御嶽山が噴火。
〈時事通信提供の写真〉
「おんたけさん」。
標高3067 mの複合成層火山。
雄大な裾野をもつ独立峰。
長野県木曽郡木曽町・王滝村から、
岐阜県下呂市・高山市をまたぐ。
「おんたけさん」という音声は、
日本人に馴染んでいる。
木曽節が耳に残っているからだ。
木曽のな~ 中乗りさん
木曽のおんたけさんは
なんじゃらほい
夏でも寒い ヨイヨイヨイ
ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイ
この、夏でも寒い「おんたけさん」。
私も独立峰には興味があって、
いつか登りたいと思っていた。
その御嶽山が噴火。
山頂付近などに、
250人超の登山客らがいる模様。
安否が心配される。
気象庁のコメント。
「事前に情報を発表できなかったという意味で
予知ができなかった」。
つまりは、こういうことか。
「予知できなかった。
力足らず、申し訳ない」
木曽節のノンビリした旋律と、
大噴火は結びつきにくいが、
日本列島は火山列島でもあることを、
また、思い知らされた。
さて、日経新聞最終面の『私の履歴書』。
今月はジャンクロード・トリシェ。
前欧州中央銀行総裁。
日本との関係の深さを述懐する。
その日本へのコメント。
「日本は急速な高齢化を伴う人口減、
巨額債務の2つの難題を抱える」
日本の根本的な問題点。
「低成長とデフレや低インフレに苦しんだが、
生活水準は高く
低失業率で優れたインフラがある」
そのとおり。
そして、「アベノミクス」に対して。
「私が言うことは1つ、
構造改革という第3の矢が
とにかく重要」
さらに、コラム『大機小機』。
コラムニストの吾妻橋氏が書く。
「2040年に896市区町村が消滅」
大きなショックを与える予測。
そこで地方創生本部が設置された。
人口は今後20年間に1400万人も減少。
コラムニストの主張は、
コンパクトシティ化。
つまり、主要地域ごとに、
数百万人規模の中核都市を形成する。
そこへ周辺部からの人口移動を促す。
基本は、地方の人口減少対策を、
広域ベースで考えること。
モデルは、北欧やシンガポール。
少ない人口が都市部に集中する形態。
「人口減少社会で、
大都市へ人口が集中することは、
都市の規模の経済を
活用する合理的な行動だ」。
だから「地方の保護主義」は、
「日本全体の活力を
失わせるだけだ」。
コンパクトシティ化。
小売サービス業も、
このテーゼの重要性を、
知っておくべきだ。
そしてこれは、
ジャンクロード・トリシェの指摘する
「構造改革」にもつながっている。
自然の猛威に耐えつつ、
人間の賢明さを発揮し続けなければ、
私たちの日本国はやっていけない。
御嶽山の噴火のニュースに触れながら、
改めて自分たちの国を思う。
〈結城義晴〉