結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年12月24日(火曜日)

倉本初夫商業界主幹ご逝去、ご冥福を祈りご遺志を継ぎたい

今日はクリスマスイブだが、
ふたたびみたび、訃報。

㈱商業界の倉本初夫取締役主幹が、
12月15日(日曜日)午前11時54分、
逝去された。

90歳。

1週間後の22日に通夜、
翌23日に告別式が、
近親者だけで行われた。

偲ぶ会は2月7日。

商業界ゼミナール終了後に、
アパホテル東京ベイ幕張で開催される。

謹んで哀悼の意を表したい。

1977年(昭和52年)4月1日、
私は株式会社商業界に、
新卒社員として、入社した。

その入社試験の面接官の1人として、
当時の倉本初夫代表取締役社長に会った。

実に穏やかな紳士だった。

他の面接官は、
当時の取締役の櫻井豊治さん、外益三さん、
そして鈴川克美さん。

倉本初夫社長は、
月刊『商業界』だけの経営専門の出版社を、
ラインロビングによって、
総合流通メディアにしようと意図していた。

だから1963年『販売革新』、
1972年『食品商業』、
1975年『飲食店経営』、
1976年『ファッション販売』と、
次々に月刊雑誌を創刊。

現在の株式会社商業界の形をつくる。

その後、1998年、月刊『コンビニ』は、
私が取締役として創刊。
現在の6誌体制ができあがる。

商業界といえば
「倉本長治先生」。

世間ではそう考えられているが、
初夫主幹は長治先生の長男として、
商業界運動を後継し、
日本流通業の近代化に、
多大な貢献を果たした。

長治先生が近代化の精神を築いたとすれば、
初夫主幹は故渥美俊一先生とともに、
近代化の実践を推進した。

その後、私は、
商業界労働組合の委員長として、
経営トップの初夫社長と対峙したこともあった。

さらに編集長、取締役編集統括、
専務取締役と昇格し、
2003年、代表取締役社長に就任。

時代時代にいつも初夫主幹と、
ディスカッションしたり、
サポートしていただいたりした。

商業界社長を辞して、
株式会社商人舎を設立した2008年4月にも、
発足の会の発起人になっていただいた。

この発足の会でのスピーチ。
「商業界からは多くの人が、
卒業していった。
結城君もその一人。
頑張って欲しい」

話し終わって、
壇から降りてきて、
倉本主幹、
「本当によかっただろう?」

結城義晴、
「本当によかったです」

このやり取りは、
忘れることができない。

そして今、私は心から、
「本当によかった」と思っている。

倉本初夫主幹には、
いくら感謝しても足りないくらいだ。

最後に一緒に写真を撮ったのは、
2010年9月14日。

商業界北陸ゼミナール。

主幹が開講講演。
「不況が商人を鍛える!」

それにつづいて、
結城義晴が記念講演。
「商売十訓を解き明かす」

その後の夕食会の写真がこれ。
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320人が一堂に集った。

その後も、
商業界地方ゼミナールで、
お会いしたり、目礼くらいの擦れ違いで、
じっくりお話しすることもできず。

今年9月の佐賀県の九州ゼミでは、
主幹が急遽、風邪を引いて欠席。

ちょっと心配していたが、
12月に入って、逝去された。

これからの商業界、
どうなるのだろう。

そんなことを思うが、
倉本初夫主幹、
心からご冥福を祈りたい。

合掌。

今年は、
杉山昭次郎先生が逝ってしまった。
商人舎最高顧問。
86歳。

2月12日午前3時46分には、
北野祐次さんが逝去された。
関西スーパーマーケット創業者・名誉会長。
オール日本スーパーマーケット協会名誉会長。
享年90。

2月8日、あの松本清さん、
満63歳で早世。
㈱スーパーアルプス代表取締役会長。

子供の頃から大ファンだった大鵬幸喜、
享年72。
大相撲史上最多の優勝32回。

マーガレット・サッチャーさん。
脳卒中で、87年の生涯を閉じた。

山崎豊子さんは、
88歳。

10月1日には、平村文男さん。
㈱大阪屋ショップ代表取締役会長。
75歳。

漫画家のやなせたかしさんは、
94歳だった。
「アンパンマン」の作者。

そして南アフリカ共和国元大統領、
ネルソン・マンデラさん、
95歳で大往生。

堤清二さんも亡くなった。
元セゾングループ代表。
86歳。

親しい友人の小森勝さんも、
65歳で早世してしまった。
日本マーケティングセンター代表。

そして最後に、
倉本初夫主幹。
90歳。

21世紀社会の現代化を思う時、
多くの人々の遺志を、
是非とも発展的に継いでいかねばと、
決意を新たにする。

クリスマスイブのにぎやかな世相の中で、
私は静かに決意する。

〈結城義晴〉

2013年12月23日(月曜日)

今年末年始9連休とコトラーの伊藤雅俊「商人道」こそマーケティング!

Everybody! Good Monday!
[2013vol51]

2013年も第51週。
あと2週間。

今日は天皇誕生日で、
三連休最終日。

明日がクリスマスイブ、
そして明後日がクリスマス。

商人舎magazineの、
Weekly商人舎・日替り連載月曜日は、
「今週の販促企画」。

ここにも書いてあるが、
日本の天皇誕生日と、
世界のイエス・キリストの誕生を祝う日が、
連続している。

23日から、24日・25日。

お目出度いこと。

だから23日の祝日に、
家庭でクリスマスを祝うことも、
なんら違和感がない。
今日はそんな日だ。

その後、土曜日の28日から、
年をまたいで、1月5日まで、
年末年始の一般のサラリーマンは、
9連休。

その間、
小売サービス業は書き入れ時。
人々が休む時に、
仕事をして人々に奉仕する。

それが小売サービス業。

もう、当たり前になっているかもしれないが、
それは尊い仕事なんだ。

私がそれを強調し、賛美する。

頑張ろう。

お互いに。

賛美するだけでなく、
私も一緒に休まず、仕事する。

毎日更新宣言ブログを、
このタイトルで始めた動機の一つも、
ここにある。

年末が近づくといつも、
そんなことを思う。
今回の9連休中も、
私はふたつの仕事を続ける。

第1は、毎日更新宣言ブログ。
第2は、立教大学院結城ゼミ生の修士論文仕上げ。
提出が1月11日だから、ゼミ生たちは、
今週中に私に提出してくる。

だから私は、
年末も正月も、
やり取りをして、
これにかかりっきりになる。

ゼミ生にとっては多分、
人生最初で最後の記念碑となる論文。

私もできる限りのことをする。

日経俳壇・日経歌壇は昨日、
一年の総仕上げ。

選りすぐりの作品の中から、
選者の黒田杏子さんと岡井隆さんが、
厳選した。

そこから結城義晴が、
さらに選んだ。

家族みな朝を祈りて今年米
〈佐倉・小池成功〉

冬囲いされたる木々の覚悟かな
〈岩見沢・木村弥生〉

戦争を知らぬ世代が戦争を知らぬ世代に
詫びろと責めらる

〈横浜・芝公男〉

どの国も混迷いよよ深まりて
政治で収拾つかぬ世となる

〈仙台・星川滉一〉

短歌の方が政治的、風俗的、現代的。
俳句は抒情的、情緒的、私的。

さて2013年12月は、
フィリップ・コトラーを楽しむという余禄がある。
日経新聞最終面『私の履歴書』。

今日はスウェーデンのことが書いてあるが、
昨日は「日本の思い出」。

タイトルにも「『お客様に学ぶ』商人道」とあって、
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんが出てくる。

「日本への旅はいつも興味深く、
刺激に満ちたものばかりだ」

「すばらしい人がいるから」と紹介されたのが、
伊藤雅俊さん(セブン&アイ・ホールディングス名誉会長)。

伊藤さんの「お客様に学ぶ」という姿勢、
商人道はまさに、
顧客主義のマーケティングの実践者だ。

セブン&アイのDNAは、
この伊藤雅俊の顧客主義とマーケティングにある。

さらにコトラーは付け加える。
「私もメモ魔だが
彼もいつもメモを取る勉強家でもある」

まったくその通り。

私も伊藤さんにお会いすると、
私の方がインタビューされて、
メモを取られる。

何だか丸裸にされているような気分になるが、
これが伊藤雅俊流のマネジメントでもある。

さてこれも昨日の日経記事。
「トランス脂肪酸、取りすぎご用心」

ぼちぼち大手新聞でも、
トランス・ファットを取り上げ始めた。
「マーガリンや調理油、洋菓子などに含まれ
心筋梗塞などの危険を高めるとされるトランス脂肪酸」

11月に、アメリカの食品医薬品局(FDA)が、
段階的に使用を制限すると発表。
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、
血液中の悪玉コレステロールを増やし
善玉コレステロールを減らす作用がある。
動脈硬化による心筋梗塞などの危険性を高める。

大半は植物油を高温にして臭いを取り除いたり、
マーガリンなどの製造時に
植物油に水素を加えたりする加工過程でできる。

FDAはこのうちの「硬化油」を規制する。
これは常温で固まりやすくしたタイプ。

米国の調査では、
食事で摂取したエネルギー量に占めるトランス脂肪酸の割合が、
2.8%に達する人は、
1.3%の人に比べて心筋梗塞のリスクが、
1.3倍に高まる。

デンマークやスイスなどは
油脂100グラムに含まれるトランス脂肪酸を
2グラム未満にする規制を実施している。

米国などでは含有量の表示を義務づけている。

日本にはトランス脂肪酸に関する使用規制は特にない。

しかし一方、
日本のトランス脂肪酸摂取量は、
欧米に比べて少ない。

「06年度の食品安全委員会の推計では、
日本人の平均的な摂取量は
1日0.7グラムで総エネルギー量の0.3%」

米国の平均2.6%の4分の1で、
世界保健機関の目標値1%未満の基準も下回る。

「国の食品安全委員会の10年度の調査では、
06年度に比べて一般向けマーガリンで47%、
業務用では91%、トランス脂肪酸が減った」

それでもこういった報道には、
常にアンテナを張っておかねばならない。

いま、私は、
千葉県のイオンモール幕張新都心に向かっている。

これから立教のサービス・マーケティングの講義。
イオンモールを視察し、レクチャーする。

フィールドワーク主義。

小売業やサービス業の現場は、
大学院の研究対象となる。

では、みなさん、
今週もがんばろう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2013年12月22日(日曜日)

ジジと最後の合宿[日曜版2013vol51]

ジジです。
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きょうは冬至。
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いちねんで、
いちばんみじかい日。

おとうさんは、
きのうから合宿。
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rikkyoのニイザ・キャンパス。

イチョウがうつくしい。
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景色はかわる。
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大学のキャンパスは、
しずかで、きれい。
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きのうのイチョウ並木。
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そしてイチョウの木。
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もちろん、研究をします。
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集中して、執筆。
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たがいに、たすけあう。
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ゆうごはんは、
はやくたべて、
また、研究。
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ニイザのクリスマスツリー。
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ステキです。

夜おそくまで、
論文をかいて、
朝ははやおき。
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空には朝の月。
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かげんの月。
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そして朝ごはん。
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そとはまぶしい。
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食堂。
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シンプルな和食です。
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それからまた、
研究。
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アダチさんのまとめ。
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おとうさんは、さんぽもします。
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木がすきです。
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これも。
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やっぱりイチョウ。
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空にむかって、かがやく。
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ニイザ・キャンパス。
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ひろいです。
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チャペル。
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おもしろい。
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新築中の校舎。
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おひるごはんは、
いつものおそば。
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みんな、まんぞく。
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ことし最後の合宿。
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おとうさんにとっても、
最後の合宿です。
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ごくろうさまでした。

みなさん、ありがとう。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2013年12月21日(土曜日)

立教・結城ゼミ最終合宿とコトラーの「良い品をどんどん安く」

明日は冬至。
一年でいちばん、
昼が短い日。

「冬至」と聞くと、
なぜか胸がきゅんとなる。

ああ、昼はすぐに終わるんだ。
ああ、夜が長いんだ。
ああ、今年も終わりに近づいた。

今年の落とし前、
きっちりつけるときです。

そんなわけで、
今朝から立教大学新座キャンンパス。
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太刀川記念交流会館。
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ビジネスデザイン研究科結城ゼミの合宿。
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私は毎年、5回、
合宿をやる。

春のキックオフミーティング、
夏のキャンプ合宿、
秋口の夏の成果確認合宿、
晩秋の仮提出前合宿、
冬の修士論文本提出前合宿。

今回は、来年1月11日締め切りの、
修士論文仕上げの最後の合宿。
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太刀川記念交流会館の会議室Aを、
今日明日の二日間、借り切る。

そして自分の研究と執筆に専念する。
今年の落とし前をきっちりつける。

時には互いに教え合ったりもする。
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会館の応接室が、
私の個人指導スペース。
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一人ずつここで、
質問を受けたり、
意見を言ったりする。

会館の食堂では、
ほかのグループがランチ。
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私たちはキャンパスのまえのラーメン屋へ。
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らあめん花月。

土曜日なのに、
入口付近は混んでいる。
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この自動販売機でチケット購入。
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私は左の黄金の味噌ラーメン。
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調理場前のカウンター席。
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野球帽をかぶったウェイトレスが、
注文を聞きに来てくれた。
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私は黄金の味噌ラーメン。
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自分の料理が出てきて、
みんな満足そうです。
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昼食後、部屋の中は、
温室みたいに温かい。
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陽が西に傾くころ、
山﨑亮君がお手柄。
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数表のグラフ化で、
見事に難問をクリアした。

おめでとう。
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足立幸一君が感謝の握手。
倉内和博君は成果を指さして祝福、
細野直樹君も笑顔で歓喜。

これがあるから、
合宿は、いい。

私は学生時代も就職したあとも、
36年も前の月刊雑誌編集部時代から、
ずっとチームワークで仕事をしてきた。

一人でできることよりも、
組織でやれることのほうが、
はるかに大きいし、
何より喜びが深い。

今夜は遅くまで、
各自の研究が続く。

ともに頑張ろう。

さて、日経新聞に、
ニトリホールディングスの消費税表示の記事。

社長の似鳥昭雄社長さんがコメント。
「3%分を転嫁する」

ニトリは「総額表示続行派」だったが、
それを外税方式に転換することになった。

総額表示派は、
増税されても本体価格を下げて、
増税分を吸収する作戦を採る。

しかし、似鳥さんは、
現実を見ている。
「足元で円安が急速に進んだ。
コスト増に対応するのが最優先」

似鳥さんほどリアリズムの人はいない。

似鳥さんは日本チェーンストア協会副会長を務めるが、
協会は清水信次会長以下、早々と、
「外税表示基本」の方針を打ち出している。

それに従うということでもある。

ちなみに、ファーストリテイリングも、
当初は「総額表示」の方針だったが、
外税表示への変更を表明。

やっとのことで、
外税方式に固まってきた。

しかし「本体価格一本」かというと、
まだ足並みはそろわない。

ただし、「本体価格+税」の方式を採用した企業も、
やがて店頭での「+税」をフェイドアウトさせ、
レシートにだけ「本体+税」を書き込むやり方に、
変わっていくと、私は見る。

その方が、現場の仕事が楽だから。
顧客にも理解は得られるだろうから。

もちろん初めから、
本体価格一本の企業もあるだろう。

アメリカやヨーロッパでは、
店頭表示は「本体価格」、
レシートで「+税」となっている。

全店が足並みそろえてこれをやれば、
何一つ問題は起こらない。

顧客は一日で慣れる。

私たちも世界を旅行すると、
半日もたたずに、これに慣れる。

昼が短い冬至でも、
一瞬で慣れる。

さて、2013年最後の月は、
フィリップ・コトラー先生を楽しんでいる。
今日は「趣味」の話。

ドラッカー先生同様に、
コトラー先生も日本びいきで、
根付と鍔の収集家。
それもかなりのフリーク。

今日の話はさておいて、
昨日は「日本への思い」を語ってくれた。

「米国が経済の面で日本に大敗を喫しているのは
コトラー教授、あなたの責任だ」

「日本人は『マーケティング・マネジメント』を熟読し、
それをバイブルとすることで
次々と米国の産業を打ち負かしてきた」
1980年代のコトラー批判。

コトラーの反論。
「ビジネスマンなら誰でも私の本を読み、
その原理や戦略を活用できるのではないか。
日本人は私の主張を信じたのに対し、
米国人は信じなかったことにある」

コトラーは日本の優位点を列挙する。
教育制度、
ボトムアップ型の意思決定システム。
終身雇用、
労働者による提案制度などの人事制度。
政府の産業振興、
総合商社、メーンバンク制など。

決定的に重要なことは
「最後に勝つのは顧客価値」
学んでいたこと。

競合企業よりも
「優れた製品を安い価格」で提供すれば、
必ず勝てた。

何度も繰り返すが、
ここでいう「製品」とは、
Productで、
企業が創り出す価値。

コトラーはこれが、
競争優位を創り出すと強調する。
まさにその通り。

かつてのダイエーのスローガン、
「良い品をどんどん安く」

ただし日本の凄さは続かなかった。

コトラーは、その理由も上げる。

成功をつかんだある種の傲慢さ、
優れた起業家の後継CEOの独創性のなさ、
意思決定の遅さ、
雇用形態の硬直性、
ウォール街的な短期利益の弊害など。

そして最後に提案。
「日本が再び
活力ある社会になるには
何が必要か」

革新性に富むビジネスモデルや新製品開発。
〈小売業・サービス業の新フォーマット開発もこれに含まれる〉
異業種との共創、
クラウドソーシングの活用。
30秒のテレビ広告から
ソーシャル・メディアを使ったキャンペーンへ、
情報投資への移行。
最高マーケティング責任者(CMO)の創設。
そしてブランドに思想を持たせ、
高貴な目的を持ったマーケティングへの取り組み。

しかし本質は、
競合企業よりも、
「優れたProductを安いPrice」で、
提供すること。

これしかない。

今日も、ありがとう。

〈結城義晴〉

2013年12月20日(金曜日)

イオンモール幕張新都心グランドオープン! 最後に話題さらう?

猪瀬直樹東京都知事、
辞任表明後のコメント。

毎日新聞『余禄』コラムニストは驚いた。
「政治家としてアマチュアだった」
この猪瀬の反省の弁に。

「世の表裏に通じたノンフィクション作家に、
今さら世間知らずをわびられても
都民は戸惑う」。

私も毎日に同感。

朝日新聞『天声人語』はなぜか、
ちょっと同情的。

「他人に対して賢明であることは、
自分自身に対して賢明であるよりもたやすい」

そう書いておいて、
辞任会見のコメントを取り上げる。
「今後は作家として恩返ししたい」

そして提案する。
「最初の取材対象は
『猪瀬知事』に決めてはどうだろう」

これは毒舌でもユーモアでもない。

「『徳洲会マネー』も含めた
深くて骨太のテーマは、
作家の血を沸きたたせよう。
読みたい人は多いはずだ」

私はそんなもの、
読みたくはない。

そこまで言うならコラムニスト自身が、
自分で書け。

猪瀬直樹は作家の血を沸きたたせる前に、
失格知事としての責任を取らねばならない。

朝日の提案には、
むしろ腹が立つ。

日経新聞『春秋』も、
やや朝日に近い。

「猪瀬氏の仕事に
敬意を払ってきた身としてはむしろ、
初心に帰り汚名払拭に挑んでほしい、
と願う」

作家として汚名払拭に挑むと、
壮大なる言い訳になるに違いない。
これは間違いない。

責任をとって、
事務的に真実をのみ告白し、
心から謝罪し、
舞台から去れ。

私は、そう考える。

大手新聞マスコミは、
ライターあるいは作家という「仲間」に対して、
ひどく甘すぎる。

経営者として失格の烙印を押された人が、
時たまコンサルタントになって、
人を指導したりする。

これも私は信用しない。

ジャーナリストでも、
経営者として自分の会社を潰したりして、
株主や取引先や社会に迷惑をかけた人は、
信頼できない。

お笑い番組ならまだしも、
まともなジャーナリズムに
登場する資格はない。

もちろん、古い言葉だが、
きっぱりと禊ぎをしたあとの敗者復活は、
どの場合にも、あってよろしい。

禊ぎはどうしたらいいか?

そんなことは自分で考えろ!
そう、言っておこう。

さて、今日は、
早朝から千葉県幕張海岸。

イオンモール幕張新都心が、
グランドオープン。

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午前8時。
グランドモールの入り口には、
報道各社の取材陣が集まった。
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TV局各社も最前列に陣取る。
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その横では一般のお客が、
開店を待ちわびて並ぶ。
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オープンセレモニー開始。

はじめにイオン㈱の岡田元也さんが、
あいさつ。
取締役兼代表執行役社長グループCEO。
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千葉県知事森田健作さんの祝辞。
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こちらの知事は健在で元気だが、
中身はあくまで祝辞。

千葉市長の熊谷俊人さん。
森田県知事には悪いが、
熊谷市長のコメントはよかった。
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セレモニーには、
岡田卓也名誉会長相談役も参列。
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そしてテープカット。
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9時オープンを前に、
報道陣が通路に陣取り、
お客を待つ。
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オープン前には、
7000人が並んだ。
いよいよオープン。
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お客が急ぎ足で入館する。
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年配の方も。
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若者たちも笑顔でやってきた。
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新店オープンは、
このお客の期待の笑顔がいい。
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あっという間にお客でいっぱい。
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雨交じりの寒いオープン日だったが
モール内は熱気に包まれる。
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10時からは記者会見。
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50分ほどの会見。
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その後、モール内の会議室で、
月刊『商人舎』1月号の取材。
始めはイオンリテール㈱社長の梅本和典さん。
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取締役兼専務執行役員商品担当の久木邦彦さん、
取締役兼常務執行役員の堀江泰文さんも、
同席してコメントしてくれた。
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1時間ほどの取材を終えて
イオンスタイルストアへ移動。

ワイン売場では、久木さんと堀江さんが
スマホを使ったオムニチャネルを実演してくれた。
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4人でファサード前の記念写真。
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続いてのインタビューは
イオンモール㈱専務取締役の岩本博さん。
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岩本さんの話は、
論理的で面白かった。
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私の質問に的確に答えてくれた。
私はアメリカの新しい商業集積の分類を、
丁寧に語った。

今回のイオンモールは、
その最新形の融合だと思う。

さらにイオンスタイルストアを視察。

2階フロアを案内してくれたのは
石岡公治さん(右)と、
三浦隆司さん(右から2人目)。
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三浦さんは取締役兼常務執行役員、
衣料商品企画本部長。
石岡さんは、
衣料品企画本部鞄服飾商品部長。

3階の住関連を案内してくれたお二人。
伊佐研一さん(中)と久永晋也さん。
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伊佐さんは、
住居余暇商品企画本部長。
久永さんは、
同じくコーディネータ部長。

イオンリテールの取り組みと進化が、
実によくわかった。

皆さんに感謝。
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インタビューの詳細と、
このモールの評価、
歴史的意義などは、
月刊『商人舎』1月号で特集する。

乞う! ご期待。

夕方まで視察し、
氷雨の中を、
15分ほど歩いて、
海浜幕張駅に向かった。

タクシーは行列、
バスも来なかったから。

その後、急ぎ、
東京港区の機械振興会館へ。
年末恒例の流通問題研究協会BPP会。

ちょいと遅れてしまったが、
皆さんと懇親。

すぐに中締めのあいさつ。
小川修司さん。
日本ボランタリーチェーン協会会長。
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そして三本締めは、
全日本食品㈱会長の齋藤充弘さん。
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流通問題研究協会会長の玉生弘昌さん。
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月刊『商人舎』12月に、
斎藤さんにも小川さんにも登場いただいた。
齋藤さんと握手。
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玉生会長を囲んで、
小川会長とピップ㈱社長の藤本久士さん(右)。
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最後は、若手社長のお二人と。
左は田上正勝さん、
㈱プラネット社長。
私の右隣は、米倉裕之さん。
カスタマーコミュニケーションズ㈱社長。
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今日は本当に忙しかった。
あぁ、疲れた。

それでも、
充実した一日だった。

イオンモール幕張新都心にとって、
そしてイオン幕張新都心店にとって、
明日からの3連休が重い意味を持つ。

天皇誕生日にみたび、
このモールを訪れる。

楽しみだ。

〈結城義晴〉

2013年12月19日(木曜日)

猪瀬直樹辞任の「無私と利他」とスーパーマーケットの六重苦

東京都知事・猪瀬直樹、
67歳。

今日、辞任。

それしかない。
しかし、遅すぎた。

3週間ほど前の11月27日(水曜日)、
私はこのブログで書いた。

タイトルは、
猪瀬直樹の「親切な方」と
サラ・カサノバの「中心は家族客」

徳田毅衆院議員から、
5000万円を受領した問題。

その記者会見のコメント。
「親切な方だと思った」

その後の都議会での質疑でも、
何度も言った。
「親切な人だと思った」

私は書いた。

「こんな白々しい応対などせずに、
正直に謝罪して、
さっさと辞任するのが、
一番いい。

それしかないと、
言っておこう」

やはり、それしかなかった。

3週間、醜態をさらし続けた。
始終、目が泳いでいた。
猪瀬直樹の印象はそれだけだった。

苦境に陥った時に、
まさにその人間の真価が、
問われる。

国民、都民は、この3週間、
猪瀬という人間の
真の評価を見せられた。

しかしなぜ、
自分で気づかないのだろう。
自分で気づけないのだろう。

ここが大事なときだ、と。

その時にこそ、
自己客観化ができなければならない。
そして何よりも
凛としていなければならない。

私にも経験がある。

ここが一番大事なときだ。
ここを乗り切らねばならない。
あるいは身を引くときだ。

そんな時に頼りになるのは、
「利他と無私」の精神。
自分は何者であるかの自覚。

これがなければ、
冷静に状況は見えてこない。
自らの非に気づくこともできない。

3週間前に、
猪瀬直樹に「利他と無私」があれば、
それなりに潔い結末になったに違いない。

東横線の電車のなかの広告。
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2013年の横浜雙葉中学入試問題。

あなたが「かけがえのない」存在として、
大切にされた体験をあげなさい。
そして、その体験があなたの生き方に
どのようにいかされているかを書きなさい。

素晴らしい設問だ。
小学6年生の女子が、
どんな回答を書くのだろう。

読んでみたい気もする。

ピーター・ドラッカーの問い。
「あなたは何によって、
憶えられたいか」

雙葉の設問と、本質は同じ。

猪瀬直樹も、
「何によって憶えられたいか?」
と、自問すべきだったろう。

それは私にも、
あなたにも、
当てはまることだ。

さて今日は朝から、
東京・自由が丘。

雨の花屋が、いい。
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いつも値段と商品価値が、
はっきりと示されている。
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その上、全体に美しい。

クリスマスツリーもいい。
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自由が丘南口商店街のツリーも、
11月23日の夕方に点灯式が行われ、
なかなかいい。
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クリスマスに向かって、
例年よりちょっと明るい気分だ。

猪瀬直樹以外は?

さて今年の最後の月に、
毎日楽しんでいるフィリップ・コトラー。
日経新聞『私の履歴書』。

今日は政府や行政機関に、
マーケティング発想を持たせる話。

「マーケティングの手法を使い、
政府のパフォーマンスを改善することに
強い関心を持つようになった」

私も農林水産省の委員をやっていた時に、
「農水省にこそマーケティングが必要だ」と、
主張したことがある。

前の自民党政権時代、
石破茂さんが農水大臣だったころのことだ。

コトラーは言う。
「政府の職員は
企業並みの十分な教育研修を
受けていないことが多く、
研修さえすればサービスは
改善するだろうと考えていた」

しかし、それは甘い。

「欠けているのは顧客志向だ。
自らが高いサービス水準を目標に掲げ、
顧客満足度を高めようとする意識は薄い」

顧客志向こそ、
ドラッカーも指摘しているように、
マーケティングの本質。

もう一つ行政に欠如が見られるのは、
「イノベーティブに考える能力」

コトラーはイノベーションに関しても、
きちんとチェックを入れる。
「読者の中にはこの言葉が
技術に関するものだと思うかもしれないが、
そんなことはない」

ドラッカーは語っている。
「イノベーションの必要性を
最も強調すべきは、技術変化が
劇的でない事業においてである」

行政の仕事はまさにそれだ。

しかし「日本ではセブン-イレブンが
一部の地域で住民票の写しや
印鑑証明書の発行を手掛けている」

「民間の知恵を借りながら
優れた発想で改善できる行政サービスは多い」

これらの成果として、
2007年に出版されたのが、
『社会が変わるマーケティング』。

最後に、スマイル・マーケティング。
「フランスやシンガポールでは
国民に笑顔を呼びかけた」

微笑みこそ、
また来たいと思ってもらうことに効果絶大。
「おもてなしの国、ニッポンもその一つだ」

さて日経新聞『真相深層』に、
編集委員の中村直文さんが書く。
流通サービスの専門家。

スーパーマーケットの「六重苦」。
円安による原料高、
異業種との競争激化、
建設コストの上昇、
電気代の上昇、
パート社員の不足、
食品市場の縮小。

この「六重苦」。

中部地方のバロー。
独自物流・情報システムを武器に、
低価格競争を仕掛ける。

社長の田代正美さんの、
多分、ジョーク。
「業績が悪い方が、
好調時より説明しやすい」

業績悪化の要因を、
次々に上げた。

しかし既存店売上高は、
2012年10月からマイナス。
2013年上四半期連結決算は、
3年ぶりの最終減益。

「ビジネスモデルを
変えなければならない」。

北海道地盤のアークス。
こちらも2013年上半期は、
営業減益。

アークス社長の横山清さん。
年商200億~300億円超の企業を、
「買わないか」というM&A話の持ち込みが増えた。

月刊『商人舎』10月号特集、
「小売業M&A異変!!」の中でも、
横山さんは私の質問に答えて、
「アークス方程式とセンチペイド経営」
主張し、強調した。

センチペイドとはムカデのこと。

六重苦の中で、
M&Aが進むのか。

日本チェーンストア協会の報告。
既存店売上高は16年連続マイナス。

「それでもバローやアークスは強かった。
その構図も崩れた」と中村さん。

崩れる構図のなかで、
価格問題が浮上する。
「現状の円安・原材料高では
メーカーが打ち出す値上げを
スーパーも受け入れざるを得ない」

「特売のための販促費が削られる」

「低価格のプライベートブランドは、
輸入品への依存が大きく、
円安は収益を圧迫」

「価格戦略の自由度は
失われつつある」

その結果、
「集客力が低下している」

このあたりは実際に起こっている現実。

「既存店の苦戦にもかかわらず、
新店開業が相次ぎ、
需給ギャップは広がるばかりだ」

総合スーパーやスーパーマーケットは、
10年前と比較すると、
売場面積が19%増え、
売上高は14%減った。

さらに2014年4月の消費増税。
「ディスカウント競争が激化する」

だからM&Aの事例が目立つ。
商人舎magazineの
Daily商人舎ニュースを見てほしい。

「日本スーパーマーケット協会によると、
加盟企業全体の10月の既存店売上高はプラス。
しかし、店舗数25店未満の企業では、
マイナスが続く」。

イオンリテール社長の梅本和典さん。
「増税のインパクトは大きく、
コストアップ要因も増えている。
それを吸収するスケールメリットが
さらにものをいう」

電気代は前年比20~30%の負担増。

「イオンはすでに全店の照明を、
発光ダイオード(LED)に切り替え、
前年並みに抑えている」

中村編集委員の結論。
「体力格差が広がる中、
大手を軸にさらなる再編が進むのは
間違いないようだ」

この記事全体を見ていると、
地方スーパーマーケットに、
M&Aを煽りつつ、
それを推奨しているようにも見える。

店舗数25店以下、
年商200億~300億円クラスの企業だ。

もちろんこのクラスの経営者に、
決断が迫られているのは事実だろう。

しかし、合併もM&Aも、
是々非々の問題。

そこに求められるのは、
「利他と無私」の精神と、
自分は何者であるかの自覚。

そう、猪瀬直樹と一緒。

そしてM&Aをするもしないも、
コトラー先生が指摘するように、
マーケティングと顧客志向は、
不可欠である。

〈結城義晴〉

2013年12月18日(水曜日)

『私の履歴書』コトラー&ドラッカー交流、いいなぁ・羨ましいなぁ

商人舎刊『マス★カスタマイゼ―ション』。
第2刷が届きました。
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11月22日第1刷発行、
12月10日第2刷発行。

故杉山昭次郎先生
も、
お喜びのことと思います。

この本は遺稿でもあり、
本来、非売品のつもりで制作しました。
従って、まことに申し訳ないのですが、
書店・アマゾンなどには出していません。

商人舎に直接、
お申し込みください。

今年11月、
お亡くなりになった堤清二さん。
セゾングループ創始者。
堤さんも昭和2年生まれ。
杉山先生と同年。

その著『変革の透視図』は、
1979年に刊行されていますが、
杉山先生の「現代化」と、
相通じるものがあります。

これも不思議なことです。

さて、訃報です。
今年はなぜか多い。

三好正也さん。85歳。
元経団連事務総長、
その後、エフエムジャパン会長兼社長。
同社は現在のJ-WAVE。

私はPTB有識者懇談会メンバーとして、
座長の三好先生と2005年からご一緒した。

経団連初公募のプロパー職員第1期生。
だからドラッカー翻訳の上田惇生先生の先輩。

1954年、経団連に入り、
1988~97年、事務総長。

細川内閣成立時には、
経団連の献金斡旋廃止を主導した。

謹んでご冥福を祈ります。

さて日経新聞の夕刊。
「紙離れ、日米で生産減」の記事。

多分、アメリカのRISIの調査。

国別の紙・板紙の生産量順位。
2012年は第1位中国で、
第2位アメリカ、
日本は第3位。

2000年には、
アメリカ1位、日本2位だった。

2000年と2012年の生産量比較。
中国は3090万トンから1億トンに3倍増。
アメリカは1割強減少の約7400万トン。
そして日本は2000年から2割減の2600万トン。

記事は「紙離れが顕著」と締めくくる。
理由は「電子媒体向け広告の増加などが影響」。

商人舎は、
『マス★カスタマイゼ―ション』など、
紙も使うし、webもつくる。

さてさて、
『私の履歴書』のコトラー先生。
昨日一昨日は、
ピーター・ドラッカー先生との思い出。

1989年のこと。
突然、ドイツ語なまりの英語の電話を受ける。
「ピーター・ドラッカーです」

「仰天し、必死に平静を保とうした。
彼と知り合う以前から
その洞察力に富む著作を熟読し、
尊敬の念を抱いていたからだ」

コトラーは、述懐する。
「米大統領から電話をもらうより
遥かにうれしかった」

翌日、コトラーは、
朝一番の飛行機に飛び乗る。
カリフォルニアのクレアモントへ。

初対面の席で話し合われたこと。
それは「NPO」についてだった。
「Nonprofit Organization」。
非営利組織。

ドラッカーの造語。

その後、1990年に設立されるのが、
「非営利組織のための
ピーター・F・ドラッカー財団」
コトラーはアドバイザリー・ボードとして、
招聘される。

ドラッカーは、
「自分の名前を冠した財団の
設立を嫌がった」。

しかし、
「いずれ彼の名前を外すことを条件に譲歩」、
現在の名称は、
「リーダー・トゥ・リーダー研究所」。

これをきっかけに、
二人の交流は深まっていく。

コトラーのドラッカー礼賛がつづく。
「ピーターは
近代的マネジメントの父として
知られているだけなく、
マーケティングの分野でも先駆者だった」

「40年以上も前から経営者に対し、
経営の中心は顧客であること、
そして企業における価値創造の重要性を
説いていた」

「私たち、マーケティング学者を
顧客中心主義に
目覚めさせてくれた功労者を
一人挙げるとすれば、
それは彼だろう」

企業に投げかける4つの質問。
ドラッカーお得意のフレーズ。
1「あなたの会社の本業は何か」
2「顧客は誰か」
3「顧客にとっての価値は」
4「本業はどうあるべきか」

「私自身もコンサルティングをした企業には
同じように問いかけた」

この後にも、
ドラッカーの著作や発言への賛辞が続く。

マーケティング学者はもしかしたら、
お世辞のチャンピオンかと思うくらい。

例えば、最も有名な言葉。
「企業の目的は顧客の創造である」。

当時の大方の経営者の考え方は、
「企業の目的は利益の創造」。
ドラッカーは真っ向から対立した。

「ピーターにとって経営者の考えは空論」で、
「どうやって利益を創るかという
大切な部分が抜け落ちていた」

それがドラッカーの「顧客創造」。

「顧客創造のためには
他社よりも優れた価値を提供し、
顧客を満足させるしかない。
唯一無二の利益の源泉は顧客なのだ」

「企業の基本機能は
イノベーションとマーケティングの
2つしかない。
それ以外はコストだ」

これも有名な言葉。

「彼は企業のあらゆる機能が
重要であることを重々承知の上で
2つの機能を選んだ」
この選択と集中が、
ドラッカー先生の真骨頂でもある。

マーケティングとセールスの違い。
「マーケティングの目的は
セールスの必要をなくすことだ」

経営者を唖然とさせた。

「顧客ニーズを深く理解し、
それを完璧に満たす製品を生み出す」

「ただ製品をつくり、
闇雲に売ることや
後講釈で商品について語ろうとすることを
非難したのだった」

ここで使われた「製品」は、
英語では「Product」。
「企業が創り出すもの」といったニュアンスで、
商品とサービスとを含む。
つまり有形財と無形財の両方を指す。

さらにコトラーは言う。
「私は目的、目標、業績評価の方法を
設定することの重要性も彼から学び、
自分の仕事にも生かしている」

これは「目標管理と自己管理」の手法。

「彼と会うたびに、
歴史についての圧倒的な知識と
未来に対する深い洞察に
刺激を受けた」

同じユダヤ人としての共感も、
少なからずあったに違いない。

最後に、
「ピーターはまさに
ルネサンス的な万能型教養人で、
私が出会った中で
最もすばらしい人物の一人だ」
まったく同感。

コトラー先生はこういうが、
ドラッカーは『ポスト資本主義社会』で書く。
「夕食に招く客には教養のある人がよい。
だが、砂漠では教養のある人はいらない。
何かのやり方を知っている人がよい」
それがナレッジワーカー。

私はこの考え方に感動して、
「知識商人」という概念をつくった。

コトラーとドラッカーの交流。
いいなあ、
うらやましいなあ。

それが率直な感想。

しかしコトラー先生に引用された
ドラッカー先生の選りすぐりの言葉。

僭越ながら、ほとんどすべて、
私の著書『店ドラ』で
使わせてもらったフレーズと同じだった。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

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