昨日、上海から帰って、
体調はずいぶん回復したが、
もう少し。
その昨日、
月刊『商人舎』6月号発刊。
Cover Message。
つまり表紙の言葉は以下。
小売業やサービス業は、
店舗が社会や顧客に
公開されている。
だから、
自社・自店はもとより、
他社・他店でも、
視察・観察し、
比較・分析できる。
つまり、
ストアウォッチングと
ストアコンパリゾンが可能な、
まれなビジネスということができる。
なおかつチェーンストアならば、まず、
自社・自グループの店舗視察と現場調査は、
継続的、定期的に徹底できる。
それをやらない手はない。
何しろ
ストアウォッチングも
ストアコンパリゾンも、
面白い。
極めて面白い。
海外などの店舗の場合は、
さらに面白くて仕方がない。
この小売りサービス業特有の
面白さを面白がることを、
戦略の基本に置く。
人財育成や
店舗・商品の改善・改革の
根幹に据える。
するとストアコンパリゾンを
楽しみつつ成果を上げ続ける企業となる。
そんな企業文化と企業体質をつくり上げる。
それがStrategic Store-Comparisonである。
今月は、ストアコンパリゾンを、
会社の戦略にしようという特集だ。
面白いことを、
面白がる会社、組織。
それをつくろう。
さて今日は、
長野新幹線あさまに乗車。
列車が行ってしまうと、
駅構内に霧が立ち込める。
そう、ここは軽井沢。
北口を出ると、
外は霧雨。
PM2.5はふき飛ばしたが、
ちょっと土っぽかった北京。
大渋滞で排気ガス臭かったが、
生ぬるい空気に包まれた上海。
そこからいきなり、
霧の軽井沢へ。
軽井沢プリンスホテルの大ホール。
㈱ツルヤ共配協議会
第22回総会後の記念講演。
与えられた演題は、
「食品流通業の潮流を読む」
マクラは中国の永輝超市やRTマート。
しかし本論に入ると、
1時間30分、一気呵成。
私の持論のコンパクト版を、
全面展開。
ご清聴、感謝したい。
講演の後は、懇親会。
ツルヤ掛川健三社長のスピーチ。
「ツルヤは現在、32店舗です。
今年度は2700万人のお客様に来ていただいた。
1店平均、1年で90万人。
これを100万人にしていきたい」
これはまさしく私の主張する「客数主義」。
掛川社長の話は、
共感できることばかりだった。
つつがなく懇親会が終って、
記念写真。
左から、
共配協議会会長の大谷昌史さん、
信越明星㈱社長。
掛川社長、
そして掛川興太郎会長。
掛川会長とは懇親会の間、
隣の席でずいぶんいろいろと話し合った。
とりわけ故城功先生の話題は、
懐かしかった。
ともに城先生に薫陶を受けた。
城先生は渥美俊一先生や上野光平先生と並ぶ、
流通コンサルタントの巨匠だった。
インダストリアルエンジニアリングの専門家。
㈱商業界『販売革新』編集部の駆け出しの頃、
城先生と建築家・菊竹清訓の対談が実現して、
私が担当した。
四谷の菊竹事務所で、
その対談が行われた時のことを、
覚えている。
菊竹さんの持論の一つが、
建築設計における
「カ・カタ・カタチ」論だった。
城先生はそれを流通業に、
見事に取り入れて経営論とした。
「カ・カタ・カタチ」と並べるとき、
「カ」は最も根源的なもの。
理念や使命、ビジョンやコンセプトといったもの。
「カタ」はその「カ」を実現する手段や方法、
わが社らしい技術や仕組み、システム。
そして「カタチ」はできあがった成果物。
例えば「カタチ」を商品とする。
あるいは「店舗」や「フォーマット」とする。
「カタ」は商品づくりの、
あるいは店舗・フォーマットづくりの、
技術や方法やシステム、
組織などあらゆるもの。
そして「カ」はどんな商品か、
どんな店か、どんなフォーマットか、
それを生み出す根本となる考え方。
「カタチ」ばかり真似たがる傾向が強い。
だから外国の優良店に行っても、
写真ばかり撮りたがる。
写真を撮ることを売り物にしたりする。
カタチの真似しかできないからだ。
しかし「カタ」がなければならないし、
「カ」は独自のものでなければいけない。
歌舞伎の市川猿翁は断じる。
「真の創造に必要なのは
十分に型を知った上で、
骨法は崩さずに新しいものを求める
『型破り』の精神である」
「カタ」は「学ぶ」ことができる。
学ぶ時には「真似る」から始まる。
しかしそれを十分に知ったうえで、
「カタ破り」をする。
それがイノベーションだ。
そしてつづける。
「過去を顧みずに新しさだけを求めるなら
単なる『型無し』になる」
「カタ」が大切だと強調する。
ピーター・ドラッカーは、
Managementの役割の第一を、
こう表現する。
「自らの組織に特有の使命を果たす」
この特有の使命こそ、
「カ」の本質だ。
特有の使命は、そっくりそのまま、
真似ることができない。
真似た途端、
「特有の使命」では、
なくなってしまうからだ。
城先生の「カ・カタ・カタチ」論、
今一度、復活させたい。
懇親会の後は、
軽井沢駅前の「鮨あじ」。
大谷会長の仲間たちと打ち上げ。
左から板前さん、
堀田直樹さんと加藤英和さん、
そして私と大谷さん。
堀田さんは軽井沢の住人で、
立教大学院のときの私の教え子。
加藤さんは東海コープ事業連合専務理事。
和気あいあいの仲間に入れてもらって、
私の疲れも癒された。
しかしストアコンパリゾンは、
まさに「カ・カタ・カタチ」のなかの、
「カタ」の手法だ。
従って、今月の『商人舎』は、
「カタ」の特集ということになる。
〈結城義晴〉