4月に入って、
東京では5年ぶりに、
雪が降った。
その寒気団に覆われた日本列島を、
新開通した北陸新幹線に乗って、
軽井沢を過ぎ、長野から、
上越妙高へ。
新築された上越妙高駅で、
㈱ブルーチップの皆さんに、
出迎えていただいた。
真ん中が宮本洋一社長、
右が鍋島丈夫営業統括部長。
それからこのエリアの店舗を視察。
この店はツルヤをベンチマークして、
店づくりがなされた。
イチコは上越市に地盤を持つ、
クォリティ&サービス型スーパーマーケット。
現在7店舗で、年商93億円。
私はマーケット・ニッチャーと位置づけた。
一方、マーケット・リーダーは、
アクシアルリテイリングで、
店舗バナーはナルス。
もともとは上越市のナルスが、
長岡市に本部を持つ原信と経営統合。
さらにフレッセイが加わって、
アクシアルリテイリングへ。
新潟県ナンバー1のスーパーマーケットから、
北信越北関東のリージョナルチェーンとなった。
2014年3月期売上高1724億円、
経常利益57億6200万円。
株価も3550円と絶好調。
この他、上越市には、
バローが進出し、
もちろんイオンモールも、
デンと構えている。
そして懐かしいのが、
上越ウィング。
日本初のパワーセンターとして、
1994年6月オープン。
私は㈱商業界の月刊『食品商業』編集長で、
大特集を組んだ。
当時は核店舗にカウボーイ、
コメリなどが入って、
さらにほとんどがワンフロアで、
広大な駐車場を持っていた。
コメリパワーとバナーがつけられていたが、
現在はこんな感じ。
カウボーイは当時、勢いのある、
週末型ディスカウントスーパーマーケットだった。
そこでダイナマートが出店。
こちらは確か、生鮮ディスカウンターと、
シーツー・ネットワークが共同出店していた。
ショッピングセンターはオープンする時点で、
第5次くらいまでの増床計画を持たねばならない。
店舗にも将来の増床計画はあったほうがいい。
上越ウィングの周辺には、
オープン当時も土地はあった。
しかしそれを確保することもなしに、
周辺にインモールなどができて、
だんだん陳腐化していった。
いまは最新の北陸新幹線と対比的に、
古い古い上越ウィングが残る。
私には感慨深いものがあった。
コンテスト型競争の本質と、
その中でマーケット・ニッチャーの、
採用すべき戦略を、
90分間、語った。
ご清聴を感謝したい。
その後、全員での着席懇親会。
そして二次会。
私の両隣りが、
竹内寿イチコ会長と竹内一夫社長。
社長の隣は義理の弟さんの根橋弘樹さん。
日清食品冷凍㈱プロダクトマネジャー。
両サイドはブルーチップの宮本さんと鍋島さん。
竹内寿会長は、77歳。
商品に造詣が深く、
そのモットーは、
「よい商品を適正な価格で提供すること。
安全でごまかしのない商品を扱うこと」
じっくりと話をして、
随分と勉強になった。
マーケット・ニッチャーは、
隙間企業ではない。
ニッチとは「正当に位置づけられた存在」。
小さくてもその市場で存在感のある企業が、
マーケット・ニッチャーだ。
イチコは全国でも珍しい、
そのマーケット・ニッチャー。
マーケット・リーダーは、
圧倒的なシェアを持つトップ企業。
マーケット・チャレンジャーは、
リーダーとは判然と異なる戦略を打ち出す企業。
そしてマーケット・フォロワーは、
リーダー、チャレンジャーを追随、模倣する企業。
そしてマーケット・ニッチャーには特に、
竹内寿会長のような一徹の哲学が必須である。
最新整備新幹線の北陸新幹線、
日本初のパワーセンター上越ウィング、
そしてマーケット・ニッチャー「イチコ」の哲学。
時代を行ったり来たりして、
実に感慨深い一日だった。
〈結城義晴〉