今回はなぜか、
時差ボケがひどい。
たいてい帰国してから2~3日もすると、
すっかり元に戻る。
しかし酷寒のニューヨーク生活は、
現地に滞在している時から、
ちょっと変な具合で、
毎晩、10時頃にはベッドに倒れ込んで、
午前3時頃に目覚めて仕事をしていた。
不思議なことに日本に帰ってきてからも、
夕方になるとひどい睡魔に襲われて、
午前3時頃には覚醒する。
しかし2月最後の日、
14時間ほどこんこんと眠り続けて、
一気に時差ボケが解消された。
私がニューヨークにいた2月21日、
10代目坂東三津五郎が59歳で逝った。
膵臓がんだった。
その著書が、
『坂東三津五郎 粋な城めぐり』
この中に「僕にとってはいちばん
思い入れのある大好きなお城」として、
彦根城が挙げられている。
三津五郎は、
BS朝日の番組『日本の城ミステリー紀行』で、
進行役として”城案内人”を務めた。
その三津五郎が小学2年生の時、
初めて見に行った彦根城に魅了された。
彦根城は、映画『武士の一分』でも、
撮影に使われた。
三津五郎は木村拓哉と共演。
2月25日に葬儀が行われたが、
先輩の尾上菊五郎の弔辞。
「あなたは
『姫路城が好きだ、彦根城が好きだ』と
言っていたけど、
ホステス嬢やキャバクラ嬢も好きでした。
(中略)どうか向こうの世界のネオン街で、
いい店を探しておいてください。
私がそちらにいったら、
いい店を紹介してください」
この彦根城を眺めながら、
温泉に浸かった。
体も心も癒された。
それが14時間の睡眠に繋がって、
時差ボケが治った。
ありがたい。
明けて、2月最後の日。
㈱平和堂本部。
2014年度が終わり、
現場は2月21日から新年度に入っているが、
その2014年度決算は極めて良好。
月刊『商人舎』3月号で、
夏原陽平さんにインタビュー。
営業推進室室長兼経営戦略室統括。
コーネル大学RMPジャパン奇跡の第二期生。
平和堂アメリカ研修でも、
何度も一緒に渡米しているが、
こうしてインタビューは初めてのこと。
テーマはテクニカルな問題だが、
結論はソシオ問題に帰結。
詳細は月刊『商人舎』3月号。
平和堂好調の理由が、
ここにあるというくらい、
いい内容だった。
ご期待いただきたい。
インタビューが終わった頃、
夏原平和社長が顔を見せてくださった。
駐車場は満杯で、
次々に車が入ってくる。
食品フロアも大繁盛で、
特に「近江ちゃんぽん」の売場は目立つ。
日清食品とのコラボレーション商品で、
今、平和堂でしか販売されていない。
絶好調企業の絶好調店舗、
その支配人。
売場をチェックする動きも、
目配りも絶好調。
2012年9月15日、
日本政府の尖閣諸島国有化問題に端を発して、
中国全土で大規模な反日デモが発生。
中国湖南省の平和堂の店舗は、
暴徒に襲われた。
夏原平和さんは自ら現地に飛んで、
問題解決と店舗の復興に邁進した。
平和堂に勤める中国人従業員たちが、
何よりも率先して動いて、
いち早く店舗は再開された。
陽平さんによると、
この時の日本国内の平和堂社員も、
大いに燃えた。
夏原社長も大いに燃えた。
どうも平和堂の現在の好調さは、
この時の試練に起因しているらしい。
私はそう感じた。
ラリー・ボシディ/ラム・チャラ著、
『経営は「実行」』。
英語タイトルは「Execution」。
この方が断然いい。
組織やリーダーが直面する「試練」が、
6分類され、それぞれのタイプに対して、
「診断作業」と「実践戦略」が提示される。
このベストセラーは示す。
人材プロセスが、
戦略プロセスや業務プロセスに、
優先される。
商人舎最高顧問の故杉山昭次郎先生。
「ソシオテクニカルシステム論」を提唱した。
組織システムと技術システムの相関性。
平和堂の好調さは、
ここに収斂している。
あらためて二人の夏原さんと話して、
私はそのことを実感した。
〈結城義晴〉