イギリスの名宰相ウィンストン・チャーチル卿。
名言家でもある。
朝日新聞『天声人語』が取り上げた。
「悲観主義者は
すべての好機の中に
困難を見つけるが、
楽観主義者は
すべての困難の中に
好機を見いだす」
そしてつぶやく。
「とても楽観などできない。
しかし悲観も諦めも禁物だ」
イスラム国の人質事件のことをいう。
そのスタンスを崩さない。
事件はいまだ闇の中。
国際社会は極めてクールに、
この事件を捉え、
日本政府もそのスタンスを崩さない。
楽観もせず、悲観もせず。
そこからはごくごく冷静な、
論理的判断が導き出される。
私はそれを強く感じる。
今日は年始に続いて、
千葉県木更津へ。
イオンモール木更津。
イオンの郊外型モールとして、
成功を収めている。
駐車場もご覧のとおり。
イオンスタイルは、まず、
食品で確かな成果を出しつつある。
一方、非食品の、特に衣料品も、
今一歩のところまで来ている。
モールはシネマコンプレックスが、
イオンスタイルの反対側の核。
南房総全域から顧客を集める、
まさしく核機能を果たしている。
ノジマも反対側の核。
ギャップのオールドネイビーが、
モール中央にあって、存在感を示している。
専門店群も健闘。
アズール・バイ・マウジーは、
国内91店になった。
コンコースにステージ陳列。
モールにライフスタイルセンター流の彫刻。
ただしここに、
販促物や営業臭いものを、
添えてはいけない。
1月最後の土曜日に、
この繁盛ならば、
あとは数字を見ながら、
「良いところは伸ばし、
悪いところは改善する」
楽観も悲観もせず、
客観的に冷静に仕事すること。
その姿勢でいいだろう。
さて、日経新聞コラム『大機小機』。
今日のタイトルは、
「戦後日本70年の総括」
コラムニスト桃李さん。
対局から物申す人。
まず、日本を、
「平和国家」と規定する。
「戦後70年間、戦争をしなかったのは
国連加盟193カ国のうち8カ国しかない。
アジアで日本以外はブータンだけである」
世界に誇るべき歴史。
先日の講演でも、
丹羽宇一郎さんが主張した。
伊藤忠商事の元社長・会長、
前中国大使。
日本の条件のひとつは、
「戦争しないこと」。
コラムニストは、
「戦後の荒廃から目覚ましい勢いで立ち直り、
最も成長した日本」を指摘する。
「その発展の教訓を伝えて
世界に貢献する希有な機会である」とする。
戦後生まれが総人口の8割。
「戦後70年の歴史の本質は何か」。
「昭和の歴史は戦争によって、
前期後期に分けられた」
三島由紀夫も書いている。
三島は三島なりに昭和前後期を総括し、
45年前に市ヶ谷の自衛隊バルコニーで演説し、
割腹自決した。
今年、三島の生誕90年、
死後45年を迎える。
コラムニストは三島の言う後半の70年を、
さらに前半と後半に分けて整理する。
前半は、成長・発展の歴史。
「日本が開戦した契機は
領土拡張による石油資源の確保であった。
だが、戦後日本が高度成長できた原因は
自国内に資源を持たなかった点にこそある」
「国内に資源を持たないため、
世界中で最も高品質で
最も低価格の資源を選んで輸入し、
加工することで高い付加価値を生み、
さらなる輸入資源の購入原資を得ることができた」
我々日本の成長の源泉は、
領土拡大ではなく、
「絶えざる技術進歩」である。
つまりイノベーション。
それを生む「人材教育」である。
つまりエデュケーション。
日本の成長は、
イノベーションとエデュケーションによった。
それが総括。
近代的日本商業にも、
このDNAは貫かれている。
イノベーションとエデュケーション。
「戦後の民主化は社会の自由度を高め、
西欧以外では初の先進国となった歴史は
途上国の目標でもある」
三島由紀夫は、
そのことの虚無性を指摘し、
自らの命を絶つことで、
総括したのだったが。
一方、70年間の後半。
「バブル期に始まる政策失敗の歴史」
なんとこの政策の失敗も、
教訓となっている。
「米国は日本を他山の石として、
大胆な金融政策でデフレ突入を防ぎ
早期に成長を回復した」
さらにその日本の失敗モデルは、
世界標準となった。
丹羽さんは、
中国が40年、韓国は20年、
日本やアメリカから遅れ、
やがてデフレに陥ると予言している。
それもこの標準失敗モデルによって、
回復するに違いない。
コラムニストは結ぶ。
「この機会に、戦後史を総括し
未来志向の教訓を
世界に発信すべきである」
私たちも、戦後商業を、
二つに分けて総括することができよう。
それは「商業の近代化」プロセスの中の、
「成功と失敗」の二つの現象である。
日本のチェーンストアの世界にも、
同じく前後期の「成長と失敗」があった。
それはダイエーの盛衰の歴史に、
象徴的に表されている。
「膨張と成長」と表現したのは、
故田島義博学習院大学院長だった。
成長の源泉は、
「イノベーションとエデュケーション」。
失敗の原因は、
「企業バブル期の連続的な失政」。
この商業近代化の成功と失敗を思い返すことで、
次の時代の「商業現代化」が見透される。
2015年1月最後の土曜日。
楽観でもなく、悲観でもなく、
そんなことを考えた。
〈結城義晴〉