結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年03月31日(火曜日)

商人舎7度目の決算報告と「デフレは終わった説」

3月最後の日。

春爛漫。
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夕桜けふも昔になりにけり
小林一茶がこう詠めば、
加賀千代女はこうつぶやく。
けふまでの日はけふ捨てて初桜   

一方、一茶の愛弟子・西原文虎。
かゝる代に生れた上に櫻かな

こんなにいい時代に生まれて、
その上に桜。

昨日は商人舎オフィスに来客。
㈱商人舎顧問税理士の宮田昇先生、
後藤周太郎税理士も同道。
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2015年1月期決算。
設立以来7度目の決算。

過去最高の売上高。
売上総利益も過去最高。
総資産も過去最高。
無借金経営。

ただし一昨年から、
月刊『商人舎』を発刊し始めたため、
営業利益や経常利益は、
まあまあの合格ライン。

流通消費産業界へのご恩返し、
社会的貢献だと考えて、
利益を削って、持ち出しをしつつ、
「紙と網の融合メディア」を続けていきます。

宮田先生には、
「お手本のようなきれいな決算」だと、
褒めていただきました。

ありがとうございます。

もうお一人は、丸山正博さん。
一般社団法人パチンコ・トラスティ・ボード専務理事。
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パチンコホール経営企業の社会的地位向上を目指す、
業界外の有識者・専門家による第三者で構成する組織。

私はこの法人が設立された時から、
ずっと有識者懇談会の専門委員を務めてきた。
2カ月に一回、参集して議論する。
そしてメッセージを発する。

しかし昨年度は渡米が重なり、
一度しか出席できなかった。

その間、ダイナムジャパンホールディングスと、
ニラク・ジー・シー・ホールディングスが、
香港株式市場に上場を果たした。

一定の成果が上がった。

そこで昨年度いっぱいで、
有識者懇談会の専門委員を辞することにした。

長い間、お世話になりました。
ありがとうございました。

さまざまの事思ひ出す桜かな
〈松尾芭蕉〉
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商人舎magazineの、
daily商人舎ワールドニュース。
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスによる
米国3位ライトエイド買収の噂と三占・複占
私の持論を、書き下ろしました。
読んでください。

さて、日経新聞コラム『大機小機』
タイトルは「デフレは終わった」

コラムニスト一直氏が注目するのは、
2014年10~12月期の国内総生産、
そのGDPデフレーターの数値。
これは国内生産ベースの物価を示すが、
その数値が1997年以来、17年ぶりに、
プラスに転じて1.7%上昇した。

だから「デフレは終わった」

ところが専門家や消費現場では、
「デフレ脱却いまだし」の空気。

黒田東彦日銀総裁の最近の発言も同様。
その理由は、消費者物価が、
原油安の影響で低迷しているからだ。

直近2月の消費者物価上昇率は、
生鮮食品除くと前年比2.0%。

消費増税の影響は2%。
だから消費者物価は、
ほぼ1年前と同じだった。

日銀の「異次元の金融緩和」は、
「消費者物価の前年比上昇率が
安定的に2%に達する」ことを目標にしている。

「1年前と同じ」という見立ては、
安定的な2%には達していないことになる。

コラムは指摘する。
「これをもって異次元緩和を
さらに加速させるようなことがあるとすれば
将来に禍根を残す恐れがある」

デフレが終わったから、
異次元緩和もやめろ。

そうしないと、
もっと恐ろしいことになるぞ、
との警告。

インフレターゲット政策の、
最も難しいところ。

さらにもう一つの理由。
「国民のインフレ期待の醸成には、
日常品の価格のみではなく、
企業向け製品の価格動向も、
きわめて重要だ」

BtoCの価格だけでなく、
BtoBの価格動向も重要。

黒田総裁の最近の発言。
「人々のインフレ予想が明確に上昇した」
つまり国民はインフレを期待している。
それがコラムニストの見方。

政府は3月の月例経済報告で、
景気判断を上方修正した。
理由は、生産や輸出が上向いているから。

したがって最後の問題は、
消費増税で冷え込んだ個人消費となる。

こちらの回復はまだ十分ではない。
私たち流通小売業が一番、
それを実感している。

コラムニストは、
主要企業の本格的なベースアップの実現が、
消費を活性化させると判断する。

「所得増加が消費増加につながる構図」が、
着実に出来上がってきているとするが、
構図は出来上がっても、
現場がそれに伴わねばならない。

結語は、
「20年近くに及んだデフレは
終焉しつつある」

しかし、しかし。
こちとらは花が咲こうが咲くまいが   
〈小林一茶〉

大衆の財布の紐は、
そう理論通りに緩んではくれない。

ゆめゆめ油断はならない。

〈結城義晴〉

2015年03月30日(月曜日)

本物の実務家しか持たない「謙虚さ、思慮深さ、誠実さ、鋭さ」

Everybody! Good Monday!
[2015vol13]

2015年も第14週。
3月最終週で、
週中の水曜日から4月。

昨年は消費税増税の切り替えの週で、
世間は騒然としていた。

今年は穏やかな4月への移行。

一月往ぬる、
二月逃げる、
三月去る。

2015年の弥生も、
去ってしまって、
卯月がやってくる。

三日降り三日晴れて木の根明け
〈日経俳壇より 長岡・柳村光寛〉

木の根明けは、雪国で、
木の幹の周囲に隙間が空き始める現象。

そして桜が咲く。
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昼休みに三ツ沢公園を散策。
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横浜の桜の名所。
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こんな桜もいい。
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春休みの子供たちが、
集団で遊んでいる。
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のどかな光景。
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日の本を駅伝のごとく桜咲く
〈朝日俳壇 青森市・浅田剛〉

桜前線が俳人の住む青森まで動くのは、
あと1週間か。

今週の販促企画は、
商人舎magazine、
weekly商人舎の日替わり連載。
月曜朝一・今週の販促企画。

この記事にもあるように、
甲子園の春の選抜高校野球は、
ベスト4が揃って、
明日、準決勝。

実は昨日の準々決勝が、
一番面白い。

雨の中の試合だったけれど。

そしてプロ野球。
セントラルリーグは、
阪神タイガースが三連勝で、
幸先のいい出足。

日経新聞のスポーツコラム『選球眼』
編集委員の島田健さん。

「27日はプロ野球の開幕日だったが、
スポーツファンにとっては
忙しい一日となった」

昼間に選抜高校野球、
夜はプロ野球。
サッカーは、
日本代表の国際試合と五輪アジア予選。
さらに女子ゴルフにフィギュアスケート。

「スポーツ全般に
興味をもっている人にとっては
ありがた迷惑だった」

というより、
スポーツマスコミにとって、
ありがた迷惑だったはず。

島田さん、愚痴っぽく語る。
「日本のスポーツは
横のつながりが少ないように見える。
同じ日にビッグイベントが重なると、
当然、メディアの扱いも
一つ一つが小さくなってしまう」

「野球界では選抜高校野球と
プロ野球が重なるのがいつも、
もったいないと思っている」

「野球という競技に統括団体がない、
一つの弊害だろう」

これはどんな世界でも同じで、
統括団体がないと、
顧客や市場の期待を、
裏切ってしまうことが多い。

さて、これも日経新聞『私の履歴書』
3月は古川貞二郎さんが書いてきた。
元官房副長官で官僚のトップ。
歴代内閣の裏側が興味深く綴られている。

先週金曜日から今日まで、
小泉純一郎内閣時代の話。

これが面白い。

「小泉さんは強運の持ち主であり、
政治センスも抜群だった。
しかも明確に方針を示してぶれない」
古川さんは何度も強調する。

そして小泉を支えた福田康夫官房長官。
第1次・第2次小泉内閣の女房役。
実はこの時の官房副長官が、
安倍晋三現首相だ。

古川さんは安倍さんと並んで副長官。

「小泉純一郎総理は
『聖域なき構造改革』を掲げ、
組閣では派閥の影響を排除するなど
斬新な政治手法で人気を集めた。
高い支持率を背景に、
リーダーシップを発揮して
経済構造改革や特殊法人改革、
郵政改革などを推し進めた」

そのエピソードの一つ。
「地球温暖化のボン会議で
日本が窮地に立ったことがあった。
このまま会議を続けるか、
開き直って会議を中断するか
日本代表団の意見が分かれ、
代表の川口順子環境大臣から
官邸の私に電話が入った」

川口さんからの緊急電話を受けた小泉首相。
「じっと聞いていた小泉さんは
『続けてくれ。あとは任せる』とたった一言。
トップリーダーのこの一言で
割れていた日本代表団が一致結束し、
難関を乗り切ることができた。
これが小泉流だった」

きっぱりと判断し、
あとは任せる。

古川さんは8年7カ月の在任期間中、
「原則毎日、古川番の記者と記者懇談会をやった」
通称「番懇」。

週5日のうち、4日は自宅、1日だけ官邸。
その自宅懇談は夜10時からの開始。

この番懇で古川さんが心がけたこと。

第1は「絶対にミスリードしないこと」
「私からは特ダネはとれない代わりに
ミスはさせないよ」
口癖だった。

第2は「いかに理解してもらうかにも腐心した」
新米記者よりやや上の記者の理解度を、
図りながら話した。
分からないようだったら言い方を変えた。

さらに「努力した記者」が、
一線に並ぶことがないよう苦心した。

未公表の人事情報などの確認を求められた時には、
基本的に正しい情報には「ノーコメント」、
間違った情報には「やめた方がいい」。

全体を読んでいると、
壮大な自慢話ではあるが、
それを直接、書くことは一度もない。

極めて大人の書き様。

それが歴代内閣から最も信頼された、
諸葛孔明か黒田官兵衛のような懐刀・古川貞二郎。

本物の実務家しか持たない、
謙虚さ、思慮深さ、誠実さ、鋭さ。

それが内閣という総括団体を、
正しくリードした。

3月いっぱい、
経営を考えるという側面からも、
実に有益な勉強をさせてもらった。

3月の商人舎標語。
「この一瞬を積み重ねよう」

一瞬一瞬に、私たちは、
謙虚でなければいけない。
思慮深く、誠実で、
それでいて鋭くなくてはいけない。

では、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年03月29日(日曜日)

ジジのおしごと[日曜版2015vol13]

ジジです。
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ねむい。
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「春眠暁を覚えず」
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おとうさんは、
おしごと。
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資料の整理。

その足もとで、
ボク、ねむい。
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でも、おとうさん、
うるさいです。
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なぜ、おしごと、
するの?
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おもしろいから?
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たのしいから?
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お金がいるから?
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ボクも、おとうさんみたいな、
おしごと、しなくていいの?
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ボクのおしごとは、
なんですか?
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おとうさんのおてつだい、
できないし。
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そばで、ねてるだけだし。
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それでも、いいんですか?

「それで、いいんだよ。
じゅうぶんだよ」

ほんと?
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ありがとう。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

 

2015年03月28日(土曜日)

NFMのミセスBと大塚久美子と「2020年の女性役員」

日本プロ野球が開幕し、
春の選抜高校野球はベスト8が決まる。

いい季節です。
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横浜は今週から、来週が、
絶好の花見日和。
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商人舎オフィス横の新田間川の桜。
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もうすぐ満開です。

さて大塚家具の親娘争い。
毎日新聞と日経新聞が、
巻頭コラムで取り上げた。

毎日の『余録』は、
人々が暮らす空間と「家具」の話。

「家具」は昭和の新語。
それまでは「道具」と呼ばれた。
その前の日本には、
大きな家財はなかった。

大塚勝久は、たんす職人の家に生まれ、
高級家具の会員制販売で一時代を築く。

道具から家具へ。
日本人の生活空間が一 変した時代の
ファミリーヒストリー。

だから結論は、
「経営がにらむべきは
人々が暮らす空間の明日だろう」

かっこいい終わり方で、
コラムニストは自己満足しているだろう。

私は「家具の大衆化」の、
次の段階を見つめなければならないと思う。

一言で言えばそれは、
明日のホームファニシングの世界だ。

日経新聞の『春秋』は、
ネブラスカ州オマハのミセスBの話。
ネブラスカ・ファニチャー・マート(NFM)の創業者が、
ロシア移民のローズ・ブラムキン。

ウォーレン・バフェットの伝記『スノーボール』に、
出てくる話。

そのミセスBの経営のモットーは二つ。
「安売り」と「正直商売」。
利掛け率を10%にして、値引きはしない。

1893年生まれのロシア系ユダヤ人。

ウォルマートのサム・ウォルトンが、
1918年生まれだから、
サムもミセスBには影響を受けているはず。

エブリデー・ロープライスの戦略は、
ミセスBの商売哲学そのものだからだ。

ミセスBは週7日間、52週、
毎朝5時に起床し、休まず働き続けた。

71万平方フィートの店内を、
ゴルフカートで動き回り、
従業員に檄を飛ばし続けた。

ユーモアのセンスと抜群の記憶力を持つ、
ベジタリアン。

しかし学校に行ったことがなく、
話すことは達者でも、
英語の読み書きはできなかった。

ネブラスカ・ファニチャー・マートは、
オマハの家具市場の3分の1を占め、
年商1億ドルを超えた。

そのミセスBの会社を、
オマハの賢人バフェットは1983年の夏、
5500万ドル(55億円)で買収。

バフェットは買収後も、
経営には一切口を出さず、
ミセスBを褒め続けた。

ライバル店は消え、
遠くの街からも客が訪れた。

コラムは書く。
「人々をとらえたのは
安さや透明な値付けばかりではあるまい。
灰色混じりの髪を束ねて駆け回る、
身長150センチ弱の経営者の姿も
そうだったろう」

これは大塚久美子社長に、
「ミセスBを目指せ」とのメッセージだ。

その日経新聞が女性役員特集を組んでいる。
その一面記事は上場企業調査の報告。

2月現在の上場企業513社の回答。

この時点で、女性役員がいた企業は34%。
さらに「目標はないが誕生する見通し」の企業11%、
「5年以内に登用する目標を立てている」企業は6%。

合計すると2020年までに、
過半数の上場企業で
女性役員が誕生する。

ただし女性役員のいる企業のうち、
社外取締役のみ女性がいるケースが3割。

さらに役員に占める女性比率は、
2.9%だった。

女性の社内役員がいない理由の6割近くは、
「社内に実績の伴う候補者がいない」

記事の最後にある一文。
「女性役員比率の上位企業には、
流通・サービス業が多く見られた」

流通サービス業に多い女性役員。
その理由の一つは大塚家具のように、
創業家出身の女性経営者が多いからだろう。

ダイバーシティ論議は盛んだが、
ミセスBほどの女性経営者像は、
過去のものなのだろうか。

大塚久美子さんは、
ミセスBになれるのだろうか、
それとも新しい経営者像をつくり出すのだろうか。

日本マクドナルドホールディングスは、
大塚家具の2日前に株主総会を開いた。

カナダ人女性経営者サラ・カサノバは、
新しい経営者像なのだろうか。

「社内に実績の伴う候補者がいない」
6割の企業が挙げた理由こそ、
この問題の現状を示している。

それでも2020年に過半数の上場企業で、
女性役員が誕生する。

できれば社外役員でなく、
社内役員で誕生させて欲しいなぁ。

〈結城義晴〉

2015年03月27日(金曜日)

大塚家具のポジショニング政策と社外取締役の役割

12月期決算上場企業の株主総会が集中する日。
全体の4割の約140社が開催。

委任状争奪戦で紛糾した㈱大塚家具。
2014年度年商555億円、
2億4200万円の経常赤字。

その定時株主総会。
出席者数は前年の10倍、
しかしそれでも約200人。

ということは昨年までは20名ほどで、
シャンシャン総会をやっていたのだろう。

今回は衆目の集まる中、
会社側の取締役選任案が可決された。

つまり大塚久美子社長側の勝利。
「大塚家を除いた議決権行使数で
約8割の株主が会社提案に賛成した」

総会後の取締役会で、
久美子社長続投が決定され、
父で創業者の勝久氏は会長を退任。
それでもいまだ個人株主として、
約18%を保有する。

会長対社長の対立の理由のひとつは、
その販売政策。

会長は会員制高価格商品販売政策、
社長はカジュアル店舗づくり。

要取引先のひとつに、
フランスベッドホールディングスがある。
その判断が面白い。
「高級路線に活路を見いだすしかなく、
勝久氏への賛同は妥当」

ニトリやイケアが隆盛の家具小売業界。
カジュアル店舗は、
その中に埋没してしまう。

この判断も、ひとつの戦略。

問題はどちらの政策も、
それを突き詰めて、
ポジショニングを確立しなければ、
上手くはいかない。

大塚家具の場合は特に、
何をするかよりも、
いかにするか。

大塚家具には、
それが求められている。

今回の株主総会ラッシュの中のトレンド。
「社外取締役」の選任。

日経新聞は報じる。
「ユニ・チャームが初の、
社外取締役2人を選任するなど、
企業統治の体制を強化する企業が相次いだ」。

ユニチャームはその上で、
「監査等委員会設置会社」への移行も決議。
これは社外取締役が監査も担当できる体制。

「キリンホールディングスは
独立性の高い社外取締役を2人に増員」

会社法2条15号で「社外取締役」は、
「株式会社の取締役であって、
現在及び過去において、
当該株式会社またはその子会社の
代表取締役・業務執行取締役
もしくは執行役または支配人
その他の使用人ではないものをいう」

第一の目的は監督機能強化。
だから会社の最高権限者と直接の利害関係のない、
独立した有識者や経営者などから選任される。
基本的に、その会社の業務を執行しない。

つまり監督の機能を分離して、
独立性と透明性の高い監視機能を持たせる狙い。

一方で、同じ企業内の慣習等に縛られない、
新たな発想や理念を取り入れるという目的も、
社外取締役選任にはある。

ユニチャーム高原豪久社長。
「監査を強化し、
成長と規律のバランスを取った統治構造にする」

さて商人舎オフィスに、
見事な胡蝶蘭が届けられた。
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㈱伊藤園社長の本庄大介さんから。IMG_5538-5
驚いたが、ありがたく頂戴した。

それにしても見事な胡蝶蘭。
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博多人形に代わって、
ここに落ち着いた。
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本庄さんの配慮は、
私が第一屋製パン株式会社の、
社外取締役に就任したから。

同社細貝理榮会長は、
㈱商人舎発足の会の発起人のお一人。

伊藤園の本庄八郎会長も、
発起人のお一人だけれど。

細貝さんとは、もう、
20数年のお付き合いで、
これまでも随分とお世話になった。

その恩返しの意味も込めて、
社外取締役就任のご要請を、
謹んでお引き受けした。

そして第一屋製パンも、
この総会ピークの日に、
株主総会を開催。

120名ほどの株主が参集して、
暖かく経営を見守り、
積極的なアドバイスなどの発言があった。

私はその後、横浜に戻り、
新田間川の川べりを歩いて、
春の気分を味わった。
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さらに東京・御成門、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。
社長の米倉裕之さん、
取締役の石井賢治さんから、
報告を受けて、懇談。

さらにそのあと、上野池之端の東天紅。
第一屋製パンの新旧役員歓送迎会。

そして若手役員の二次会。
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左から第一屋製パン常務の細貝正統さん、
取締役の小室英夫さん、
高嶋進さんと前川智範さん。

随分と盛り上がって、
改革の志を燃やした。

〈結城義晴〉

2015年03月26日(木曜日)

統一地方選と「おもてなし三原則」と「機能性表示食品」

第18回統一地方選挙。
今日、10道県知事選告示でスタート。

前半と後半に分かれる。
4月12日投開票の前半は、
知事選と5政令市長選、
41道府県議選、17政令市議選。

4月26日投開票の後半は、
一般市と東京特別区の市区長・市区議、
それから町村長・町村議の選挙。

選挙に行こう!
投票しよう!!

12日は4月第3日曜日、
26日は第5日曜日。

いつものように、
小売サービス業の従業員が、
選挙し、投票すれば、
社会が変わる。

期日前投票ももちろん、ある。
それぞれ前日まで可能。

さらに今回は、全国12大学に、
期日前投票所が設置される。

大学生に政治参加を呼びかける取り組み。

朝日新聞の『天声人語』
千葉県流山市会議員の松野豊さんの言葉。
29歳で初当選し、4期を務めた45歳。
今回は立候補しない。

その松野さんの述懐。
「議会改革に明け暮れた16年でした」

その努力の結果、
流山市議会は全国市区改革ランキングで、
2012年に日本一になった。

松野さんのアドバイス。
「投票先に迷ったら、
何人かの候補者に
メールなどで連絡してみては?」

例えば「なぜ立候補を?」と尋ねてみる。
「すぐ返信がくるか、音沙汰なしか、
反応ぶりにそれぞれの資質が見えるはず」

こんなことをして、
選挙と政治に関心を持って欲しい。

そのうえで、
選挙に行こう!
投票しよう!!

小売サービス業に関わるものが、
投票するだけで社会が変わる。

国政選挙、地方選挙、
価値に変わりはない。

さて昨日まで、
アイダスグループ第30回研修会・交流会。

一昨日の研修会の席上、
船水泰州さんが、
「おもてなし三原則」を語ってくれた。
鮮魚コンサルタントとして、
実績を積んでいる。

第一に、「たたずまい」
第二に、「居住まい」
第三に、「立ち振る舞い」

第一は立っている様子、
第二は座っている姿勢、
第三は動いている動作。

そこから転じて、
佇まいは「雰囲気」のようなもの、
居住まいは「環境」のようなもの、
立ち振る舞いは「態度・挙動」。

第一はソフトウェア、
第二はハードウェア、
第三はヒューマンウェア。

すごくいい。

一方、『おもてなしの源流』。
(リクルートワークス編集部著)

こちらの三原則。
1.「仕度の原則」
準備を整えて客を待つ。
2.「しつらえの原則」
くつろげる空間を演出する。
3.「仕掛けの原則」
ゲームのルールを共有する。

おもてなしは、ホスト(主人)が、
準備を行い、空間を演出し、
ゲスト(客)を待つ。
前もって準備する、用意する。

その上で、第三の「仕掛けの原則」
ルールを共有したホストとゲストが、
「主客一体」となって、
相互行為としておもてなしは達成される。

それがホスピタリティの本質だ。

さらに、茶道。
その「おもてなし」の三要素。
茶道のおもてなしも、
「主客一体」となって、
ともに「場」をつくることが趣旨。

第1は、「よそおい」。
身なりや外観を整え、美しく飾ること。

第2は「しつらい」
用意。準備。

第3は「ふるまい」
振る舞うこと。態度。
英語で言えばbehaviour。

おもてなしとホスピタリティ。
今、最も重要な要件である。

さらにさらに今日の日経新聞社説に、
「食品の機能性表示どう生かす」
先週土曜日のこのブログでも取り上げた。
機能性表示食品制度改革
についての5つのポイント

4月からの新ルールの要旨は、
「科学的根拠を国に届け出れば、
事業者が自らの責任で、
健康にどんな効果があるかを
うたうことができる」

「特定保健用食品(トクホ)」は、
国の厳しい審査がある。
「栄養機能食品」制度は、
表示できる成分や表現が限られる。

「機能性表示食品」は、
事業者が販売の60日前までに
消費者庁に届け出をする。

臨床試験の代わりに、
過去の研究論文の分析
を科学的根拠として使うこともできる。

届け出られた内容は、販売前に、
消費者庁のホームページに公開。

事業者は、消費者に、
科学的根拠などを分かりやすく伝えること。
さらに万一の健康被害に備えて、
事業者が消費者からの相談体制をつくること。
情報収集体制を整え、
行政にすぐに届けられるようにすること。

これらが必須となる。

つまり製造業の仕事を全うすること。

小売業が「機能性表示食品制度」を、
活用して商品供給する場合、
製造業と同等の重い責任を、
果たさねばならないということだ。

日経社説は念押しする。

「事前の審査はないとはいえ、
何か問題があれば、
行政による命令や指示などの対象となる」

私の視点も日経と同じ。

国民の健康を維持・増進しながら、
経済も活性化することを、
ひとつの目的にしているのだから、
大いにチャレンジすべし。

ただし、重い責任を果たさねば、
社会からの信頼を失う。

機能性表示食品制度が改革されたからといって、
すぐにホールフーズのような企業が、
日本に登場するなんてことは絶対にない。
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私は日本の農業改革がない限り、
本格的なオーガニックスーパーマーケットは、
誕生しにくいのだと考えている。

ホールフーズは、
1980年から17年間をかけて準備した。
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そこへ天の啓示。
神風の如き追い風。

ホールフーズはその間、
佇まい、居住まい、立ち振る舞いを整えた。
そしてコンシャス・カンパニーをつくる過程で、
最高レベルのオーガニックリテイラーへと、
変身を遂げたのだ。
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賢者は歴史に学ぶ。
愚者は経験にしか学ばない。

〈結城義晴〉

2015年03月25日(水曜日)

アベノミクスと小売企業経営とゴルフ・スウィングの「合成の誤謬」

アイダスグループ第30回研修会・交流会。
鈴木國朗さんが主宰するコンサルティング会社。
アイダスグループは、
昨2014年2月に30周年を迎えた。

そのアイダスグループが主催する研修会。
東日本大震災後、開催を控えていたが、
記念すべき第30回。

2日目は交流会のゴルフプレー。

私自身は商人舎サイトへの、
「総当り攻撃」と闘いつつのラウンド。

それでも千葉県市原市の、
浜野ゴルフクラブ。

井上誠一設計の名門。

堪能した。

最近、スウィングを変えている。
ヒップターン理論をベースに、
ヘッドスピードを上げて、
飛距離と正確性を両立させる。

クラブは全て変えた。

夏くらいまでかかりそうだが、
いい兆候が出てきた。

その結果、これをいただいた。
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とはいっても、30回記念のため、
参加者全員に「優勝トロフィー」。

本当の優勝は、
㈱セイブ前社長の荻澤誠さん、
準優勝は、
ケーマート社長の千葉喜夫さん。

おめでとうございました。

さて日経新聞の『大機小機』。
経済コラム。

3月21日のタイトルは、
「『ばらまき』の定義と実例」
コラムニストは私の好きな隅田川さん。

今日25日のタイトルは、
「地方は本当に厳しいのか」
こちらの書き手は和悦さん。

隅田川さんは、
国の予算への「ばらまき」批判を考察する。

定義が不明確なまま、
「ばらまき」という概念を使っていることに、
問題点を求める。

「ばらまき」とは、政策の対象が、
「広く薄く拡散している場合を指す」

こう思われがちだ。

しかし「広くて薄いから駄目」とはいえない。

例が挙がる。
「農産物の関税引き下げ」。
その効果は消費者全体に広く薄く及ぶ。
しかし国民福祉を高めるうえで、
重要な政策である。

だから「広くて薄いから駄目」とはならない。

したがって、
駄目なばらまきの定義は、
「政策の対象が広がっており、
そのため効果が、
小さなものになってしまうこと」

再び例が挙げられる。
全国各地で配布・販売されるプレミアム付き商品券。

1万2000円の商品券を1万円で販売し、
その上乗せ分の2000円を
国が交付金で助成する。

大義名分は、
「地元の消費拡大を通じて
地域振興に効果がある」

そのために、2014年度の補正予算で、
新交付金4200億円が、
緊急経済対策の一環となった。

ほとんど全ての自治体が実行する。
広くて薄い政策だ。

しかしこれは、
経済学でいう「合成の誤謬」(ごびゅう)。
「部分だけ見ると合理的だが、
全部を足すと必ずしも合理的でなくなる」こと。

さらに「代替効果」も検討されねばならない。

「商品券の使い道が、
もともと買うはずだったものに向けられた場合は、
商品券の分は実現するはずだった買い物を
代替しただけで終わり、
消費を刺激する効果はない」

広く薄くて効果が小さい。

これは典型的な「ばらまき」。

論理的、実証的検討が不十分なまま
政策が立案され実行されると、
「駄目なばらまき」となる。

一方、こちらも決まり文句の錯誤を指摘する。
「アベノミクスの恩恵は
地方に及んでいない」

果たして本当か。

政府の2015年度「地方財政計画」は、
地方税収を合計37.5兆円と見積もる。

14年度に比べて2.5兆円の税収増。

日本企業の経常利益は、
14年10~12月期に18兆円余り。
四半期ベースで最高を更新。

この経常利益更新分の税収も高まる。

ところが企業業績が好調でも、
本社所在地の多い東京にしか
恩恵は及ばないと思われている。

実態はどうか。

人口約70万人の島根県。
15年度の県税収入は653億円、
前年度に比べ15%増の見通し。

伸びが大きいのは、法人二税。
つまり法人県民税と事業税。
15年度は170億円と同33%増。

さらに人口60万人足らずの鳥取県。
15年度の県税収入は510億円、
前年比11%の伸びを見込んでいる。

ここでも法人二税は117億円、
11%増の見通し。

さらに東京都や愛知県に比べて、
出遅れ気味の大阪府。
15年度の府税収入の見積もりは
19%増の1兆3962億円。

うち法人二税は3541億円、
9%増の見込み。

「企業は津々浦々で仕入れ・生産・販売をし、
従業員を雇っている」
小売サービス業も、
卸売業も、製造業も、
貢献している。

コラムは、
地方企業が元気になれば、
その好業績の余沢が、
税収に及ぶと指摘する。

地方産業、地方小売業、
そしてローカルチェーンの元気が、
アベノミクスを推進するし、
それは実現されつつある。

結びは、「地方創生を
単なるバラマキに終わらせては
元も子もない」

コラムニスト隅田川さんの指摘と、
つながってくる。

広くて薄くても、
効果があるばらまきは、
地方を元気にさせる。

広くて薄くて、
効果が小さいばらまきは、
地方を弱体化させる。

「合成の誤謬」は、
避けられねばならない。

これは政府の政策だけに、
適応されるべきことではない。
小売企業経営そのものにも、
当てはまることだ。

そして私のゴルフ・スウィングにも、
「合成の誤謬」は、
ぴたり、当てはまる。

優勝トロフィーを眺めながら、
そんなことを思う。

〈結城義晴〉

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