私には選挙権はないが、
東京都知事選。
1月23日告示、2月9日投開票。
細川護熙元首相が出馬表明。
それを小泉純一郎元首相は全面支援。
ともに「脱原発」や「原発即時ゼロ」を主張。
ここで選挙権のない私にも関係が出てきた。
毎日新聞巻頭コラム『余禄』は、
福島第1原発事故の未曽有の被害に対して、
「首都像の議論を通じて
日本が抱える課題を
国民全体が考える機会としたい」
私もそう思う。
思いつつ、今日は、
朝8時上野発のスーパーひたち7号で、
福島県いわき市へ。
勿来(なこそ)の㈱マルト本部。
東日本大震災で旧本部が利用できなくなり、
新たに建設されたのがこの平屋の本部。
その会議室で、アメリカ報告発表会。
昨年11月に、
私がコーディネーターとなって、
ラスベガスとサンフランシスコの
スーパーマーケット視察をした。
参加した総勢28名のマルト社員の皆さんと、
経営幹部の皆さんが集まった。
はじめにマルト社長の安島浩さんの挨拶。
安島さんもアメリカにご一緒した。
副社長の小宅茂さんも同席し、
あいさつ。
そして報告会に先立ち、
私が30分の講話。
アメリカを4つの目で学んだことの意味、
イノベーションを実践する際の、
ドラッカーの作法などを、
あらためて復習。
今年の商人舎標語をホワイトボードに書いて、
マルトの皆さんに贈った。
こまかく、きびしく、しつこく、なかよく。
徹底することは、
こまかく、きびしく、しつこく、
実践し続けること。
しかし、仲間同士で、
なかよく行うのが大事。
マルトは震災を経験し、乗り越えて、
この3年間、地域社会の復興の中で、
全社を挙げて頑張ってきた。
それが何よりの財産。
そんなメッセージを贈った。
そして、11時半から17時まで、
報告発表会。
部門の代表16名が発表。
アメリカで調査した商品のPFグラフをもとに、
スーパーマーケット各社の商品戦略を分析。
そして、帰国後に取り組んだ部門の施策と、
成功事例を発表。
最後に今後の短期、長期の課題と施策を述べる。
それぞれに充実した発表だった。
デリカ部長の阿部敏さんは、
新店のための競合店調査をマトリックスで整理し、
新店のポジショニングを解説。
これもよかった。
すべての発表が終了すると、
経営幹部から、
それぞれに総括コメント。
安島社長。
小宅副社長。
㈱ファミリー社長の安島ゆみ子さん。
マルトグループの衣料品チェーン。
ゆみ子さんは生活者の変化に、
どう対応するかが大事であると指摘。
そして社長室長の安島美穂さん。
締めは私の総評。
5つの総括ポイントを整理した。
ひとつは、科学的態度。
2つ目は、際立つことの大事さ。
3つ目は、大胆に変えること、
それを怖がらないこと。
4つ目はイノベーションの水平展開。
そして5つ目はポジショニング。
自分の存在意義と、
マルトの存在意義をしっかりと認識すること。
そんなメッセージだった。
1日をかけた、いい発表会だった。
その後、小名浜の老舗「割烹一平」で会食。
会食の席には、専務の安島誠さんも、
駆けつけてくれた。
会話はおのずと、
東日本大震災の時のこと、
福島原発のこと、
今のいわき市の現状に及ぶ。
それでもマルトの皆さんは明るい。
マルトの強さをしみじみと感じた。
マルトの幹部・従業員の元気が、
いわきの救いだ。
この店は目と鼻の先まで
津波が押し寄せたが、
奇跡的に被害を免れたという。
名物女将も、
ますますお元気らしい。
私もすっかり元気になった。
楽しい会食だった。
大洗オーシャンホテルに送ってもらい、
安島さんとホテルのバーで、
さらに赤ワインを1本空けた。
すっかり酔っぱらった。
ホテルの目の前にある名物コースで、
いつかゴルフをする約束をした。
何度も何度も握手した。
マルトはいわきの復旧、福島の復興に、
会社を挙げて頑張らねばならない。
そんな宿命を持った会社だ。
しかしこの3年の困難を乗り越えてきた。
マルトには必ずできる。
「マルトはいわきの誇り」。
いわき市民が応援しないはずはない。
私もずっとずっと応援する。
安島さんと固い約束をした。
だから選挙権はないけれど、
東京都知事選にも、
大いに関心がある。
〈結城義晴〉