昨日帰国して、
気温の変化はあることはある。
しかしそれによって体調を崩すことはないが、
どうやら花粉の方が厄介だ。
新聞など読み返していると、
日経新聞『私の履歴書』は、
日揮グループ代表の重久吉弘さん。
その2月20日のタイトルは「社長就任」。
「世間では、社長に指名された時の
感想を求められると
『青天の霹靂(へきれき)だった』
『自分に社長が務まるのか悩んだ』と
答えることになっている。
だが、本当は多くの新社長は
そんなことは考えていない」
この率直さが、すごくいい。
「不遜と言われるのを
百も承知のうえで告白すると、
前任の渡辺英二社長から
『次は君にやってもらう』と言われた時に
私は『やっとこの時が来た』と思った」
社長になって、
成功する人は残らず、
この重久さんと同じ心持ちのはずだ。
実は、私もそうだった。
「だが、やはり神様は
この大きな人生の節目で
私に試練を与えて下さった」
社長就任年度の当期純利益は、
122億円の赤字。
翌年度も102億円の赤字。
「これも自分に与えられた運命だと
腹をくくるしかなかった」
私も、同じようなものだった。
そして「陽が差し始めた」
社長就任3年目。
その後は猪突猛進。
「成功とは諦めなかった者だけが得る」
これもよくある成功物語。
しかし、そのよくある話に、
とても共感する。
とても及ばないが、
私も同類だから。
さて、ロピア米国研修の第4班。
ニューヨーク3日目は、
朝のユニオンスクエアから始まった。
雪混じりだが、
それだけに寒くはない。
零下3度くらい。
これでも寒くはない。
体が慣れてしまったからか。
日曜日の朝9時。
入口ではこの店だけのイラストが、
顧客を迎えてくれる。
もうレジには行列。
相変わらず、
トレーダー・ジョーはすごい。
1階はコンビニ機能のアップ・マーケット。
広々とした2階にファーマシー&ビューティ。
地下1階がスーパーマーケットの、
定番売り場。
精肉の対面売り場は、
5段階肥育基準で肉質を、
顧客にわかりやすく提案。
コーヒー売り場も、
トレーダー・ジョーにはない専門性。
TJは売れ筋に絞り込んだ単品量販型。
WFMは専門性を掘り込んだ品揃え型。
そのポジショニングの差異が、
両者をアメリカで最も優れた2社にした。
顧客はレジで色の下に並ぶ。
順番に空いたチェックスタンドの番号が出る。
そこに行けばいい。
顧客のストレスも不満も少ない。
一番奥に惣菜コーナー。
一番奥にあるということは、
この店が惣菜屋だということを意味している。
この店にしかない美味しい惣菜。
それが主役。
青果部門も加工食品も、
その意味では脇役だ。
その脇役が輝いているから、
見事な舞台となる。
そして対面売り場の加工肉。
トレーダー・ジョーやホールフーズが、
このユニオンスクエアに出店してきて、
ガーデン・オブ・エデンは一時、
苦境に陥った。
しかしトレーダー・ジョーにも、
ホールフーズにもないものを、
彼らは持っていた。
つまりポジショニングがあった。
だから生き残った。
ユニオンスクエアの競争を、
歩いて、見る。
繁盛店型企業のロピアの若手には、
本当に勉強になる。
そして中央ホールには、
ピザ屋。
合言葉は、
Eat BETTER cook SIMPULER.
「より良く食べよ、
よりシンプルに調理せよ」
イータリー、ちょっと客足が減ったが、
その未来型店舗の軌道はブレない。
ナビスコの工場跡にできた商業集積。
いま、ニューヨークで最もホットなスポット。
今日も昼食は魚屋。
店名は「ロブスター・プレイス」。
ニューヨーク随一のシーフードストア。
超大型のロブスターを、
実に上手に茹でて、
食べやすいように調理してくれる。
1尾70ドル也。
そして生牡蠣。
グランドセントラル駅のオイスターバーなど、
相手にならないくらい鮮度があって、うまい。
私は小林清泰先生と、
インショップの立ちの寿司屋で、
サッポロビールと大トロなどなど。
小林先生は、
㈱ケノス社長の一級建築士。
ニューヨーク随一の魚屋は、
リテールとフードサービス、
内食と中食と外食の融合。
イータリーの影響は、
こんなところにまで出ている。
日本のスーパーマーケットも、
やがてこのフュージョンを、
それぞれに志向する時が来るだろう。
「成功とは諦めなかった者だけが得る」
重久吉弘さんの言葉は、
ありきたりだけれど真理だ。
(もう少し、つづきます)
〈結城義晴〉