昨日のプロ野球。
伝統の(?)阪神・巨人戦。
現在、読売ジャイアンツが、
セントラルリーグの首位。
阪神タイガースは第2位。
6回裏の阪神の攻撃。
スコアは2対2の同点から、
2点を挙げて、勝ち越し。
さらに1アウト、ランナー2塁・3塁。
代打は大リーグにも在籍した西岡剛。
ピッチャー青木高広。
カウント2ボール2ストライクに追い込んだ。
ここで原辰徳監督が指示を出して、
守備の巨人の陣形が変わった。
レフトの亀井義行が、
グラブを内野手用に取り換えて、
サードとショートストップの間に位置した。
センターの松本哲也は左中間、
ライトの長野久義は右中間。
内野手5人、外野手2人。
野球の定位置からすると、
変則隊形。
ここで、西岡剛に、
外野フライを打たせない。
そんな作戦。
敵の嘲笑うような陣形に、
西岡は静かな闘志。
しかし、平凡なセンターフライ。
ただしそこにいるはずの松本哲也は、
左側から必死で走り寄るも、
ボールは転々と球場の真ん中を転がり、
二人の走者がホームに生還。
西岡は2塁に達する。
原辰徳。
「見ての通り、勝負にいった」
スポーツニッポンの見出しは、
「原監督、奇策失敗」。
その後に、
「後味の悪さ残った」。
「生涯巨人ファン」とタイトルした人のブログ。
「巨人は無様な試合をしましたね」。
内野手5人シフトは、
初めての試みではない。
アメリカのメジャーリーグでは、
しばしば見られる。
そのメジャー出身のマーティ・ブラウン。
日本の広島カープと楽天イーグルスで監督をした。
広島の監督就任1年目の中日ドラゴンズ戦。
それから2009年6月14日の西武ライオンズ戦。
このライオンズ戦では、
投手は昨日の青木高広だった。
このときは、併殺打を打たせ、
さらに後続打者も抑えて成功。
原辰徳監督は、
このときのピッチャー青山の成功事例を、
今回も「夢よ、もう一度」と再現させた。
しかし「無様な失敗」。
私はこういった監督采配、
嫌いではない。
定規で測ったような采配ばかりでは、
つまらない。
しかし、現場で仕事をしているのは、
選手だ。
その現場の人々の心理をこそ、
優先しなくてはいけない。
見方も敵も。
メジャー帰りの西岡は、
シーズン当初の巨人戦で、
飛球を捕ろうと背走し、味方と交錯。
鼻骨・肋骨骨折・左肩鎖関節脱臼。
必死のリハビリで、
6月下旬に一軍に復帰したばかり。
ここで奇策に引っかかったら、
それこそ「無様」。
一流の選手は、
一流であることを、
こういった瞬間に証明する。
小売業の販促策などで、
「奇策」を好む経営者は多い。
「奇策」が好きな店長や担当者も。
「奇策」ばかり指導するコンサルタントも。
売場の陳列にも、
「定型陳列」と「変化陳列」の、
二種類がある。
定型陳列が、
整然と出来上がっている中でこそ、
程よい変化陳列が、効果を発揮する。
POPに関しても、
同じ定石がある。
鈴木哲男さんの主張する「POPの原則」。
「商品自身で語らせる」
これが何よりも大切なセオリー。
従って、
「商品自身で語り得ないもののみ」
POPをつける。
商品自身で語るものが、
コモディティグッズ。
コモディティ・グッズの定義のなかにある。
「消費者全般に一般的な信用があって、
売価が似かよった商品群」
「実物を見なくとも顧客が
購買の意思決定ができる商品群」
みんなが知っていて、
わかりきった商品。
そこにあらためて、
POPをつける必要はまったくない。
しかしそれを価格訴求するときには、
POPが必要になる。
鈴木さんは続ける。
「POPを取り付ける場合」の基本。
「安い商品は、
より安く見えるPOP、
良い商品は、
より良く見えるPOPをつける」。
商品が売場の主役である。
その商品自身が語りかけてくれる。
野球やサッカーで言えば、
選手が商品。
選手自身に語らせる。
監督が語ってはいけない。
いよいよ、週末は、
FIFAワールドカップブラジルの、
最終戦優勝決定戦と三位決定戦。
選手自身に存分に語ってもらおう。
〈結城義晴〉