4月に入って、3日。
低気圧に覆われ、強い風が吹く。
ユースキン製薬株式会社。
1955年創業で、
今年3月11日、
60周年を迎えた。
その社員総会が開催され、
私も招待された。
午後の第二部が講演会。
真ん中で話している齊藤和之常務が、
ドラッカリアンで、
今日のテーマは、
「ピーター・ドラッカー」。
ユースキンの社員・幹部の皆さんに、
「ドキドキ・ワクワク・ニコニコ」の真髄を、
90分語った。
まずは、月刊『商人舎』、
昨年の7月号。
上田惇夫先生にご登場願って、
特集「The Retailer’s Druckerism」
ドラッカー・マネジメントの学び方・極め方
強調したのは、
マネジメントの本質。
「人の強みを生かすこと」
そして責任の組織化、
自己管理の目標管理、
そしてコミュニケーション。
あっという間に90分。
パワーポイントを使わない講演も、
とてもいいもんだ。
その講演のあとは、質疑応答。
面白い質問で、
「ドラッカーがなぜ、
学者に受けないのか」
二つの理由を答えた。
ここでは内緒。
いい講演会だったと思う。
ご清聴を感謝したい。
演奏は大谷康子さん。
東京芸術大学出身のナンバー1。
40年のプロ演奏家で、
2010年文化庁「芸術祭大賞」受賞。
「題名のない音楽会」には340回以上の最多出演。
目の前で、
日本のトップバイオリニストの、
気の入った生演奏。
その息遣い、指使い。
なめらかな音色。
音を出すのは、
あのストラディバリウス。
堪能した。
演奏会が終了して、
野渡先輩とテラスで写真。
このあと、第四部の懇親会にも、
参加させていただいて、
社員の一人のように仲間に入れてもらった。
いい商品をつくり、
いい会社にしてください。
さて日経新聞の『消費Biz』
「百貨店が新型店」の記事。
三越伊勢丹ホールディングスが、
東京ミッドタウンに
「イセタンサローネ」1号店を開く。
欧米の高級衣料や雑貨の、
約90ブランドをそろえた高級店。
想定客単価は5万円。
伊勢丹新宿本店よりも大幅に高い。
売場面積は約900㎡。
フロアごとに、約30㎡のサロンを設ける。
これは試着室を兼ねたスペースで、
それが店名にも使われている。
イセタンサローネ種村俊彦店長。
「これまで百貨店での買い物に
価値を感じていなかった世代へ、
伊勢丹が持つ魅力を凝縮して発信する」
このあと、名古屋市などの都市部で、
10店ほどの店舗展開を図る。
顧客ターゲットは、「ニューリッチ」。
起業や投資で新たに富を築いた富裕層で、
40代が中核。
世帯収入の高いダブルインカムなども、
このニューリッチに入ってくる。
野村総合研究所調査。
純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は、
2013年に100万世帯を超えた。
この客層を狙う。
東急百貨店、Jフロントリテイリングも、
新しいフォーマット開発をする。
すでに従来型大型百貨店は、
その新規出店余地がない。
三越伊勢丹HDの大西洋社長の発言。
「中間層の消費はまだ回復しきっていない」
そこで新しい超高級フォーマットへの挑戦。
このブログでは盛んに紹介しているが、
アメリカの百貨店戦略は、
全企業がオフプライスストアに向けられている。
私はこちらが本命だと考えているが、
日本の経営トップの視線は、
逆のほうに向いている。
さて、いかに。
イセタンサローネも、
今後を注目するとは言わないが、
様子を見守っておこう。
一方、これも日経新聞だが、
「すき家、賭けの値上げ」
もう、私の観点に答えてくれる新聞は、
日経しかない。
ゼンショーホールディングスの「すき家」
牛丼チェーン3強の中で、
最後まで並盛り200円台価格を守ってきた。
それが値上げ決定。
現在291円の並盛りは350円。
牛丼49アイテムを42~62円値上げする。
吉野家ホールディングス、
松屋フーズ、
ともに380円。
それに合わせるプライスライン。
すき家は昨年8月にすでに、
並盛りを21円高い291円に値上げしていた。
商品内容は見直さず価格だけをアップ。
それでもライバルに対して、
唯一の200円台だったから、
大丈夫だとの判断。
しかし、客足は、
目に見えて鈍った。
昨年8月というのも
中途半端な時期だ。
4月から消費増税が始まったから、
その時になにかしておかねばならないし、
その後は動いてはいけない。
だから今回の再値上げにも、
慎重にならざるを得ない。
すき家の値上げの理由は二つ。
一つは原材料価格の上昇。
牛丼に使うのは米国産バラ肉、
ショートプレートと呼ばれる。
その国内取引価格は現在、
1キロ800円台。
1年前より2~3割高。
すき家値上げのもうひとつの理由は、
労務問題。
ゼンショーには足かせがある。
深夜営業休止。
いままで必死で再開の努力をしてきたが、
3月末時点でもまだ616店が再開できない。
3割の店舗だ。
だから15年3月期の連結営業利益は、
前の期比7割弱のダウン。
止むにやまれぬ値上げの内容は、
牛肉・タマネギなど具材の増量。
並盛りで20%増やす。
しかし果たしてこれで、
客足を繋ぎ止めることができるか。
三越伊勢丹はニューリッチを狙い、
牛丼のすき家は増量して値上げ。
三越伊勢丹は百貨店業界第一位、
ゼンショーは外食産業トップ。
そんなナンバー1企業の政策だが、
どうも本命とは見えない。
それが現在の小売サービス業界。
ピーター・ドラッカー先生が生きていたら、
なんとコメントするのだろう。
あなたたちは、
ドキドキ・ワクワクする仕事を、
していますか?
〈結城義晴〉