今月の月刊『商人舎』は、
特集1本主義をあえて止めて、
巻頭提言集「2015年を見透す」と、
特集・Conscious Retailing
最高意識企業ホールフーズ・マーケットの理論的根拠
それ以外にウェブサイトの商人舎マガジンでは、
特別企画を掲載しています。
フランス冷食専門店「ピカール」深掘り研究
[現場報告]提携イオン多摩平の森の商品と売場づくり
[体験記]パリのピカールで買物・調理してみました。
ぜひ読んでみてください。
日経新聞をはじめ、
いろいろなメディアで取り上げられましたが、
現地取材と体験記は本誌だけの内容です。
さて、ロピアのニューヨーク研修会。
第2班の2日目。
第1班と同じ内容。
しかし全く同じにはならない。
常に新しい発見がある。
それが面白いし、役に立つ。
朝から、講義。
まず、ロピアの理念を唱和。
リーダーの声に合わせて、
全員で唱和。
2011年に社名を変更した。
ユータカラヤからロピアへ。
ロープライス・ユートピア。
新しいコンセプトの新しいバナー。
そして新しい理念。
そして新しい知識商人。
私の講義は2時間。
若いチーフも参加していて、
だからできるだけ丁寧に、
分かりやすく、語る。
むつかしいことを
やさしく。
やさしいことを、
おもしろく。
おもしろいことを、
よりふかく。
これは井上ひさしに似ているが、
林廣美先生の教え。
アウトスタンディングなポジショニング戦略。
それを「とんがり★こだわり」と表現した。
ロピアの若い人たちにも、
理解・納得できただろうか。
そして新しい息吹は生まれただろうか。
講義が終わると、
早速、視察へ。
ウォルマート・スーパーセンター。
一時期廃止していたグリーターが、
出迎えてくれた。
お断りしてカメラを向けると、
ちょっと緊張。
しかし驚いた。
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」
それがウォルマートのモットーでもある。
雪が降ったばかりで、
氷点下のいま、
衣料品売り場では、
水着がトップにあった。
もちろんバレンタインデー売り場は、
いま製作中。
食品売り場の前でも、
陳列とプレゼンテーションの変更中。
そして食品はますます充実してきた。
ウォルマートにはウォルマートの、
とんがり★こだわりがある。
広い売り場、
無駄のない品揃え、
ロープライス。
そしてグリーター、
早仕掛け・早仕舞い。
ウォルマートの充実の一方で、
ストップ&ショップ。
アホールドUSA傘下のローカルチェーン。
青果部門に弱点有り。
コンベンショナル型スーパーマーケットの典型。
天井は高いが、壁面など、
この店の「とんがり★こだわり」は、
全く見られない。
多くのロピア・ピープルから、
「日本のお店みたいだ」という声、しきり。
そう、日本も同じです。
しかしファーマシーは併設されている。
商品の置き場。
それもグロサリー中心。
そしてディスカウント。
これがコンベンショナル型。
対極にあるのが、
ウェグマンズ。
自慢の青果売り場。
大容量のファミリーパック。
オーガニックバナナ。
そしてこの圧倒するチーズ売り場。
右に曲がって、
生ハムスライスの対面売り場。
さらにフードサービス部門へ。
「とんがり★こだわり」そのもの。
かと言って、
高売りスーパーマーケットではない。
コンシステント・ロープライスを採用。
つまりエブリデーロープライス。
レジ前には花売り場。
しかししかし、
ウェグマンズは最近、
一言で言えば、
「たるんでる!!」
喝を入れてやらねばならないだろう。
1店舗平均80億円の売上高。
顧客はウェグマンズを頼りきっている。
店舗レベルで見ると、
極めて順調。
すると誰でも、
たるんでくる。
それもやむなし、かもしれない。
しかし、もっと競争の局面に、
あえて、入り込んだほうがいい。
余計なお節介だろうが。
ウェグマンズを後に、
アルディ。
こちらは標準化のお手本。
95%がプライベートブランド。
それも全てコンペティティブブランド。
バリュー・エンジニアリングの
5番目の方法で開発する。
レジも驚くほど速い。
その謎のひとつを、
ロピア社長の高木勇輔さんが、
鋭い観察の上で、
解き明かした。
私、ちょっと驚いた。
将棋の米長邦雄が、
羽生善治を見る感じ。
アルディの凄さは、
現場を見て、
観察しなければ、
わからない。
マンハッタンに戻って、
ゼイバーズ。
スモーク・フィッシュが有名。
コーヒーも大人気。
私はこれを買った。
それから今回は、
惣菜を買い込んだ。
顧客が次々に買う商品。
ハンドメイドのコールスロー。
美味だった。
それから店員が喜んだ。
これ。
ラムレッグ。
一本まるごと、
お買い上げ。
するとまず、丁寧に、
紙で包んでくれた。
その後、アルミホイルを、
これまた丁寧に巻いていく。
そしてまるごと1本、
出来上がり。
104ドル、1万400円也。
ゼイバーズはたった1店の単独店。
しかし早くから、
インターネット販売を試みる。
これからの時代、
稀少性を担保するために、
単独店でもいい。
ネット販売は、
そんな店の味方でもある。
だからオリジナルセット商品を、
ウィンドーに掲げる。
ゼイバーズにも、
イノベーションはある。
次にフェアウェイマーケット。
ロピアの研修だから、
トレーダー・ジョーは3回、
ホールフーズとフェアウェイマーケットは、
それぞれ2回ずつ。
入口にカットフルーツ。
そして自慢の青果部門圧巻陳列。
とんがり★こだわりの売り場。
これも現地に行かねば、
わからない。
オリーブもとんがり★こだわり。
店舗の2階には、
オーガニック専用売り場。
その、お手本のようなひな壇陳列。
客足は衰えない。
その隣のシタレラ。
入口脇に、
ドライエージドビーフ。
商品が並べてあるだけで、
説明も何もない。
高級惣菜専門店も、
説明能力に決定的な欠点がある。
つまり単なる商品の置き場。
鮮魚・青果も同じ。
コンベンショナル型とは、
とんがり★こだわりがない店。
そして説明がない店。
ただし、わかりきったことや、
くだらない思いつきを、
とうとうと説明するのは、
全く、いただけない。
最後にトレーダー・ジョー。
5番街の地下1階、2階の店。
早くもレジには、
長い長い行列。
キングコング。
そしてヤンキース。
この店だけのとんがり★こだわり。
ロピアのピープルには、
わかったと思う。
アウトスタンディングとは何か。
ポジショニングとは何か。
言葉ではなく、
全身全霊でわかる。
それがイノベーションを生む。
(つづきます)
〈結城義晴〉