ああ、今年の桜も終わる。
そんな感傷的な心持ちになる。
今年の桜は、
はやく咲いて、
早く散った。
しかし散り際に粘った。
なにか、今年の日本を、
象徴しているように感じた。
毎年毎年、
桜が咲いて、
桜が散る。
それを楽しむ。
あと何度、
これができるのか。
さて、先週末、
私は台湾にいた。
その立法院を学生が占拠していた。
立法院は、
日本でいう国会。
つまり三権分立の「立法」をするところ。
国会議事堂にあたる。
その中に学生たちが乱入して、
占拠し、立てこもった。
なぜか。
現在の中華民国総統は、
馬英九(ば えいきゅう、マー・インチウ)。
ハーバード大学法学博士のエリート。
その馬総統が強引に、
中華人民共和国との経済統合を図ろうとした。
学生たちは、
それが台湾の自主性を損なわせると、
立ち上がった。
立法院の外側を、
支援者が取り巻いて、
学生たちが強制退去されるのを防ぐ。
機動隊が入り口を固めるが、
その外側に陣取って、
学生を支援している。
ひっきりなしに演説をし、
集会を開く。
一般の人々が、
それに参加している。
当然、立法院の敷地内にも泊まり込む。
支援のTシャツなども販売している。
バスが横付けされている。
私たちも支援。
周辺地図。
ダンボールには手書きの告示。
大型トイレ車。
立法院右サイドは、
テント村になっている。
日本ならば警察や機動隊が、
一気に学生たちを撤去させる。
しかし台湾では、
それをしたら国民が許さない。
そして国民が泊まり込みで、
外から学生たちを守っている。
右サイドでも集会。
テントにも人が参集している。
食事の炊き出し。
資材部。
今回の運動の象徴は、
ヒマワリの花。
黄色い紙の横断ビラ。
馬総統を揶揄している。
裏門には機動隊。
マスコミも常駐。
立法院左サイドにも、
支援のテント村。
そこで馬総統と内閣は、
学生たちに妥協した。
正当な手続きを踏んで、
中国との関係を結ぶとの条例案を出した。
今日、この学生たちの立法院占拠は、
自ら解除される。
つまり、学生たちが、
立法院から出てくる。
日本のメディアでも、
報道されるに違いない。
立教大学大学院・結城ゼミの修了旅行は、
この台湾立法院占拠に遭遇した。
そして私は、
政治的イデオロギー抜きに、
台湾というエリアの、
エネルギーを感じとった。
一方、私たちの国・日本は同だろうか。
考えさせえられた。
外国を訪れて、
そこで起こっている事実と向き合う。
もちろん店舗や商業集積も、
紛れもなくその国の、
「今の事実」の一部である。
それを知る。
感じる。
学ぶ。
私たちが生きることは、
他との違いを知ることだ。
他との差異を認識して、
自分を確認することだ。
今、私は成田空港72番ゲート。
これからロンドンに旅立つ。
イギリスやスペインと、
日本の違いを知るために。
彼の地の小売流通業と、
日本の流通業との差異を、
学ぶために。
そして日本の小売流通業の、
発展を考えるために。
第15回商人舎海外視察研修会。
ロンドン・バルセロナ。
出発します。
あとは、よろしく。
〈結城義晴〉