そろそろ2月期決算企業が、
2014年度実績を明らかにする。
まず決算短信による速報が出され、
そして有価証券報告書による確報が出る。
実はその決算短信の前に、
マスコミ、特に日経新聞から、
情報が漏らされる。
だから「○○したようだ」とか、
「○○程度」「○○前後」といった表現が、
使われる。
今朝の日経新聞一面左上段に、
「セブン&アイ、最高益」の文字が躍る。
小売業関係者としては、
ここに速報前の情報が載るのは、
単純にうれしい。
そのセブン&アイ・ホールディングスの決算。
日経によると、
売上高(営業収益)は6兆1000億円程度、
前年比約8%増の、ようだ。
連結営業利益が3450億円前後、
こちらは前の期比2%増の、ようだ。
4年連続過去最高益更新の、ようだ。
理由はセブン-イレブン事業の好調ぶり。
これは誰が見ても明らか。
日本国内の既存店売上高は、
この2月まで31カ月連続、
前年同月比プラスの、ようだ。
セブン-イレブンの国内店舗数は、
約1200店増で約1万7500店舗。
アメリカのセブン-イレブン・インクも好調。
しかし足を引っ張った事業もあった。
日経はふたつ挙げる。
ひとつは昨年買収したニッセンホールディングス。
アマゾンをはじめとするノンストアリテイリングは、
世界中で成長を続けている。
アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は、
「現在のeコマースのシェアは3.6%だから、
われわれの伸びシロは96%」と胸を張る。
しかしセブン&アイの傘下の通信販売は、
今期、苦しかった。
これは面白い現象だ。
日経新聞が挙げた理由は2点。
「商品力の弱さ」と、
「費用負担の膨張」。
「商業統計調査」が、
通信販売を分類定義している。
まずは大きな括りとして、
有店舗販売に対して「無店舗販売」がある。
そしてこれは二つに分けられる。
第一が訪問販売、
第二が通信・カタログ販売。
2007年(平成19年)の商業統計は、
このあたりを調査している。
訪問販売の事業所数は、
14万5300。
2002年比20.3%減。
通信・カタログ販売事業所は、
6 万1312 事業所(同36.1%増)。
さらに自動販売機の事業所は、
12 万6348 事業所(同21.6%減)。
この時点の商品販売額。
訪問販売が8兆2832億円、
2002年調査比22.9%減。
通信・カタログ販売事業所は、
4兆168億円(同30.1%増)。
自動販売機による販売は、
1兆7915億円(同15.6%増)、
その他は8兆7359億円(同0.8%増)。
一方、公益社団法人日本通信販売協会の調査。
その2013年4月~2014年3月の市場規模は、
5兆8600億円で前年比8.3%増。
これは1998年度以来、
15年連続増加。
ここ10年の平均成長率は7.7%。
通販市場の成長要因を、
通販協会は3つ挙げる。
第一は、楽天、アマゾン、スタートトゥディ等、
モール、大手eコマース企業が牽引。
第二は店舗系のネット通販の伸び。
新商品、新サービスのネット通販企業の
参入による裾野の拡大。
第三はシニア市場拡大に伴う、
メーカー通販(健康食品、化粧品)、
宅配事業の堅調な伸び。
その中でニッセンは、
「商品力」の改善が進んでいないし、
「コスト構造」の改革もなされていない。
しかし可能性はある。
それがセブン&アイのオムニチャネル戦略。
さてセブン&アイの決算に戻って、
若干、足を引っ張ったもう一つの要因は、
「イトーヨーカ堂の衣料品部門」。
こちらは総合スーパーの弱点。
抜本的な刷新が必須。
問題はこの期中に、
その刷新の糸口が掴めたか。
それがなければ、
今期も迷走するに違いない。
それは他の総合スーパー企業にも言えること。
月刊『商人舎』2月号特集は、
「イオンスタイルを半裸にする」
この特集でも触れたが、
「衣料品部門」などと称しているうちは、
問題の解決は遥か彼方だろう。
月刊『商人舎』3月号は、
「52週MDの錯誤」
この特集でユニクロが52週MDを、
重要なノウハウとしていることを指摘した。
要はカジュアルファッションを、
フードと同じようにみなすこと。
この日経一面記事が指摘する中身は、
実は重要な問題をはらんでいる。
さて、日経ばかりで恐縮。
『アジア便り』に、
「習さんはゴルフがお嫌い?」の記事。
昨年末、高級ゴルフ場「南公館」が、
突然、閉鎖された。
さらに6月末には、
多くの日系企業が会員権を持つゴルフ場も、
閉じるという噂。
その裏には、
習近平国家主席が進める
環境保護運動がある、らしい。
上海に注ぐ長江の水を
北京に運ぶ用水路が完成した。
しかし水の汚染がひどい、らしい。
ゴルフ場でまく農薬も一因、のようだ。
ゴルフ場の乱開発で、
切り崩された山野も多い、らしい。
このあたり、
例によって中国は、
節度を知らない、ようだ。
日経記事は書く。
「ビジネスパーソンにとって
ゴルフ場は大切な情報交換の場所であり、
コミュニケーションの場を失うのは痛い」
習主席は、これがお気にめさない、
とのうわさもある、ようだ。
「公務員や経営者が
グリーン上で密談を繰り返し、
汚職や不正取引に及ぶというのだが……」。
このあたりも、
例によって中国は、
節度を知らない、ようだ。
さて私は、夕方から、
千葉県のグレートアイランドゴルフ倶楽部。
その一番ホール。
こちらは有名な18番ホール。
伊藤園レディスのトーナメントが開催され、
多くのドラマが生まれたホール。
明日は第12回ドクターズ杯。
「マスターズの上を目指そう」という趣旨で、
「ドクターズ」と名付けた。
名付けたのは、僭越ながら結城義晴。
マスターは修士、
ドクターは博士。
だからこのコンペティションで優勝すると、
ドクターを名乗ることができる。
もちろん上手に名乗らねば、
「ドクター中松」だとか、
「ケーシー高峰」だとか、
そんな感じになってしまうから、
みんな名乗らないけれど。
今夜はそのメンバーが参集して、
前夜祭。
オール日本スーパーマーケット協会の
トップマネジメントの皆さん。
習主席の中国ではなくて、
節度ある日本でよかった、ように思う。
では、明日を楽しみに。
〈結城義晴〉