2013年度、中華人民共和国政府は、
「7.5%成長」を目標に掲げている。
昨日11月の中国経済統計が発表されて、
それが確認された。
日本経済新聞が報じた。
まず11月の工業生産。
前年同月比10.0%のプラス。
4カ月連続の二桁成長。
11月の社会消費品小売総額は、
なんと13.7%プラス。
前月比で伸び率は0.4ポイント増大。
輸出も二桁の伸び、
固定資産投資は前年同期比19.9%増。
そこで政府系シンクタンクの中国社会科学院は、
今年の実質経済成長率を7.7%と予測。
政府通年目標「7.5%成長」の達成は、
ほぼ間違いない。
もちろん、先行き不安はないわけではないが、
店頭を見ていると、
社会消費品小売総額13.7%増も、
おおいに納得できる。
昨日も書いたが、
イオンの前身・岡田屋の家訓に、
「大黒柱に車をつけよ」がある。
一方のイトーヨーカ堂の信条は、
「基本の徹底と変化への対応」。
イオンもセブン&アイも、
大黒柱に車をつけて、
この地にやってきた。
日本小売業としての基本を徹底しつつ、
変化への対応に励む。
それは成長するところでの、
マーケティングやイノベーション。
そこで成長の実感を体験する。
そして国際競争を経験する。
その結果、
イノベーションが起こったら、
イノベーションの体験こそが、
最大の収穫だ。
2008年まで、
中国の商売は、
右肩上がりだった。
日本からこの地に進出した小売業も、
それを体感した。
このことは実に、
大きな体験だった。
それから陰りが見えている。
しかしそこにイノベーションが起これば、
それが何よりも貴重な経験だ。
さて中国・北京での2日目。
朝8時から夜7時まで、
11時間の店舗視察。
何だかいつもよりも忙しい。
初めに華糖洋華堂商業有限公司へ。
事務所内の会議室には、
ずらりと並ぶ歴代の担当役員。
真ん中右に、
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん、
真ん中左は現会長の鈴木敏文さん。
話をしてくれたのは、
董事・総経理の国見和美さん(左)と
華糖洋華堂亜運村店店長の斎藤秀一さん。
伊藤さん、鈴木さんたちの視線を感じつつ、
北京・天津中国マーケットの変化、
競合店との差異化された取り組みを聞いた。
本部があるビルに立地するのが亜運村店。
2001年12月に出店。
北京2号店になる。
日本でいうGMSではない。
国際的に分類されるハイパーマーケットでもない。
それらより一歩洗練され、
アップグレードした層を狙う、
いわゆるジュニアデパートを目指していると、
私は見た。
むしろ「大衆百貨店」と称したほうがいい。
そこにSTPのマーケティングを展開している。
広めの通路、洗練されたプレゼンテーションが、
他店との違いを出す。
食品売場も、鮮度感を前面に出して、
充実した品ぞろえ。
日本流の接客を絶対崩さない。
いや、昔からあるイトーヨーカ堂の接客が、
中国人社員によって展開されている。
日本のイトーヨーカ堂よりも、
ヨーカ堂らしい。
私は勝手に、
そんなことを感じた。
次に訪れたのが、
WuMart。
北京の食品市場35%のトップシェアを誇る。
北京物美商業集団の渉外担当の張賀さんに、
インタビュー。
28歳の好青年。
大学を出てイギリスに留学して、
その後、物美入社5年目だが、
実に丁寧にウーマートの戦略を語ってくれる。
この店はハイパーマーケットだが、
ウーマートはスーパーマーケットと、
コンビニ型ミニスーパーとのマルチフォーマット戦略。
店を案内してくれつつ、
作業システムの新たな取り組みを解説してくれた。
つまり生鮮食品のロス管理。
イノベーションが起こっている。
三番目に訪れたのは、
外資代表フランスのカルフール。
北京市場の10%のシェアを持つ。
つまりいまだに2番手。
ハイパーマーケットでの進出。
相変わらず雑な売場づくりだが、
この店は活況を呈している。
2フロアで食品が強い。
かたやアメリカのウォルマート。
この店は北京最大の売上高を誇る。
こちらもハイパーマーケット。
北京でも頑張っているが、
残念ながらウーマートにはかなわない。
売場管理はさすが、
そしてクリスマス・デコレーションも。
ウォルマートは、
北京にスーパーセンターを12店舗、
サムズクラブを2店舗。
この店では入社3年目の劉さんにインタビュー。
ウォルマートが好きで入社したプロパー。
店舗のコミュニケーション担当。
それぞれの小売業が好きで入社したという中国の若者たち。
ぜひ頑張ってほしいものだ。
こちらはイギリスのテスコ。
この店も一応は、
食品強化型のハイパーマーケット。
商業ビルの中にある。
ところが唖然、
売場は閑散としている。
こんなテスコは見たことがない。
従業員が手持無沙汰にぶらぶらしている。
何があったのかスタッフに聞くと、
いつもこんな感じだという。
何が起こっているのか?
その答えは500メートルほど先にあった。
永輝超市。
福建省出身の中国資本スーパーマーケット。
驚いた。
生鮮が強く、品ぞろえはどこよりも豊富。
管理レベルもすばらしい。
北京駅前にあるもうひとつの店舗も見てみる。
振り返れば鉄道の中心・北京駅。
ビル入り口には、永輝の強さを示す看板。
中国のチェーンストアでは13位。
ハイパーマーケットやスーパーマーケットでは7位。
永輝超市は、スペインのMERCADONAに劣らない発見。
近い将来、必ず、中国第一の、
スーパーマーケット・チェーンになるに違いない。
ここで結城義晴が予言しておこう。
その現状については、
あらためて詳細をレポートしたい。
今年は当たり年だ。
MERCADONAに永輝超市。
そして中国でも、
地元資本に大きなイノベーションが見られ、
欧米外資は停滞気味。
時代が変わりつつある。
Newsにはふたつある。
第一は誰も知らないことを知らせる。
第二はみんなが知っていることの中から、
大きな誤解や錯覚を解き明かして知らせる。
永輝超市もMERCADONAも、
第一のNewsだ。
最後に夕食は、
シーフードで有名な広東料理レストラン。
キュイジーヌの店。
前田仁さんとビールを交わして慰労しあう。
名物料理の鳥のロースト。
絶品だったロブスターのスープ。
お米が入っている。
こちらもロブスター。
大きな白身魚。
店内のいけすには、
さまざまな魚が泳いでいる。
疲れた体に美味しい広東料理と、
中国製ビールと中国製ワイン。
今日もいい一日だった。
新しいニュースの発見が、
ちょっと私を興奮させていた。
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
(つづきます)
〈結城義晴〉