日経MJに寄稿しました。
毎月1回、
2000字の原稿を書いている。
マーケティングのSTP。
フィリップ・コトラーが
提唱している基本中の基本。
セグメンテーション(Segmentation)、
ターゲティング(Targeting)、
ポジショニング(Positioning)
その頭文字をとってSTP。
ただしSTPの前に
市場調査が必須となる。
これをResearchの頭文字をとってRと略し、
R-STPと関連づけるのが常道。
まず市場における顧客と需要の状況や
競争環境を調査し、
自社自店を取り巻く情勢を分析する。
そのうえで、市場の細分化を試みる。
一般的なマーケティングでは、
性別や年代、所得や人種、
さらに地理的条件などで
細分化は行われる。
これがセグメンテーションだ。
小売業やサービス業で、出店の際、
立地調査をし、商圏を設定するが、
これがリサーチと
セグメンテーションということになる。
次に、細分化した市場の中から、
自社自店が最も
「強み」を発揮できる領域に
絞り込んで、ターゲットを決める。
競争を優位に
展開できるマーケットを選択する。
これがターゲティングである。
しかしターゲティングしても、
まったく競争が起こらないわけではない。
同じマーケットを同じように
ターゲティングする企業や店は存在する。
そこで、ターゲットとする市場において、
競争相手と違った考え方、
方法で顧客を獲得し、
営業を展開していくことになる。
それがポジショニングである。
流通サービス業では、
このポジショニングがとりわけ重要になる。
ポジショニングとは、
ターゲットとするマーケットで、
コンペティターの戦略戦術を分析し、
コンペティターができない作戦、
しかも自社自店の強みが
生きる政策を講じ続け、
競争を優位に展開することだ。
この一連の戦略がSTPといわれるものだが、
小売りサービス業ではこれまで、
やや冷やかにこの考え方を見ていた。
とりわけ大衆品を扱うチェーンストアでは、
マーケティングの概念が
否定されたほどだったから、
セグメンテーション作戦など、
自ら市場を狭めてしまって、
それではハナッから
商売にならないと考えられていた。
総合スーパーや食品スーパーマーケット、
ホームセンター、ドラッグストア、
そしてファストフードやファミリーレストラン。
STPではなく、
エブリボディ・グッズ、
エブリデー・グッズを対象に
マス・マーチャンダイジングをすればいい。
そう考えられてきた。
しかし20世紀の高度成長期のように、
すべてをごっそりと奪い取ることはできない。
アメリカでは、
圧倒的に強いウォルマートを
中心にした激しい競争の中から、
小売りサービス業やチェーンストアでも
STPマーケティング抜きには、
サバイバルできないという状況が生まれた。
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さて今日は朝一番で、
東京・大門。
プリンスホテルの上に、
ニョッキリと東京タワー。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱の、
定例役員会。
重要な報告と決議。
ピーター・ドラッカーを思い出した。
堂々と成果を上げよう。
仕事を楽しもう。
自分の強みを伸ばし、
燃えるものを見つけよう。
いつまでも挑戦しよう。
尊敬する人と仕事をしよう。
会議が終わると、
東京駅に直行。
上越新幹線に乗り込んで、
約1時間半。
新潟県の長岡に到着。
㈱原信ナルスホールディングス本部を訪問。
代表取締役社長の原和彦さんのインタビュー。
その原信ナルス・ホールディングスは、
10月1日に、
フレッセイホールディングスと統合して、
アクシアルリテイリング㈱となる。
120店2000億円、
新潟県・群馬県を中心にした、
リージョナルチェーンとなる。
月刊『商人舎』10月号では、
「M&A」特集を企画している。
その、目玉インタビュー。
私も随分、持論を展開して、
語りたいことを語った。
専務取締役の山岸豊後さんが
ずっと付き添って、サポートしてくれた。
1時間半も、実にいい対談ができた。
感謝したい。
同社は、ナルスと合併する前の原信時代から、
TQM(トータル・クォリティ・マネジメント)の活動を、
30年以上も続けている。
それが今回も、新しい会社の背骨となる。
まさにTQMを、
ポジショニング戦略の核にしてほしい。
私はそう思った。
新しい会社はアクシアルリテイリング。
名前にちなんで、握手。
故原信一会長の像の前で、
再び握手。
原信一さんには、2008年4月17日、
商人舎発足の会の発起人になっていただいた。
心から感謝しつつ、
新生アクシアルの健全な発展を祈念した。
その後、原信川崎店を訪問。
つまみの惣菜やビールを買い込んだ。
いい店だった。
最後に再び、ドラッカー。
「組織に働く者は、
組織の使命が
社会において重要であり、
他のあらゆるものの基盤であるとの
信念をもたなければならない。
この信念がなければ、
いかなる組織といえども、
自信と誇りを失い、
成果をあげる能力を失う」
〈結城義晴〉