12月20日土曜日。
今年の年末商戦のピークが始まる。
今日から大晦日の31日までの12日間。
無呼吸泳法で泳ぎきる決意が必要だ。
私が言い続けているように、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」。
よろしく。
ただし、勝負の大勢は、
もう決まっている。
いまはもう、
それぞれに、
ひたすらお客様のことを考えて、
仕事に邁進しよう。
その意味では、
商人にとって幸せな時だ。
自身のことで言えば、
原稿書きが私の仕事のひとつだが、
締め切りギリギリになって、
もう書き上げるしかないとなった時、
火事場の馬鹿力が出る。
そしてその瞬間瞬間が、
恍惚とするほど幸せ。
これからの12日間。
商人にとっては、
火事場の馬鹿力の時。
そして幸せな時。
健闘を祈る。
さて日本経済団体連合会の統計発表。
今年末ボーナスの平均妥結額最終集計。
調査は従業員500人以上の東証一部上場、
主要20業種大手240社で、
比較可能な157社分の加重平均値。
84万8405円。
前年比5.26%増。
伸び率は1990年以来24年ぶり、
バブル経済期以来の伸び。
金額は2008年の88万9000円に迫る。
こちらはリーマンショック前の水準。
一番の伸び率は鉄鋼の前年比24.53%増、
二番はセメントの17.53%増、
三番手に食品が入って12.94%。
金額は自動車、鉄道、機械金属が90万円台。
食品はその次の四番目で89万3840円。
残念ながら商業は集計されていない。
製造業平均が6.16%増。
非製造業は1.65%増。
東証一部上場企業は、
日本共産党が指摘するように、
大いに潤った。
しかしこれで年末商戦、
大勢は決しているが、
それぞれの努力がこのボーナス増分を、
獲得することに振り向けられて、
やはり潤う。
無呼吸泳法の成果は、
保証されていることになる。
再び、健闘を祈る。
さてさて昨日の私、
大阪から京都へ。
そして桂川駅前の巨大ショッピングモール。
イオンモール京都桂川。
今年10月17日9時、グランドオープン。
敷地は9万2000㎡で、
キリンビール京都工場跡地の一角。
延床21万4000㎡、
総リース面積7万7000㎡。
核店舗はイオンリテールのイオン京都桂川店。
AEON STYLEのバナー。
サブ核店舗はイオンシネマと東急スポーツオアシス。
サブ核機能のイオンシネマ側に、
スポーツオーソリティ。
それからイオンペット。
さらにイオンバイク。
東急スポーツオアシスの横に、
2階にはレストラン街の「洛西小路」。
3階にはフードコート。
この洛西小路とフードコートが洗練され、
大人もしっかり落ち着けるし、
子供連れでも楽しめるし、
若者も集える。
専門店は約220。
その専門店の中に、
イオンリカー。
お酒と食のマリアージュがコンセプト。
1000種類のワイン品揃え、
ワインバーの設置、
リカーのオムニチャネル展開。
面白い試みが満載。
モール全体の従業員数は2800人、
イオンリテールは700人。
基本商圏は、
10万キロ圏で146万人66万世帯。
モール全体は4つのコンセプトを持つ。
第1は、環境。
古都「京」の要素を現代的に取り入れ、
「伝統と革新の融和」を目指す。
実際にモールの中は、
その試みに溢れている。
第2は、立地。
公共交通機関、自動車双方での
交通アクセスに恵まれている。
JR桂川駅に直結していて、
駐車場3100台、駐輪場2500台。
第3は専門店。
京都府初出店110店舗を含む約220店。
そして第4は核店舗「イオン京都桂川店」。
1階の食品フロアは、
イオンもここまで来たかと感心させられる。
食品ゾーンはウッディ風の床。
生鮮三部門が鮮度・価格・品揃えで、
飛躍的によくなった。
惣菜部門は広大で、
ウェグマンズを彷彿させるセルフのデリ売り場。
2階はファッションと服飾雑貨。
レディス、メンズ、インナー、
さらに服飾雑貨、トラベル用品。
各種ブランドを導入して、
ショップづくりも華やかになってきた。
瞬間温感インナーピース・フィットは、
「ヒートテック」版のプライベートブランド。
レディスとメンズ、それぞれのゾーンで展開。
3階は暮らし用品とキッズ。
モール側入口には、
食器売場。
イオンリテールの最新フォーマットが、
イオンスタイル。
食品部門にまずインベーションが、
くっきりと見えてきた。
衣料品や住居余暇関連も、
新しいユニットが試みられて、
こちらも意欲的。
総合スーパーとしての新しいフォーマットづくり、
そのチャレンジは評価できるだろう。
あとは現場の売りの力で、
数字を実現することだが、
そのとき変更すべきところは変更し、
改善すべきところは素早く改善する。
その継続が何よリ重要だ。
モール全体からは、
むしろコンパクトな印象を受けた。
京都市郊外のモールとして、
ハード、ソフト、そしてオムニチャネルが、
融合しつつ揃った。
イオンのモールが、
一つ前進した証となる商業集積である。
年末に向けて、
ボーナスのアップ分くらいは稼ぐだろう。
問題はそのあとの年明けである。
つまり無呼吸泳法の次の息継ぎで、
いかに胸いっぱいの酸素を吸い込んで、
小さなイノベーションを続けられるか。
ここにかかっている。
そんなことを考えながら、
京都タワーを臨む。
「さあ、久しぶりに帰ろう」
と、家路に着いた。
〈結城義晴〉