今日は鈴木國朗さんが、
横浜商人舎オフィスを訪ねてくれた。
㈱アイダスグループ代表取締役社長。
同社は30周年を迎えて、
記念の品をプレゼントしていただいた。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
コンサルティング・カンパニーで、
30周年はすごい。
今日、送られてきたばかりの
「Meiji Marketing Review」をもって、
一緒に写真。
さて4月1日の消費税増税後、
反動や影響はどうだったのか。
㈱いなげや社長の成瀬直人さんが、
日経新聞の決算トーク欄で答えている。
「購買意欲の衰えは全く感じない」
5月に入ってからの既存店売上高は、
前年同月を3%上回るペースだとか。
「和牛がびっくりするほど売れ、
高めのワインも好調だ」
従って、来年の2015年3月期連結経常利益は、
31億円と今年3月期対比1%増を見込む。
これはいなげやにとって、3期ぶりの増益。
2013年1月に社長に就任した成瀬さん。
「競争力を高めるための
改装などの投資は減らせない」。
1976年3月にいなげや入社のプロパー組。
様々な社内職歴を経て、
1998年、人事部長。
最近は、人事を始め管理部門の担当が長いが、
スーパーマーケットの経営戦略には長けている。
その食品スーパーマーケットにとって、
既存店へのリニューアル投資は、
新店開発よりも重要だ。
古くて小さな店が多いいなげや。
店舗改装作戦が、
企業の成長の鍵を握っている。
いなげやの前期は、
過去最大の改装年度だった。
小規模改装を含めて131店中約60店舗。
新店は5店舗だった。
来年3月までの今期も、
改装中心に活性化を果たす。
原則は「2年に1回サイクルの改装」。
そのリニューアル・コンセプトは、
一に惣菜、二に生鮮。
そのために、
惣菜子会社の㈱クックサンを本体に統合。
グループ全体の経営資源の集中を企図している。
遠藤正敏会長の後を受けて、
上手に難局を乗り切っている。
そのいなげやの15%の株式は、
イオンが保有している。
連結子会社ではないが、
持分法適用会社。
これも日経新聞企業欄の記事だが、
イオンの子会イオンタウン㈱が、
住宅地に近接する中小型ショッピングセンターを、
「2014~16年度は全国30カ所以上に開く」。
業界で言われる近隣型のNSC、
つまりネイバーフッドショッピングセンター。
スーパーマーケットを核店舗とする商業集積。
だから全国のマックスバリュや「ザ・ビッグ」が核となる。
つまりイオンタウンは、
NSC専門のディベロッパー企業。
イオンはもうひとつ、
イオンモール㈱をもつが、
こちらはRSCのディベロッパー企業。
リージョナル・ショッピングセンター。
核店舗はイオンリテールの総合スーパー。
イオンタウンの前身はロック開発㈱。
「日本及び、中国・アセアンにおける
ナンバー1 NSCディベロッパー」を目指す。
そしてイオンモールの前身は、
ジャスコ興産、イオン興産と、
㈱ダイヤモンドシティ。
イオンタウンは、これまで約120店を展開。
今後も毎年10店以上の新店開発を行って、
活発。
一方、イオンモールのRSCの14年度は、
従来計画より出店ペースを抑える。
イオンの全体戦略としては、
グランド・ゼネレーションをターゲティングして、
NSC開発を急ぐ。
イオンタウンの商圏は、
NSCの教科書通り。
車を利用する場合で、商圏10~15分。
徒歩客、自転車客もターゲット。
首都圏では駅の近くにも開発。
売場面積は5000~2万5000㎡。
イオンタウン社長の大門淳さん。
「冷蔵庫代わりに週3~4日
通ってもらえる店にする」
イオンタウンの特徴は、
食料品のスーパーマーケットに加えて、
日常的に使う専門店を20~100店、
店揃えする。
この中には非物販のサービス業も、
揃えられなければならない。
まさに教科書的なNSC。
それを教科書的にやり遂げられるのが、
イオンタウンとイオンモールの強みだ。
グループ企業一覧には、
14の分類がある。
まず①純粋持株会社としてのイオン。
小売業態別にグループ分けされる。
②GMS(総合スーパー)事業
③SM(スーパーマーケット)事業
④DS(ディスカウントストア)事業
⑤戦略的小型店事業
⑥ドラッグ・ファーマシー事業
その他の業態別事業グループ。
⑦総合金融事業
⑧ディベロッパー事業
⑨サービス事業
⑩専門店事業
⑪Eコマース事業
それから海外展開。
⑫アセアン事業
⑬中国事業
最後に、⑭商品機能等。
この中の⑧ディベロッパー事業が、
さらに二つに分かれて、
イオンモール㈱とイオンタウン㈱。
イオンモールが大型のRSC担当、
イオンタウンが小型のNSC担当。
③のスーパーマーケット事業には19社あって、
そのうち持分法適用会社が4社。
㈱マルエツ、㈱カスミ、㈱ベルク、
そして成瀬社長の㈱いなげや。
私は分類の概念が大好きだが、
イオンは連邦経営でグループを拡大して、
その後、業態別、事業別、地域別に、
企業群を分類整理している。
分類整理そのものが、
純粋持株会社イオンの役目でもある。
まだまだ分類の改善の余地は大いにあるし、
足りない事業も多数見受けられるが、
この事業体系を有することと、
そこにトップマネジメント層を持つこと、
そしてそのトップたちがそれぞれ、
自分の見識と実行力を持っていることが、
イオンの強みといえよう。
持分法適用会社とはいえ、
いなげやの成瀬さんもその一人だし、
イオンタウンの大門さんも、
もちろんその一員。
日経新聞の中で、
別の欄に分かれて掲載されている記事が、
実はみな繋がってくる。
時流に合わせて、
それらのつながりの紐帯(ちゅうたい)を、
引いたりゆるめたりする。
それができることが、
いまやイオンというリテール・トップ企業の、
特長であると見るが、
いかがだろう。
〈結城義晴〉