結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年03月24日(火曜日)

イオン増収減益決算と武藤敬司の「ヒール&ベビーフェイス」

横浜でも東京でも、
桜の開花。

心がウキウキしてくる。
けれど桜の森の満開の下には、
鬼が居る。

くわばらくわばら。

商人舎公式ホームページが、
ハッカーに襲われた。

そして3日分の毎日更新宣言ブログが、
書き換えられ、削除されてしまった。

気づいて、大至急、
修復にかかったけれど、
その間、空白のブログとなった。

さらに入稿のためのパスワードなども、
急遽変更。

ご迷惑をおかけした。
関係者には感謝したい。

まだまだセキュリティの面で、
不充分なところがある。

さて、日経新聞に決算記事。
「イオン、前期純利益23%減」

2015年2月期の営業収益は7兆円で、
これは9%増。

一昨年2013年8月1日に、
ダイエーを完全子会社にして、
その売上げがそっくり上乗せされて、
売上高は7兆円を超えた。

しかし総合スーパーのイオンリテールが、
売上高、粗利益ともに計画を下回った。

ダイエーの総合スーパー事業は、
数十億円程度の赤字。

食品スーパーマーケット事業も苦戦。

総合金融事業とデベロッパー事業は堅調。

連結純利益は350億円。
前期比23%減。

しかしこれらをまとめると、
営業利益は1400億円で、
前期比18%減。

悪い悪いと言われながらも、
商売の儲けの営業利益が、
18%のマイナスで終わった。

ただし、純利益は、
暖簾代という隠し玉があって、
5%増の480億円の従来予想が、
一転、減益となった。

日経の見出しの23%の減益は、
この純利益のことをいう。

イオンの成績が悪くなると、
小売業界全体に、
どこか喜ぶ節がある。

プロレスで言えば、
ヒールの役割か。

つまり悪役。

プロレスの善玉役は、
ベビーフェイスというが、
大抵の場合、
ヒールの方が実力がある。

プロレスラーの武藤敬司。
「日本マット界の至宝」と称される。
アメリカでもグレート・ムタとして、
大活躍してきた。

この武藤は、
アメリカではヒール、
日本ではベビーフェイスを、
演じ分けた。

そして一言。
「ヒールもベビーフェイスも、
同じだ」

こうも言う。
「ヒールの方が面白い」

企業経営は、
ヒールもベビーフェイスもない。

アメリカのウォルマートは、
小売業界では完璧に、
ヒールの役割に徹しているが、
彼の国の低所得者層からは、
絶大なる人気を誇る。

それがウォルマートの成長を支える。

これもセグメンテーション、
ターゲティング、
ポジショニングの時代の、
企業のあり方だと思う。

私は午後から千葉市へ。
アイダスグループの第30回研修会・交流会。

代表取締役の鈴木國朗さんが、
まず挨拶。
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アイダスグループにゆかりのある人々が、
集まった。
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東日本大震災もあって、
このところ開催されていなかったが、
久しぶりに第30回の記念研修会
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まず、私が1時間弱、
持論を講義。
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その後、全員が、
近況などを報告。

奥州市から参加した千葉喜夫さん
Kマート社長。
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イオンスーパーセンター、
ユニバース、
トライアルが近隣に出店。
大激戦地で健闘する。

その後、交流会。
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そして記念写真。
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お疲れ様でした。

ヒールにもベビーフェイスにも、
ポジショニングの中の役割がある。

〈結城義晴〉

 

2015年03月23日(月曜日)

商人舎USAベーシックへの最後の要請と「減らない長時間労働」

Everybody! Good Monday!
[2015vol12]

2015年第13週。
3月の第4週。

来週はもう、4月。

一月往ぬる、
二月逃げる、
三月去る

1月を「往く」と、
現代用語風にいいますし、
私もずっとそれを使っていましたが、
今年は「往ぬる」。

気分で使い分けていいでしょう。

あっという間に、
年の初めの3カ月が過ぎ去る。

今年は1月と2月に、
ニューヨークを訪れたので、
余計に時間が過ぎるのが、
早く感じられた。

そして気がつくと、春。
地の重さ天の軽さよふきのたう
〈朝日俳壇より東京都・澤田倭平〉

フキノトウを詠んだ。
天と地の軽重がおもしろい。

日経俳壇には次の句。
蕗のたうこんなところにこんなにも
〈沼津・近藤昭三〉

俳句のレベルはいつも、
朝日に軍配が上がる。

朝日は花鳥風月的、叙情的。
日経は日常的、庶民的。

今日の商人舎magazine
weekly商人舎の日替わり連載。
「月曜朝一 今週の販促企画」

慶應義塾大学日吉の卒業式の写真。
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旅立ちへ背中を押した春の風
〈朝日俳壇 大船渡市・富谷英雄〉

大船渡の俳人の句だから、
誰かは知らねどこの旅立ちは、
ひときわのものだったに違いない。

今週末に、
立教ビジネスデザイン研究科の、
謝恩会が開催される。
私は出席できないが、
みなさん、修了おめでとう。

そんな季節です。

仕事を忘れて、
日常を見る。

そんな余裕もほしい。

春うらら全身使ひお手玉す
〈朝日俳壇 伊勢崎市・飯島てる子〉

小さな女の子、
全身を使ってお手玉をする。

いいですねぇ、春うらら。

さて、5月の商人舎USA研修会、
ベーシックコース。
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5月12日~18日。
ラスベガス。
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21世紀に入って、
アメリカで一番、人口が増加した街。
なんと35%のプラス。

だからコンパクトな街ながら、
小売サービス業とチェーンストア、
ショッピングセンターは、
最新モデルが満載。

毎日、結城義晴の力の入った講義がある。
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ベーシックでは、
すぐに役立つことを教えない。
しかし、ずっと役立つことを、
丁寧に享受する。
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2日目の朝には理解度テストがある。
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最終日はグループディスカッション。
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さらにグループ発表。
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今回は3日目に、
キッチンスタジオを借りて、
全員で購買した商品を、
調理し、食べ比べをする。
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ウォルマートはもちろん。
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クローガー、ホールフーズ、
トレーダー・ジョー、スプラウツ、
そしてウィンコフーズなどなどなど。

そのポジショニング競争の実態を、
目からウロコで理解することができる。

そのうえで、
大注目企業の商品を買って、
調理して、食べる。
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ピーター・ドラッカーの、
ポスト・モダンの七つの作法。
その第一番目。
自分の目で見、耳で聞く。

だからインタビューも満載。
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現地の商人の交流もある。
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ホスピタリティのシャワーを浴びる。
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それに付け加えるとしたら、
店に行き、自分で買い、
自分の口で食べ、
自分の舌で味わう。
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それが昨年から、
ベーシックコースに加わった、
新しい趣向。

付け加えると、
ラスベガスのショーやゲームを、
楽しむこともできる。
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このベーシック研修会の成果は、
各社でもう証明済み。

現在のところすでに、
38名の参加が決まっている。
最後のご参加要請。

ご検討下さい。
ご返答下さい。

さて日経新聞の『エコノフォーカス』。
「なぜ減らない、長時間労働」

厚生労働省の2014年毎月勤労統計調査。
フルタイムで働く正社員の残業時間データは、
173時間。

前年より7時間の増加、
20年前より36時間プラス。

1993年以来、最長。

特にひどい三業種。
貨物運送業(年463時間)、
自動車製造業(年275時間)、
情報サービス(年248時間)。

小売業が入っていなくて、
私はちょっとホッとした。

これに統計に表れない「サービス残業」がある。

記事は長時間労働の理由を挙げる。

理由の一つは、終身雇用。
ちょっと言い古された議論だが。

日本では「今いる社員の労働時間を
増やしたり減らしたりして
対応するのが一般的」

最近の景気回復と人手不足を受け、
正社員は残業して仕事をこなしている。

「転職の機会が乏しいため、
会社に無理に働かされても
簡単には仕事を辞められない」

理由の二つ目は、
働く人の意識の問題。
山本勲・慶応義塾大学教授が、
課長の手前の大卒社員を継続調査した。

結果は「週の労働時間が10時間延びるごとに、
翌年に課長に昇進する確率が3%上がる」

内閣府調査。
1日12時間以上働く人の5割超が考えている。
「上司は残業する部下を評価するはずだ」

私自身の経験を話せば、
だらだらと残業する人間は、
絶対に評価しなかった。

仕事はきりりとやり遂げて、
時間外に勉強する人間を評価した。

三つ目の理由は、
仕事の態勢の問題。
日経の記事は指摘する。
「社員ごとの業務の範囲があいまいなため、
生産性が高い人に仕事が集まりやすい」

「優秀な人が長い時間働いて仕事をこなし、
結果的に昇進するという側面は否めない」

あなたの会社はどうだろうか。
あなたの店ではどうだろうか。

最後に、長時間労働を是正するための、
政府の対策。

第1は「限定正社員」の普及。
働く時間・仕事の範囲を限った正社員制度。
昨年から指針がまとめられ、
企業に導入促進が始まった。

介護や育児と仕事が両立しやすくなる。

第2は「休みの強制」。
来年の2016年春からは、
1年間に5日分だが、
全員に有給休暇を取ることが、
義務づけられる。

義務づけられる前に、
仕組みを構築したい。

最後の最後は、先週、
このブログにご登場願ったお二人。

エコス会長の平富郎さんの言葉。
「幹部は仕事の量を増やすことです。
幹部が不眠不休で頑張って、
従業員が所定時間で働けば
利益が出る仕組みをつくる」

急逝したベルク会長の故原島功さん。
「ビジネスとプライベートをはっきり分ける」
そのために、
(1)豊かな休日、少ない残業時間が、
(2)仕事への集中力を生み生産性を上げ、
(3)業界水準でより高い給与体系を実現する。

スーパーマーケットやチェーンストアでも、
それは可能だ。

ベルクの残業時間は、
月平均10時間以内。
つまり最大でも年間120時間。

厚生労働省勤労統計調査の、
173時間を下回る。

残業時間短縮が可能なオペレーションを、
集中力と高生産性によって生み出す。

原島さんは、
従業員のそれぞれの「良い人生」を、
保障しようとした。

では今週も、
きりりと働きましょう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年03月22日(日曜日)

ジジと桜の季節[日曜版2015vol12]

ジジです。
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ヨシハルおとうさん、
いません。

ここ。
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だからボクも、ひとりで、
たまあそび。
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たのしいで~す。
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そとは、春です。
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花がさきます。
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花壇もうつくしい。
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おとうさん、かえってきた。
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あそんでくれた。
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そとでは桜も、
芽吹きはじめたそうです。
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夕空。
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桜の木。
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もうすぐ。
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でも、すこし、
芽吹いてる。
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ほらね。
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おとうさんと、いっしょに、
そとにいきたいですね。
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もうさいているところも、
あるみたいだし。
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では、来週あたり、
おねがいします。
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よろしく。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年03月21日(土曜日)

機能性表示食品制度改革についての5つのポイント

2015年の春分の日。

今日、鹿児島市でソメイヨシノが開花。
日本全国で一番早かった。
それでも昨年より1日遅い。

そして1週間後から10日後、
鹿児島では早くも満開。

今日はもう一つ、
高校野球の春の選抜大会開幕。
「熱球」は夏の甲子園。

しかし春の終盤は「桜の甲子園」。

大相撲春場所は、
関脇の照ノ富士が、
横綱白鳳との優勝争いで、
大活躍。

関脇が活躍する場所は、
面白いけれど、
照ノ富士も逸ノ城も、
モンゴル出身。

日本人力士、頑張れ。

さて、日経新聞で、
「食の新表示」記事が2日間の連載。

4月1日から「機能性表示食品」制度が、
スタートする。

この新制度はアベノミクスの第三の矢、
「規制改革」の柱のひとつ。

国民の健康を維持・増進しながら、
経済も活性化する狙い。

ここで一番大事なことは、
表示制度の改革であること。

商品が有する機能が、
まず備わっていなければならない。
そしてその表示は、
当然ながら適正であることが条件。

一般に言われる「健康食品」の定義。
「健康の保持増進に役立つ」ものであると、
機能が宣伝され販売・利用される食品。
これは学術的な認識とは独立していて、
単に社会的な認識において、
他の食品と区別される一群の食品の呼称。

健康食品の一部に「保健機能食品」がある。
これは行政により機能の認定を受けた食品。

その保健機能食品には、
二つある。

第一は「特定保健用品」、いわゆる「トクホ」。
これは1991年に保健機能食品制度が定められ、
科学的根拠を提出し表示の許可を得た食品。
1143品目が登録され、
ガムや米飯、調味料まで幅広く活用されている。

特に飲料では花王の「へルシア」や、
サントリーの「特茶」などヒットが相次いだ。
今回の表示制度改革で、
へルシアの茶飲料などは4月以降に刷新される。
伊藤園も4月にトクホの「黄金烏龍茶」を発売。

トクホ市場は6000億円規模。
今回の制度改革とは直接、関係はしないが、
こちらの分野の成長は続く。

第二は「健康機能食品」で、
ビタミンやカルシウムなど
特定の17成分に限って、
効果を表示できる食品。
この分野も成長が見込まれる。

今回の機能性表示制度で、
第三の分野が成長するが、
そこには5つのポイントがある。

第1に国が許可したものではないこと。
企業が自ら食品の科学的根拠を評価した上で、
その機能性を表示する。

したがってその旨を記載する義務がある。
新制度は販売の60日前までに、
論文など科学的根拠を、
消費者庁に届け出ればよい。

国の審査は不要だから、
トクホよりハードルは格段に低い。

第2は対象食品が広がること。
今回、加工食品および農林水産物が対象となる。
つまり生鮮食品を含む食品全般が対象となる。

第3は対象成分が広がること。
栄養機能食品によって許可されているのは、
ビタミン12種類とミネラル5種類。
それ以外に今回、
n-3系脂肪酸、ビタミンK、
そしてカリウムが追加される。

第4は食品と薬の境界線が動くこと。
薬事法では薬以外は、
部位指定や効能を表現することが、
禁止されている。

しかし新制度では、
科学的根拠があれば、
体の特定部位に言及した表現を行うことができる。

ただし、食品表示に、
疾病名を記載してはならない。
薬と食品との区別は厳然としている。

そして第5に消費者教育や顧客教育に、
力が入れられること。
小売業ではまず、
従業員教育も必要になる。

調査会社シード・プランニングの推定では、
健康食品の市場規模は、
2017年に2兆1450億円に成長する。

今回の新制度の導入などの効果で、
13年比で17%増えるとの予想。

ただし懸念の声も。
主婦連合会・河村真紀子事務局長。
「書類の体裁が整っていればよく、
消費者が根拠を検証できない表示が
乱立する可能性もある」

日経連載のまとめ。
「官民とも消費者に分かりやすく
周知する努力は欠かせない」
つまり第5のポイントが、
重要になるということだ。

機能性表示改革で一儲けしようとか、
プロモーションで稼ごうとは考えないことだ。

消費者も消費者庁も、
それは厳しくチェックしている。

〈結城義晴〉

 

2015年03月20日(金曜日)

ベルク原島功さんの訃報と「とくし丸」住友達也さんとの意気投合

訃報です。

原島功さん。
㈱ベルク代表取締役会長。
65歳。

謹んで哀悼の意を表したい。

1950年1月17日生まれで、
私よりも3学年上。

もう30年来の付き合いだが、
残念でならない。

互いに学生時代のことは、
あまり語らなかったが、
原島さんは、立教大学経済学部出身。
卒業後、1973年㈱西友ストアー(当時)入社。

その後、実家の㈱主婦の店秩父店に戻り、
㈱ベルクと商号変更して、
1995年、ベルク代表取締役社長に就任。

Better Life with Communityが、
企業コンセプトで、
その頭文字を取ってBelc。

社長就任後、2004年、
ジャスダックに株式上場。
2008年、東証二部上場、
2009年、第一部上場と、
確かなステップを上り、
2006年にはイオンと業務・資本提携。

まさに「我が道を行く」の観あり。

2015年2月期の原島さん最後の決算予想は、
営業収益1530億円、前年比105.5%。

売上総利益率は25.4%、
販管費率21.8%、
そして営業利益率4.7%。

年商は1500億円を超え、
埼玉県62店舗を中心に、
関東に90店舗を展開し、
営業利益5%の、
スーパーマーケットのチェーンストア。

原島功が残した企業は、
燦然と輝く数字をはじき出す。

ある意味で原島さんは、
チェーンストア主義者だった。

「チェーンストアづくりに、
強い信念を持った従業員とともに」と、
言葉を残している。

そのために原島さんの考え方は、
「ビジネスとプライベートをはっきり分ける」

(1)豊かな休日、少ない残業時間が、
(2)仕事への集中力を生み生産性を上げ、
(3)業界水準でより高い給与体系を実現する。

(1)の残業時間は月平均10時間以内で、
(3)の高い水準の給与体系実現は、
(1)の少ない残業時間のオペレーションをつくり出し、
(2)の集中力と高い生産性を生み出す。

好循環系のチェーンストアを目指した。

原島さんは、従業員のそれぞれの、
「良い人生」を保障しようとした。

実に、正しい商人だった。

心から、ご冥福を祈りたい。

一方、一昨日のチュニジア銃撃事件と、
20年前の地下鉄サリン事件。

各種メディアが、
両方を関連付けて報道。

どちらも無差別テロ。

この20年間、
何が変わって、
何が変わらなかったのか。

それを考える。

さて今日は、朝一番に、
アメリカからJACの皆さんが来社。
さらにロピア取締役の福島道夫さんが、
加わってくれた。
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左が福島さん。
それからJAC代表の浅野秀二さん、
五十嵐ゆう子さん、藤森正博さん。

1月、2月とロピアの一団180名が、
ニューヨークを視察した。
そのときの約束でJACの皆さんが、
今日、福嶋さんの案内で、
ロピアの店舗を視察する。

私も行きたいところだが、
午後の予定があり、
残念ながら同行できず。

その午後、新橋からゆりかもめに乗車。
一番後ろの窓際の特等席を確保。

新橋の街並みを縫って走る。
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英国庭園のある竹橋あたり。
春の日の都心の街並み。
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船の帆と遊歩道。
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東京湾沿いの倉庫地帯。
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そして東京湾。DSCN9515-1
海の上に浮かぶように台場エリアが見える。

レインボーブリッジが近づく。
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電車はぐるりと回り込んで、台場に向かう。
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海が近づく。
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レインボーブリッジは
線路と道路が並行して走る。
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台場地区に入ると、
右手にフジテレビ、
左にアクアシティ。
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今日の訪問は、
国際展示場正門のTFTビル。
その8階にブルーチップ本社がある。

今日、懇談したのが、
住友達也さん。
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移動スーパー「とくし丸」創業者。

ブルーチップは新事業として、
とくし丸と住友さんをバックアップする。

ブルーチップの中野茂部長が、
住友さんを紹介してくれた。
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2時間ほど語り合って、
すぐに意気投合。
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住友さんも出版事業を創業して、
その社長だった。

2時間ほどゆっくり話をして、
その後、豊洲の文化堂へ。
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文化堂の志村孝雄さんを訪問。
いま、新事業推進課でとくし丸を担当する。

とくし丸のバンの前で、
全員で写真。
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右は、濱田大樹さん。
ブルーチップとくし丸事業部リーダー。

私もとくし丸のバンの前で、
写真を撮らせてもらった。
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豊洲に来たのだから、帰りに、
フードストアアオキを訪問。
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文化堂vsアオキの豊洲の闘い。
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文化堂はとくし丸を加えて、
商業の現代化を図る。

この20年間。
変わったことと、
変わらなかったこと。

私はずっと、
そのことを考えていた。

〈結城義晴〉

2015年03月19日(木曜日)

「賃上げ一斉回答」と平富郎「仕事に向き合う時間数で負けるな」

高村勣さんご逝去。
「ミスター生協」と呼ばれた。
元生活協同組合コープこうべ理事長で、
元日本生活協同組合連合会会長。
大正12年生まれの91歳。

イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんが、
大正13年生まれ。
イオン名誉会長相談役の岡田卓也さんは、
大正14年生まれで、
ライフコーポレーション会長の清水信次さんが、
大正15年の生まれ。

皆さん化け物級。

高村さんは、伊藤さんよりもひとつ上で、
日本の流通業の創始者のお一人。

コープこうべは、
灘生協と神戸生協が合併し、
灘神戸生協となってから日本最大、
そして世界最大の生活協同組合となった。

その歴史をずっと支えた人。

1990年には、
「日本生協店舗近代化機構」を創設。
当時、私もインタビューしたが、
毅然とした応対で、
大正人の気骨が感じられた。

現在の生協運動を、
高村さんはどう見ていたのだろうか。

ご冥福を祈りたい。

横浜商人舎オフィスに戻ってみると、
機関誌『SELCO Report』3月号が届いた。
全国セルコグループ運営本部発行。

巻頭言の「Message Board」に、
平富郎さんが書いている。
㈱エコス会長、
昭和14年(1939年)生まれの76歳。
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「業界を見回して、
創業オーナーが健在のところは良い。
ぶれないからです」
賛成。

そして勝つための絶対条件。
「仕事に向き合う時間数で、
負けないことです」

「幹部は仕事の量を増やすことです。
幹部が不眠不休で頑張って、
従業員が所定時間で働けば
利益が出る仕組みをつくる」

昨日は日本中で、
春の賃上げ一斉回答。

従業員は所定時間で働き、
そのうえで賃上げ。

日本経済新聞の主要企業106社調査では、
「50.9%の経営者が定期昇給を含む賃上げ率を
前年並みかそれ以上にすると答えた」

しかしこの賃上げ、
引き出したのは政府。
大義名分はデフレ脱却。

日経の巻頭言『春秋』は皮肉る。
「組合へ、ではなく政府への一斉回答?
結果良ければ……ではあるが
いささか寝覚めが悪い」

それでも、経営幹部は、
平さんの言うように、
「命懸けで頑張れ」。

「仕組みができたら
幹部も休めるのですから」

賛成。

商人舎magazineのDaily商人舎は、
「イオン越谷レイクタウン大規模改装、
カスミも近隣に新店開設」

2008年10月オープンのレイクタウン、
7年目に第1期、第2期に分けて大改装。

それだけではない。

カスミが明日、近隣に開業。
レイクタウン内のマルエツや、
イオンスタイルの食品フロアと、
グループ内競合。

周辺はイオンのスーパーマーケットだらけ。
しかしマーケットシェアは圧倒。

その所為か、最近、
ドラッグストアが曲がり角。

日経新聞が書く。
「14年度成長率は過去最低」

国内の市場規模は6兆円超。
しかし2014年度成長率は1%。

日本チェーンドラッグストア協会発表のデータ。
14年度の総店舗数は約1万8000店。
過去10年で25%の激増。

調査初回の2000年度以降、
14年連続でのプラス成長。

「調剤薬局併設店舗は売上げが2割増」
ウエルシアホールディングス水野秀晴社長のコメント。

調剤がカギを握るのは、
アメリカでも同じ。

私はいつも強調する。
スーパーマーケットでも、
調剤部門のないフード&ドラッグは、
コンビネーションストアではない。

調剤機能併設ドラッグストアは、
ウェルシアが昨年11月時点で7割の680店、
ツルハホールディングスも2月時点で310店。
ツルハはこの1年26%増。

しかし調剤部門に必須の薬剤師は、
教育課程が4年制から6年制に移行。

さらに薬剤師国家試験の合格率が、
昨年は60.84%と前年比18ポイント低下。

我が盟友・宗像守さんもコメントする。
「拡大路線の中で体制が整わない企業も多い」
日本チェーンドラッグストア協会事務総長。

日経の記事の総括。
「薬剤師の教育体制から
店舗運営の効率化まで
一から見直す必要がある」

ドラッグストアも、
平富郎さんの指摘のように、
今、幹部は命懸けで頑張って、
仕組みを再構築せねばなるまい。

スーパーマーケットも、
ドラッグストアも、
トップ、幹部、リーダーは、
「仕事に向き合う時間数で、
負けないことです」

〈結城義晴〉

2015年03月18日(水曜日)

「セブン&アイ過去最高益」でも足を引っ張った二つの要因

そろそろ2月期決算企業が、
2014年度実績を明らかにする。

まず決算短信による速報が出され
そして有価証券報告書による確報が出る。

実はその決算短信の前に、
マスコミ、特に日経新聞から、
情報が漏らされる。

だから「○○したようだ」とか、
「○○程度」「○○前後」といった表現が、
使われる。

今朝の日経新聞一面左上段に、
「セブン&アイ、最高益」の文字が躍る。

小売業関係者としては、
ここに速報前の情報が載るのは、
単純にうれしい。

そのセブン&アイ・ホールディングスの決算。
日経によると、
売上高(営業収益)は6兆1000億円程度、
前年比約8%増の、ようだ。

連結営業利益が3450億円前後、
こちらは前の期比2%増の、ようだ。

4年連続過去最高益更新の、ようだ。

理由はセブン-イレブン事業の好調ぶり。
これは誰が見ても明らか。

日本国内の既存店売上高は、
この2月まで31カ月連続、
前年同月比プラスの、ようだ。

セブン-イレブンの国内店舗数は、
約1200店増で約1万7500店舗。

アメリカのセブン-イレブン・インクも好調。

しかし足を引っ張った事業もあった。
日経はふたつ挙げる。

ひとつは昨年買収したニッセンホールディングス。

アマゾンをはじめとするノンストアリテイリングは、
世界中で成長を続けている。

アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は、
「現在のeコマースのシェアは3.6%だから、
われわれの伸びシロは96%」と胸を張る。

しかしセブン&アイの傘下の通信販売は、
今期、苦しかった。

これは面白い現象だ。

日経新聞が挙げた理由は2点。
「商品力の弱さ」と、
「費用負担の膨張」。

「商業統計調査」が、
通信販売を分類定義している。

まずは大きな括りとして、
有店舗販売に対して「無店舗販売」がある。

そしてこれは二つに分けられる。
第一が訪問販売、
第二が通信・カタログ販売。

2007年(平成19年)の商業統計は、
このあたりを調査している。

訪問販売の事業所数は、
14万5300。
2002年比20.3%減。

通信・カタログ販売事業所は、
6 万1312 事業所(同36.1%増)。

さらに自動販売機の事業所は、
12 万6348 事業所(同21.6%減)。

この時点の商品販売額。
訪問販売が8兆2832億円、
2002年調査比22.9%減。

通信・カタログ販売事業所は、
4兆168億円(同30.1%増)。

自動販売機による販売は、
1兆7915億円(同15.6%増)、
その他は8兆7359億円(同0.8%増)。

一方、公益社団法人日本通信販売協会の調査。
その2013年4月~2014年3月の市場規模は、
5兆8600億円で前年比8.3%増。

これは1998年度以来、
15年連続増加。

ここ10年の平均成長率は7.7%。

通販市場の成長要因を、
通販協会は3つ挙げる。
第一は、楽天、アマゾン、スタートトゥディ等、
モール、大手eコマース企業が牽引。

第二は店舗系のネット通販の伸び。
新商品、新サービスのネット通販企業の
参入による裾野の拡大。

第三はシニア市場拡大に伴う、
メーカー通販(健康食品、化粧品)、
宅配事業の堅調な伸び。

その中でニッセンは、
「商品力」の改善が進んでいないし、
「コスト構造」の改革もなされていない。

しかし可能性はある。
それがセブン&アイのオムニチャネル戦略。

さてセブン&アイの決算に戻って、
若干、足を引っ張ったもう一つの要因は、
「イトーヨーカ堂の衣料品部門」。
こちらは総合スーパーの弱点。

抜本的な刷新が必須。
問題はこの期中に、
その刷新の糸口が掴めたか。

それがなければ、
今期も迷走するに違いない。

それは他の総合スーパー企業にも言えること。

月刊『商人舎』2月号特集は、
「イオンスタイルを半裸にする」
この特集でも触れたが、
「衣料品部門」などと称しているうちは、
問題の解決は遥か彼方だろう。

月刊『商人舎』3月号は、
「52週MDの錯誤」
この特集でユニクロが52週MDを、
重要なノウハウとしていることを指摘した。

要はカジュアルファッションを、
フードと同じようにみなすこと。

この日経一面記事が指摘する中身は、
実は重要な問題をはらんでいる。

さて、日経ばかりで恐縮。
『アジア便り』に、
「習さんはゴルフがお嫌い?」の記事。

昨年末、高級ゴルフ場「南公館」が、
突然、閉鎖された。

さらに6月末には、
多くの日系企業が会員権を持つゴルフ場も、
閉じるという噂。

その裏には、
習近平国家主席が進める
環境保護運動がある、らしい。

上海に注ぐ長江の水を
北京に運ぶ用水路が完成した。
しかし水の汚染がひどい、らしい。

ゴルフ場でまく農薬も一因、のようだ。

ゴルフ場の乱開発で、
切り崩された山野も多い、らしい。

このあたり、
例によって中国は、
節度を知らない、ようだ。

日経記事は書く。
「ビジネスパーソンにとって
ゴルフ場は大切な情報交換の場所であり、
コミュニケーションの場を失うのは痛い」

習主席は、これがお気にめさない、
とのうわさもある、ようだ。
「公務員や経営者が
グリーン上で密談を繰り返し、
汚職や不正取引に及ぶというのだが……」。

このあたりも、
例によって中国は、
節度を知らない、ようだ。

さて私は、夕方から、
千葉県のグレートアイランドゴルフ倶楽部。
DSCN9493-5
その一番ホール。

こちらは有名な18番ホール。DSCN9494-5
伊藤園レディスのトーナメントが開催され、
多くのドラマが生まれたホール。

明日は第12回ドクターズ杯。
「マスターズの上を目指そう」という趣旨で、
「ドクターズ」と名付けた。

名付けたのは、僭越ながら結城義晴。

マスターは修士、
ドクターは博士。

だからこのコンペティションで優勝すると、
ドクターを名乗ることができる。

もちろん上手に名乗らねば、
「ドクター中松」だとか、
「ケーシー高峰」だとか、
そんな感じになってしまうから、
みんな名乗らないけれど。

今夜はそのメンバーが参集して、
前夜祭。
DSCN9497-5
オール日本スーパーマーケット協会の
トップマネジメントの皆さん。

習主席の中国ではなくて、
節度ある日本でよかった、ように思う。

では、明日を楽しみに。

〈結城義晴〉

 

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