結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年08月09日(金曜日)

談志の遺訓「芸術・芸能」とマクドナルド業績ダウン回復作戦?

月刊『商人舎』8月号、
刷り上がってきました。
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今月の特集。
ベニマル・サミット・そしてヤオコー。
スーパーマーケットのクォリティ&サービス型フォーマット戦略

トレーダー・ジョー、
Whole Foods Marketに続いて、
ヨークベニマル、サミット、
そしてヤオコーを特集しました。

いずれも新しいフォーマットを開発し、
新しいマーチャンダイジングを展開中。

それによってアウトスタンディングな
ポジショニングを構築する。

そのケーススタディとして、
三社を取り上げました。

月刊『商人舎』は表紙に400字ほどの言葉があります。
「Cover Message」と呼んでいます。

———————————————–
終戦直後の昭和22年創業の
第一世代、ヨークベニマル。
商業界ゼミナールで
全国の小売店のモデルになり、
『野越え山越え』の精神と
「ベニマル十二章」を堅持しつつ、
日本のスーパーマーケットをリードし続けてきた。

スーパーマーケットの業態を確立した
関西スーパーをベンチマークし、
極めてオーソドックスなマネジメントを特徴とする
業界の優等生サミットは第二世代。

ライフスタイルアソートメントと
ミールソリューションを標榜しつつ、
第三世代ながら
トップレベルに躍り出たヤオコー。

日本の食品小売業を代表する
クォリティ&サービス型の三世代企業。
その最新店舗の店づくりとMDをスタディすることで、
アウトスタンディングなポジショニング戦略の
要諦を明らかにする。

——————————————–
8月号の趣旨は、
このCover Messageでお分かりいただけるはず。

しかし、商人舎は、
スーパーマーケット経営だけの
メディアではありません。

「商業の現代化」を標榜して、
たとえばポスト・モダンのチェーンストア・マネジメントを、
探求します。

「業態」から「フォーマット」への転換を提案します。

イノベーションを志す商人を応援します。

一言でいえば、
近代化を果たした小売商業の
悪い部分を修正し、
良い部分をさらに伸ばして、
現代化へと結びつける。

だから対象は多岐に渡ります。

来月は「総合スーパー」の特集を組みます。
ご期待ください。
8月号の取材のご協力、
この場を借りて感謝申し上げます。

トップのみなさん、広報のみなさん、
ありがとうございました。

さて、『ほぼ日』の対談。
立川志の輔×糸井重里。
タイトルは「落語のはなしをしましょうか。」

話題は志の輔の師匠・立川談志のことばかり。
まずは談志の意外な側面。

志の輔「落語界一、
お辞儀がきれいな師匠だった」

糸井「お客様を、しっかりとお見送りする」

志の輔「最初のお辞儀もそうでしたけど、
見送る時は、座布団をさっとはずして、
直に座ったりしたこともありましたよ」

糸井「みごとですよね。
そこに大サービスを感じました。
ほんとうに、ぺたーっとお辞儀してましたね」

権力には楯突くし、
マスコミにはぶっきら棒の談志。
それがお客様へのお辞儀は業界一。

志の輔が教わった肝になること。
「『芸術』と『芸能』の境目が大事なんだ、と。
言い換えれば『芸』と『商売』との間ですね」

「食べるために芸をやってるんだけど、
でも、食べるためだけに
芸をやっているのとも違う」

これは商売の仕事にも通じる。

食べるために商売しているけれど、
でも、食べるためだけに
商売やっているのではない。

食べるために仕事しているけれど、
でも、食べるためだけに
仕事やっているのではない。

談志は志の輔に言い聞かせた。
「自分が納得する『芸術』と、
人を楽しませる『芸能』と、
その間が、おまえの落語なんだ」

自分が納得する仕事と、
お客様の役に立つ仕事。
その間にあなたの仕事の価値がある。

どこに自分の仕事を位置づけるかで、
自分のポジショニングが決まる。

さて日経新聞のWeb刊。
紙の日経新聞のWeb版。
「マクドナルド、円安響き
今期業績を下方修正」 

日本マクドナルドホールディングス。
2013年上半期の連結決算。
1~6月期。
半期の売上高は1297億円で、
前年同期比11%減。
経常利益74億円で、39%減。
それでも経常利益率は5.7%。

純利益は45億円で、35%減。

問題の円安の影響は7億円と判定。

既存店来店客数は前年同期比2.8%減、
既存店売上高は6.3%減。

今日、記者会見の席で、
原田泳幸会長兼社長のコメント。
「残念な結果」。

こんな時には、
「遺憾ながら」か、
「残念」か、
どちらかしかない。

上半期の不振の原因。
「コンビニエンスストアとの競争が厳しいなかで
期間限定のハンバーガーを含む新商品の投入を
抑制したことが響き集客に苦戦した」

これはクォーターパウンド・バーガーのことを意味している。
その投入が、遅かった、少なかった。

2013年12月期通期の見通しも発表。
売上高2650億円、10%減。
経常利益195億円、18%減。
それでも経常利益率は7.4%。

連結純利益は117億円、
前期比9%減の予想。

円安により原材料は価格が上昇。
その影響は経常利益を20億円押し下げる。

通期の減益の理由。
第1は、競争激化による期初の客数減。
第2は、為替の円安による原材料費上昇。
アベノミクスは国内消費産業には、
アゲンストウィンドゥなのである。

原田泳幸の見解。
「外食産業を巡る消費環境は極めて厳しい」

外食・中食・内食の間の競争。
業態を超えた競争。

その渦の中心に、
日本の場合、コンビニがいる。
アメリカではウォルマートが、
そこにデンと座っている。

原田泳幸の作戦。
「1~2月の失敗を生かし、
集客に向け新たなメニューを
組み立てることが今後の課題だ」

スーパーマーケットの世界では、
「新MD」という言葉が大流行りだが、
外食産業では「新商品」か。

どちらもマーチャンダイジングによって、
失地回復を狙おうという政策だが、
ではコンビニは、
新商品によってマクドナルドを、
窮地に追い込んでいるのか。

今年度のコンビニの国内出店計画は、
約4000店で過去最高。

出店数から閉店数を差し引いた純増数は、
2300店超で、これも過去最高。

セブン-イレブンは新店1500店の目標を、
着々と実現させている。

その上で、サービス機能、新商品投入。
店全体の存在価値を高めている。

マクドナルドが、
クォーターパウンドバーガーを、
早めに投入しても、
そのバラエティを多様化しても、
太刀打ちはできそうもない。

来年4月の消費増税に向けて、
全軍での総力戦が展開されているのだ。

そのあたりの認識と緊迫感。
ビンビンと感じるアンテナを持たねばならない。

給料をもらうために経営をやっているけれど、
でも、給料のためだけに
商売をやっているのではない。

〈結城義晴〉

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