どの人も帯びにゃ短いタスキ掛け
〈朝日川柳より 宮城県・白戸美智子〉
第47回衆議院総選挙、
今日、公示。
投開票は14日。日曜日。
自分の選挙区を見渡せば、
ずばり川柳のとおり。
でも、
選挙に行こう! 投票しよう!!
今日の横浜は、
寒気団に覆われてはいるが、
光がまぶしい。
商人舎オフィスから見る紅葉も、
美しい。
日経新聞第6面に、
各党党首の直筆の言葉を掲げた写真がある。
字は体を表す。
他人のことなど言えたものではないが、
公示日の党首たち、
ということで辛辣に評する。
悪しからず。
安倍晋三自民党総裁。
「この道しか無い」
自分の価値を高めようと、
大いに気取った文字だ。
海江田万里民主党代表。
「今こそ流れを変える時。」
生真面目な優等生の字だが、
流れが変わるとは思えない。
江田憲司維新の党共同代表。
「身を切る改革」
さらっと書いた、
ひどく平凡な字。
山口那津男公明党代表。
「軽減税率」
面白みに欠ける、几帳面な字体だが、
軽減税率の先行事例をよく研究して欲しい。
平沼赳夫次世代の党党首。
「是是非非」
なんじゃ、これ。
「融通無碍」とも読める。
志位和夫共産党委員長。
「暴走ストップ! 政治を変える」
丁寧で綺麗な字体だが、
暴走ストップ! の語調は旧すぎる。
小沢一郎生活の党代表。
「国民の生活が第一」
意外にこぢんまりとしていて、
さらに意外に素直な字体。
この人の本性はそうなのかもしれない。
それぞれの選挙区には、
無所属で立候補する人もいるだろうが、
投票者はいずれかを選ばねばならない。
しかしそれにしても、
帯にゃ短いタスキ掛けだ。
それでも、
選挙に行こう! 投票しよう!!
朝日新聞のコラム『経済気象台』。
コラムニスト玲子さんが、
「市場から見る総選挙」を書く。
ここでいう「市場」は、
株式市場のこと。
今回の総選挙を、評する。
「あり得ない」×「あり得ない」=「あり得る」
マイナス×マイナス=プラス
これを思い起こしたそうだ。
「経済再生と財政再建の両立」。
――安倍政権の約束。
「市場関係者にとって、
今回の決断は
失望以外の何ものでもない」
安倍政権は株価を、
自らの経済政策や支持率の
バロメーターにしている。
コラムニストは言う。
「日本に必要な医療、農業、雇用といった
岩盤規制の改革や財政再建は、
株価に直結するとは限らない。
しかし、進めなければ、
将来の株高に向けた土台も築けない」
最後まで株式市場の観点からのコラム。
ただし、経済再生と財政再建の両立は、
企業経営と全く同じ課題である。
営業再生と財務再建の両立。
これをオクシモロンの問題解決と呼ぶ。
オクシは鋭い、賢い。
モロンは鈍い、愚か。
つまりは二律背反の問題解決。
いかにも現代化の課題だ。
しかし、このオクシモロンの場合、
ひとつだけはっきりとしていることがある。
この難解な課題から、
逃げてはいけないということ。
「市場関係者」の失望とは、
安倍晋三の逃げを意味している。
さて日経新聞が、
総合面の『迫真』で連載を始めた。
タイトルは、
「イオンの決断」。
第1回の今日は、
「創業8代目、募る危機感」。
本文は新聞を読んで欲しいところが、
この連載の趣旨は、
「急拡大とその過程で生じた様々なひずみ。
イオンが大きな試練に直面している。
創業家8代目の決断に迫る」。
私の感想。
岡田元也イオン社長を、
「創業家8代目」として、
この連載は進みそうだが、
まず、その発想が的外れ。
やがて岡田屋の家訓など、
出てくるのだろう。
しかし岡田さんはあくまで、
小売商売とチェーンストアの本質を求めている。
規模と効率というマネジメントの真理を、
別の言い方をすれば、
「営業と財務の両立」を、
探求している。
「創業家8代目」の発想は、
共産党志位和夫以上に旧すぎて、
情けない。
〈結城義晴〉
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