4月に入りました。
毎日新聞の巻頭コラム『余録』が、
「エープリルフールのパラドックス」を書いた。
――「今日はだましてやるからな」
と兄が弟にいう。
弟は身構えて一日を過ごし、
「だまされなかったじゃないか」というと兄は
「だまされると思ってたんだろう。
ほら、だまされた」――
今日は各地で、入社式。
おめでとう。
希望を持って入社してきた人たち。
小売サービス業、消費産業に、
ようこそ。
それから転勤、転職。
進学、進級。
いずれも、おめでとう。
人生の転機は必ず、
おめでたい方向に向いている。
今日は突然だったけれど、
足立幸一さんが、
商人舎オフィスを訪ねてくれた。
㈱LIXILの店名「建デポプロ」の切り札店長。
ブレインズ&ハンズの男。
立教大学大学院修了の修士で、
我が結城ゼミ5期生のゼミ長。
『立教ビジネスデザイン11』を持参してくれた。
この冊子の一番前に、
足立さんの紀要論文が乗っている。
テーマは、
「建材流通における
ホームセンターと専門店の業態盛衰」
私が指導した結城ゼミの本命論文で、
大変、いい研究でした。
その足立さん、今日、
北海道は札幌に転勤。
この足で羽田から新千歳へ。
おめでとう。
固い握手。
かつてチェーンストア産業は、
北の新天地・北海道を、
日本のカリフォルニアと呼んだ。
しかしそこからは、
独自のイノベーションが生まれ、
ユニークな企業が誕生した。
アークスやラルズ、
ニトリホールディングス、
ツルハホールディングス、
札幌ドラッグストアー、
セイコーマートなどなど。
今日から日経新聞『私の履歴書』に、
似鳥昭雄さんが登場する。
そんな北海道へ、
足立幸一が赴く。
頑張れ。
彼の地で、嵐を巻き起こせ。
さて、第87回選抜高等学校野球大会、
決勝は敦賀気比高校が、
東海大学第四高校を破って優勝。
おめでとう。
足立くんが向かった北海道代表は落胆。
北陸新幹線開通で沸く福井は、
北陸勢として初の甲子園大会制覇。
北陸新幹線はまだ、
福井までは開通してはいないけれど、
おめでとう。
そうして時は過ぎていく。
さて日経新聞の消費Biz欄。
「消費増税から1年がたち、
小売業の業績は
格差が鮮明になっている」
コンビニではセブン-イレブン・ジャパンが、
既存店売上高31カ月連続で前年超。
2位ローソン以下は前年割ればかり。
3位ファミリーマートと4位サークルKサンクスは、
統合して三占状態がくっきり。
今日、後者の親会社のユニーグループHDが、
ファミリーマートに吸収される形で、
統合検討委員会が立ち上がった。
そんなことも考慮に入れて、記事は指摘する。
「相対的に価格が高めのコンビニ」から、
都市部の食品スーパーマーケットに、
顧客が流れている。
ライフコーポレーション、
マルエツ、ヤオコー、
サミット、いなげや、エコス、エトセトラ。
ドラッグストアもやや曲がり角に来て、
大都市圏のスーパーマーケットは好調。
しかし、地方では、
消費者の節約志向は依然、強くて、
ディスカウントストアが支持を集める。
今日のdaily商人舎の記事は、
山口・丸久と大分・マルミヤストア
経営統合で155店舗1200億円企業誕生
おめでたいのだろう。
周辺のローカルチェーンも巻き込んで、
さらなるM&Aが進行する。
私の持論は、
「範囲の経済の中の寡占・三占・複占」
10年以上も言い続けているが、
それが加速し始めた。
昨年の月刊『商人舎』4月号は、
「誰が価格を決めるのか?!」
私が執筆した巻頭提言。
2014 消費増税と新価格体系への処方箋
それから、
「増税価格戦略」イオンへの12の質問状
ユニバース社長・アークス会長 三浦紘一の
「真っ正直商法」&「大台価格セオリー」
エブリイ 増税後の
「価値訴求」と「100品目値下げ宣言」
さらに上田隆穂学習院大学教授の
価格決定の原理原則と応用技術
今、1年後の4月1日に読み返しても、
必須の考え方や技術。
大いに役に立つ。
ネット上でも構わない、
再読をお奨めしたい。
さて、4月に入って、
新年度に突入した企業も、
これからの1年がスタートした。
日銀発表の3月の「短観」は、
「緩やかながらもデフレ脱却の動き」を示す。
転機の指針は必ず、
おめでたい方向を指している。
それを信じて、
ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。
よろしく。
〈結城義晴〉