月刊『商人舎』6月号の最終責了。
1日伸びてしまったが、
内容はさらに充実。
デザイナーの七海真理さんのお蔭で、
発行も遅れない。
感謝してもしきれない。
きのうの夕方、
痛風の発作がまた起きて、
バルセロナで処方してもらった劇薬を飲んで、
昨夜はそれでも午前4時ごろまで頑張った。
今日はその痛風を抱えつつ、
夕方までかかって、
メイン原稿を書き上げた。
1万1268字。
そして、すべてを責了。
熱く、頑張りました。
今月の特集は、
「Strategic Store-Comparison」
32年前の『販売革新』1982年4月号の特集。
あのころを思い出しながら、
その「熱さ」を再現したいと考えた。
痛風の痛みに耐えかねて、
スリッパをはいている。
お許しください。
でも、最新の月刊『商人舎』、
楽しみにしていてください。
ストアウォッチング、
ストアコンパリゾン、
ストアクリニック。
小売業やサービス業、
チェーンストアという仕組みの優位性が、
ここにあります。
だからこれを基幹経営戦略にしよう。
そう主張し、提案するものです。
原稿を書き終わった頃に、
立教大学大学院修了の足立幸一君が、
横浜商人舎オフィスを訪ねてくれた。
結城ゼミ最後の期のゼミ長。
立教のビジネスデザイン研究科は、
社会人MBAの大学院。
院生となって学ぶには、
社会人経験が最低2年以上必要。
もちろん、40年も社会人をやって、
定年と同時に入学してくる人もいたりして、
多士済々。
足立君はLIXILの建デポ上尾店店長。
元はサッカーのアスリートで、
Jリーガーを目指していたが、
今はチェーンストアマン。
これ以上忙しい人はいないくらい忙しい。
それでも2年間、大学院に通って、
立派な修士論文を書き上げ、
マスターを習得。
修士論文のタイトルは、
「小売業と卸売業の
フォーマット変容の実態研究」
(建材流通におけるホームセンターと専門店の業態盛衰)
この、忙しさの中に、
突っ込んでいく姿勢は、
師匠の結城義晴と同じ。
野球で言えば、
絶好球は絶対に逃さないし、
サッカーで言えば、
ペナルティエリア内では、
必ずゴールに向かってシュートを放つ。
3月に修了して、
7月には共著だが本を上梓する。
さらに立教大学院の紀要論文集にも執筆。
私の標榜する「ナレッジ・マーチャント」そのもの。
30年前の熱い流通革命戦士の雰囲気を、
2014年の今、漂わせている。
さて日経新聞『私の履歴書』。
今月はトム・ワトソン。
新帝王と呼ばれたプロゴルファー。
今日のタイトルは「日本の若手へ」。
石川遼や松山英樹にエールを贈り、
技術的なこと、精神的なことを、
率直にアドバイスする。
日本のプロゴルファーの共通点を見抜く。
「彼らに共通する点は
誰もがしっかりとしたグリップを
身に付けていることだ」
グリップとは、
クラブを握る握り方。
荒井伸也さんは、
スーパーマーケットの経営を、
ゴルフにたとえることの名人だが、
その名言の一つが、
「店長はグリップである」。
プレイヤーとゴルフクラブを、
つなぐ接点がグリップ。
会社と店舗とをつなぐのが、
「店長の役割だ」と言った意味。
ワトソンは、
日本人プロの傾向を見切る。
「あえて言えば、やや左手が
ウィークに過ぎるとも思う」。
グリップにはストロンググリップと、
ウィークグリップがある。
一般的に言われているセオリーは、
「ストロングはドロー系の球を打たせ、
ウィークはフェード系のボールになる」。
今、私が研究している本で、
プロコーチの中井学は、
「実はこれは逆である」と、
大胆な提言をしている。
まあ、ワトソンが観察したことは事実だろう。
日本人プロのウィークグリップ。
しかし中井学の説から言えば、
フェードボールを打とうと意図しているのに、
実は反対の球筋になる。
だから彼らは無理に、
運動神経でドローを打つ。
その不自然さに、
日本人の根本問題があるのかもしれない。
不自然さは、
決定的なところでミスを招く。
「総じて日本のプロで
悪いグリップをしている人を見たことがない」
ありがたいワトソンの指摘だ。
それから石川遼にアドバイス。
「できる限り、練習を重ね、
何が自分に合っているのかを突き止めろ」。
そのためには、
「試合中でも自分のスイングを
変えることを恐れてはいけない」
目先の利益や売上げのために、
自分のポジショニングを
崩してはいけない。
ワトソンはそう訴えかける。
ワトソンが新帝王なら、
帝王はジャック・ニクラウス。
ニクラウスは、
引退表明のインタビューで振り返る。
「私はいつもスイングを変え続けていた」。
ワトソンはニクラウスを語る。
「ジャックはマスターズ選手権の最終日、
バックナインの最中でも
スイングを変えることを厭わなかった」
「それこそ、ゴルフにおいて
『己を知る』ということだ」
自分のポジショニング、
自店のポジショニング、
自社のポジショニング。
それは真似をするものではない。
人から借りるものでもない。
ポジショニングのために、
己を知り、
本来の己に向かって、
己を変えていく。
「自分自身を信じ、皆、
はい上がっていくしかない」。
納得。
賛成。
感謝。
〈結城義晴〉