2014年9月最後の日。
今月の商人舎標語は、
「Change! Or, Die!」
自ら、変われ。
さもなくば、死ね。
声高には言わないけれど、
心の中でいつも、
そう、反芻しつつ、
自分を変えることに努力した。
日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト一直氏が書く。
「戦後教育憂えた二人の経済学者」。
一人は私も触れたが、
数理経済学者の宇沢弘文先生。
1999年出版の『ゆたかな国をつくる』で、
「学校教育の全般的危機」を痛烈に批判。
その批判の対象は、「画一主義」。
とりわけ全国共通のセンター入試制度を批判。
それは単一の基準によって
若者の能力を判断する方式だったからだ。
「これが偏差値中心主義をもたらして、
初等、中等教育をゆがめてしまった」。
もうひとりも数理経済学者の森嶋通夫氏。
10年前に亡くなった宇沢先生の同世代。
1999年の著作『なぜ日本は没落するか』。
「現在の教育制度は、
思考力を育てない画一教育、
価値判断の排除、
表面的な自由主義・個人主義教育」
二人の世界的な経済学者が、
日本の戦後教育を憂慮した。
「社会の土台は人間であり、
人間の土台を形成するのは教育だ」
私も同感。
そしてそれを私なりに実行するのが、
仕事をしている人たちの教育。
思考力を育てる。
自ら、価値判断する。
脱グライダー商人になる。
それが商人舎ミドルマネジメント研修会。
第6回になる。
私は立教大学大学院で、
9年間、教えた。
これも私なりの教育の実践だった。
しかし今は、自分の産業の人々を、
ナレッジマーチャントにすべく、
教育研修をする。
朝一番で、
熱海駅。
駅前に機関車のミニチュア。
そして立派な商店街。
車で海べりを走ると、
向こうに三浦半島。
今日は霞んでいる。
20分ほどで、
いつもの研修所。
ニューウェルシティ湯河原。
そして午後1時5分前に、
全員着席して、開始。
はじめの3講座は、
結城義晴。
私はこの高くて広い空間の研修室が、
ひどく気に入っている。
3日間講義をしても、
講義を受けても、
快適に過ごすことができる。
実に熱心に聴講してくれる。
商業の近代化と現代化。
その思想と考え方。
私の講義は、
それに集中する。
なぜ商業に従事するのか。
なぜ仕事をするのか。
そしてそれはどう、
社会に貢献しているのか。
これが一番大事なことだ。
儲けるための方法も大事。
しかしその前に、
腹の中にしっかりと、
据えておかねばならないことがある。
それがこの最初の、
1時から5時までの講義。
そのあとは、
お馴染みの鈴木哲男講師。
マーチャンダイジングと、
プロモーションと、
ストアコンパリゾン。
そして特に52週マーチャンダイジング。
何度聞いても、
いつ学んでも、
鈴木先生の講義は、
本物だ。
受けを狙ったり、
奇をてらったり、
脅したりすかしたりは、
一切ない。
本物の講義。
心から感謝したい。
講義が終わると午後8時。
全員で食事をして、
それから自習。
3階の勉強室。
深夜まで、
みな、真剣に自習。
こうして湯河原の夜は、
更けていった。
学ぶことは、
自らを変えること。
「Change! Or, Die!」
その実践の場が、
ミドルマネジメント研修会だ。
(つづきます)
〈結城義晴〉