている。
on-line to off-line。
どの企業もどの店も、
ポジショニングを競っている。
自分の立ち位置を明確にし、
それを際だたせている。
同質化の中に埋没している企業から、
顧客は去って行く。
それは厳しい世界だ。
昼食はIn-N-Out Burger。
厨房の中の店員は、
われわれ50名のオーダーにもまったく焦る気配を見せない。
淡々と作業をこなす。
そしておいしいハンバーガーとポテトフライ。
ギャラリア・アット・サンセットでは自由視察。
スーパーリージョナルショッピングセンター。
百貨店のメーシーズがデンと構え、
コールズ、ディラードの百貨店勢が核店舗。
GMSのJ.C.ペニー。
さらにディックス。
スポーティンググッズの専門大店。
最後にエントランス前で集合写真。
みんなの目つきが変わってきた。
何かを掴み始めてくれているのを感じた。
今日も充実した1日だった。
〈結城義晴〉